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感想が難しい
牧師、検察官、政治家の思考でなく、
科学者の思考で考えよう
例えが何かピンとこない
これを一発で、
はいはい、こういう思考ね
と入る人には有益かも。
先入観にとらわれず、頑固にならずに
新しく入った情報・根拠に基づいて柔軟に考え直そう
言うは易く、行うは難し
色々いいこと書いてあると思うんだけど、
これを読んで実行に移せる人ってどれくらいいるんだろうね?
訳者のあとがきが一番読みやすかったかな
あと、ちょいちょい挿し込まれる図とか表の
いくつかは、これいるかねと思った。
THINK AGAIN!
考え直してほしい!!
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アダムグラントの新作出たと知り、早速読んだ。
今作のテーマは再考。不確実性の高まる時代に、再考していくことの大切さを教えてくれる。
本書は自分の考えを再考すること、他者に再考してもらうこと、組織として再考することと徐々に範囲を広げる流れで話を追いやすかった。400ページを超え厚みあるが、豊富な事例で語られており、読み進めるのはとても楽しかった。
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自信と謙虚さのバランスを大切に
読書を始めてから自分自身、強気に意見を言うことが増えたなと感じていました。
自分の能力には自信を持ち自分の意見には常に間違っているかもと疑ってかかる!
このアドバイスはしっかり覚えておきたい
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12750950842.html
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知識の欠点:未知を受け入れたがらないこと
ダニング=クルーガー効果:
人は能力が欠如しているとき、自信過剰になる傾向にある。
自分が何かを学び得たかどうかを知る唯一の方法は、自分の過ちを発見すること。(ダニエル カーネマン)
固執を分離
過去の自分と現在の自分を分離
自分の考えを自分のアイデンティティから分離
対立を避けてしまう心理が革新を妨げる
バイナリーバイアス
考えの二分、真実はひとつ、正しいのも片方だ
他者視点探求:対手の立場に立って考えるのではなく、相手との対話で洞察
トンネルビジョン
目標を決めると他の可能性が目に入らなくなる 立場の固定
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本書は、今の時代は、「考え直す」、「学びなおす」事が重要だという事を伝えてくれています。
著者は「GIVE & TAKE」の著者でもあるアダムグラント教授。
著者によると、私たちの頭の中には4つのモードがあるそうです。
「牧師」「検察官」「政治家」「科学者」
著者は、その中でも「科学者」のようにファクトに基づいて考え、柔軟に結論を出すことが必要との事。
私は元々エンジニアですが、「科学者」的思考より、「検察官」タイプで、証拠に基づいて考えるけど、発想の柔軟性が乏しく、自分の意見を主張しがちだと思いました。
考え直すためには、古い考えや思い込みに気づき、手放すことが必要。
自己満足に陥らず、謙虚な姿勢で、自分に間違いがある事を喜ぶくらいでないと、考え直すことはできない。
本書で印象に残った部分としては
「マウントスチューピッドの頂上で立ち止まらないように注意する」
人は学習し始めの時に、自信過剰の「山」に上るそうです。私も心当たりがたくさんあります。
もう一つ、
「自分の意見や考えを、自分のアイデンティティから分離すること」
自分の信念に固執するのではなく、自分の価値観と照らし合わせて柔軟に考えてみる。
またその価値観自体も、アップデートされていくという部分です。
会社でも色々な指摘を受けると、防御態勢をとって考え方が硬化してしまいがちなんですよね
新たな気付きをくれた一冊でした。
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楠木建氏監訳本でもあり、重厚な本であったが朝の読書時間を活用して完読。
信念、アイデンティティといった概念整理をし、自らの思考をどのように巡らせるべきか、その結果どのような行動をとるべきかについて、まさに考え直させられた本。
巻末の楠木氏の解説にもあったが、信念とアイデンティティーは似て非なるものであり、信念は固定するべきでなく、進化させるという意識が大事。そのためには謙虚さ必要。それは「自分自身に対する確信」と「自分の考え方に対する確信」に分けて、後者に対しては謙虚に疑いの姿勢をもつべきとの主張に繋がる。
組織やリーダーとして必要な要素をロジカルかつ科学的に様々な実証結果やエピソードをちりばめながらブレークダウンし、その結果納得力のある形で、まさに自らの思い込みを考え直させてくれた。読み応えのある良書である。
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かなり学びが多かった。経験を積むほど信念や持論に固執しがちだが、それらを常に考え直す、学び直す姿勢を持つことが真に成長することなのだと思い知らされた。
個人的メモ
完璧なリーダーはチームの心理的安全性を下げる。
ベストプラクティスは終着点。常にベタープラクティスが重要。
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知的柔軟性を高めるため、読みました。最も印象的だったのは、自分自身に対して確信があり、自分のやり方に対して確信がない状態が、自信に満ちた謙虚さ。です。自分自身の価値観に重きを置き、信念とアイデンティティを分離するのが肝だと理解しました。
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学びメモ
知ったかぶりをしない。偉そうな物言いをしない。
謙虚に相手から学ぶ姿勢を忘れない。誰からも必ず学べることがあるはず。
相手に興味をもつ、関心を向ける。相手の考えを受け止めて、感情論ではなく建設的な討論へ。
環境を変える前に、自分の行動を見直すことを考える。
自信があっても、考え方が間違ってるかもしれない、と批判意見を受け入れる心の余裕を意識して持つ。
一部読みにくい文章がありましたが、自分の行動を振り返る貴重な学び体験ができました。物事を中立・柔軟に考えられる方だと自己認識していましたが、それ故に無意識に自分は正しいと固執した考え方があったことに気付かされました。相手が誰でも謙虚に学ぶ姿勢を忘れない、これを意識するだけで、職場でのコミュニケーションの質が(自分としては)グッと上がったと感じています。
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考え直す、再考するというのは、深く考える、洞察するということかなと思う。思い込みを払拭するために一旦止まって考える、一息入れることは大事なこと。
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テストで見直しをしたとき、「書き直したほうがあいのか?」と思うことがよくありますよね。
書き直して不正解になるのは25%、書き直して正解するのは50%だったそうです。
私は、自分の直感を信じて、書き直さない!と思うことが多かったですが、科学的には間違っていたようです!
自分の間違いを教えてくれる良書でした。
ぜひぜひ読んでみて下さい。
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1 どんな本?
自己が再考する方法と個人に組織に再考を促す方
法を教えてくれると共に、再考が人生と社会に与え
るポジティブな影響を教えてくれる本。
再考はメリット満載。
再考に関する本て他に無い。
2 何で読んだの?
(1) アダムグラントの本だから。
(2) 骨太な本を読んで読書力を上げたい。
(3) 人生に役立つtodoを得た状態になりたい。
3 構 成
4部11章構成400頁
スモークジャンパーが山火事で犠牲になった話から
再考することの重要を始め、インパクトの行動とし
て本書のまとめを30項目記して終わる。
各章の最後に内容に対する補足や注釈又は小ネタを
載せている所が面白い。
4 著者の問題提起
再考にはメリットがある。だが再考しない躊躇す
るのは何故か?
5 命題に至った理由
私たちのメンタルフレキシビリティ(柔軟精神)
が試されているから。
6 著者の解
最もシンプルな方法は日々の行動を疑問視し見直
す事。
7 重要な語句・文
(1) 能力に自信を持ち、正しい手段を問う謙虚さが
最適な自信レベル。
(2) ダニングクルーガー効果(実力が低いほど過信)
(3) 親同士の前向きな議論は見せた方が良い。
(4) 何故では無くどのようにを問う。
(5) 共通の基盤-少ない根拠-検討条件を質問の流れ
が相手に再考を促す基本
(6) 動機付け面接、維持トーク・チェンジトーク
(7) 他者視点探求
(8) 教育とは草案を何度も書き直す習慣を形成する
こと、生涯に渡り学び続ける能力を培う事。
(9) 将来何になりたいか子供に聞かない。
(10) 場所を変えても自分自身から逃げる事はできな
い。
(11) 人生の再考:セルフチェック(年2回ぐらい。
家庭でも)
(12) アイデンティティフォークロージャー(10代な
どの早期に目標を確立する事)
(13) 過去二年間のキャリアを無駄にしてもそれから
20年を後悔しながら生きるよりはマシ。
(14) 幸せは目標では無く目標に向かう道で見つける
もの。
(15) プロセスアカウンタビリティ(結果が良くても過
程を反省)
(16) アイデンティティと自己の分離。自己と過去の
自己の分離
8 感 想
パート3まではふーんと思いながら読んでいたが
チャプター11でとても辛い気持ちになった。私はア
イデンティティフォークロージャーで後悔しながら
20年を過ごしていた。安定を捨て切れなく今に至
る。
刺さったのはのはもちろんアイデンティティフォ
ークロージャー。我が子にはこうならない様に教育
したい。
深く知りたい事は幸福とは?
人に勧めるならアイデンティティと自己の分離(自
分にも勧めたい)
図やフローチャートから著者の意図が分かりやす
かった。(子供に将来の職業を質問する事とか)
タイトルの��考通りの内容だった上に人生観まで
変わった。
9 todo
(1) 将来なりたい事を聞かない事を家族に提案
(2) セルフチェックを年2回。(手帳に書いておく)
(3) 夫婦の議論は見せる。
(4) 自信をもって自分に手段を問う。
(5) 傾聴のスキルを磨く(読書とセミナー)
10 問 い
幸福とは?
11 答 え
目標では無く目標に至る道で見つける副産物
問 い
幸福とは?
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自分の考えを変えるというのは簡単ではないし、ましてや他人の意見でそれをするのはとても勇気が必要。
それでも目標を達成するためにはいつでも考えを変えられるという柔軟性はとても大事ですね。
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メンタル・フィットネスとは何か、つまり精神や知力が適切な状態であるにはどんな資質を要するのかを考えた時、通常、まっ先に思い浮かぶのは、知性や思考力だろう。賢ければ賢いほど、より複雑な問題を、より速く解くことができる。知性とは従来、考える・学ぶ能力であると認識されている。しかし、変化の激しい時代を生きるために、考えること・学ぶこと以上に貴重な認知スキルがある。それは、「考え直す、学びほぐす(知識をリセットし、学び直す)」能力だ。
科学者、というのは単に専門的職業を指しているのではない。私がここで意味するのは科学者の思考的枠組み、つまり、説教も不正探しも政治活動も行なわない、全く異なった思考モードを持つということだ。真実を追求する時、私たちは科学者の思考モードに入る。仮説を検証するために実験を行ない、新しい知識を発見する。科学的なメンタルツールは、白衣をまといビーカーを持つ人だけのものではない。科学的なメンタルツールを持つために、何年も顕微鏡シャーレをのぞき込む必要もない。仮説というのは、研究室の中だけではなく、私たちの生活の身近なところにも多くある。試行錯誤し、そこから得た知識に基づいて、人は日々の些細なことに決断を下すことができる。
脳の処理速度が速いからといって、柔軟な思考の持ち主であるとは限らない。どれだけ高い能力を持っていても、考えや見方を変えようとする意思がなければ、多くの再考察の機会を見過ごしてしまう。ある研究によると、知能指数テストのスコアが高ければ高いほど、より速くパターンを認識できるため、既成概念にとらわれやすいという。また、近年の複数の実験では、頭の回転が速い人ほど、信念を改めることに苦労することが示唆されている。
科学者の思考モードにいる時、私たちは自分の見解がイデオロギー化することを拒む。結果や解決策から始めない。まず、疑問を投げかけ、思案する。直感に基づいて説を立てない。証拠をもとに説教する。私たちの健全な懐疑心(自動的に信じることはせず、論理的で公平な判断に至るように疑問を投げかけること)は、他者の議論だけに向けられるべきではない。自分自身の論点に異議を唱える勇気をも持たなければならない。
科学者のように考えるとは、単に偏見のない心でものごとに対応することではない。それは能動的に偏見を持たないことをいう。なぜ自分の見解が「間違っているかもしれない」のか(なぜ自分の見解が正しいのか、ではない!)、その理由を探し、わかったことに基づいて見解を改めることが必要だ。
前述のことは、他の思考モードでは起こらない。牧師モードでは、考えを変えることは心の弱さの表われだ。科学者モードでは、考えを改めることは知的誠実さを示す。検察官モードでは、他者に説得されるのは負けを意味する。これは科学者モードでは、真実に一歩近づいたと認識される。政治家モードでは、人は、アメかムチかに応じて反応を切り替える。科学者モードでは、より明晰な論理、より確かなデータに基づいて見解を改める。
科学的な思考は、自尊心よりも謙虚さ、確信よりも懐疑、無関心よりも好��心を美徳とする。科学者の思考モードを解除すると、再考サイクルは崩れ、かわりに過信サイクルが展開する。
将来の目標に達するのに十分な能力が備わっていると自信を持ちながら、そのための正しい手段は何かと現在の自分に問う謙虚さを持つことは可能だ。そう、それが最適な自信レベルである。
アメリカと中国におけるリーダーシップの有効性についての調査によると、最も生産性が高く、革新的なアイディアを持ったチームを率いるのは、自信に満ち溢れたリーダーでも謙虚なリーダーでもなく、自信と謙虚さの両方を兼ね備えたリーダーだという。そのようなリーダーは、自分の強みを確信している一方で、自分の弱みをも十分に把握している。大きく飛躍したいのであれば、まずは自らの限界を認めなければならないこと、そして今の限界を超えなければならないことを知っているのだ。
自分がインポスターであるかのような不安が込み上げてきた時、あなたは内なる自分にこう言うかもしれない―不安なんか無視しろ、もっと自分を信じるべきだ。だがむしろ、不安を受け入れたほうが、私たちはよりよい結果を生む可能性がある。なぜなら、不安や自己を否定する感情は三つのメリットをもたらすと思われるからだ。
第一に、自分はインポスターだと感じることで、人はさらに努力する傾向にある。レースに参加するか否かでなかなか踏ん切りがつかずにいても、スタートラインに立った途端に覚悟が決まり、ゴールに向けて駆け出し、最終レースの出場権を獲得するために全力疾走する。一方で、人は自信があると現状に甘んずる傾向にあることが、国内のコールセンター、軍隊、政府機関、および非営利団体を対象にして私が行った調査でわかっている。また、他者を失望させることに対してなんの心配も気遣いもしない人は、実際に他者を失望させがちだ。インポスターのような気分に陥った時、人は、他者の期待に応えなければならない、もっと頑張らなければならないと思うようになる。インポスターは決心するのは誰よりも遅いかもしれないが、 いったん決心すると人一倍力を尽くすだろう。
第二に、インポスターであるような劣等感は、能率的に仕事をこなそうというモチベーションを生むことができる。勝つ見込みがない時は、ダメでもともとなんだから、別の戦略を試してみようかという気になるだろう。先にも述べたように、全くの素人はダニング=クルーガー効果の罠にはまらない。自分をインポスターだと思うことで素人のマインドセットになり、他者が当たり前だと思うようなことや一般的な概念を疑問視するようになる。第三に、インポスターであるような感情は、学習能力を高める傾向にある。自分には知識やスキルが不足していると認識することで、人は謙虚になり、他者の知恵を借りようとする。心理学者のエリザベス・クルムレイ=マンキューソおよび同僚の研究者はこう記している。
「学習には謙虚さが必要である。学ぶべきことがあると認める姿勢が大事だ」
言われてみて気づいたが、私にもそんな体験がある。大学生の頃、私の想像をはるかに超え研究結果を読んで衝撃を覚え、社会科学に引き込まれていった。立て直した仮説を寮の友人に語りたくてうずうずしなが���、帰路についたものだ。初めての単独リサーチプロジェクトで、私は自分の仮説を検証したが、仮説のうちの少なくとも十数は間違っていたことがわかった。自分を過信してはならない、謙虚に学ぶべきだと深く反省しただが、私は打ちひしがれるところか、胸の高鳴りを覚えた。自分の過ちを発見したということは、自分の知識が一つ増えたということであり、それが嬉しかった。「自分が何かを学び得たかどうかを知る唯一の方法は、自分の過ちを発見することだ」とダニエル・カーネマンは言ったが、全くそのとおりだと思う。
ダニエルは、牧師のように人を諭すことにも、検察官のように人を非難することにも、政治家のように多くの人の支持を得ることにも興味がない。根っからの科学者であり、真実の追求に献身する。どうすればそのような思考モードを維持できるのかと尋ねると、自分の信念をアイデンティティから切り離すことがカギだと教えてくれた。「私があまりにも自分の考えをころころ変えるものだから、同僚研究者は頭を抱えているよ」と説明する。「私の場合、自説に固執するのはあくまでも暫定的。自分の考えを無条件に愛することはない」
私は調べるうちに、二種類のデタッチメントがとりわけ有益だとわかった。一つは、現在の自分を過去の自分から分離すること。もう一つは、自分の意見や考えを自分のアイデンティティから分離することだ。
私の教え子の一人であるレイチェル・プリューハウスは、大学バスケットボールの強豪チームには熱狂的なファンがいるのに、試合では観客席に空席が目立つことに気づいた。ファンを刺激し、試合会場へと足を向けさせるための戦略を研究するため、私たちは、シーズンチケットを所有する数百人のファンを対象とし、一週間後に開催される試合で実験を行なうことにした。自らの意思に任せた場合、筋金入りとされるファンたちの動員率は七七パーセントだった。私たちは、チームからのメッセージこそ偉大な説得力を持つと想定した。そこで、会場を埋めつくすファンからの熱い声援こそがホームゲームの利点であるという内容の、チームコーチや選手からのメッセージを引用してファンにEメールを送った。だが思いのほか、効果はゼロ。対象グループの動員率は七六パーセントにとどまった。
ところが、Eメールによる他のアプローチを試したところ、大きな変化が見られた。「次回の試合を観に来る予定ですか」とごくシンプルに尋ねたところ、動員率が八五パーセントに跳ね上がった。この質問は、ファンたちに試合に行くかどうかを自分で決める自由を与えたのだ。
複数の心理学研究によると、たいていの場合、あなたを最もうまく説得して考えを改めさせることができるのは、あなた自身であるという。あなたは、最も納得できる理由を自分で選び、その決断に対して当事者意識を持つことができる。
現実社会では、固定観念の払拭や偏見の排除は、一夜にして成し遂げられるものではない。人は当初から敵対心など持っていなくても、自分の考え方に異を唱えられたりすると、即座に守りの姿勢に入るものなのだ。彼らの見解が理不尽だと伝えるだけでは人々の視野を広げるまでには至らない。そうするためには、固定観念を持つ人に「反事実的思考」をしてもらうことだ。つまり、別の世界を想定し、そこに住んでいたら何を信じるかを考えてもらう。
心理学での反事実的思考とは、現実の状況がどのように異なった形で展開していたかを仮想して考えることをいう。ひょっとすると異なる状況では異なる見方をしたかもしれないと気づけば、人は今の固定観念を改める気になるのではないだろうか。
他者の反事実的思考を作動させるには、例えば、次のような問いを投げかけてみるといい。もし、黒人としてこの世に生まれていたなら、あるいはラテン・アメリカ人、アジア人、ネイティブ・アメリカンだったなら、あなたの固定観念は今とは異なっていただろうか?大都市ではなく農場で、あるいは地球の裏側の国で育っていたなら、あなたの価値観は今とは違っていただろうか?十八世紀に生きていたなら、何を信じていただろう?
前章でディベートチャンピオンや一流の交渉人から学んだように、問いを投げかけられると、人は自分の結論を考え直す気になる。こうした種類の反事実的な質問のどんな点が独特であるかといえば、それらの質問は人々に自身の意見や考えがどこから生じているのかを探求し、他集団に対する立場や態度を再考するように人々を促す、ということだ。
動機づけ面接は、三つの技術から成る。
・聞かれた質問を投げかける
・聞き返しを行なう
・変わろうとする意思や能力を是認する
今日、私たちは、「人を虜にする話術」の黄金時代に生きている。一世代前には考えられなかったような演説台から、雄弁家は人々を惹きつけ、教育する。以前、創造性に富む人たちは、彼らの手法を小さいサークル内で伝授していた。ところが現在、各分野のクリエイティブな人たちはユーチューブやインスタグラムで一国家を建立できるほどの数の登録者を集めることができる。前世代の牧師たちは教会で数百人の信者に説教をしたが、今ではインターネット上の何十万もの信者に語りかけるという大規模な礼拝を行なうことが可能だ。学生一人ひとりと対話するために、大学教授は以前、小規模の授業を行なっていた。それが現在ではオンラインコースを通じて無数の人たちに授業を公開することができる。
これらの講義や講演が興味深く、多くの知識をもたらすものであることに疑いの余地はない。だがはたして、それらが理想的な教授法だといえるだろうか。先述の物理クラスの実験で、学生らは静的平衡と流体についてどれだけ学んだかの測定テストを受けた。より好まれたのは講義だったものの、実際に学生たちがより多くの知識やスキルを身につけたのは、アクティブ・ラーニングだった。アクティブ・ラーニングは脳をより働かせなくてはいけない。そのため、学生を楽しい気分にはしてくれないが、深い理解へと導いてくれる。
長い間、私は楽しければ学ぶことも多いと信じていた。しかし、この実験で、自分の見解が間違っていたことがはっきりわかった。
なぜ「成績優秀者」は社会で必ずしも成功しないのか
このプロジェクトを開始してから、私はある意外なパターンに気づいた。最も悪戦苦闘していたのは、常に成績優秀で、何でも完璧にこなす学生だったのだ。完璧主義者は、学校の試験���は同級生よりも高得点を上げることが多い。ところが、いざ社会に出て仕事を始めると、彼らのパフォーマンスは同僚よりも優れているとは限らない。学校の成績はキャリアの成功を予測する判断材料にならないことは、あらゆる業界における調査でも明らかになっている。学校で優秀な成績を収めるには、たいてい古い思考方法をマスターする必要がある。一方で、すばらしいキャリアを築くには、常に新しい考え方をすることが不可欠だ。偉業を成し遂げた建築家たちを調査したところ、最も独創的な建築家は平均してB評価の成績で学校を卒業していたという。かたや全教科でAを取った建築家たちの多くが、正しさにこだわり、保守的な考えや慣行を再考したがらなかった。同様のパターンは、大学を首席で卒業した学生を対象とし調査でも見られた。「卒業生総代が将来、先見の明がある人物になる可能性は低い」と教育学研究者のカレン・アーノルドは述べる。「そのような人たちは通常、既成システムの一部になり、それを改革することはない」
…私はNASAとゲイツ財団で研究を行ない、組織変革のアドバイザーを務めてから、学びの文化を醸成するには、「心理的安「全性」(不安を感じることなく問題や自分の意思を伝えられる状態)と「アカウンタビリティ」(説明責任)という組み合わせが必要である、ということに気づいた。
別の実験では、リーダーは異なったアプローチを用いた。その結果、第一週目には大きな変化は見られなかったものの、一年間で徐々に心理的安全性が高まっていった私たちは無作為に選んだリーダーに、部下にフィードバックを求めるかわりに、彼ら自身がフィードバックを受けた時の経験や、自分の将来の目標について部下に語ってもらった。彼らが建設的な批判から学びを得たこと、そして彼らの自己改善の努力について、率直に話すように私たちは助言した。
自分たちは発展途上にあるのだと認めるには、謙虚さを忘れない自信が必要だ。つまり、自分の有能さを誇示するよりも、自分を改善しようとする意欲や向上心が大切ということだ。このマインドセットが組織内に広く、深く浸透すれば、人々は率直に、勇気を持って意見を述べるようになるだろう。
とはいえ、マインドセットだけでは組織の文化や風土を改革することはできない。心理的安全性が高ければ、権限を持つ人に向かって発言する際の不安を持たずにすむ。だが、そもそも心理的安全性は、必ずしも「権限者に異議を唱える動機」を与えるものではない。学びの文化を築いていくには、「職場におけるベスト・プラクティス(最適だと思われる方法、一番効率的な方法)とは何か」と再考するよう人々を導いていく、特別な種類のアカウンタビリティ(説明責任。自分が権限を持っている職務について説明する義務)も必要なのだ。
私の教え子たちが、自分のキャリアにおける自尊感情の進化について話す時、多くの場合、次のように発展している。
第一段階:自分は重要ではない
第二段階:自分は重要だ
第三段階:何か重要なことに貢献したい
自分自身に十分な能力があるという自信を持ちながら、目標を達成するための正しい手段については常に自問する謙虚さを持つ。ここに確信と謙虚さの真のバランスがある。
つまるところ、私たちが学ぶのは、自分の信念を肯定するためではない。学びの目的は、信念を進化させることなのだ。
■インパクトのための行動
~再考スキルを磨くための30の秘訣~
1.自分の考えを再考する方法
A 再考する習慣を身につける
1 科学者のように考える
意見を述べる時、他者を説教したり(牧師)、自説以外をすべて非難したり(検察官)、その場しのぎの言い訳をしたり(政治家)したくなっても、その衝動を抑えること。自分のアイディアは単なる直感または仮説として捉え、それが正しいか実験してみる、あるいは既存のデータと照らし合わせる。そうすると、ビジネス戦略を実験とみる起業家のように、いつでもに思考をめぐらすことができるだろう。
2 信念ではなく、価値観に基づいて自分を定義する
過去の信念を現在のアイデンティティの一部としなければ、固定観念にとらわれることはない。好奇心、向上心、思考の柔軟性、探求心を大切にし、自分の価値観をとおして自分と向き合うこと。意見を立てる時は、自分の考えを変え得る要素も用意しておくといい。
3 自分の意見に反する情報を探す。
確証バイアスに陥らないため、フィルター・バブルを破るため、そしてエコー・チェンバーから抜け出すために、自分の思い込みに反する意見を積極的に見つけよう。考えるように促してくれる人や、自分と異なる意見を持つ人と関わることをお勧めする。
B 自分の自信度を調整する
4 マウント・ステューピッドの頂上で立ち往生しないように注意する
自分の能力を過信してはならない。ダニング・クルーガー効果が示しているとおり、あなたの優越感が強くなるほど、自分を過大評価する傾向が強くなる。優越感に浸ってばかりいると、学ぶことも自分を向上させることもできなくなる。自分の知識を過大評価しないようにするには、該当テーマについて自分がどれほど詳細に説明できるかを考えてみるといいだろう。
5 懐疑心のメリットを活かす
自分の能力を疑う時、その状況を自己向上のチャンスとして受け止めること。問題の解決方法に確信が持てなくても、自分には学ぶ力があると信じることはできる。多くの場合、自分の無知を知ることが、知識や技術を磨くための第一歩となる。
6 自分の間違いを喜ぶ
自分の過ちを見つけた時、それは新しい答えを見つけたことを意味する。過ちをおかした自分を笑おう。そうすることで、自分の力量を証明することよりも、自分を向上させることに集中できる。
C あなたの考えを他者に評価してもらう
7 知り合ったすべての人から新しいことを学ぶ
どんな人でも、あなたが知らないことを知っているはずだ。最近、何について再考しているのか、周りの人たちに尋ねてみよう。あなたが昨年考え直したことについて話してみるのもいい方法だ。
8「応援ネットワーク」だけではなく、「挑戦的なネットワーク」もつくろう
自分の応援団を持つのもいいが、時には自分を批判してくれる人も必要だ。建設的な批判をしてくれるのは誰だろう?そのような人を見つけたら、あなたの考え方に偏りや盲点���ないかを評価してもらおう。その際、あなたに反対意見を受け止める寛容さがあることを相手に示す必要がある。そして、なぜあなたがその人の批評を尊重するのか(どのような批評が自分にとって有益なのか)も伝えるといいだろう。
9 建設的な対立を恐れない
意見の不一致が、必ずしも不快であるとは限らない。ほとんどのリレーションシップ・コンフリクトは生産的ではないが、タスク・コンフリクトは再考を促してくれる。意見の不一致を口論や諍いではなく、討論として捉えるといいだろう。そうすると、反対意見を個人攻撃として見ることなく、前向きで実りある話し合いを持つことができる。
2 相手に再考を促す方法
Aよい質問を投げかける
10 説得力ある傾聴法を身につける
多くの場合、他者に心を開いてもらうためには、話すよりも耳を傾けるほうが効果的である。相手が自分の意見や考えを明確にし、変わる動機を自力で見つけられるよう手助けをする時、あなたは純粋な関心を示さなくてはならない。そのためには、まずあなたの意見ではなく問いを多く発しよう。
11「なぜ」ではなく「どのように」を考える
人は自分の信念の理由を述べる時、その信念にいっそう固執する傾向にある。だが、その信念を「どのように」実現できるのか説明しなければならない時、人々はたいてい自分の理解が足りないことに気づき、考え直すようになる。
12「どのような証拠であれば考え直してみようと思いますか?」と尋ねる
相手を脅して賛同を得ることはできない。どんな証拠であれば相手は受け入れることができるのかを尋ね、示された条件の範囲で相手に働きかけたほうが効果的だ。
13 相手の意見はどのように形成されたのかを尋ねる
私たちの意見の多く(例えば、固定観念)は根拠に基づいていない。私たちは、しっかりしたデータと照らし合わせることをせず、十分に吟味しないまま、意見を立てることが多い。異なった時代や環境で生まれていたならどのような見解を持ったのかと考えるように促せば、相手は既存の見解を別の観点から見つめ直すようになるだろう。
B 意見の相違は対立ではない。ダンスのようにアプローチする
14 共通の基盤を見出す
ディベートはいわばダンスだ。戦いではない。相手の見解の一部を認めることは負けを意味するのではない。むしろ真実に基づいて協議しようというあなたの前向きな姿勢を示している。そうすれば、相手も歩み寄って、あなたの主張を検討しようという気になるだろう。
15「少ない」ほうが得るものが「多い」
自分の主張を支えるために多くの理由を挙げすぎると、聴衆は身構えることもある。そして聴衆は最も弱い理由に基づいて、あなたの主張を全面的に否定するかもしれない。浅薄な理由を多く提示するのではなく、最も強い理由を数点のみ挙げよう。
16 選択の自由を強調する
多くの場合、人々が反発するのは、あなたに同意しないからというよりも、むしろ自分の言動が操作されているように感じるからである。何を信じるかの選択権は相手にあることを伝え、相手の決定を尊重しよう。
17 対話について対話する
話し合いが感情的になったら、軌道を修正するために話��合いのプロセスについて話し合おう。一流の交渉人のように、自分の感情を客観的に述べて、相手の気持ちも理解するように努める。あなたの失望や落胆を言い表わし、相手も同様の感情を抱いているか尋ねることで、軌道を修正できることもある。
3 学び、再考し続ける社会・組織を創造する方法
A より多くのニュアンスを含んだ対話をする
18 世論を二極化するトピックを複雑化する
どんなトピックにおいても、必ず二つ以上の見解があるはずだ。白か黒かの答えを探すよりも、問題を複眼的に考察しよう。白でも黒でもない、グレーの部分を認識するようになれば、先入観を持たずに考えることができる。
19 矛盾や不確実性に言及することを恐れない
自説に反する結果や相反する他説の有効性を認めたとしても、それにより人々の関心や信頼が薄れることはない。むしろこれは、人々の関心を引きつけ、人々に積極的に考えるよう促すための効果的な方法だ。
20 あなたの感情の枠を広げる
建設的な対話を持つために、自分の失望や憤りなどの負の感情を抑える必要はないだが、さまざまなニュアンスの感情を織り込むべきだ。相手の見解に対する関心を示したり、さらには困惑やアンビバレンス(二つの対立した感情が同時に存在すること)を認めたりするといいだろう。
B 子どもに再考について教える
24 根拠のない神話を崩すための会話を週に一度、夕食時に行なう
誤った思い込みは、大人になってからよりも幼いうちに取り払ったほうがいい。また、これは子どもに再考することを教え、柔軟な思考を育てるためのすばらしい方法だ。毎週、異なったトピックを選び(例えば、今週は恐竜、来週は宇宙について)、話し合いをする進行役を家族内で回り持ちしよう。
22 子どもに複数の草案を書かせて(またはスケッチを描かせて)、他者から意見を求めるように促す
さまざまなバージョンの絵や物語を書く(描くことで、子どもはアイディアを改変していくことの大切さを学ぶ。また、子どもは他の人の意見に耳を傾けることで、自分の価値基準を進化させていくことができる。困惑と向き合うこと、そして初挑戦で完璧にこなそうと期待しないことも学ぶだろう。
25 「大きくなったら何になりたいか」と子どもに尋ねない
職業に基づいて自分自身を定義する必要はない。アイデンティティを一つに絞ることで、他の道を閉ざすこともある。子どもの選択肢を狭めるかわりに、可能性を広げてあげよう。子どもたちは生涯一つの職業にとどまらなくてもいい。さまざまな職業を選ぶこともできるのだ。
C 学ぶ組織を築く
24 ベスト・プラクティスを払拭する
「ベスト」プラクティスは、理想的なルーチンがすでに確立したことを示唆している。働き方を常に再考して改善したいのであれば、プロセス・アカウンタビリティ(過程や手順について説明責任)を導入し、「ベター」プラクティスを追求し続けたほうがよい。
25 心理的安全性を確立する
学び続けようとする文化が醸成されると、人は自信を持ち、報復を恐れることなく現状を疑問視し、異を唱えることができる。指導者が謙虚さを示して模範となれば、心理的安全性が築かれていくだろう。
26 常に再考のスコアカードをつける
結果だけに基づいて決断のよし悪しを評価しないこと。決断のプロセスにおいて多様な選択肢 が熟考されたかどうかを確認しよう。決断の結果がよくても決断のプロセスが底の浅いものであれば、運がよかっただけだ。繰り返し熟考されたよい決断のプロセスでは、結果が悪かったとしても、賢明な実験が行なわれたといえる。
D 視野を広げ、自分の将来について再考する
27 十年計画は立てない
去年、熱中していたことが、今年はつまらなく思えることもある。昨日理解できなかったことでも、今日は面白いと思えるかもしれない。情熱というのは、発見するのではなく発達していくものだ。計画を立てるのであれば、ワンステップ先のみでいい。そうすれば、広い視野を保ち、柔軟に再考することができる。
28 環境だけではなく、自分の行動も再考する
幸福は、追求すると逃げていくこともある。状況や環境を変えるだけで幸福度が増すとは限らない。楽しみや喜びは、その時々で増減するが、意味や意義は持続する。自身の向上のために学んだり、他の人たちのために貢献したりといった行動により、目的意識や人生の意義を見出すことができる。
29 人生のセルフチェックを定期的に行なう
立場固定バイアスにとらわれ、いずれ後悔するような道を頑固に突き進む可能性は誰にでもある。病院での健康診断のように、人生の診断を年に一~二回行なうとよい。セルフチェックの際には、現在自分がどれほど学んでいるか、自分とともに信念や目標も進化しているか、次のステップは自分に再考や進歩をもたらしてくれるかを評価しよう。
30 時間をつくり、再考する
私は自分のカレンダーを見て気づいたが、ほとんどの日は予定がぎっしり詰まっている。そこで、一日に一時間の空きをつくり、考えたり学習したりする時間に充てることを決めた。現在は、さらに週に一回、再考とアンラーニングを行なっている。また、自分のどのアイディアや意見を見直すべきか、「挑戦的なネットワーク」にも協力を求めている。先日、妻のアリソンから、「マヨネーズ」の発音の仕方を再考すべきだとアドバイスされた。