紙の本
日本文化の伝統を継承していた江戸遊郭
2021/12/03 20:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者は江戸学の大家だが、遊郭は二度と現れてはならない制度だとは言うものの、江戸時代の遊郭には平安以来の日本文化の伝統が継承されていたと言う。花魁は和歌、俳句を詠み、音曲踊り、生花、香道、書、中には漢詩を作るほどの教養を持つ者もいた。西鶴、一九、近松、浮世絵、歌舞伎、落語などの江戸文化は遊郭とは切っても切れぬ関係にある。また遊郭は粋、キップの良さ、遊郭内は身分制度がない、遊郭言葉など特有の文化や美意識も生み出した。遊郭がこの独特の文化性を失って娼窟になって行くのは明治産業革命以降のことである。江戸時代の遊郭文化は世界的にも比類のないものだと思うが、何ゆえかかる日本特有の文化が生まれたのか、をもう少し紙数を割いて掘り下げて欲しかった。
紙の本
文章が読みやすかったです
2021/12/22 11:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代の日本の研究で知られる著者が、遊廓、特に東京の吉原遊廓をメインに丁寧に説いた1冊です。
著者の文章は読みやすく、良く理解できました。また、紙幅が170頁にも満たないので、一気に読み切れる内容となっています。
紙の本
読みやすい
2022/08/16 12:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後も続いた遊郭について、その歴史と実際を、丁寧に紐解いてある。日本の文化を受け継いできた存在と認めつつ、人権という観点からは存在すべきではないものとして整理してあり、非常に分かりやすい本だった。
電子書籍
遊郭は……
2022/09/23 23:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
どういうこと?遊郭は、日本に二度と現れてはいけない制度である……と書きながら、そこには、芸事に、和歌や書道、生花に茶道という日本古来の伝統もありました……。矛盾していると、思い……
投稿元:
レビューを見る
<目次>
はじめに
第1章 吉原遊郭の誕生
第2章 遊郭とはどのような場所か?
第3章 遊女はどんな人たちか?
第4章 男女の「色道」と吉原文化
第5章 吉原遊郭の三六五日
第6章 近代以降の吉原遊郭
終章 遊郭をどう語り継ぐべきか
<内容>
この時期に田中優子がなぜ?だったのだが、中世から江戸初期は、「遊女」は売春よりも芸能に重きがあり、様々な日本の芸能のルーツになっている(歌・楽器・踊り・工芸品・服・化粧など)ことだ。むろん、ジェンダー論から見ても必要な所はあるのだろう。ただこの本は興味本位ではなく、微に入り細に入りではなく、本筋をサーっと流す感じ。歴史上の(吉原)遊郭を学ぶにはいいだろう。
投稿元:
レビューを見る
経済が廻る一端としてとても興味深く読了。
京都の島原に伝えられていることとは違う論点で解説するのは大変結構だが、著者の価値観[人権擁護]をところどころ挟んでくるのが面倒くさい。
一方的な観点によりいろんなところに齟齬が発生し、そこで働く人たちが苦労しているのも事実。
その人たちの人権は?
地下に潜り込むことにより余計にややこしくなる。
投稿元:
レビューを見る
遊廓とはただの風俗場という認識だったが違った視点で面白かった。芸としておもてなしとして、遊女はかなり優れた人だったというのも驚きだった。読みきれないところもあるがかなり満足した。
投稿元:
レビューを見る
最近、時代劇を見なくなりました。というか、好んで見ていたのは必殺仕事人のシリーズくらいでしょう(中村主水が出ていた方)。ドラマの中でたぶん遊郭と呼ばれるようなものをちょくちょく見かけました。花魁道中というのも見たことがあります。華やかな姿で、自信をもって歩いているように思えました。でも、結局は皆、借金のカタに自由を奪われて働かされている女性なのですね。それでも、客相手の仕事に就くわけで、お茶やお花をはじめ教養はいろいろと身につけていたとのこと。当時、時計のねじの調整ができるというのが特殊技術だったわけですね。年中行事なども行われ、遊郭は文化を継承してきたわけでしょう。遊女たちは長くその中で仕事をしていると、自分の仕事に誇りを持つようにでもなっていたのでしょうか。そのあたりの気分がちょっと分かりません。男性には「女性を性の対象としてしか見ない」というような人が多くいたわけでしょうし、それを割り切ってできていたものなのか、どうなのか。それと、遊郭という場所自体ですが、新宿歌舞伎町みたいな、何か繁華街の中の歓楽街と呼ばれるような場所とのイメージがあったのですが、どうも畑の中にポツンと人工的に作られた街だったようで驚きです。その郭の中だけが、パッと華やいでいたということなのでしょう。不思議な空間です。「千と千尋」のトンネルを抜けた先のようです。著者も最初から書かれていますが、二度と同じようなものをつくってはいけませんが、でも、文化や行事など残しておきたいものも数多くあるのは確かです。歴史をきちんと学ばないといけませんね。
投稿元:
レビューを見る
遊郭と聞くと煌びやかで雅やかで不夜城って呼ばれる現代のネオン街よりもっと格式の高い大人の遊び場って言うイメージがあったが、ジェンダーの観点や歴史的な目線で見ると色々違うものが見えて来て面白いかった。途中ダレてきたけど、まとめが良かった。歌舞伎に女性は禁止って言うのは知っていたが、元々は女性のみでやっていたと聞いて、過激になっちゃったんやろぉなぁ、と想像してみた。
投稿元:
レビューを見る
●なぜ読んだか
→遊廓というものがどんな場所なのか、
遊女とはどんな女性たちだったのか気になったから。
●感想
→遊廓とはどんな場所でどんな遊女たちがどんな理由で働いているのかを知れた。歴史には疎いため少々聞きなれない用語が多く何度も読んでしまう部分もあったが、大まかに遊廓というものを知りたい人にはいいと思う。
投稿元:
レビューを見る
裏と表が良く描かれており、一つの流行発信基地であることが分かった。蔦屋書店の由来も何となくわかった。
投稿元:
レビューを見る
江戸の捕物帳、人情もの等々に出てくる色街の裏表について整理して書いてあるのだが、いちいち説明されなくても知ってたよ〜、というぐあいに読めてしまったのが驚きというか、時代小説の効能とでもいうか…
投稿元:
レビューを見る
<目次>
はじめに
第1章吉原遊郭の誕生
第2章遊郭とはどういう場所か
第3章遊女とはどんな人たちか?
第4章男女の色道と吉原文化
第5章吉原遊郭の365日
第6章近代以降の吉原遊郭
終章遊郭をどう語り継ぐべきか
おわりに
芝居、芸事のスタート地点でもあった、吉原。
投稿元:
レビューを見る
遊郭を現代日本文化が構築された場所として話が展開。文化的な目線で遊郭を捉えた内容で非常におもしろい。
タブーだけど、そうじゃない。けど、二度と現れない。
芸と性とが一緒だった時代から、
芸は男へ、性は女へ。
日本の男尊女卑の考えの根幹にも繋がる。
太夫たちが文化人だったということもまたおもしろき。
投稿元:
レビューを見る
鬼滅の刃の放送でも「子供に説明できない」と、疎まれる遊郭。炭治郎のいる大正時代ならそうかもしれない。でも江戸時代には、文化人がこぞって足を運ぶ、格式高い社交場があったという。光と闇が混ざり合う、白黒つけられない存在で、いいじゃないか。
※※※※※
■ Before(本の選定理由)
遊郭が江戸の文化発展に寄与したって?
何故そんなことを言えるのか、気になった。
■ 気づき
遊郭は、歌の文化、もてなしの文化、文芸にも影響を及ぼした。トップ層だけの話だが、そんな時代もあった。食事が芸術を言えるのと同様、欲求を昇華した匣が、遊郭という存在だったと思う。
■ Todo
印象だけで毛嫌いしない。でも制度上の闇もあるので賞賛しない。白黒つけない。