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書き下ろしでちょっとアレ?と思ってしまった気がする
2023/03/25 04:21
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ミミズクと夜の王」の正統続編。
ミミズクが笑顔と希望を与える光の主人公なら、こちらのエルザは周りを傷つけてしまう毒吐きの闇の主人公。
そんな彼女がミミズクの友であったディアの花嫁として無理やり嫁がされて変わっていく話。
ミミズクの影響力はすごくて、ディアとミィの関係にエルザが複雑な気持ちを抱いてしまうのは仕方ない。
書き下ろしのディアとエルザの恋の話はとても美味しかったけど、本編の「引き留めなさいよ!」のアンサーにしてはあまりにも早かった気がする。
嬉しい反面、これはエンタメのための話なのでは?と不安になる。
好きな話であることには違いないし、エルザが自分を受け入れて助けてくれたディアに恋をして自覚していくのもわかる。
ディアの特別な相手がミィで、まだエルザはミィには叶わないのもわかるし、ディアがそれでもエルザを愛そうとしていて、引き留めてしまう相手がミィの選んだ夜の王以外にいないことも。
とはいえ、突然二次創作くらいのイベントと糖度がおまけ後日談として十数年ぶりにぶちこまれた私の戸惑いもわかってほしい。
人食いシリーズ、普通にラブコメできたんだ。そっかぁ……
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ある意味再読。ミミズクと夜の王とは少しつながっているけれど、違うふたりの愛の話。
毒吐姫の鮮烈て軽々しく、どこか地を這う泥臭さがやはり好きだなと思った。
書き下ろしは普段のふたりの、どこかすれ違い気味な日々が垣間見れてまたよかった。
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やっぱりこの世界観とか雰囲気とかが好き。
プロローグで泣くという自分の涙もろさに衝撃を受けたけど、それくらい感情移入してしまう、本当に素晴らしくて美しいお話。
もう一回、ミミズクと夜の王から読み直したいな。
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前作からおそらく数年後、成長したレッドアークの王子ディアと、隣国ヴィオンのエルザとの出会いが、ヴィオンの行く末を左右する出来事に巻き込まれていく。聖騎士アン・デュークやオリエッタ、そしてあの子も登場し、最高の結末へとなだれ込む。ディアの真っ直ぐな気持ちと、エルザの変化から為るボーイミーツガールのファンタジーとしてのクオリティが高く、今も尚読まれていてほしい作品だ。
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占いの国ヴィオン、占いによって下町に捨てられた姫エルザ。彼女にあるのは星の石と言葉を紡ぐ声だけだった。捨てられはずの彼女に姫として聖剣の国レッドアークへの輿入れが命じられる。
毒を吐くことを許させるのならば、この物語はリアル中二病のツンデレ少女を国が一丸となってデレさせる話。
率直に言えばエルザの設定が甘い。本人は自分は下町に落とされたクズだと言いながら、娼婦を見下す。下だと言いながらその下がいる。
下町育ちなのに人をうたがわないのも妙だ。ディアに睡眠薬を仕込まれて寝るまでは納得出来るが、見ず知らずの土地で疲れている、たらふく食べた、その理由で熟睡出来る自分に疑問を持たないのだろうか。星石をディアにパクられたのもどこかに落としたと思うまでは分かる、だが城を出て大して時間が経っていない、一歩ヴィオンを出れば無価値な石が見つからない。自分がスリをした経験があるならば思い当たるだろう。
そして毒吐きと言うが、ほぼほぼ大事な場面では静かにしている。場の空気も読めて、毒を吐く相手も選べているのだから立派なものだ。
単純に私はエルザに感情移入できなかった。反抗期の少女にそういう時期だと周りは生暖かい目を向け手を差し伸べているとしか思えなかった。
さらに難癖をつけるとしたら「ミミズクと夜の王」では番外編で主人公たちを差し置いたくせに、こっちではやるんかいと思った。
エルザより自分の方がよっぽど毒吐きだ。
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著者の作品は実に10年以上前に発刊された
『ミミズクと夜の王』以来の本でした。
まず、デビュー作を読んだ時の衝撃が鮮烈に残っていて気がついたら著者が15年間もの間執筆活動をしている事に驚愕しました。
その15周年をで完全版として復刻された今作。
私が面白いなと思う物語。いや本というそれ自体に関わる事だと感じる事があるのですが。
読みやすさ、物語の景色がいかに思い浮かぶか?
小説とは漫画とは違い挿絵があるものも有ればないもの。
寧ろ無いものが多数を占める。
なので読者の想像力と,理解力で世界を作り上げる必要性があり、著者の想いを受け止められて共有できるか?
というのが一つの醍醐味だと感じています。
表紙のイラストからイメージを沸かせてそれに基づいて背景を作りあげ舞台が出来上がり物語が進んでいく。
読者は言わば舞台の客席に座っているようなものでもありその舞台を自由に世界を想像する事ができる稀有なポジションにいるのです。
そのイメージが著者に近ければ近いほど理解力があり伝いたい物事の根幹を解釈できていると言うことです。
ココまでは作品について全く触れておらず駄文なんですけどじゃぁ読者が理解できなかったらその物語は難解で無駄な時間を過ごしたのか?と言うことになるのか?
いや違う。ココからは作者の問題なんだ。
如何に想像しやすく世界に入り込みやすく情景が浮かんできてわかりやすい文章を構築できるか?が腕の見せ所なんだ。
難解な文節を作るより如何にシンプルで魅力的な物語を伝えられているか?そして物語が伝えたいテーマが誰にでもわかるように作れているか?が非常に大事なんだ。
そこに人の癖が出て○○節等呼ばれて囃子立てられる。
この本は、御伽噺であり物語もキャラクターも構築も非常に出来が良い。
具体的な事を話すと長くなるんで(もう長い)詳しくは語りませんが、一番良いのは魅力的な読みやすさ。
著者の一番の特徴と言ってもいい。引き込む力が凄まじい。
今日はココまでにしようと本を閉じたくなくなるのだが
続きが気になりすぎて手が、目が文字を追ってしまう。
文字通り一級品。しかも前作との姉妹作であると言う事。
つまらない訳がない。
この物語は言葉を一つのテーマとしてとり上げてます。
言葉には喜怒哀楽や場所、立場、関係性などにより様々な色や音、圧力、重さを与えます。
小説は文字で構築されたものです。
より一層言葉を追いかけるものです。
その圧倒的な引力に巻き込まれてほしい。
この物語の魅力はそこです。
それが美しく時には馬鹿馬鹿しく時には悲しい。
葛藤を感じさせる力。言霊とは良く言ったものだ。
人は言葉で何でもできるのだ。言い方にも悪い方にも。
伊藤計劃氏のあれをマイルドにしたらこんな感じになるかな何て1人微笑して楽しめました。
長くなりましたがこの上質なお伽噺。
触れて損はないと断言���きます。
至極の一冊を是非、手に取ってみて頂きたい。
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――
そっと心の中に物語世界が残り続ける、そんな、しっくりくるとしか云えないようなおはなしが、たまにある。
前作『ミミズク』からまとめて読んだのは、良かったのもあるし少し勿体無いことをしたかな、とも思った。それくらい心地良い、物語の、世界。
テーマ的にも前作を踏襲した部分はありつつ、けれど主人公である少年少女は、その生い立ちは別として前作よりも人間らしい繋がりかた、ぶつかりかたをしているので、よりそれが鮮明になってるのかもしれません。
あとがきに「ボーイミーツガールを書こう、と思いました」とあるとおり、とてもストレート。搦め手無しの御伽噺はさすがでした。
なんだか皆の成長が見られてとても愛おしかったのもあり。
☆4.2
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占いが最重要とされる世界で、不吉の象徴として生まれ酷い扱いを受けてきた姫と、前作両手両足が動かない呪われた王子として登場した王子のボーイミーツガール。姫の国の宰相が悪いやつで、姫の言葉を奪ったり、国王を捕え下剋上しようとしたりとやりたい放題だったが、最終的には姫の力強い言葉で謀反がおさまる。いつの時代も賢しい宰相はいるもの。
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【紅玉いづきデビュー15周年記念刊行・第2弾】
忌まれた姫と異形の王子の、小さな恋のおとぎばなし。
「星よ落ちろ、光よ消えろ、命よ絶えろ!!」
全知の天に運命を委ねる占いの国ヴィオン。生まれながらにして毒と呪いの言葉を吐き、下町に生きる姫がいた。星と神の巡りにおいて少女エルザは城に呼び戻され隣国に嫁げと強いられる。
唯一の武器である声を奪われ、胸には星の石ひとつ。絶望とともに少女が送られたのは聖剣の国レッドアーク。迎えたのは、異形の四肢を持つ王子だった――。
書き下ろし番外編「初恋のおくりもの」で初めて明かされるある想い。『ミミズクと夜の王』姉妹作。
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『ミミズクと夜の王』との姉妹作とのこと。
『ミミズク〜』と同じく、登場人物一人ひとりはとても魅力的なのに、なぜか感情移入できない。
『ミミズク〜』での登場人物の関係性描写が中途半端だったために、本作の登場人物同士が関係を築く過程も説得力が無い。よってミミズクの登場シーンもカタルシスがまるで無い。
タイトルになっている星の石の役割も特に描かれず、ヴィオン、レッドアークの外交描写も今ひとつ。
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ミミズクと夜の王を読んで、この本の存在を知りすぐに読みたいと思った。
また、みんなに会えることが嬉しかった。
最初の頃、毒吐き姫の言葉の数々はあまりにも聞くに耐えず、耳を塞ぎたくなった。
一方でディアの成長に、王になる者としての覚悟を感じた。
オリエッタにしてもそうだが、どれほど酷いことを言われても怒らない。
そこには一種の諦めと、本当のつらさや悲しみを知っているからこその強さがある。
登場シーンは僅かだが、ミィの存在感は圧倒的なものがある。
エルザの過去も、そしてディアとの未来もいつかは伝説となるのだろうな。
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しっかり恋愛小説やった。
ミミズク読んでからだいぶ空いたので登場人物少し忘れてたけど、大事なとこやのでこれは前作読んですぐの方が楽しめるなと思った。
ミミズクとエルザは割と恵まれない幼少期が似てるはずやのにこうも性格が変わるのは何で何やろうなと思った。設定として毒吐きっていうのはあるけど、周りのエルザに対する環境が無意識のうちに恐れや不吉で卑しいものとして接されてたからなのかもしれない。卑屈になるわな。そしてその自信のなさがミミズクと会った時の絶望になるし、愛されるものと愛されないものみたいな考えになるんだよな…少しデュークのちょっとした悪意というか釘刺しもうううってなった。ミミズクやディアのが大切やったし分かるけどな。
途中誰かの特別になりたい…みたいな思いは人一倍あるけどそれも信じられないところが不憫ながらも分かるなと思って読んでた。でも最後はちゃんと明るい未来はある感じなのでほのぼの読めて良かった。
個人的には中学生くらいのときが一番刺さりそうな文体というか話の持っていき方やったな。
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「ミミズクと夜の王」の姉妹作だった。
全てが占いに委ねられる国ヴィオンの貧民窟で暮らすエルザ。
彼女は国に災いをもたらす毒吐姫との占いにより、王女でありながら幼いころに下町に捨てられた少女だった。
毒舌を武器として育ったエルザは再び城に捕らわれ、またもや占いにより、隣国へ嫁がされることになるが。
聖剣の国レッドアークの異形の四肢をもつ王子との出会いが彼女にもたらすものとは。
占いの定めに振り回されるエルザが痛々しい。
自らを守るために周りに毒を撒き散らす様子も。
呪いによって四肢が動かない王子の凛とした様子、聖剣の騎士夫妻のさりげない優しさが染みる。
もう少しヴィオンの過去とか占いに凝り固まった歴史を説明してくれると更に深くなったかも。
いや、これも「ミミズク」で語られてるのかな。
そちらも読んでみたい。
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あ~よかった~!!毒吐姫のこと最初はあまり良く思えなくて(ただただ毒を吐くだけでしたし)ディアたちの事、何も知らないくせに!!って思ってましたが、作中でレッドアークの人々の優しさに触れ成長していく姿に、いつの間にか好ましく思ってました。エルザがヤキモチ妬くとこ、ディアもヤキモチ妬くとこ可愛いすぎますね。
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中盤あたりからストーリーが好きすぎて、ゆっくり時間をかけて読みました。前作のミミズクが出てきた時は嬉しかったです。ミミズク好きなので。毒吐姫も最後あたりに共感できる話だったので好きになりました。