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少子化は本当に問題なのか
2022/05/02 22:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:魚大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
記者が世界各国が取り組んでいる対策や社会的背景がどのように出生率に影響しているのかを視察。
世界の出生率や少子化対策が知れて面白かった。先進国の中で最も出生率が高いイスラエルについても取材されていて「母親になって後悔している」という本とリンクした。ユダヤ人やアラブ人が考える子供を持つことの重要性や歴史的背景が出生率に大きく影響していることが分かった。
日本、韓国、中国のような経済的な理由ではなく、欧米や北欧諸国では個人の自由や権利を尊重した結果、出生率が減少している現象も起きている。
国存続のためには子孫繁栄は大事なことだが、個々の幸せを考えると子供を持つこと持たないことは自由であるべきだと思う。少子化問題1つにしても本当にいろいろな要素が関連してくるんだなぁと感じた。
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第1章 韓国/世界最低水準の国で起きている若者の結婚離れ
第2章 中国/「一人っ子政策」の宿痾に縛られる少子化大国
第3章 フランス/「少子化対策先進国」に息づく権利獲得の文化
第4章 イスラエル/家族重視の価値観がつくる少子化対策先進国
第5章 米国/技術革新と企業の支援で加速する少子化対策の功罪
第6章 ハンガリー/危機感に突き動かされた“本気”の施策と不寛容の表裏一体
第7章 フィンランド/リベラルな国が苦悩する「個人の自由」と「社会全体の利益」のひずみ
終章 少子化の何が問題か 少子化がもたらす未来のシナリオとその対策とは
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韓国
大卒の就職率は6割、大学はSKY出身者がステータス。TOEIC800点以上、文系なら900点以上、国家試験に通ることが必須。日本以上の競争社会。
大統領の権限が強いが再任はなく任期5年。短期的な成果を求める。
日韓では就職するまでが子育て。欧米より長い。
中国
一人っ子政策が生んだ男女人口比のひずみ。大学入学には科挙に似た高考が必要。学習塾を規制した。一人っ子政策は少子化を早めた。出産適齢期の女性の減少。
政治はエリート政治=民主主義の利害調整メカニズムはない。全体としては正しい選択ができる。迅速性がある。利害調整は矛盾の解消は問題t。
フランス
支援と個人の選択の保障が原動力。単身のまま子供を持つ選択ができる。連帯市民協約(パクス)と呼ばれる事実婚制度はもともとは同性間のための制度だった。
イスラエル
合計特殊出生率は3.01。助け合う大家族制度。子供が多いほど家屋は幸せ、モラルが高いとされる。経済発展と楽観思考で人口増。人口増が好景気を生む。好循環が生まれている。もともとユダヤ教では子供を増やすことは神の命令。
日本では母親に子育ての重圧がかかるが、イスラエルでは親族や社会で子育てをする。
ハンガリー
国家予算の5%を少子化対策につぎ込む。非自由民主主義(ロシアやシンガポールと同じ道)。出産ローンは3人目を生むと返済免除。子供が多いほど生涯免税。
世界では少子化ではない。人口増は環境悪を生む。
フィンランド
近年は出生率が減少。男女格差が少なくなると出生率が上がるはずだが。子供を欲しがらない人が多い。文化や価値観の変化。
チャイルドフリー協会=子供を持たずに人生を生きようとする人々の教会。
家族は運命共同体ではなく、自己実現を目座す個人の集まり。運命共同体としていざという時の支えは必要ない。
イギリス
人口減による労働力不足は最新技術で補う。
日本の高度成長期の人口ボーナスは1.3%しかない。残りは生産性の向上によるもの。
人口減少でもGDPは減らない。日本の人口は世界ではまだまだ多い。
代わりにペット産業が子育て本能を満たしている。
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世界7カ国の少子化事情を掘り下げながら、日本の少子化問題を考察する本。「子供が増えれば幸せなのか」というタイトルに惹かれて手に取ったが、各国事情の取り上げ方や本題へのアプローチなどが非常に分かりやすく面白かった。
少子化は何語問題なのか。人口減による経済的損失や福祉制度の破綻が指摘されるものの、それは労働生産性の停滞が問題であり、人口減が根本的な問題なのではない。少子化問題で根本的に解決すべきは、出産・子育てを思い通りにできない境遇が存在してしまうことと、人口減が止まる兆しが見えてないことにある。
少子化の議論にはリプロダクティブ・ライツ(性や生殖に関する権利)の観点と国力維持の観点があるが、多様化する世の中では「人権」の観点から議論されるべきだ。
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止まらない日本の少子化問題に対し、
毎日新聞の記者がアジアやヨーロッパ諸国の出産・育児支援策を調査し
今後の日本の政策の在り方について言及した本。
各国の歴史や国民性を背景にすると出産、子育てを取り巻く状況は本当に様々で
日本が際立ってレベルが低い、というわけではないことが分かりました。
と同時に、
もし国が出生率を上げたいのならばまずは
個人ないし家族単位での仕事や生活における幸福度を上げる努力をするべきで
子どもを産む数はあくまで結果論であるのだと思いました。
これらを踏まえると、
少子化対策を謳いながら子ども手当や各種給付金に所得制限を設け
増幅の対象が出産育児金、といった政策を打ち出す日本の方向性は
果たして本当にそれで良いのか、と疑問を感じずにはいられません。。
一方で、社会的弱者とされる女性の権利を保証しすぎると
出産育児も人生のオプションになる(よって出生率が下がる)、
という旨の記述がありましたが
まぁその通りではあるのでしょうけれども
通過点として必要なのでは、とも思います。
色々と思うところはありますが
全ての人に平等に恩恵を与え人生を充実させ子孫の繁栄を促す、というのは
到底無理な話であるとも思っているので
どこに特化するか、という話であるのでしょうし
こういった本を読んで、
それぞれが自分の意見をしっかり持つことが大事なのだと思いました。
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少子化を人口政策的な観点から見ると、「子供が増えれば幸せなのか」というそもそもの問いが抜け落ちてしまうのかもしれない。世界各地の事情を知る読み物としても面白いが、当事者たちへの取材を読みながら、「子どもを産み育てることにまつわる幸せとは…」という問いに立ち返れたように思う。
子どもを産み育てるのが難しい状況を、「個人の自由が阻害されている」と捉えなおし、少子化対策を「個人の自由の保障」だと定義しても良いのかもしれない。労働力不足や社会保障制度の維持、市場の縮小、税収減…など少子化により想定される問題は山積み…。でも、子どもの数を増やすことが唯一の解ではないというのは念頭に置こうと思った。少子化により環境負荷が低くなるなどのメリットもあるというのは目から鱗。国による違いを見ながら、家族領域に政府がどこまで立ち入っても良いと思うかの許容度もまた異なるのだろうと思った。
・理想化されがちなフィンランドでも出生率が下がってきていて、その背景に「チャイルドフリー」という思想がある。
・ハンガリーの子育て世帯への積極的な住宅政策がかえって住居費水準を上げてしまうというのは、日本のパワーカップルが不動産高騰の一因と言われているのに似ているなぁ。
・卵子凍結は…どこまで公費で認められるのか見解がわかれそう。
・イスラエルのように家族や親族のネットワークで支え合う…というのに日本は戻れなさそう。
・中韓の状況は日本に似ていると思ったが、競争社会に全員が巻き込まれているのか?マイルドヤンキー的な存在は?
取材班の入社年次を見ると、もしかしたらご本人たちも子育て世代なのかもしれない。熱量を感じた。どの国の話も興味深いが、世界各国に拠点がある中でなぜこの7か国を選んだのか、編集会議の議論も聞いてみたいと思った。
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世界7ヵ国(日本の分析も含めれば8ヵ国)の少子化の現状や対策等を書いた本でその国の社会的な背景や政策が比較できて面白い。
韓国や中国はその生きづらさから子どもを産み控えることが定着している。一部の日本の若者のように地方でのんびり生きることを目指すというのもまだあまり浸透していない模様(本書における韓国の地方自治体の事例や中国では寝そべり族という言葉があるものの)。
しかし「少子化」という言葉もGDPと同じく、あまりにも国家主義的すぎるのでいい加減使うのをやめるべきだと個人的にはずっと思っている。最後のpopulation mattersの活動は興味深い。ディープエコロジーよりも結構マイルドな印象で、ディープエコロジーが思想だけでなく、現実的な活動になった感じがある。人口減、生きづらさが進む東アジアの国だからこそこうした考えと結びついて人口減をポジティブに考えるべきだと思うが、欧州と比較すると国家主義、家父長制の強さから一部の個人レベルはともかく、なかなか社会的には広がってない。
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各国の少子化対策を中立にまとめていて非常にわかりやすい。
各国の子育てに関するリアルな生活、文化や背景なども書かれていた。
大変な良書です。
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韓国は就職不安 お金
中国は結婚のお金、教育費
フランスは産む自由を拡大するために
国力の強化の理論がリプロダクティブライツの論理。
子供はどうか生きるかを学ぶことが必要。実務的な内容は必要が出てからでも良い。学び続ける習慣と新しいことを学ぶ抵抗感がないことが大切。
先が見えない時代で周りと同じことをしている危険性。そういう意味で自由を認めていく必要がある。
ハンガリーはお金で支援。
フィンランドは女性進出が進むが出生率は低下。
格差が少ないと子どもへ競争意識から良い機会を提供しようとの投資が増える。
日本の少子化の要因は未婚化が9割、少子化は1割。
子育ては親の責任か、社会の責任か。
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日本ではなく各国の少子化対策を取り上げている本。取り組みが比較的うまくいっている国も取り上げているがそもそも少子化が是か非という根本的な点にまで及んでいる。
イスラエルの人で初めはこのくらいの人数で良かったけどもっと子どもを持ちたくなったという様なコメントがあったが本書の指摘通り国の経済力もあるが皆で見るコミュニティの力が大きいと思われる。
中国の一人っ子政策は結局終了したが歪が少子化に拍車をかけているのは否めない。国家の指針が数十年後に影響を及ぼすところは普通に怖い。