紙の本
偏見で切り捨てする社会の悲劇
2021/12/13 11:25
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な原因により就労困難になった人たちに対し、周囲の偏見がひどい。当事者やその家族にも偏見が乗り移り、役に立たないから保護を受けるに値しないと思い込んでいる。
しかし、本当に必要なのは治療や援助といった支援ではないのか。すべて思い通りにならないと使えないと思い込んでいる経営者こそ問題なのではないだろうか。
紙の本
生々しいひきこもりの実情を文章で忠実に再現
2021/12/27 11:40
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
2019年と2020年にそれぞれNHKテレビで放送されたひきこもりに関するドキュメント番組を、文章で忠実に再現した1冊です。
様々なひきこもりの方々が登場します。グッドエンドもあればバッドエンドもあり、本当に考えさせられる内容でした。購読して良かったと思います。
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NHKの取材班が数年かけて取材したルポ。
SNSでその存在を知った、横須賀市の56歳男性の餓死。同市の福祉担当の名物課長、北見万幸さんに密着取材することによって、詳細が分かるようになった。
同様な事例は、全国に広がっているが、行政の担当者によって捕捉されながらも、命を落とす人が絶えないという。
取材班は、なぜ救えないのか、なぜ助けを求めてくれないのかと苦悶する。
中高年のひきこもりは、多くは高校時代、学生時代、そして就職につまずいたことがきっかけになる。
能力主義、効率最優先の社会となった結果、コミュニケーションに難があって、能力に劣った彼らは、容赦なく切り捨てられることとなる。彼らはいたって真面目である。その結果、心の底から自分は社会にとって必要のない人間であると信じ、自暴自棄になる。親や兄弟は、そんな彼らを心配して、色々な働きかけを行うが、多くは改善されることなく時だけが過ぎてゆく。
両親が健在なうちはまだ問題は表面化しない。年金収入を頼りに何とか生き延びている状況のため、両親が亡くなった後、たちまち貧困が待ち受ける。
ところが、家や財産があるとみなされるために、生活保護を受けることはできず、行政が支援の手を差し伸べても本人はそれを拒む。いよいよ生命の危機が訪れてさえも、精神疾患と認められない限りは、医療につなぐこともできない。強制的な立ち入りは、警察でもないと不可能。
こういった壁が立ちはだかり、本来ならば救えるはずの命が絶たれていく。これが現実である。
8050問題を見ていくと、普通に働いている人間からすれば、一見自分とは関係ない存在とも思える。
しかし、本当にちょっとしたことで働き続けることが不可能になることもあれば、退職を余儀なくされることは誰にとってもあることだろう。
例えば、それが40代・50代で自分の身に実際に起きた場合、どうなるだろうか。恐らく、誰もが絶望し、自死が頭をよぎるに違いない。
これは社会全体で解決しなければならない問題である。強くそう感じた。
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以下の文が心に残った。
"「ひきこもり自体が問題にならない」「ひきこもっていたっていい」、そう考えられる社会になればいいという気持ちはあります。ただ、やはり亡くなる人がいるという事実は、深刻に受け止めなければならないと思います。"
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NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実。NHKスペシャルの著書。中高年ひきこもりの人が親が亡くなってからも親の年金を不正受給していたニュースはよく見るかも。親の年金を不正受給は悪いことだし、親の年金を不正受給することは許されないこと。だけれど親の年金を不正受給しないと生きていけない中高年ひきこもりの人をサポートすることなしでは親の年金を不正受給することはなくならない。中高年ひきこもりは社会全体で考えていかないといけない問題。
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この本の一部がネットの記事になってて、それで興味深くて読んでみた!
こーゆー本読むと、NHKにお金払う価値あるなーと思う笑
テレビないから払ってないけど。笑
引きこもりはやっぱり全然他人事じゃないよなーと思う。
消えたいとか、無になりたいとか、生きてたら絶対に思うと思うし、今は楽しく生きてるけど、いつなんどき病む可能性だって全然あるし。
引きこもった事はないけど、病んでた時期はあるから引きこもりの人の気持ちはある程度分かる!
小学校とか中学校の時間に風邪とかで数日休んだだけでも、学校行くのがちょっと怖くなる事もあるし。
枠に収まるような教育が良くないんじゃない?って思う。
将来に希望が持てない気持ちも全然分かる〜〜
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https://tkj.jp/book/?cd=TD015488 ,
https://president.jp/category/c03453
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私たちの社会はどこに向かおうとしているのか。
社会の人々は見て見ぬふりをしてきた。
明るい希望の持てる例は、この本にはありませんでした。
しかしながら、あまりにも大変な、重苦しくて辛いことですが、あくまでも現実を少しでも受け止め、自覚、認識して、諦めることなく小さな一歩一歩を積み重ねていくことから始めなくてはいけないのは明らかなことです。
一つだけはっきりとしている真実を指摘しますと、完全に日本人社会内2極化、分断化だとしか思えません。
複雑さが積み重なれば積み重なるほど、どんどん大変な、取り返しのつかないことになっていってしまいます。
どんどん複雑化していき分断化が進んでしまうことになります。
世の中はどんどん発展していってしまうのに、それに比べて自分は…
亡くなった親を隠していたひきこもり。
衰弱死したひきこもり。娘、親子で衰弱死等。
親もまた、引きこもる子供を抱え込み、次第に社会との設点を断つようになっていった構図が浮かび上がった。
働いていない我が子を抱える後ろめたさや恥ずかしさもあるし、自分を責める思いもある。
人と比べるなと言っても、誰しもが比べちゃうんじゃないかな。
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親亡き後、親が生きてる間にできることを考えるべきなのは、障害がある子がいるケースのみだと思っていた。
こんなにも引きこもりが多く、また自身もそうなる可能性はいくらでもあると感じる本だった。
子供が親しか頼れないコミュニティは、正直怖い。
親が生きているうちに、親亡き後親以外で、どこか頼れる場所があること、頼れるものがあることを知っておきたい。
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読んでいて辛い。重い。悲しい。
人間が人間を追い詰め、そこから逃げて閉じ籠り、尊厳を失くし立ち直れない。効率と成果を優先してきた社会。そこに適合するコミニケーション能力を求めるシステム。自分の家族がそうなったら。感情移入する。
支援を受けたがらない引きこもりが多いらしい。生活保護は、家族に連絡が行く。それを避けたがる。何らかの精神疾患があっても、本人の意思がなければ入院させられない。セルフネグレクトは自傷に当たらない。そうして引きこもりは場合によっては廃用症候群になったり、衰弱死する。廃用症候群とは「生活不活発病」。長期間の安静状態や運動量の減少によって身体機能が低下する事。
長男の引き篭もりと付き合った父。ガンで先に亡くなる。やがて長男も衰弱死。そんな父の日記を以下に引用する。衝撃的だった。こういう世界を修正できたら良いのだが。
相変わらず空蝉のごとし
親は不幸を作るために、子は不幸を背負うために、この世に生まれてきたみたいではないか
何の変化もない毎日。こんな状態でも死が怖いのだろうか。死ねないだけの、生の存在
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弱者を切り捨て、蓋をする。
現状はそんな風になっていないか。
国家の、世界の情勢が刻一刻と悪化の一途を辿る中、様々な問題が噴出してくる。
本書に書かれた問題は氷山の一角でしかないのだろう。
声なき者たちの声を拾い上げ、それを提示する。
骨太で、世間の矛盾や暗部に切り込んだ良書と言っていいだろう。