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前半はエンゲストローム、ヴィゴツキーといった学習理論から越境学習の系譜を紐解き、後半に向かうにつれ、越境学習がもたらす個人的体験と組織との関わりが事例を交えて紹介される。人事や働く人の現場をよくわかる人が書いたかなり入門的ではあるが網羅的で実践的にまとめられた良書だった。
後半で特にページが割かれていた越境学習者のカスタマージャーニー的なプロセスの記述は興味深く、自らの社会人大学院通じた越境学習体験と深く重なり納得感があった。確かに私も二度死んだ。ただただ分かりやすい。概念浸透の段階で、難解な学習理論の書籍が多い中で、この分かりやすさは社会の宝だ。
これから制度の導入もそうだが越境学習者への支援も組織課題として組み込まれるようになるだろう。
越境学習のルーブリック評価基準は大変実用的に見える。
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思えば、ずーっと、
入社三年目から越境学習していたのかもしれないと、
最近
過去の振り返りをしていて思うようになった。
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「越境」
これからの時代を生き抜くために非常に重要だと感じている。
以前読んだ書籍にも「会社の中でも越境することで仕事や人のコミュニケーションを円滑にし成果を出していく」と言う内容があった気がする。
本書の中で面白かったのが部署異動や転勤は越境ではないと言うこと。
越境の最たるモノが転勤だと思っていたため、そうなのか!と新たな視点を得た気がした。
越境は自分が所属している組織内の価値観とは違うフィールドに行くことをだと私の中ではとらえた。
そのため転職のように大きくフィールドを変更する必要はなく、まずはマンションの管理組合に入ったり、趣味のコミュニティーに入ったりすることで今の価値観とは違う人や物事に触れることでも越境と言うことになる。
本業以外に副業や、趣味、興味のあるコミュニティーに属しているが、とは言えこれが越境になっているのかと問うとそうでもない気がする。
なぜなら集まっている人が同じ興味を持ち、似ている価値観を持っているコミュニティーになっているからだ。
その属しているコミュニティーはそれぞれ居心地が良く越境にはあまりなっていなさそうに感じる。
逆に居心地が悪かったコミュニティーはすぐに離脱するようにしているのでそこにこそ越境学習があるのかもしれない。
そうすると越境学習は非常にハードルが高いし、私はなかなか苦手だと感じる。
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ジャンル:スキルアップ・キャリア 人事
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
定価:1,980円(税込)
出版日:2022年03月10日
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石山恒貴(いしやま のぶたか)
法政大学大学院政策創造研究科教授
一橋大学社会学部卒業、産業能率大学大学院経営情報学研究科修士課程修了、法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了、博士(政策学)
一橋大学卒業後、NEC、GE、米系ライフサイエンス会社を経て、現職
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flier要約
https://www.flierinc.com/summary/3044
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誰がどんな時に読んだらベストか、と聞かれたら
JTC的会社のビジネスパーソンが、人材育成として越境学習を考える時に越境学習関係の本の中でまず最初に。
と答えます。
越境学習とは、「ホームとアウェイを往還することによる学び」と本書では定義されています。
ホームとアウェイは主観的なもので、それぞれ居心地のよい慣れた場所、アウェイは居心地の悪い慣れない場所。
越境学習の種類は、仕事関係、育児や介護など生活関係、ボランティア活動など地域関係、サークルや社会人大学院の学び関係など、様々。
仕事関係とは、人材育成的なもの(国内外•同業異業への出向、研修)、自己啓発的なもの(副業、プロボノ) 、副次的?なもの(ワーケーション)。
本書は主にJTC的な会社の、人材育成的な話題が中心。
越境学習の総論、理論的な話が半分以上のページを割いて説明されており、越境学習について社内で他の社員や組織に論理的に説明し理解を得るためにはよいと思います。
また実際のケーススタディが数例紹介されており、JTC社員がベンチャーへ短期研修として「越境」した事例が、越境前•越境中•越境後の状況にわけて描かれています。
「越境前はくすぶっていて、越境中は頑張って学んで色んな成果だして、越境後は越境の経験を活かしてバリバリやっています」という都合のよい外的な変化を紹介することはありません。というかそういうケースはなかったです。
各段階の本人やそれぞれの会社の社員の心境や考え方などの細かな変化を丁寧に追っています。読みごたえがありました。ルーブリックという評価指標を使用しているとのことですが、それがこのような記述を生んでいるのでしょう。越境学習理論の実践応用なのですね。
最後に。
冒頭で、JTC社員がまず読んで、と言いましたが正直なところ全ての大人に読んでほしいです。
(私も、JTC社員でもなければビジネスパーソンでもありません。)
学習は、高校や大学、専門学校卒業してしまうと、システムや文化、環境が乏しく、体系的に意識して考えたり行うことがないのが現状だと思います。また大人になると越境する機会もモチベーションもなかなかありません。
図書館の新刊棚にあったことで私は偶然本書を手に取りました。越境学習に触れたことで、学習について改めて考え、新たな学習の視座を手に入れられました。
また越境の楽しさ、ワクワクする感じも伝わってきて、私も越境したいと思えました。
カタい文章も多い本書ですが、軽い気持ちでパラバラとでも読んでみて下さい。おそらく気持ちがふわっと高揚して、なんか越境学習してみようと思えるはずです。
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会社を辞めることなく、異業種へ飛び込み自らもがき苦しみつつ学んだことを、元の職場に戻ってその経験を活かす。越境学習とは、こんなようなもの。キャリアの自立ではなく自律を目指すこと。越境学習を経験した人たちの体験談も読むことができる。興味深い。
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近くの異業種、離れた同業種での学びを実践しているが、この本の以下の点に納得。
越境=個人にとってのホームとアウェイの間の境界を越えること
アウェイ=見知らぬ人ばかりの、普段の言葉が通じない慣れない場で、ちょっとした違和感や居心地の悪さを味わう。
上下関係のなさ×異質性×抽象性。自分が何ができるかを見つめ直す機会になる。やりたいことにも気づく。
越境学習=ホームとアウェイを行き来することによる学び
アウェイで、違和感や葛藤を抱えながらも、なんとかやろうとする中で、新たな自分に気づき、力の発揮方法を学ぶ。
ホームに戻って今までと違う見方をする自分に気づき、ホームに違和感を感じる(二度目の葛藤大)。俯瞰ができる。
越境学習の効果→分かったつもりを打破し、組織内にイノベーションを起こす人材を育成する
不安定に持続的に耐えられる、不確実性の中で探求し続ける、異なる世界に飛び込める(冒険力)
アイデア発見に必要な力=関連づける力、質問力、観察力、実験力、ネットワーク力
混乱するジレンマ→自己検討→これまでの前提の批判的検討→前提越えの気づき→行動計画・試行→自己の再統合
越境学習7つの特徴
学習プロセスが非直線的、葛藤が原動力、もがくことが重要、ホームアウェイを俯瞰、戻っても葛藤、よい組織でも葛藤、必要資源を動員できる
人事の役割は調整
越境学習者の交流コミュニティ
"越境して恥ずかしい思いをしたり、苦しい思いをしたりする「混乱するジレンマ」に、直面するとリフレクション(内省)が起こります。"
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越境学習者は2度死ぬ
この表現に全て集約されている
学習者も、それをサポートする周りの人もその点を理解しおくことで、越境の効果を最大限活かせるのではないか。
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ここ最近の自分の状況に合っていてとても良かった。
本当に良いタイミングでこの本に出会えたと思ってますが、米教育学者メジローによる「変容的学習」と「混乱するジレンマ」の話は今の自分を表しているようで。
この本を読んだことで、しばらく指摘され続けていた「自己変容型知性(参考:https://globis.jp/article/6365)を身につけろ」ってところがようやく腹落ちした気もしています。
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サブタイトルが「組織を強くする冒険人材の育て方」である通り、あえて、異文化に飛び込むことで、「人材」を育てるための指南書。
正直なところ「なんでそんなことをあえてするの?」と思う自分は、3〜5年で異動したり転勤したりと仕事環境が変わるので、自然と「越境学習」する環境で育ったんだな、と思いながら読んだ。
特に気になったところを3つ述べてみる。
1つ目。P76付近の「述語主義」。本文から引用すると「述語主義とは、日常的にいつも同じ文脈で暮らしてる人が、だんだん守護を省略するようになること」とある。
越境して最初に感じる違和感はこれだなと思う。確かに、ずっとそこにいる人は主語を省略しても文脈から推測できるから問題ないだろう。ただし、越境者からすると、最初に困るんはこの主語の省略であり、仕事を進める上で、毎回確認が必要になる。
これは、越境者のみならず、新卒採用者に対しても仕事を教える上でボトルネックになるし、日々のやり取りの中で、いわゆる「現地にいる人」ですら主語を取り違えて仕事上のミスを起こしていることがある。特に、ビジネスがグローバル化している現代では、電話やメールで「越境」して連絡をすることもあるわけで、「通じるだろう」という楽観的な推測は必ずあてはまるとは限らない。原点に帰って5W1Hを必ず確認することは必要だろう。
2つ目。P186付近の「迫害をどう防ぐか」。越境者は必ず迫害される。
迫害というと大げさだが、そういうものである。
1つ目でも述べたように、述語主義で通じる集団に異物が入ってきて、毎回確認したり、いわゆる「現地にいる人」の「常識」が通用しないからこそ、「あの人なにしてんの?」と白い視線を感じる。「越境者は2度死ぬ」の項でも述べられているが、異質な文化に混ざるということは、実は大変な労力を要するし、元の組織に戻っても「かぶれてる」と冷ややかな態度をとられがちである。
越境に対して、セルフケアが可能な人材なら問題はないが、そうでない人には組織的なケアが必要となるであろう。
さらに、「迫害」とまで行かなくても、「異分子に対しての態度」は、気をつけないとグローバルなビジネス交流についていけずに、自社が滅びる結果になりかねないと思う。
組織の「対外的な対応」にも通じる部分と思えた。
3つ目。P204付近の「発信スタイルの変更」。
越境者が「こうあるべき、こうやるべき」と自分の意見を述べたところで冷ややかな目でしか見られないのはごく当然のことだ。であれば、「自分はこんなことやりたい!こんなことが好き!」とポジティブに楽しく仕事して人を巻き込むしかないと思う。
これについては、越境に限らず、日々、そういう態度でありたいと思う。
日々の「当たり前」と思っていることが、実は、他の文化圏に行けば当たり前ではなくなる。「視野を広げる」とは「越境したことも想定して相手の気持を慮ること」だと思う。
そんな当たり前のことを改めて気が付かせてくれる、そんな1冊。
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越境するだけでなく、越境して戻ってくることによって、より学びにつながるというのは新たな気づきでした。避けたいこととして「迫害」「風化」そして「活躍を過度に期待すること」が挙げられていて大きな納得感。
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違う組織に行って戻ってくる。行った先で一回、戻ったあとでもう一回の違和感を覚える。
全体として納得感はあるものの、目新しさがあまり感じられず。誰もが行ったり来たりできる(単発的な往復だけでなく)、そしてそれぞれの異なる背景が混じり合う、そんな流動性のある状態が心理的安全性のある状態で実現できればよいが。
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学術的な根拠と、丹念な調査結果、そして越境者の生の声を組み合わせ、わかりやすくかつ納得感がありました。