紙の本
『博物館の少女』
2022/01/13 19:28
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪の古物商の娘 花岡イカル13歳
両親があいついでなくなり、遠縁に引き取られて文明開化にわく東京へ
父に仕込まれた鑑定眼が役に立ち上野の博物館で働くことになったイカル
怪異の研究をしている織田(=トノサマ)を手伝って収蔵物を整理すると、「黒手匣」がなくなっていることに気づく
キリシタンゆかりの品とも噂されるこの匣をだれが何のために持ち去ったのか
イカルはトノサマとその奉公人アキラとともに謎に迫っていく
和製ファンタジーの旗手 富安陽子が明治初期を舞台に開く新たな世界
江戸から東京に移り変わる時代に生きた実在の人物を配して、怪異譚をモチーフに少女の冒険と成長をミステリータッチで描く物語、2021年12月刊
《満足のいく物語に仕上がりました。》──著者のことば(出版社サイトより)
発売前から絶賛
読み始めたら止まらない
早くも続編期待の声
出版社サイトには対象年齢「中学生から」とあるが、小学校の図書館にもぜひ置きたい一冊
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富安陽子さんは、古事記から伝説、あやかしなどを現代の物語にうま〜く融合させる作家さんだ。
面白い本ありますか、と生徒に聞かれたら富安さんの「天と地の方程式」を勧めることも多い。
古事記と謎解き脱出ゲームが詰まったような、スピード感のある作品で、リピート率はすこぶる良い。
そんな富安さんの新作とあって、ネットギャリーで早速読んだ。
主人公の少女イカルの生い立ちと、東京で暮らし始めるまでの序盤が少し長い気もしたが、イカルが上野の博物館にたどり着いてからは、スピード感のある展開で、ハラハラドキドキ。この人味方なの?え、犯人だれ?と、どの人も怪しく見えてきたり、忍び込んで大丈夫なの?見つかる〜!とページをスクロールする手が止まらない。
自分と地続きのようでいて、見知らぬ景色が現れる妖の気配が残る明治時代の物語。
博物館をテーマにした小説や、中学生が大好きな文ストシリーズなどとコラボして展示企画しても面白いかな、と思う。
発売されたら、購入したい。
2021.11.23
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大阪の道具屋の娘だった花岡イカルは、父についで母を亡くし、遠い親戚の家をたより1人東京へむかう。
大切にしてくれるが厳しい老夫婦のもとで、青息吐息の毎日だったが、ある日老夫婦の娘と孫娘がたずねてきて、イカルを東京見物に連れ出してくれる。
河鍋暁斎の娘であるトヨと向かった博物館で、思わぬ出会いがあり、目利きの出来るイカルは“トノサマ”の弟子として働くことになるが…
ドロボウ騒ぎ、怪しい宣教師、遠い島の伝説…
明治のあわいの時代の少し不思議な博物館怪異ミステリー。
〇一気にお話に引き込まれた。
博物館の“がらくた部屋”に集まる玉石混淆の美術品たち。
少し怪異に縁がありそうなイカルとまだ顔を合わせていない町田さん。
連綿とした権威のかおりがする“トノサマ”とほのかな恋の予感のする少年“アキラ”、腹心の友だちになりそうなトヨちゃんと、これからシリーズ化すると信じています!
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明治の少女の物語。
富安陽子らしい不安があっても前向きに進む少女の物語。
表紙が大人ぽっくて最初富安陽子だと気づかず買って読んでいました。
続きがあれば良いな。
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明治時代。目利きの才を見込まれて、怪異研究のお手伝いをすることになる主人公。 不幸な身の上を悲しむのではなく、自分の能力と前向きさで人生を切り拓いていくところが良き。 シリーズの始まりとのことで、続きが楽しみです。
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新聞の書評で興味を持ち購入。
本屋でまず児童書だったことにびっくり。
大阪生まれの私、祖母が上野不忍池のそば生まれで、なんだか馴染み深い感じで読み出して、夢中で読み終わりました。
途中から五島列島ヒミツの島が出てきて明治初期江戸の風味を残しつつの謎解き話だと思っていたのが一気に諸星大二郎な展開に!
これには驚きましたがタイトルよくみると「怪異」ってありましたね。
シリーズ化しそうですね。
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江戸の香りも残る明治時代の上野が舞台。
両親が相次いで亡くなったため遠縁を頼って大阪から上京した少女花岡イカルが主人公。
道具屋だった父親の影響で古道具の目利きの才のあるイカルが上野博物館の古蔵で怪異研究をしているトノサマの助手として働く中で出会う「謎」。
「隠れキリシタンに伝わる黒手ハコが古蔵から盗まれた。犯人は。その目的は。そして隠された秘密とは」
イカルの目と好奇心によってその秘密に迫る過程にドキドキしながら読んだ。
イカルと遠縁の少女河鍋トヨとの友情物語も、イカルの成長物語としても今後が気になる。
変化していく時代の中で大阪という別の文化に育った少女が生き生きと鮮やかに駆け抜けていくようでとても心地よかった。イカルの関西弁も軽やかでスキップしながら読んでいる心地。
さぁ、ここから物語が始まるぞ、というところで終わってしまって消化不全!早く続きが読みたい!!
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明治時代が舞台の本書。
大阪の古物商の娘・花岡イカルは、両親を亡くした為、東京の縁戚の家に引き取られてきます。
ある日、親戚の河鍋トヨ(河鍋暁斎の娘)と共に上野の博物館を訪れたイカルは、ひょんな成り行きから、博物館の“古蔵”の管理をしている“トノサマ”こと織田賢司の助手として働く事に。
目録と収蔵品の照合を終えた後、「黒手匣」なる品が何者かによって持ち去られたことが発覚して・・・。
好奇心旺盛で目利きの才能があるイカルと、おっとりした性格ながら、絵師として実力を持つトヨ。二人とも良い娘でお互いを認め合っている関係性が好ましいです。
そしてツンデレ(?)少年・アキラや、他にも実在の人物(トヨもそうですが)も織り交ぜたキャラ達が脇を固めます。
当時の博物館事情も興味深く読めますし、「黒手匣」の謎を追うのもワクワクしながら、素直に楽しめます。
副題が「怪異研究事始め」となっているので、シリーズ化するのかなと期待します。
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明治16年の上野の「博物館」を舞台としたミステリー。河辺暁斎や暁翠、井上馨など実在の人物や史実を織り交ぜながら、両親を失ったばかりの少女を主人公に、古道具にまつわる怪異が語られます。途中の、手と手を握り合っての道中に、子どもの頃の淡い感情を思い起こしました。
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明治16年。大阪から東京にやってきた少女が博物館の手伝いを始める話。
トーハク常連なので期待して読み始めたけれど、時代の解像度が低くて読みづらい。
怪異をもっと出すか、時代が現代ならまだ違和感がなかったかもしれない。
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明治初期を舞台とした、
博物館×怪異ミステリー!
主人公がぱっきりした女の子で、
とりまく登場人物たちも感じが良いので、
明るい話でまとまりそうなところを、
割と重ためのテーマの怪異がトリックとなっているので、そのアンバランスさが面白い。
道具の鑑定眼をもった主人公も可愛らしいし、
ちょこちょこと実在の歴史上の人物が出てくるのも楽しい。シリーズ化、希望します!!
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時代は、明治。
博物館の成立ちや、役割、その当時博物館が大衆にどう捉えられていたかも、分かりやすく書いてあります。
とても、勉強になります。
物語は、静かに展開していきますが、最後にえぇ
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文明開化の頃、イカルは両親が亡くなり、親戚を頼って大阪から東京へやってきた。絵師河鍋暁斎の娘トヨと上野の博物館へ行く。そこで、古物商だった父親の教えのもと身についていた目利きを認められ、怪異の研究をしているトノサマの手伝いをすることになる。
怪異の研究なんて、おどろおどろしいのかと思いきや、良い意味で興味を引くお話だ。シリーズとして続いて行きそうだ。
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明治時代が舞台。大阪の古物商の娘・13歳のイカルは上京する。そして、上野の博物館の館長・田中に目利きの才を認められ、怪異の研究をしている「トノサマ」の下で古蔵の収蔵品の確認を手伝うことになる。そこで、収蔵品が一つなくなっていることが判明。イカルはその収蔵品を巡る事件に巻き込まれる。
好奇心旺盛で前向きなイカルに元気をもらう。初対面のときのアキラとのやり取りが好き。勝ち気だが、むやみに喧嘩を売るのではなく、にこやかに、でも譲らない強さを見せられる少女だ。今後の成長が楽しみ。
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時は明治時代。
大阪の道具屋の娘だったイカルは、父、母を相次いで亡くし、遠い親戚を頼って東京にやってくる。ある日、博物館に出かけたイカルは、その目利きの才能を買われ、博物館の倉庫で働くことになる。そこには、トノサマと呼ばれる老人と、その奉公人のアキラという少年がおり・・・
イカルのパキパキとした関西人らしい性格が気持ちがいいし、周りの大人が厳しくも優しくイカルを見守ってくれているのもいい。
博物館をめぐって繰り広げられるミステリー、怪談話。怪談要素はこれから強くなってくるのかしらね。続編がありそうで楽しみです。