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世界の紛争の原因に民族問題があるのは事実。
ただ、同じ民族だったら一致団結すると言う単純な話ではない。
近いエリアの国でも細かく分かってはいない。特に民族について。歴史を学んでも民族についての理解が深まるということではない。
フォーカスするようにあえて意識しないといけないが、この本で民族にフォーカスする意識が芽生えてよかった。
東アジア、東南アジアでは中国の影響を受けていない国はほとんどないとあり、確かにそうだなと。
それだけ人口が多いと影響力も増す。
p.198
近代(18世紀以降)の国民国家の成立は、世界史の教科書で肯定的に書かれることもあるが、クルド人、ユダヤ人、内モンゴルの人々など、不幸な道を歩んだ民族(負の側面)も大きいことは注意。忘れてはいけない。
『民族のための国』というのは理想的な響きだが、マイノリティが居場所を失う問題も常に孕んでいることは忘れてはいけない。
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国際状況を理解するにあたり、地政学と呼ばれる歴史と地理の混合的な学問への理解は必要不可欠。
その中でも宗教や民族は、地政学の要であり、また今日の紛争や戦争の要因となっていることも多い、重要なテーマである。
本作は、一つ一つの民族についてはさらっとではあるが、世界を俯瞰する形で触れられており、入門書としては非常に良い書籍ではないかと思う。
前提知識があったこともあり、また全世界をカバーするとなると不可避ではあるが、やや冗長な印象も受けたが、内容はそれを上回る価値があると感じた。
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民族=言語・文化・宗教、だとしている。
一般市民が知りたいであろう知識に絞って解説。
細かく定義しづらいニュアンスは、筆者の意見として理解出来る。
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民族とは、人であり、国家であり、宗教であり、文化であり。決して、一言では表せないと思いました。
民族や人種差別を見た時に、どんなに立派な国家、アメリカやヨーロッパの国々でも、差別や人種問題が存在していたり、現在進行系でもある。中国てもウイグル人の問題が存在する。中国では、存在しないことになっていますがわ。どんなに、立派な国にも、人種差別は存在するのだなと。認めるか認めないか。自浄作用があるかどうか。
日本も、単一民族と思う人もいるかもしれませんが、アイヌ問題や沖縄も、日本と切り離されてきた時間も長いのだから、問題としては当然あるのかなと。
問題を認識したり、学ぶことで、初めて解決へのスタートラインになるんですよね。そして、歴史を学ぶことも大切。人は知らないことや未知のことを怖いと感じたり、避けることもあるのだから、小さな一歩から始めないとですね。
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民族や人種についてのアップデートによい書籍。
(たぶん)ほとんどの国についての話が書かれているため全体的に説明はうつすらとしている部分もあるように感じたので、興味をもった国や民族についてさらに深堀してみようかなと思った。
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元外交官の著者による、世界各国の民族について解説された本。民族だけではなくて、各国の成り立ちや歴史、宗教・文化も紹介される。
非常にコンパクトで分かりやすくまとまっており、ためになった。またこの手の本にしては珍しく、著者の私見があまり入っていないため、シンプルで客観性の高い良本だと感じた。
少し駆け足な部分はあるが、ゆえにもっと世界史や宗教史を深く勉強したいと思わされた。
日本人は国家=国民=民族という考えをナチュラルに持っているが、そうではない国が世界には沢山ある(寧ろ多数派)であると再認識させられた。民族が先に立ち、国も国境も第三者に決められた枠組みでしかないという人たちも多くいる。
こうした純に知識を得るための本は、即時で短期的なレベルアップに効く。最近あまり読めていなかったが、こうした本もやはり継続して読むべきだと思った。
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タイトル通り超入門、ではあるが世界のことを広く知れる!
これをきっかけに今まで目を滑っていってた民族の問題が目にとまるようになるはずです
「自分と異なるグループ(宗教、人種、国籍、考え方etc)に属する人たちとどう折り合いをつけていくか」、普遍的なこの課題のためにできる第一歩が「知る」ということだと思います
これは、そのための手助けをしてくれる本だと思いました
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世界の民族・人種問題について広く、浅く説明されている印象。
本書でも指摘されているが、事民族問題に関しては、自分も含め日本では何となく他人事のように考えられがちだが、アイヌ民族や、最近では在留外国人への差別的態度が問題視されており、決して対岸の火事ではない。
世界に向けた視点も大切だが、まずは日本の民族問題に関心を持ち、その背景、歴史、文化を知ることから始めたい。
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外交官とて長く培ってきた様々な経験を民族という視点から共有してもらえる非常に興味深い本。
今まで自分が有していた諸外国に対する偏見に気付かされた点と各民族の背景に潜む正負の歴史へ強い興味を駆り立てられた。
高校生の時より地政学や各地域の民族に興味があるのは自覚していたが、より詳しい民族概要(矛盾している?)に触れることができ、社会人になった現在より一層興味が湧いた。
他の著作に宗教入門があるらしく、まだこの本を読んでない方にはそちらから読んでもらいたい。その上でこの1冊に目を通すと世界情勢の背景に深い理解が得られるのでないかと感じる。
次に宗教に関する本を手に取ってみたいと思う。
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題名から想像した通りの内容で面白かった。的確な客観的な事実と著者の経験による実証、そして推測。なるほど、、、と頷くしかなかった。
やはり、日本のテレビでニュースに出てくる内容だけでは理解できていないことが多い。人種、民族(歴史、文化、宗教を同一にしている人間の集まり)、地理的条件、それらが時間と共に動いている。今もOn goingなのだ。
かなり長期的なスパンで俯瞰できるのなら全世界が同一化していきそうなものだが、そうはならないであろう。残念ながら、少なくとも自分が生きている間はこの本に書かれている状況は変わらない。
過去数年間滞在したことがあるのは米国とアイルランド。数日間滞在した国であればドイツ、ルクセンブルク、タイ、香港、シンガポール、チェコ、ブラジル、イギリス、フランス、ベトナム。思えば、いろんな国に行かせてもらったものだ。
少なくとも自分が関わったことのある国々についての著者の分析は的確だと思う(何を偉そうに?)。
自分が足を踏み入れたことのない国々・地域、特に中東やアフリカについては大変勉強になった。
この本を読んで思ったのだが、現在自分が日本で日本語で日常生活を送れていることが、つくづくありがたいと感じてしまう今日この頃である。
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この本を読んだことにより、視野がかなり広がった。
法務省によると2022年6月末時点の在留外国人数は約296万人らしい。
同年10月時点での日本の人口は約1億2,495万人なので約2%は外国人という計算になる。
外国人と共生する中で異国や民族の理解は不可欠と言える。
ほとんどが同じ民族の国家という日本は世界からすると特殊という点は、言われてみればわかるが、あまり意識したことがなかった。
それぐらい民族という理解についての意識が薄かったので、かなり刺激になった。
歴史や宗教といった要素は民族の理解と切り離せないと感じた。
歴史の勉強は重要だと改めて思った。
行ったことがある国の民族などについては、たしかにそうだと思わされる点がいくつもあった。
マレーシアからシンガポールへ陸路で抜けた時は、街の様子や食事がマレー人の文化圏から中華系民族の文化圏へと一気に変わった点が印象的だった。
この本でシンガポールが建国された経緯を見て、納得感があった。
タイが微笑みの国と呼ばれるほど穏やかな国家なのは、支配された歴史がないからという点にはかなり納得ができた。
世界史についての知識がないので、タイがなぜ支配されなかったかが気になる。
イスラム圏はイスラム教の経典であるコーランが言語の統一をする役割を担っていたという点が興味深いと思った。
持論だが、言語と思考と文化は密接な関係があると思うので、言語の統一に利点があることは納得感がある。
ヨーロッパ(東欧など)は興味深かった。特に世界最大の広さである国家ロシアの民族事情は気になっていた。ウクライナはロシアからすると日本の京都のような場所であること、ロシアにはアジア系の民族もいたこと、国民があまりリーダー志向ではないという少し日本的な点があることが、印象に残った。
筆者が言うように、ロシアは日本の文化に近いのかも。
アフリカとはあまり関わりがない人からすると、アフリカ大陸の国家をアフリカと一括りにしてしまうことがあるが、アフリカ大陸には中東のような文化圏の国家や植民地時代かなり搾取されていた国、フランス文化圏やオランダ文化圏など様々であると知り、考え方がかなり変わった。
また、非常に失礼だが、アフリカ=貧困で経済的に未熟という印象があったが、思っていたよりも豊かな国があるということも勉強になった。
アフリカについてもっと知りたいと思った。
アメリカで起きる強い人種差別には、開拓のために奴隷が多く連れてこられたことや先住民の排除などが背景にある点が印象深かった。
オーストラリアやカナダも開拓地ではあったが、歴史的にそうした強い排除はなかったのが違いだったと述べられていたと記憶している。(もう一度読まねば)
アメリカの白人の中産階級が工場の海外への移転などにより、仕事が減ったことで貧困層になってしまったことも、人種差別がなくならない理由のひとつという点も知らなかった。
他にも色々感想はあるが、ビジネスや私生活で海外の方とやり取りをする��で、常識やマナーとして相手の民族や国を理解することは重要だと感じる。
繰り返し読んで記憶に定着させたい。
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”教養“と謳うタイトルが、ちょっと胡散臭いが、意外や地に足の付いた冷静な語り口と、奇をてらわない極めて常識的な知識が、偏りなく述べられている印象。ある意味、教科書的とも言えるが、民族に関する一般常識を仕入れておくには好著。
5年ほど前に塾講師宇山卓栄の著作『「民族で読みとく世界史」』を読んだ。
https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4534055587
人類史から読み解き、エッヂの効いたエピソードが多く面白可笑しく読めるが、ややトンデモ本だったことを思うと、手もとに置いておくのであれば、こちら山中氏による著作の方であろう。
どちらも、民族の理解に語族という考えも併せ考察するが、例えば、バスク人について、本書のほうは、
「バスク人は、もともとフランスとスペインにまたがるピレネー山脈周辺に住んでいたため、”民族の国“がありません。(中略)スペインの言葉はどれもインド・ヨーロッパ語族のラテン系ですが、バスク語だけは言語の系統不肖とされています。」
と記すが、宇山本は、
「バスク語はヨーロッパのどの言語グループにも属さず、起源が謎の言葉とされています。(中略)現在では、バスク人をクロマニヨン人の末裔とする説が有力です。」
と書く。
このトーンの違いで、どちらの本を読むか参考にしてもよいと思う。
一般常識が大半ではあるが、こちら山中本も、時折、
「他国に利用されてこなかったためにある程度は自由でいられたから、屈託がない。(中略)これはいささか踏み込んだ私の仮説ですが、明るさと余裕こそ、エジプトがアラブの中心である理由」
と、私説を述べたり、
「同じ国に住む民族の言葉なのですから、アイヌ語の「こんにちは」が「イランカラプテ」であることを、私たちは当たり前に知っていてもいいのではないでしょうか。」
と、押しつけがましくない程度に、自身の意見も添えているあたりも好感が持てる。
常識的で、網羅的で、卒なくまとめられている本書。
現代の世界情勢を理解する、ごく基本的な情報として、押さえておくのに最適の一冊だ。
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自らを「単一民族」として捉えてしまいがちな日本人は民族偏差値が低い、本当にその通り…。タイトルの通り超入門なので浅く広くではあるが、自分の見識を深める一冊としておすすめです。