紙の本
寂しさで溢れている
2021/12/12 11:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏のメロン色 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ほっこりした装丁とは裏腹に、そこにある寂しさで溢れている世界。深夜に捲ると一層沁み渡る。ぼんやりした空気が続くと思いきや、鋭角な表現もあったり。どこかしら読み手に響く箇所が見つけられるはず。特に「秋」が気に入った。
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もしも自分が10代であったなら、「詩集を読みたい」という気分になったときに、こういう本を差し出してほしいだろうと思う。というか、10代の頃の自分にプレゼントしてあげたい、となんだか痛切に思った。なぜ、こういうセンスのいい詩集は学校や町の図書館にないのだろう。
詩も装丁もどこか可愛らしい本。
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すっとぼけた詩がひょうひょうと続くかと思えば、時折りヌッと鋭い顔が現れる(「浅冬」の飴玉のこととか)。やっぱり亀之助は並々ならない。
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僕が文学をはじめてよかったと心からおもう理由。
誕生日プレゼントにカステーラのような明るい夜をくれる友達ができた。
この詩集は、ほんとうに一人になってしまった人でも読める本だと感じる。どの詩もある部屋のなかに一人、誰かがいて外が書かれていても薄暗い部屋の端をいつでも覗いているようなそんな印象があった。一人でいるときのあの感覚だろうか。そのときが誰にも等しく訪れる一人の空間な気がする。震えてしまうな。Aくん、Zくん、ありがとう。
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私が電車を待つ間 プラットホームで三日月を見ていると 急にすべり込んで来た電車は 月から帰りの客を降して行った(「月夜の電車」より) 今なお鮮やかな色彩をもつ世界を立ち上らせる尾形亀之助の詩集。
Twitterで流れてきて完全に表紙とタイトル買いでした。近所の本屋では取り扱ってなかったので、ネットで購入したけれど、すごくいい。尾形亀之助さんは戦前の詩人(私は今まで存じませんでした)ですが、仮名遣いが現代になっていると全く違和感がない。言葉のひとつひとつが深くて、静かな中に温かさと寂しさが同じくらい混じり合った感覚。秋冬の夜に読みたくなる。タイトルの秀逸さは言うまでもないけれど、そうきたかという不思議な世界が短い詩の中につまっていて、意外性もある。センスのかたまり。
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「私のネクタイピンをそっとぬこうとするのはどなたの手です どうしたことかすっかり疲れてしまって首があがらないほどです」(白い手)
ひらがなと漢字のバランスというか選択のしかたがとても好みなのだと思う。やわらかさがありつつところどころすっと刺してくるのが気持ちがいいしひとつひとつの短さも小気味いい。もっと読みたいと思いました。
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この人の夜の寂しさが伝わってくるんだけど、なんだか静かで優しい情景に包まれていた
眠れない夜の焦りがないからかな
「眠らずにいても朝になったのがうれしい」って言葉がなんか好き
言葉が優しい
明治生まれの人が綴った言葉
季節とか時間とか天候とか、情景がイメージしやすくてこの人の心に触れやすいと思う
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江國香織のホリー・ガーデンが好きで、その小説のなかにたびたび出てくる、いつか読みたいと思ってた尾形亀之助
「左側を通らない人にはチョークでしるしをつけます」
好き