電子書籍
戦国時代
2022/01/16 23:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
家族を戦でなくし、ならばと、最強の石垣つまり盾を作る側とそして、逆に、攻め落とすことで戦の世を終わらそうとする側と。面白いです。これは、大河ドラマにしても一作品できそうです
紙の本
職業集団の戦い方
2022/04/01 19:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天下泰平が目前にあって、最後の足掻きの様に戦が起こる、そんな微妙な空気の戦国時代末。
石垣作りの職業集団「穴太衆」の後継者、匡介を中心に話は進みます。
「塞王」とは穴太衆の頭で当代随一の石垣作りの技能を持った男のこと。
「楯」は城の石垣。破られない石垣とは、人の命を守る楯となることを意味しています。
戦術の中心は鉄砲などの火器に移り、最強の「矛(新型鉄砲)」と「楯」闘いとも言えます。
鉄砲職人の天才も匡介と同年代。この二人の職人の意地と誇りがぶつかります。
この意地というか、一方的なライバル意識が突然すぎる気はしましたが・・・。
時代劇や武将中心の小説では描かれない裏方たちの活躍が新鮮でした。
戦国に培われたさまざまな技術が、人々の生活に生かされている背景なども取り上げられており、そういった部分も興味深く読みました。
紙の本
舞台は戦国、主役は職人
2022/04/24 21:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国時代に、城を築いた職人たちが主人公の物語。
それだけ聞くとつまらない話のようだが、大部の1冊を、あれよあれよと言う間に読み進んでしまった。
普通の歴史小説ならそうはいかない。
考えてみれば、この時代にだって、武将だけでなく、庶民もいれば職人もいたはずだ。
それぞれがそれぞれの立場で懸命に生きていたに違いない。
歴史小説はあまり読まないがとても興奮する1冊だった。
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石垣=楯の職人と、鉄砲=矛の職人の対決。
関ヶ原前後の武将。アツい。
戦とは、泰平とは。
大衆心理が、やっかいに思った。
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ついに直木賞作家になってしまった、今村翔吾氏の傑作。
なぜ、なってしまったのか?
それは、デビューして、ぼろ鳶とか面白い作品を出しているけど、
まだメジャーではない作家で知っている人が少ない。
すると貴重で愛おしくて、まだ皆が注目する前にもっと知りたいという
勝手わがままなファンの一人の自分。
しかし、今回、直木賞を受賞したことで、この作品での
主人公の男同志の戦いが心に沁みてくる内容に、読み終わるのが
もったいない貴重な作品になった。
内容の事はほとんど書いてないが、本日読み終えての
一ファンの気持ちです。
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大津城の外堀に水を引く話、一種のサイフォンではないかと思うけど,少なくとも、最初に水を通すときは、ポンプのようなもので引かないと無理なんじゃないかなあ.それに,湖面より堀の底が高いところは,いくらサイフォンで水を吸い込んでも,溜めるのは難しくない?途中に堰みたいなのがないと…
なまじ数字や構造が細かく書かれているだけに,引っかかってしまって,感動的な場面なのに,入り込めんかった(TT)
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祝直木賞!
飛田屋の穴太衆匡介による石積みと国友衆の彦九郎による砲、まさに矛と楯。大津城にて繰り広げられる相手の行動の裏をかく戦略、互いの信念で戦を終わらせて平和の世を目指す者同士の戦い。終盤にいくにつれそのスピード感、怒涛の攻防による迫力!
塞王の楯は匡介だけでなく、全員による賜物。
一気読みで読後にぐったりきたー笑
18冊目読了。
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積んでは崩れ、また積んでは崩される、賽の河原で石を積む無限の苦しみ。そんな賽の河原の子を想い、現で石を積む穴太衆たち。戦国の世、石を積んで「石垣を作る」というただそれだけにこんなにも広く深く熱い物語があったとは。
山から石を切り出す山方、山から石を運ぶ荷方、そして石を積む積方、三つの力が合わさったとき、美しく強い石垣ができる。その石垣づくりに命を懸ける男たち。
城を護る石を積む穴太衆、対して城を攻める銃を作る国友衆。
城を守り民を守る、そして落ちない城の存在こそがこの世から戦いを無くす唯一の方法と信じる匡介、石垣を穿ち城を落とすことこそがその唯一の方法だと信じる彦九郎。楯と矛。どこからもどこまでも相いれない二つの道。
塞王と砲仙。矜持と矜持がぶつかり合う、二人の命を懸けた戦いに心が震えた。
生きるため、生かすため、自分のためではなく守りたい誰かのために、その思いは同じ二人。勝ち負けではないその勝負を、文字の向こうに感じた。どう護る匡介、どう攻める彦九郎。そう問いかけながらページを繰り続ける。登場人物の誰も彼もが魅力的すぎて。結末がわかっているのに読み終わりたくない気持ちでいっぱいだった。
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楯と矛、塞王と砲仙、然たる「石」と造る「鉄砲」、白と黒 、防御と破壊。悉くわかりやすい対の構図が刺さる刺さる。
直木賞受賞作じゃなければぜったいに手を伸ばさないジャンルでしたが、面白かったし、読後の爽やかさに癒しすら感じました。
日本史と空間把握に明るくない人間にとっては、簡潔に大事なところだけ解説してくれる時代背景や大津城の地図がとっても親切。
だからこそ、純粋な矜持と矜持のぶつかり合いに集中できてストレスのない読み味。
守ることで泰平を目指す絶対正義の石積み。自分にとっては初めて触れる世界で、奥深さや守護の暖かみを感じました。これから石垣を見る目がきっと変わるだろうなと。
しかし!それ以上に!雷破に命が吹き込まれる工程の描写にゾクゾクしました〜。絶望の萌芽。なのに魅力を感じてしまう不思議。絶対悪の容貌を見せておきながら、彦九郎の視点があることで腕力による正義の側面も魅せるという。
楯が矜持と矛が矜持の最終決戦。声は届かないのに視線だけで以心し伝心するのは胸アツ。賽の河原のような繰り返しの持久戦。なのにスピード感と焦りで一文の終わりを読み飛ばしてしまいそうになる。
これは「塞王の楯」だから、志は同じだと何度言われても、どうしたって彦九郎をダークサイドとして捉えてしまいます。だけど「終わらせよう」の言葉に込められる思いを考えると「砲仙の矛」ってタイトルだったかもしれない視点を想像してしまうよね。音心地悪いけども。
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素晴らしい長編小説だった!序、1章で緊張の連続2章では更なる緊張が高まる。4章では思わず笑ってしまった6章でも息を詰めながら読み進めた。第8章になると心臓の鼓動も激しくなって9章では涙が、そして後半には感動し最終章でほんのりと心温まった。珠玉の作品だった❗️
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前半を読むのに時間がかかってしまったが、後半の大津城攻防戦は正に手に汗を握る内容で一気に読んでしまった。
穴太衆と国友衆という視点が何とも独特。歴史小説の新たな魅力を引き出してくれた。
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今村翔吾さんの直木賞受賞作。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描いた、熱き男たちの物語です。
石垣作りの職人集団・穴太衆の匡介と、鉄砲職人・国友衆の彦九郎。二人の若き頭目が大津城の攻防戦で激突します。軍配があがるのは“楯”か“矛”か・・・?
うん、皆カッコよかった!匡介率いる穴太衆のチームワークは、まさに“プロフェッショナル”で目を見張る思いです。
そして、大津城主の京極高次がホント良い人なんですよね、奥方のお初様も素敵な人で、匡介が“この人達を絶対に守る”と頑張っちゃうのも納得です。
そして攻め手の武将の一人、立花宗茂も男気溢れる方で、彼の為にそして戦をとっとと終わらせる為に、最新式の大砲を連打する国友衆の彦九郎。
大砲に撃たれ続けている中で、ひたすら石垣を作っては修復をし続ける穴太衆の職人たち。想像するだにカオスな現場なのですが、主を守ろうと懸命に抗う京極家の家臣たちや、穴太衆を援護する為に危険を承知で松明を掲げて現場に赴いた大津の民・・・。
“一丸となる”って、こういう事なんだな・・・さぁ「クライマックス御一緒に!(という歌があったよね?)」って感じです。
本のヴォリュームも“厚い”ですが、内容も“熱い”。まさに“激アツ”な一冊でした。
因みに私は割と城巡りが好きだったりするのですが、今後お城を訪れた際は、石垣をより重点的にチェックしたいと思った所存です。
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文句なし❗️
直木賞候補でしょう。
というか、獲るんじゃないかな…。
天正元年…
浅井長政と共に、天下布武を目指す信長に抗った朝倉義景だったが、敗走を重ねた末に一乗谷に帰還するも城を捨てて落ちる。
城主に見捨てられた一乗谷の民・匡介は、その目の前で母と妹を織田軍に殺される。 何とか死地を脱した匡介は、一人の男と出会い行動を共にする。
その男は、飛田源斎という近江の石工(石垣職人)集団・穴太衆(あのうしゅう)の頭領だった。
匡介の持つ「石の聲を聴く」能力に瞠目した源斎は、自分の後継者となる息子として育てて行く。
時は過ぎ…
信長は光秀に討たれ、その光秀も今はもういない。
秀吉によって終焉を迎えたかに思えた戦国の世。
だが、その英傑の死とともに再び混沌が訪れる。
石垣の持つ意味…そして求められるものは世と共に変化して行く。
一方で、それは石垣(城)を攻める側の「武器」も同様であった。
皮肉にも、
穴太衆と同じ近江の地に生きる鉄砲製造集団・国友衆の後継者・彦九郎…。
匡介と彦九郎は、共に将来を担う俊才として常に比較されて来たが、本人達は、単なるライバル以上の存在としてお互いを意識して来た。
戦乱の世は再び訪れる。
そしてそれを終わらせ得るのは「絶対的な矛(武器)の存在である」と信じ、ひたすら技を研鑽して来た彦九郎。
一方、穴太衆の歴史上最も優れた「塞王」源斎を目標に、絶対に崩れない盾(石垣)を積む技を磨いて来た匡介。
ついに、
類い稀なる二つの才能が相対する時が訪れる。
上杉征伐に向かった家康の背後を突き、石田三成等によって源斎の守る伏見城が落とされたのを皮切りに、天下分け目の戦が火蓋を切る。
西軍から寝返り、急遽大津城に籠った京極高次は、城の守りを更に強固にする為かつて修復を依頼した穴太衆・匡介に助力を要請する。
いよいよ、戦時下の命懸けの石垣造り…
「懸」を発動する匡介。
一方、攻城方の彦九郎は、秀吉が天下無双と認めた英傑・立花宗茂の信を得て、長年に亘り心血を注ぎ開発して来た新兵器をここぞとばかりにつぎ込む。
果たしてその決着は…
絵に描いたような「矛盾」の闘い。
技術者達が追い求める技の深淵。
そしてその技をも凌駕する
「人の心」という、
「技」ですらない「奥義」が心を揺さぶる。
武将の鳥居元忠、立花宗茂。そして、京極高次・初の夫婦。
登場人物それぞれが、小説の主人公クラスなのだからたまらない。
脇を固める、
穴太衆・荷方の玲次、山方の段蔵もええ仕事しとります(笑)
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いやー、今年最後にいいもの読ませていただいたわーって感動した。
本屋の平積みで興味を持って、図書館の貸出予約したらすぐに借りれてラッキーって読んでいたところに直木賞ノミネート作に選ばれて、今じゃ予約殺到中。正に掘り出し物!
地元京都のすぐ上の滋賀県は大津が舞台。大津にはしょっちゅう行ったし、大津城跡にも行ったことあったけどこの物語のような歴史があったなんてまったく知らなかった。
読み終えた後に大津城のwikiを見てみたけど東西決戦の関ヶ原の戦いの前哨戦が行われたが前日に開城したとだけ書かれていて穴太衆の事も黒友衆の事も全く記載されていなかった。歴史には残らない矛盾の戦いがこれほどのボリュームで、しかし読んでいてもまったく苦にならないほどに面白くはらはらしながらあっという間に読み終えてしまった。どこまで史実でどこまでがフィクションなのかわからないが両雄の目指すところが同じ思いでありながら同じ近江職人同士が近江の地で戦うことになったのが切ない。しかしそこは小説。もう読んでいて何が正義で何が悪なのかもわからない。西国無双の立花宗茂の懐の深さや漢気も素晴らしい。歴史小説はこうでなくっちゃと読みながら血沸き肉躍るとはこのことと重い本をあっち向けこっち向け読み切った。
まだ候補の残り四冊は読んでいないけど、これこそ受賞作だろ!と思いたい。
と言いながら他ノミネート作品も気になっているんだよねー
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穴太衆 対 国友衆。共に至高の域の技術の戦いでした。信念と人生を捧げた技術の高め合いは世を平和にすること、と共通しているのに、やっぱり凶器を持てば他が黙る、的な考え方は私は違和感を持ってしまう。現代の銃社会、核兵器社会と同じような問題はどこまで遡れるのだろう。地元愛も感じられました。今村さんの作品は登場人物が本当に良い。最後まで面白かったです。