紙の本
寺院建築物は知恵と美の凝縮。
2022/05/07 17:37
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
唐招提寺・薬師寺・興福寺・東大寺の4つの寺院について、建築様式や構造等について建築学的な視点で詳細に解説された非常に有意義な一書でした。特に屋根と柱に向けた内容となっています。
大抵の場合、寺院は単に訪問して外観や内部を見るだけにとどまりがちですが、屋根を支える出組・二手先・三手先・尾垂木等を見る事によって、当時の建築技術や美的感覚を窺い知る事が出来、屋根の荘厳さ、柱の太さからくる力強さは瞠目するに値します。
建築物は建物としての機能な役割があるのは勿論ですが、それに加えて美的要素をかなり取り入れている点は素直に素晴らしいと感心します。
電子書籍
奈良の建築
2023/04/05 18:27
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
薬師寺や興福寺、唐招提寺、東大寺のような奈良の建築をその構造から見方を教えてくれる。奈良には何度も行ったことがあるが建築の様式という視点で見たことはなかったので勉強になった
紙の本
奈良に行きたくなる
2022/04/24 22:16
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は建築学科卒業、奈良文化財研究所研究員を経て、現在、大学の准教授である。本書は唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺を対象に、建物の基本骨格や建築の基礎知識、各寺院の具体的な建築法を図版や写真を用いて解説したものである。この4寺院を対象にしたのは、古建築やその痕跡を見る要素がこの4寺院に凝縮されているとの著者の見解による。各寺院の柱配置、軒先を支える組物などについての詳細な解説もさることながら、次のようなエピソードにも興味をそそられた。◇校倉造の建物は、湿気によって木材が膨張するため室内の湿度が一定に保たれていると言われていたが、実験により、こうした効果の無いことが明らかになっている。◇時代とともに巨木の確保が難しくなり、日本建築は時代が下がるにつれて、柱間寸法が小さくなり部材も細くなっていく傾向にある。江戸時代に再建された東大寺大仏殿では、創建当初の太い柱材の確保が困難となり、芯の柱を囲む台形断面の材からなる集成材が柱に使用されている。
五重塔や大仏殿のような巨大建築物が、地震・台風にも耐えて現存する理由について、構造力学的な解説があれば、尚一層興味深い一冊になると思う。それはさておき、本書を手に、実際に奈良の寺院巡りに出かけたくなること請け合いである。
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昔の人の建築能力に驚く1冊です
2022/03/31 22:21
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
奈良に実在する寺院を多数取り上げ、それぞれの建築方法や、細かい技術まで著者が紹介する1冊です。
各寺院の写真や設計図、果てには建物に対しての細かい技術を図示して紹介しており、比較的読みやすい内容に仕上がっています。
昔の人の建築能力の高さに、ただただ圧倒される内容でした。恐れ入りました、という感じです。また、奈良の歴史の深さを改めて痛感しました。
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日本の寺院建築のどこに注目して見ると面白いのか、その構造や意匠についてわかりやすく解説した本。
途中、理解しにくい箇所もあるが、図や写真を多く使って丁寧に説明しようという工夫が感じられ、さらに著者の寺院建築の見方、向き合い方にも共感を覚える。
寺院建築の見方を知りたい人におすすめできる入門書。
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寺院建築というか古代中世の建築技法などについて奈良のお寺で2泊3日の課外授業をしている風に説明している本です。
課外授業風に説明しているのもあって実際に実物を見ながら読んだ方が理解できる気がします。というか、読んでるだけだとどの部分の話かピンと来ないこともあったので、この本を持って法隆寺や東大寺に行った方が良いかもです。
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奈良の古代から伝わる寺院の古建築の様式についてわかりやすく図版も豊富に解説されている。奈良時代から現存するものも、他の一度は滅びた建物が鎌倉時代以降に再建された時に進んでいた技術が適用された改修を経ることで今まで伝えられてきたということが良く分かった。
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「建築史」という研究分野が在る。それは“歴史”という分野であると同時に“建築学”という“工学系”の要素も色濃いという、少し独特な感じのものだ。要は古い建築を精緻に分析し、「同じモノを今建てるとするなら如何いうようにする?」と考えるような感じであるらしい。
本書の著者はその「建築史」の研究者である。そして「何時でも手軽に古い建築が視られる」と奈良に活動の場を求めた経過が在るのだという。そういう“エキスパート”の目線で、奈良の有名な寺院の建築について詳細に、同時に判り易く説いているというのが本書である。
本書に関して非常に好感を抱くのは、「首都圏等から1泊2日で奈良を訪ねるとして…」という想定で、「第1日目に関西に至って奈良へ入り、第2日目も奈良で過ごして夕刻に離れる」というイメージで「色々な意味で代表的な建築に触れられる」という感の4箇所を挙げて詳しく説いていることだ。これは、別段に出発地が首都圏でなくとも「1泊2日で奈良を訪ねてみて…」というようなことを想起し易い感じになると思う。
択んでいる4箇所は、唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺と「誰でも訪ね易い、物凄く有名な場所」である。“奈良派”を自称している自身でも、4箇所は何れも訪ねてみた経過が在る。
唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺は、何れも奈良時代、8世紀に起こっている寺だが、色々な事由で建物が損なわれ、それが再建された経過を有していることから、建物を詳しく視れば「建築の発展の経過」が垣間見えるという面も在る。そういう辺りに関して、用語がよく覚えられない程度に詳しく解説されているのが本書だ。
結局、唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺というような辺りを訪ね、漠然と「これはこういう感じ?」と思ったことに関して、本当に詳しく一つ一つ紐解くような按配で語られているのが本書だ。
本書は手が届き易い辺りに置いて、随時眺めてみたい気がする。唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺というような辺りというのは、何度でも思い付いた時に立寄り、立寄る毎に発見が在るような場所なのだと思う。そういう場所で発見の手助けとなる様々なことを教えてくれるのが本書だ。
好い一冊に出くわした!
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「古建築は学ぶより、現地で実見して感じ取るべし」(まえがきp.6)。まさに同感。移動中に読んだので、見るべきポイントを覚えていられた(薬師寺は後読み)。東大寺の食堂礎石は本に書かれていなければまったく気がつかなかった。
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仏像が好きなので、奈良のお寺はよく参拝します。しかし建物については知識がなく、雰囲気でしか見ることができなかった自分にはうってつけの本でした。
構造の基本から、その理由や歴史・背景まで説明されていてわかりやすかった。
掲載されるのは唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺。何度も訪れているところですが、また行ってみたくなります。
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唐招提寺、薬師寺、興福寺、東大寺という奈良の4つの寺を題材に、古建築の基礎や見方を解説。
本書を読んで、「柱・梁・桁・棟木・垂木」のセットが基本構造であることや、組物という概念など、伝統的木造建築がどういうふうにできているのかを初めてちゃんと理解した。これまで寺といえば仏像観賞中心だったが、これからは建物もじっくり見たくなった。この本を片手にまた奈良に行ってみたくなった。
ただ、丁寧に説明はしてくれているのだが、建築の専門用語が多いのと、自分が空間把握が苦手なこともあり、十分に理解できない部分もあった。やはり実物を見ながら説明してもらえるのが一番なのだが、まあ致し方ない。
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お寺の中にあるものを解説したものはいくつも読んだけどお寺そのものに視線を向けたものは初めて読んだ。
後半に行くに従って(知識不足もあいまって)読むのが辛くなったけれども、何度も読んで奈良に足を運びたくなるような本だった。
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法隆寺五重塔。初層から最上層にかけて屋根の幅が大きく逓減するため、どっしり安定した三角形。一方、東寺五重塔は逓減が小さく、しゅっとしている。初層と比べて最上層の大きさは、東寺五重塔(7割)・法隆寺五重塔(5割)・薬師寺東塔(4割)。
日本の古建築。木の柱に雨が当たらないよう軒の出を深くするため、屋根全体が大きくなる。屋根にこだわったものが多くなる。屋根を重ねたり、屋根を複合したり。
奈良には古建築がたくさん残っている。京都で最古の建物は大報恩寺の金堂(鎌倉時代)。