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梶原景時からの視点で描かれた、頼朝と義経の物語。有名な弁慶の立ち往生などの描写はなく、義経の自害はさらりと一行ほどで終わっている。
義経が頼朝からの寵愛をいかに渇望していたかを中心に描かれている。
義経は、戦略には長けても、政治的な知恵も策略もなく、故に他人に対する気遣いもない。傍若無人にも見えるし、無邪気で子供染みてもいる。
戦が無ければ役に立たないし、敵に回せばただ厄介な奴でしかない。
頼朝は初めから、義経を利用することしか考えていなかったのだろうと思わせる。
景時がそうなるように讒言した、とは歴史的な見解だけれど、それを外して景時が主役の視点から見た本作では、ただ、頼朝は人情をもたない、冷たい為政者でしかない。
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梶原景時から見た頼朝と義経、少し義仲。頼朝との出会いから、自分が追われるまで。語り口ライトですし、叙情的。初心者にはすごく向いていると思う。平家物語の筋を詳しく知っていると少し説明が多くて物足りないかもしれない。
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鎌倉源平大河ロマン!
13人衆一の洞察力に優れた武士梶原景時が見つめた、
峻烈の人頼朝×戦の申し子義経
乱世の光と影、そして生と死。なぜ兄は弟を拒絶したのか? 武者たちの世が拓かれた時―
天は晴れ、潮の匂いが濃かった。しかし濃密な潮風をもってしても拭い消せぬ異臭が、浜に置かれた黒漆の櫃からは溢れ漂っていた。義経の首級は美酒に浸され、櫃に封じこめられているのだった。(ぶざまではないか。みじめではないか)景時の胸にこみあげるものは、不思議な怒りであった。(あれほどの天賦の才を……)景時は、くやしかった。なぜ、九郎義経は、死ななければならなかったのか。(本文より)
これまで義経を讒言した悪役とされてきた景時に光を当て、頼朝と義経の新たな姿を描く歴史小説、ここに誕生。
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源頼朝と義経の話なんですが、大体が義経よりの話が多い中これは頼朝側からの視点。家来13人衆といわれた中の梶原景時が語り部となって物語は進んでいきます。
創作では義経がとにかく強くてかっこよくてでも兄に裏切られる悲劇のヒーローみたいなものがほとんどですが、これは兄に認められたい愚直な人物として描かれています。そして頼朝が洞察力にも優れた為政者と。
そのあたりはとても興味深く読めましたが、それ以外はいまいち。史実を下敷きに「こういうことがあった」というくらいの印象。そもそも本作のように頼朝が洞察力とか人心掌握に長けていたのだとしても、結局義経の暴走を止められていないのは同じことなわけだし。
結局、現在の創作でのテンプレの二人じゃないのを描いた、以上のものではなかったように思いました。
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手に取った理由が若木先生の著書と言うのはほかの方とは違うかもしれない。
恐らくほかの方はちょうど大河で扱われている題材だから、
というのが接点になっているのが多いのではないだろうか。
私の場合、中学生時代にハイスクールオーラバスターを姉が買っていて、
それを借りて読んでいたのが接点だった。
(一人暮らしするようになって読むこともなくなってしまったが)
梶原景時目線の源頼朝と義経兄弟の物語。
大河の解釈とあまり差がないので割と大河ファンでもとっつき易いと思われる。
オーラバスターのような青春感はなく、どちらかと言えば戦国独特の坂東武者としての精神性が強調されているように感じた。
また、その表現も違和感なく読めている。過去作のうんぬんによらず、楽しく読めた。
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読みごたえはほぼ無い。
史実や平家物語の文をもとにした、単発の事柄を並べているところがほとんどで、あまり面白くない。まるで年表を見せられているよう。
年表パートはともかく、物語パートは場所などの描写が不十分で、その場に誰がいるのか、ていうかそもそも何処なのか想像しづらい。
人物描写はなんだか硬く、生き生きとしていない。景時さんは電波なの?
その辺の同人誌の方がまだいい。
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大河ドラマに合わせて描いたのだろう、梶原景時の目線からの源平合戦。
モチーフは面白いのだけど、書くべきことが多すぎるのか、歴史の教科書のようでした。
どこかの章を掘り下げた一冊にしてほしかったな。残念。