紙の本
「現状維持」という名のゆるかやかな衰退
2022/05/22 04:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
権威を守るには現状維持が一番であり、新たな改革を拒んで足の引っ張り合いが怒る。
普段は他の既得権益に反対しながらも、いざリアルな問題として自分の既得権益を脅かされると、いかに排除するかといった思考が働く。
「清く正しく美しく」とい聞こえのいい言葉の裏にあるいやらしさ。
過疎地域の事が書いてあるが、今の日本全体が「現状維持」という名の衰退に進んでいるような気がする。
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この本を読んで膝を打ってしまうアナタは、登場する「田舎のヒト」に似たキャラクターの人物に日々悩まされていて、「そう、そのとおり。やっぱり思っていたとおりなんだ」と溜飲を下げるカタルシスを感じているだけかもしれない。
田舎者は、自分たちのしきたりやルールを教えないことによって外部の人を藁人形扱いする。自分はできるだけ悠然としつつ、他人に汗をかかせ責任をとらせる行動が染み付いている。マイルールを勝手に拵え、他人には過剰干渉して押し付けるが、自分が言われたら往々にしてつむじを曲げる・・。ものごとは曖昧にしておくことを上とし、年長者を立て、恥を欠かせないように若いものが苦労する・・。
いや、これは別に「田舎」だからというわけではなく、もともとヒトが社会的な生活を始めたときからそうだったのでは? 長い歴史の中で、ほんの最近の200年くらいだけが、「組織システム」がメジャーに浮かび上がってきているだけかも。
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著者は、様々な技能を持つ有資格者。 鹿児島の過疎地に住む。
都会人がイメージする田舎、調査した田舎と実際に住んでみた田舎には大きな違いがある。 政府が掲げる「地域活性化」を、過疎地の人達は本当に望んでいるのかがテーマ。 都会に住む知識人が見た田舎は、ある意味理想郷に見えるので、称えたりポジティブな評価をしたりするけれど、長く生活してみると田舎特有のいやらしさがあるという。
田舎者の事例として、変化を好まない、責任を取らない、人に押し付ける、仕事の改善意識がない、仕事の丸投げ、引き継ぎをしない、失敗を責める、会社は年功序列が当たり前、田舎の小さな会社は基本的にブラック企業、労働基準法の遵守意識がない、テレビが全てであり有名人に憧れる、有名人に出会うと大騒ぎ、コミュニケーションが下手で相手が知っている前提で話を進める、意外に不親切、郷土愛が強すぎる等々。 都会でもそういう事例はあるが、根本的に都会人とは違うマインドを持っており、昔からの流儀を理解して付き合わないと大変。 実は、政府の役人や知識人が掲げる地域活性化を田舎人は全く望んでいない。 現状のまま何も変わらないことが重要と言う。
自分も著者と同じ鹿児島に10年間住み、なんとなく感じていたことが、この本でよく整理・考察されており共感を覚えた。 自分が学生だった昭和50年代の鹿児島で感じたことを、令和のこの時代でも同じように感じる人がいるということは、過疎地に住む人たちの慣習は、昔から変わっていないという事だろう。情報化社会になって表面上の生活スタイルは変わっても、地域に脈々と受け継がれた人間の生活や慣習は変わらない。 この本のタイトルは変な感じだが、中身は大変面白かった。
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本書は世間一般にいう田舎のポジティブなイメージに苦言を呈している。田舎は穏やかで落ち着いたものだというイメージが都会では一人歩きしているが実際はそうではない。田舎は変化を嫌い、全てが内側に向いている世界であるというのが本書の主張である。本書のテーマの一つである地域の活性化について、田舎を外側に持ってこようとする都会の人間と、変化を嫌う田舎の人間とで対立構造を作っており、そもそも地域活性化は必要なのかということについて述べられている。
非常に興味深い本であり、主張も一貫していて説得力があった。しかし後半同じような内容が繰り返されており、内容の展開が足りないように感じたため評価は星4とする。
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外国や東京で暮らした後、両親の住む過疎地域へ戻ってきた著者が抱いた違和感を明け透けなく書き留め、地域活性化への疑問を投げ掛ける。
スローモー、変化を嫌う、独自性や生産性を求めない、情感に価値を置くなど、著者はこれでもかというほど「田舎のいやらしさ」を列挙する。
地方に住む自分にも確かに思い当たるところはある。だが、この本の中では「田舎」と「過疎地域」がごちゃごちゃに語られているようで、若い人もある程度住んでいる「田舎」には当てはまらない部分もある。
また、著者が語る過疎地域の活性化不要論については、確かに不合理で非効率な行政施策が多いことは認めるが、自然のままに廃れ、寂れ、緩やかな後退を目指すべきだというような論調には乱暴さを感じる。それは、言い換えると、過疎地域は「安楽死」すればいいと言っているように聞こえてしまう。
集落住民が周辺の中核となる町へ自主的に徐々に移転するという集落再編の意味であれば理解できるが、著者の言い回しは、少し言い過ぎな気がして違和感を覚えた。
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いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
「セカンドライフに田舎暮らし」とか「古民家再生」とかの話題には興味を持っていたのですが、過疎地域で生活してみた実態レポートということで手に取ってみました。
立論や文章は少々粗削りのところがありますが、面白い着眼です。
本書で花房さんが指摘しているように、「中央政府視点」「都市視点」からの過疎地政策を強要するのではなく、「現地視点」でそこに現に住んでいる人々の希望や主張に根ざした「在り様」をイメージしてどうするのが(or どうしないのが)望ましいのかを考える姿勢は大切でしょう。
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この本を読むだけだと限界集落は閉鎖的で新しいものを取り入れないが、役所だけが儲かるシステムになっているようで、もう限界みたいです。
これだけが千葉と鹿児島を比較しているように、この本の全てが過疎地域ではないでしょうが、ある一面を見た気がします。
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■ Before(本の選定理由)
気を引くタイトル。地方出身の自分としても、そういう面はあると思う。さてどんな内容だろう。
■ 気づき
文化人類学的な視点というか、実際にそこに住んでいる著者が語るから説得力がある。
"大勢に紛れることができず、常に「表」でいることの環境は、中学生以降に弊害の方が大きくなる。都会では多様な人と関わり、裏表を意識するから思考が柔軟で、その気になれば一流の人と触れ合うことができる。"
その通りだと感じた。あの閉塞感から逃れたかった。
■ Todo
地方活性化は雇用の面で必要だと思うが、豊かな過疎地域、というのは補助金ではどうにもならず、結局自治体のリーダーシップなのでは。
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都会から距離的に離れた過疎地域では、住民自身が変化を望んでいないので、都会からの視線で活性化を図ることは無駄である。そのような過疎地域は自然のままに廃れ、寂れ、緩やかな後退を目指すべきだという。
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田舎の出で上京した身としては首肯する部分も多々あったが、もう少し個々人の主観ではなく客観的データに基づいた論の展開を見たかった。
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DNF
田舎と言っても、著者のいうように県庁所在地と10万都市、過疎地域ではそれぞれ事情は違うんだろうな。体を通してそれら地域に個人的な恨みでもあるのかな?と思わずにはいられない1冊。