紙の本
この絵本にはリボンをかけて贈りたい
2022/12/18 09:16
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵本を選ぶ際、まずは自分のお気に入りの絵本作家さんのものを手にします。
例えば、あべ弘士さんとか長谷川義史さんとか。
絵本のガイド本からも選ぶことがあります。
そういう時は、柳田邦男さんや落合恵子さんが書かれた本からになります。
書店でいえば、やはり児童書専門店のクレヨンハウス。
そこでは、手にして、開いて、気になった絵本を読んでみたくなります。
それでは、この『ふたごパンダのこころコロコロ』の場合はどうだったか。
文を書いた西島三重子さんの名前が目にとまったのです。
西島三重子さん? えっ、あの西島三重子さん?
私にとっての西島三重子さんといえば、
学生時代に耳にし、よく歌ったあの名曲「池上線」を歌っていたシンガーソングライターの、
西島三重子さんなのです。
調べると、「池上線」は1976年にリリースされています。
私が21歳の時です。
池上線自体に思い出があるわけではありませんでしたが、
男女の切なく甘いラブソングに、はまってしまったのです。
若い時に聞いたそんな歌はいつまでも心に残ります。
西島三重子さんが絵本作家になっていたなんて。
そこで思わず手にしたこの絵本は、はせがわゆうじさんの絵もかわいく、
きっと誰かに伝えたい、心温まるメッセージ絵本になっています。
「話す言葉をさがしながら/すきま風にふるえて」いた女性は、
「くよくよしながら/きょうを おもうより/わくわくするような/あしたを かんがえよう
//あした げんきに なあれ」と
そんな強い人になっていました。
赤いリボンをかけて、贈りたくなるような素敵な絵本でした。
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ころんころん。ふたごのパンダがとびたつ先は?「読むとやさしい気持ちになれる」読み聞かせにも最適なこころ温まる物語
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新聞広告をみて購入。1ページに優しい励ましのメッセージがかかれています。ふたごパンダのコロコロの様子、かわいいです。よみきかせにとあり、購入しました。親子で一緒に読むとすてきな時間になりそうですね。手に取ってゆっくり子どもたちに読んでもらいたいので、大勢のよみきかせの時は難しいのかな~と。
ほんわか絵本、しあわせの呪文、あしたげんきになあれ。
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いつもの図書館の新刊コーナーでふと見つけた、本書の表紙の絵を見た瞬間、どこかで見たことあるなと思ったら、「もうじきたべられるぼく」の、「はせがわゆうじ」さんだと気付き、借りてきました。
「もうじきたべられるぼく」では、どこか諦観めいた悲壮感に於いても、愛嬌のある、その丸みを帯びてコロコロとした牛くんの可愛さが印象的でしたが、それは本書のパンダも同様であり、扉絵を見ると早速、ノスタルジックなふわっとした背景の中で、ハリネズミに見守られながら、気持ち良さそうにころんころんしている、ふたごパンダがなんとも可愛らしくて、そこには、こんなメッセージも添えてありました。
ころんころん
あったかい ひだまりで
きょうも ころんころん
ひだまりは
おかあさんの
においがするから
そう、私は中身を確認しないで借りてきましたが、本書はメッセージ絵本であり、それについて、あまり相性が良くないと感じていた私は、内心しまったなと思いつつも、せっかくなので、読み進めることに。
「おはよう」 「おやすみ」
「いってきます」 「おかえり」
なにげない まいにちの
しあわせの じゅもん
うーん。伝えたいことは分かる気がするけれど、何か私にはしっくり来ないんだよな。ちょっと面映ゆい感じというか。
しかし、読んでいく内に、そのメッセージと共に描かれている絵に惹き付けられていきながら、メッセージも入ってくるようになりました。
例えば、
いっしょにいる
という
しあわせ
の絵は、木に捕まっているお母さんの尻尾に、数珠つなぎのように捕まっている、ふたごパンダの姿が・・・可愛い。
次に、
ありがとう というと
こころが
やさしくなれる
きがする
の絵は、メッセージとあまり関係性がなさそうだけど、ふたごパンダがお互いに押し合いへし合いしながら、木の手すりにしがみついている後ろ姿が、また可愛い。
そして、
ちかづいたり
はなれたり
それでも
おもいは おなじ
こころが あたたかくなったら
それは いま
しあわせってこと
での、ふたごパンダがお互いにじゃれ合っている、様々な姿には、もうやられてしまい、実際のパンダの生態はよく分からないけれど、私の中でのパンダの魅力、満載だと思いました。
そして、私の一番好きな絵は、その前のページで、寝ているお母さんに「遊ぼうよ」と、しつこく体を引っ張っていたふたごパンダに、業を煮やしたお母さんが、ふたごパンダをそれぞれ両手に抱えた後の絵かと思われる、宙に張ったロープに洗濯ばさみで吊された、ふたごパンダの究極の可愛らしさでありながら(ふたごがそれぞれ前後反対なのも、パンダファンのニーズに応えているようで良い)、ぷっと笑えるような微笑ましさも兼ね備えた素晴らしいもので、しかも、そこに添えられた、大人にも刺さりそうな、心に染み入るメッセージとのギャップが、また印象的だったので記載しておきます。
た���のやすみ
こころも からだも
ムシボシしよう
パタパタ はたけば
ポロポロ ポロリ
いたずらむしが
にげていく
やさしさだけは のこしてね
そんなふたごパンダの可愛さメインで、ずっと展開していくのかと思ったら、実はこの後に、ストーリー性を持った、ちょっとほろりとさせる内容へと変わっていくのが、本書の一番の読み所だと感じました。
どうしても
みたいものが ある
どうしても
いきたいばしょが ある
まよったときは
かんがえよう
どっちを えらべば
こころが
あたたかくなるか
そして、この後から、ずっと見開きで展開される、はせがわさんの、その紗を掛けたような空に感じさせる、胸を鷲掴みにされるような切ない絵には、言葉にならない感動があって、それがまた、西島さんの、いつか巣立っていく子どもたちを思い描いたようなメッセージと合わさることで、それはより強くなっていき、更には、ページを繰る毎に、次第に空が暮れていく展開にもグッとくるものがあり、はせがわさんの描く夕焼け空は、シンプルながらも、どこか切ない空気感を作り出すところに、印象深さがあるようで好きです。
本書のメッセージのひとつ、
心を
こころと 書いたら
ころころ ころがった
には、後からジワッとくるものがあって、色々な事が起こる人生に於いて、変に頑なになってしまうときもあるかもしれないけれど、時には、自分の心を『こころ』にして、素直に身を任せきりにするのもいいかもしれないと思う。
それは、止めるものが無ければ、どこまでも転がり続ける、そんな気楽さには、どこか不安もあるけれど、全く動かないよりは良いのかもしれないし、それは人生、色々あっても、今ここでこうして自分の意思を持って、存在している我が身が、それを証明しているのかもしれないと思うと、何をやっても、私は私なのだと自信を持てそうな、そんな思いに至ることが出来たようで、思わず嬉しさを覚えたのです。
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3歳と2歳の娘達に読みました。
大人向けなのか子供の反応はイマイチ。
絵が可愛く癒されます。