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240ページくらいあるけど、The Raincoatのデビューまでの足取りと最初のアルバムの解説で、セカンド〜サードアルバムの話しはない。フォース・アルバムというか、再結成の話しはちょっとだけ出てくる。
The Raincoatsは、パンクに影響を受けて、なんとなく好きなようになっているうちに、演奏力がないのが幸いして、たまたま奇跡的に素晴らしいポストパンクの名盤を作っちゃったみたいなイメージがあったが、こんな人たちだったんだと驚きがたくさんあった。
オリジナル・メンバーの4人のうち1人はポルトガル出身、1人はスペイン出身。当時は、まだ独裁政権下で、ロンドンにやってきて、自由の味を噛み締めている感じ。ヴァイオリンを担当にVickyは、なんとちゃんとした音楽教育を受けている人で、ヴァイオリンもわざとあのキーキーいう音を出しているらしい。
一見、素人的な破壊力の魅力だけで奇跡的にアルバムを作ったのかと思えば、1人音楽上の策士がいたんですね。なんか、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドにおけるJohn Caleみたいな。
そして、他の人は音楽的には素人ぽいのだけど、アート系のベースはあって、単に適当にやっているのではない、コンセプトを持っていたんだ。
あと何より彼女たちはフェミニストで、政治的。わいわいと議論しながら、男性中心のロック界に異議申し立てをしている。詩の面でも革新的ですね。
翻訳がやや直訳的な感じもするけど、なんか元気が出てくる良い本だった。
そんな