紙の本
魅力的な人だ
2022/01/10 20:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
桐島洋子に「聡明な女は料理がうまい」という著書がある。本書の著者も料理がすばらしいようだ。どうして真っ当で優秀な女性は料理が上手なのだろう。以前著者の「イスラム教再考」という本を読んで目から鱗がボロボロ落ちて以来,素晴らしい研究者と尊敬していたのだが,立派な研究者なだけでなくすごく立派な母親であり主婦のようだ。イスラム社会について学びたくなった。
紙の本
「アラブの春」って、結局?
2023/11/02 11:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アラブの春」、その爽やかな言葉とは裏腹にエジプトには春なんてどこにもなかったと著者は嘆く、とくに異教徒で女性である彼女は下級国民として扱われ、「おまえは全身恥だ」とまで罵られる、そして想像を絶する貧民街、これがエジプトの春ではない現実なのか
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これは面白かった!
ノンフィクションエッセイなのに、読み応えが抜群にあった。
生命に関わるかもしれないレベルで『正しさ』が異なる社会に私は住んだことがない。
相手への深い理解と信頼がなければ、世界レベルの困難な状況はやはり落とし所は探せないし、手段としては対話なんだろうと感じた。
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飯山氏の著書を読むのは、「イスラム教再考」に続いて2冊目となった。
「イスラム教再考」もイスラム教の本質を知るのには非常に良い本であったが、本書は読みやすくて楽しみながらイスラム教を知ることができる。
イスラム研究者である飯山氏がイスラム教国家であるエジプトに家族とともに暮らしていた数年間の実体験をまとめたエッセイ。
宗教の違い、文化の違いによって、こんなにも"当たり前"が変わるのか。日本では考えられないことが日常的に起こる。著者が女性ということもあるが、女性に対するある種の偏見、イスラム教的女性差別の実体験も生々しく書かれている。
食生活などの軽い話は思わず笑ってしまう一方、サラフィーへのインタビューやスラム街でのエピソードは、恐ろしくもある。
イスラム教と一言で言っても普通のイスラム教徒と過激派組織は非なるものである。
それを理解していないと、イスラムとの向き合い方、考え方も分からないと思う。
著者の視点を通じて、イスラムの国での生活を擬似体験し、読み終えた頃にはイスラムとは何かということが見えてくるとても良い本だ。
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著者は女性イスラム学者(本人はイスラム教徒ではない)。
「異教徒」の上に「女性」という立場からみたイスラム世界は、男性からみた世界とはまた異質な感がある。
これまで読んできたイスラム関係の本とは違う世界があった。
女というだけで面と向かって存在を否定されるようなこと、まず最近経験しないことだわ…。
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エジプトといえば、ピラミッドやスフィンクスなど観光名所として日本では有名だ。個人的には、エジプトで仕事もしたことがあるので、エジプトのことはそれなりに分かっているつもりであった。それでも、本書を読むことで女性ならではの視点であったり、イスラムの指導者へのインタビューを敢行した様子など、非常に興味深かった。
エジプト入門者も経験者も、エジプトの新たな一面を教えてくれる稀有な本だと思う。
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前半はエジプト生活あるあるのようなカジュアルなエピソードだが、後半はエジプトの貧富の格差やイスラム教の容赦なさが赤裸々に記される。
理論と実地を通してイスラム社会に通じた著者の見識は文献研究者とは一線を画している。
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とてもおもしろかった。
あまり馴染みの無いイスラム社会のこと、実際に住んでみないとわからない、エジプトでの生活。
読みやすく、興味深い。
友だちにも薦めました。
すべてファラオのせい、とにやり
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浅薄な正義を振り回す得意顔が嫌いなので、大変共感できた。
「物事にも政治にも、その時、その場で優先されるべきことがあります。テロで愛する者を失った経験などあるはずもなく、テロの差し迫った危機を感じたことも、それを想像したことすらもない人間が、「テロリストとは話し合うべき」などと主張しているのを聞くと、私は憤りを覚えます。「理想」を語る人の言葉は、うっとりするほど美しいかもしれません。自分もまたそうした「理想」を語ることで、あたかも善良で高尚な人間であるかのような気分に浸れるかもしれません。
しかし私にとってそれらは偽善の言葉であるだけでなく、現実の脅威に立ち向かう他者を見下し、あるいは他者が現実を理解するのを阻害する不遜で無責任な言葉に聞こえます。
私は偽善が嫌いです。それは文字通り、「偽ものの善」にすぎません。偽善の政治では市民が次々と死ぬのを止められない世界というのが、今の世の中には存在します。私はその現実に背を向けることはできません。」p86
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イスラム教研究者が綴る、エジプトですごした数年間の記録
・「アラブの春」その後
・女性差別
・原理主義vs世俗主義
等々の実態
日本にいては想像もできない
今年は「テヘランでロリータを読む」、「イラク水滸伝」などイスラム系の本を読んだのでその〆として
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飯山陽さんの主張は、一貫している。
「イスラム教」に関しては、中高社会の社会科レベルの知識しかない。
学校の先生もはっきり詳しく教えてくれた覚えもない。
触れてはいけないアンタッチャブルなイメージがあって、よく分からない&複雑で難しい感じを受けていた。
飯山さんの本を読んで、もやもやが晴れた。
娘さんの親友エピソードは感動。
普段、オシャレでファッション好きなイメージがあったので、家事は不得意なのかなと勝手に思っていたけも、めっちゃ料理上手。
日本の食材が簡単に手に入らない環境で、代用したり、その地域の料理を覚えたりなど、とにかく「生きる力」が溢れた方なのだと思った。
異国でも、「娘さんには日本食を感じてほしい」と出汁をとるところから料理するのは本当にすごい。(日本に住んでても、出汁とるところからはなかなか始まらない!)
「闘うイスラム思想研究家」と紹介されるけど、最後の一文がまさにそれでした。
最初の一文でもグッと心を惹きつけられました。
さすが「まえがきの女王」!
飯山さんが、家族でエジプト在住の時に実際に体験したことと、その時の「気持ち」がコミカル(もちろん真剣もある)に書かれていて、とても読みやすかった。
飯山さんの本が売れるのがよく分かる!!
初めて飯山さんの本を読むなら、この本がいいかも!