紙の本
「図鑑でわかるようになる」過程をじっくりとたどる。
2022/02/11 16:35
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
副タイトルが「生きものの”同定”でつまずく理由を考えてみる」です。
図鑑を開いて調べはじめてもわからなくて「もういいや」となる人も少なくないと思います。「身近な生きもの(花とか虫とか)の名前でも調べてみようか」と思って図鑑を開いた人の「あるある」。少し名前を覚え始め「これは知らないな」と図鑑で調べようとした人の「あるある」。たいていこういうところでつまづくんですよね、という例がたくさん。そこから「どういう風に見分けを習得していくのか」を体感しながら理解させてくれます。体感しながら、というのはクイズみたいに「この中のどれがカ(刺す蚊、です)でしょう」と似た昆虫の中から探すというような進め方もあるから。これはなかなか楽しいです。カは分かる人も、ウグイスは当たらなかったり。
クモを専門にしている著者が、どこでつまづくのか、を自分は全く素人の生き物を対象にして「散歩で見つけたものの名前を探す」過程も交えながら、「理解」「識別」ができる過程を考えて行きます。
同じ種だとされても、模様や色は少しずつ違う。いわゆる個体差があるのは人間も同じです。それをどう「これは同じ」「これは違う」とできるのか。いろんなリンゴを見ても「リンゴ」とわかるのはなぜか、からイデア論にまでつながっていく(ちょっとだけですが)のも面白かったです。
「あるある」の部分を読んで自分だけじゃないと慰められました。『「後でわかる」のはよくあること』とか『みんなちがって、まちがえる』などの著者の言葉には励まされました。
文章そのものが分かりやすくて面白く、同定の難しさ・奥深さをかんじながらも楽しくすらすら読めました。「良い=使いやすい図鑑」とは、という著者自身の図鑑づくりの体験からの話もあります。
生きものの名前を知りたくて図鑑でくじけた(私みたいな)人だけではなく、「図鑑を作る人」「人に教えたい人」にもぜひ読んで欲しい本でした。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルどおりの内容に回答をくれる一冊。見分け方のサンプルとしての写真、例題も豊富。「目をつくる」ということの重要性、納得しました。内容の濃い良い本です。
紙の本
「観察を楽しめる程度に見分けられる」までに達するのは大変!
2023/01/16 14:58
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投稿者:.ばっは - この投稿者のレビュー一覧を見る
★虫が苦手な人は要注意!実寸より大きな虫の画像がたくさん載っています。
「ある生物がなんという種名なのか」特定する同定が容易ではない事を説明
同定には「目をつくる」ことが大切。
それが出来ていないから種の違いを見分ける事ができないのだ。
手に入れた標本が、典型的な特徴を持っているとは限らないからだ。
捕まえる段階で、体の一部が壊れてしまっていることもある。
時期により、特徴的な形質が見えないこともある。
ここで薦められている方法は
1. 入門向けハンドブック図鑑とやや詳しい図鑑を入手。
2. 前者で「同定に必要な特徴」「同定形質」を覚える。
3. 写真に撮り、場合によっては簡単な図も入れつつ、特徴を書き出す。
4. 気づけた特徴をもとに図鑑を引いて、候補を見つけたら、キチンと解説を読む。
再度確認して種名を確定。
自信のないものは、ひとまずTwitterで質問。あとは季節や場所を変えて、気にしてゆく。
※写真だけでなく、標本採取は大切。それも複数。
注意点
・サイト上の写真は参考にはできるけど、同定の根拠にすべきではない。
・その分野の先人に教えを乞うのが1番の近道(観察会や植物園や博物館)。
・ホームページやTwitterにメールで質問も手段。マナーには気をつけて。
私は膨大な手間暇を要する種名の同定までは望んでいないので
4.の候補位まで見分けられたら良いなぁ。3.が出来たら十分かもしれない。
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タイトルがいい。すぐれた問いかけ。
そうだよねえ、と思いながら手に取った。
この感じは「オフサイドはなぜ反則か」と言う本を見たときにも感じたものだ。
『言葉と目』というタイトルでもいい。
かたちの問題は、わかる人には見ればわかるので、なにが違うのかを言葉にするのはむずかしい。
「目をつくる」「目ができてる」という言い方で説明するのだが、目をつくるためには、言語化の努力が必要だと言う指摘も重要だ。
生き物業界の図鑑の検索表の使い方は初めて知ったが、細かい記述で、そこで言われている部位がどれかがわからないと使えないので、ここでも目が必要になってしまう。
わかると言うことの中には、言葉と目の循環構造があるのだ。
娘にも読ませたいが、虫の写真が並ぶので無理かも。
同じ趣旨で、建築様式の本を作ればいいのではないか。
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まさにタイトル通りの生物の同定についての本。
軽いタッチの文体で非常に読みやすいし判りやすいが、より具体的な手順を語る最終6章でのキモンハバチやノメイガの細かに記された同定作業を読むとその難しさにこの本が想定しているであろう読者の多くは絶望するのではなかろうか?
大量生産される工業製品と違って生物は同一種であっても各の個体はそれぞれ異なるし、種はあくまでも抽象的な概念に過ぎずそこに明確な規範がある訳でもない。同定するのは特徴を見つけ出しそこに共通するものや差違を見いだす必要があるがそれは単純なことではないということをこの本は教えてくれる。
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面白かった。図鑑を見て本当に名前をわかるようにするには,積み重ねとただの図鑑だけじゃなくてなんなら検索表も辞さないくらいの準備と観察眼が必要だなという気もした。
魚について,写真をちょっと撮ったくらいじゃ区別できないところはたくさんあるので,趣味レベルでは「〜〜の仲間」止まりでも満足するしかないのかなという気もした。
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図鑑やネットで生物の名前を調べようとしたことがある人におすすめの本。
途中で出てくるクイズは家族や友人とやると、生物に対して目ができているできていないが一目瞭然で楽しめます。
生物を見分けるって大変だ。
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クモの専門家が、「図鑑を見ても名前がわからない」理由や、わかるように至るまでに行うべきトレーニングを教えてくれる本。
本の中の写真やイラストはカラーでとてもわかりやすい。
作者はクモの専門家ではあるが、未知の分野である「シダ植物」について学ぶ過程を細かく見せることで、「初心者」の目線に立って教えてくれる。
また、図鑑を見ての同定から、専門書、論文など様々なレベルの同定を実例とともに学べる。
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2月2日新着図書:【どういうプロセスで同定ができるようになるのか、同定について真剣に考えて、とことん掘り下げる本書を是非読んで見ましょう。】
タイトル:図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか? : 生きものの“同定"でつまずく理由を考えてみる
請求記号:460:Su
URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28194256
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自分も昔野草を300種類以上同定した経験から、勉強になったというよりは、そうそうみたいな面白さかな。
ただちょっと本の値段が高いかな・・・
あぁあと思ったんだけど、自分も今まで全く気にしたこともなかったんだけど、あんまり「同定同定」言ってると、たぶん周りからは
えぇちょっと何あの人・・( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
って思われるだろうなぁ。「どうてい」って言葉を「同定」って意味ではまず使わないからな普通の人は。
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はい、目を育てるだけの頭の体力が必要です。
151p今眠くなってきたりこの本を読むのをもう終わりにしたいと思っている方がいるのではないでしょうか。それは普通の反応なので安心してください。以下略。日を改めて注意力をもって再開せよ。
目録というのもある。
うん、人生にこういう楽しみのある人はすごい。こりゃ大変だ。同定できた時は、また一つ自然について知ったという、今日は意味のある日だったという喜び。登山道や荒野の轍としての総括的文献。すごい。
自分という存在を確かに活用しているという手ごたえ!
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はい、私も図鑑がうまく生かしたことがありません。
そういう生物リテラシー(?)のない読者にも、親しみやすい語り口で語りかけてくれる、貴重な一冊。
なぜ名前がわからないのか。
では、どうしたらいいか。
それがわかる。
なんと画期的な。
ただし、急いで付け加えておきたい。
どうしたらいいかはわかる。
でも、実行するのはかなり難しいことも、はっきりわかってしまう。
本書では、種を同定する作業を、豊富な写真をしめしながら、読者にも仮想体験させてくれる。
「検索表」という、同定のためのポイントをまとめた便利なツールもあるそうだ。
しかし、それがあっても、スイスイ作業が進むとは限らない。
手に入れた標本が、典型的な特徴を持っているとは限らないからだ。
捕まえる段階で、体の一部が壊れてしまっていることもある。
時期により、特徴的な形質が見えないこともある。
検索表もない生き物となると…、素人の自分にはその大変さは想像を超えてしまう。
同定というのは、自分が考えていたよりはるかな道程なのだ。
色や柄はわりとあてにならない、ということを知ることができただけでも、私には有益だった。
なにしろ、色と柄しか見ていなかったからだ。
なるほど、これじゃ、名前がわからないはず。
図鑑は入門者用のものと、少し詳しいものを2冊持つとよいそうだ。
図鑑を見るにも、スキルは必要。
絵だけではなく、解説をしっかり読むのがコツらしい。
とはいえ、ここが難しいところだけれど、言葉で説明されていても、観察の経験がないと伝わらなかったりするらしい…。
自分なら、ここでめげそうな気がする。
が、図鑑で、どこが見分けのポイント(同定形質)なのかを予習してフィールドに出る。
観察の場数を踏んでいけば、なるほど、たしかに「目の解像度が上がる」状態になると思われた。
最後はどれだけ生き物が好きか、かな。
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めっちゃ面白いです。
筆者の須黒先生はクモ屋で、私も愛クモ家の端くれとして、ハンドブックなど愛用させてもらっております。
もちろんクモの同定の話もあるんですが、特に面白かったのが、専門外のシダの同定をするドキュメントや、ハバチの同定。まさにリアルRPGです(昔、流行った、選択によって違うページに進んで、エンディングが変化する本。今でもビデオゲームではコモン)。最初にどんな図鑑やフィールドガイドを選ぶか、フィールドでの観察の時に、どういうところに目を付けるべきか、どの部分の写真を撮っておくべきかなど、なるほど、こういう風に説明すればいいのか!!目から鱗がぼろぼろぼろ!!私自身、色々と質問されたときに、うまく説明できずにモヤモヤすることがあるので、こうした書物は大変参考になります。
筆者の友人の鳥屋おでんやさんも登場されて、ウグイスの同定のところで、とてもいい説明を読むことができます。
よく、目をつくらんとあかん、と言われますが、
どうしたら”目”ができるのか?
というのが、よくわかる参考書、ハウツー本です。
昆虫、鳥、植物、糞、なんでも興味のあるものの同定をしたい!と、思い始めた人や、長いこと気になっているが、どうしても目が養われない、ていうか、なにをどう初めていいかもわからん、という人も、読んでみてはいかがでしょうか。
目から鱗が落ちること間違いなしかと
単に読むにも面白いので、おすすめです。
p80
「画像での同定が困難な場合もしばしばあるので、SNSでのやり取りは万能ではありません。」
「初期ほど、人に尋ねて教えてもらうという過程が、同定技術の向上にはほぼ不可欠。」
”ただし、付け加えておくと、同定に関して「詳しい人の意見は常に真実」ではありません”
そこらへん、詳しい人も間違いますし、
自称詳しい人も多いので要注意でございます。
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まさに図鑑を見ても名前が分からないので読んだ。
植物の名前をたくさん知っているとカッコイイ気がして図鑑を買ったものの、どれも緑で違いが分からず全く覚えられない。たくさん見れば脳が勝手に学習してくれるかと期待して植物園に行っても「木がたくさん」としか見えず、悲しい思いをしていた。
本書を読み、なぜ植物の区別がつかないのか、同定できないのかがよく分かった。「目」ができていないのだ。ポイントを意識していくつもの対象をまじまじ見ると、だんだんと虫や植物を見分ける目ができてくる。たくさんの写真や例を用いて、目ができるとはどういうことか、読者が実感できるようになっていて、自分がレベルアップした気がしてわくわくする。すぐにフィールドに野に出て腕試しをしたくなる。
蜘蛛の専門家の著者がシダ植物の同定に挑戦する過程も紹介され、どう同定していくかを追体験できる。また目のレベルをどう上げていくかのロールモデルを知ることができる。
虫や植物の種類(形態や生態)の違いを紹介する本はあったかもしれないが、同定にフォーカスした本は初めてだった。とても貴重で面白い本だと思う。
著者は小学校の理科の先生だそうで、こんな先生に理科を習ったら楽しいだろうなと思った。
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道端の雑草の名前を知ったからと言ってどうなるの?‥‥そう思う人は、政府官僚になっても庶民の一人ひとりの気持ちに寄り添わない政治家になってゆく様な人なんだろうな。
あ、いや、ごめんなさい。
今日の散歩途中にそんなことをつらつら思ったのは、この散歩の十数分間だけでも、ブロック塀やその下に少なくとも5種ぐらいの「苔」を観察したのだけど、「おそらく」ハマキゴケかな、ハイゴケかな、ギンゴケかな?これってなんだろ?とか、全然「同定」出来ない自分に心がささくれ立って落ち込んだからであって、雑草の名前に興味がない貴方を責めたわけじゃないんです。
「おそらく」じゃダメなんです。
庭の萩に似た花の同定が出来なくて、秋のひっつき虫に大いに困った様に
松たか子と松嶋菜々子の区別がつかない問題が時々勃発する様に
ソックリさんを間違って証言をしたことで、事件がとんでもない方向に行く様に
キチンと「同定」しなくてはダメなんです。
と、いうわけで本書を紐解きました(←前振りが長い!)。
物凄く楽しい本でした!
同定には「目をつくる」ことが大切です。綺麗な写真を使って、かなり分かり易く、楽しく書かれています。因みに最初のハエトリグモ見分け問題を、私はクリアしたのだけど、たまたまみたい(ポイントは脚の関節長さと思ったけど、目の位置だった)。
著者の目指すのは、専門家への道ではなくて「⚫︎⚫︎の観察を楽しめる程度に見分けられる」レベル。つまり私の目指すレベル。
詳しい演習問題として、著者と共に初めてシダの「同定」に取り組みます(著者の専門はハエトリグモ)。以下注目点を箇条書き。
・入門向けハンドブック図鑑とやや詳しい図鑑を入手。
・前者で「同定に必要な特徴」「同定形質」を覚える。←ここまでは、私は既にやっている。
・写真に撮り、場合によっては簡単な図も入れつつ、特徴を書き出す。
・気づけた特徴をもとに図鑑を引いて、候補を見つけたら、キチンと解説を読む。再度確認して種名を確定。自信のないものは、ひとまずTwitterで質問。あとは季節や場所を変えて、気にしてゆく。
・写真だけでなく、標本採取は大切。
「同定は、この星の生物多様性をダイレクトに味わうことのできる、心躍る営みです」
著者は本を書く目的があるからか、そもそも他の分野ではプロだからか、一年で近所のシダは全て同定できたようです。でも反対に言えば、著者のようなハイレベルアマチュアでも一年かかったのだと思えば、励ましになる(←私は未だ半年)。
以下、その他参考にすべき点。
・サイト上の写真は参考にはできるけど、同定の根拠にすべきではない。
・その分野の先人に教えを乞うのが1番の近道(観察会や植物園や博物館)。
・ホームページやTwitterにメールで質問も手段。マナーには気をつけて。
・やがてはAI同定(写真画像解析ややがてはDNA解析)で簡単に同定出来るかもしれないが、著者は「野外で身一つで、自分の知識と感覚のみをたよりに」同定��来るかも喜びは「失われない」から続けると言っている。よくわかる。
5月3週jubeさんレビューで発見。ありがとうございます。