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母子家庭で学校の「朝食クラブ」や週に一度のフードバンクに頼って生活しているネルソンと妹のアシュリーと母さん。ところが頼みのフードバンクに最近食料が満足に届かない。どうやら善意の寄付を盗んでいる者がいるらしい。ネルソンは友人のハリエットやクリシュとともに立ち上がる。
フードバンク推進協議会の理事さんによるあとがきによれば、日本のフードバンクが取り扱う食品の量はイギリスの6分の1以下だそう。まだまだなじみがないし、心理的なハードルもあるのでは。
この物語で特にいいなと思ったのは「朝食クラブ」やフードバンクの人たちが親切で、当然のこととして運営しているのだというふうに描かれていること。
それでもネルソンにはやはり負い目もあって、親友のハリエットたちには、ほどこしなんかいらないとつい強がってしまう。そんな垣根を乗り越えて一緒にどろぼう退治に立ち上がる というあたりがさらりと、でもきちんと描かれていて好きだった。
クライマックスのネルソンの行動……そりゃあんたさすがにキケン……と思ったけど、アメリカじゃなくイギリスが舞台だと気づいて納得。銃社会立ったら無理だわー。
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読書感想文コンクール課題図書 中学年の部
https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html
食事を取ることができない家庭のためにある「食べ物銀行(フードバンク)」を利用するネルソンの家庭を通して、食の貧困問題や、自分たちができることを考えるようになるお話。
カラッとした語りの裏に、ネルソンの一家の深刻な状況が読み取れる。
ネルソンの家庭は、父親が家庭を捨てて出ていったために経済貧困になった。ママは定職があるようでまだ良かったが、一日中働いても家賃や公共費などでいっぱいいっぱい、どうしても食事が足りない。ネルソンとアシュリーの兄妹で一枚のトーストを半分ずつの夕食という生活になってしまう。
ネルソンたちが利用しているのは、食事が足りない家庭への「フードバンク」と、学校の「朝食クラブ」。
フードバンクは、スーパーマーケットのお客さんが寄付するつもりで買った食べ物を所定の場所に置かれているカートに入れていく、というもの。フードバンクの担当者がスーパーを回ってカートを回収する。「引換券」を持っている人が、フードバンクに行き、寄付された食料を持ち帰る。
学校の「朝食クラブ」は、食に困っている家庭の子供が、シリアル、フルーツ、飲み物を食べることができるという場所。
小説でのネルソンたちは、明るく楽しく、ご飯が足りないこともゲームにしているため、深刻な状況でも湿っぽい感じはしない。
フードバンクでもらってきた食べ物でごちそうが作れるか?目の前の粗末な食べ物を豪華なごちそうだって思うには?
ママは優しいし、ネルソンは「ぼくが働いて必ず家族を楽にする」と決意している。でもやっぱり友達にいつもお腹をすかせていることを知られるのは恥ずかしい気持ちがある。
友達はネルソンの状況をなんとなく察している。イギリスではフードバンクのカートなどが当たり前に置かれているということで、「そんな人がいる」ということが分かっているのだろう。しかしネルソンが恥ずかしいという気持ちもわかるので、はっきり「あげる」とは言わないのだ。「ぼくこれ嫌いなのに(本当は大好物)、ママがいっぱい買ってきちゃって、困ってるんだ」「朝ご飯食べすぎてお腹いっぱいなの。これ食べてくれない?」などと食べ物を分けようとする。
この友情もとても良い。一度ネルソンが「憐れむのはやめてくれよ!」と爆発しちゃうんだけど、それを聞いて「ぼくたち、悪いことしちゃったかな?」と余計に気を使ってくれる友達だ。
そんな友達だから、ネルソンも自分の困窮を相談することができるようになる。
話のクライマックスは、ネルソンと友達でフードバンクどろぼうを捕まえるところだ。
「最近スーパーのフードバンクカートの食べ物が少ない、盗まれているのではないか」ということ。ネルソンの家庭の状況を読んきた読者も怒る、許せん!!
…まあネルソンたちの活躍で、スーパーを回ってフードバンクカートを盗んでいる窃盗集団は一網打尽、一家は表彰され、そして食に困る子供たちの現状を社会に訴える機会も得ることができたのでした。
物語には、地元���サッカースーパースターが出てくるのですが、このサッカー選手のモデルがマンチェスターユナイテッドのマーカス・ラシュフォード選手(サッカーに詳しくないので存じませんでした(^_^;))だそうです。
ラシュフォード選手は、自分も子供の頃に無料給食に助けられたという経験から、イギリスの無料給食制度の継続を取り付けたということ。
爽やかな語りのなかに、かなり深刻な問題を書き、しかも子供たちの行動で社会も変わりそうという、なかなかすごい話だった。
あとがきには、イギリスと日本のフードバンク情報も載っています。
日本の「全国フードバンク推進協議会」 https://www.fb-kyougikai.net/
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2023年課題図書
中学年の部。
SDGsですね。
フードバンクという、日本では耳馴染みのないシステムについて描かれている。食べることができない子供達のお話を読むのは本当に心が苦しい。
満足に食べれていないことを友だちに隠していたり。ママの気持ちもきつい。
この話を子供たちがどう受け止めるのか気になる。
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2023年中学年課題図書
ネルソンが主人公。
妹のアシュリーのこんな言葉から物語は始まります
「ネルソン、おなかすいたよ!もうごまんできない。ほら、おなかがペチャンコだよ!」
ネルソンは、妹のアシュリーとお母さんとの三人暮らし。1年前にお父さんは、ネルソン達よりも大切な人が出来て出て行ってしまった。
お母さんは、看護師として働いているけど、「ぎりぎりの月」がある。ぎりぎりの月とは食べ物や必要なものを買うお金が足りなくなる月のことだ。だから家に食べるものがほとんどなくなってしまう。
お母さんが帰って来て、「あと1日我慢すれば、銀行で必要ないものが手に入るから」と言って、ささやかな夕飯を用意する。
その銀行って言うのは、あのお金を預けたり引き出したりする銀行ではなくて、フードバンクのこと。ここをネルソンの家族は1年前から利用している。この銀行はお金を払わなくても食べ物をもらえる。
ネルソンは学校の朝食クラブも利用している。授業前にただで朝ごはんがここで食べられる。
ネルソンはそこで、フードバンクが大変な事になっている、誰かが食べ物を盗んでいるようだと言うことを聞く。
実際、フードバンクに行ってみると、いつもより引き出せた(貰えた)食べ物が少なかった。
ネルソンはお腹を空かせている。いつもね。辛いわけです。どんなかって言うと、一日中食べ物を考えている状態。夜眠ることができないくらいお腹が空いている状態。
ところで、ネルソンには、二人の親友がいる。クリッシユとハリエット。この二人のうちはお金があるので、食べ物がある。朝食クラブは利用していない。
ネルソンはいつもお腹を空かせている状況でだから、二人は食べ物「分けてくれようとするが、
憐れむのはやめてとネルソンが言ってケンカのようになる。でも、結局、ネルソンは朝食クラブのことやフードバンクから食べ物が盗まれていることを明かす。
で、犯人を捕まえる計画を立て3人はスーパーの張り込みを始める。
なぜスーパーを見張るかと言うと、
フードバンクは寄付でら賄われているのだけど、仕組みは、スーパーに来た人が買ったらものの一部をスーパーに置いてある専用の寄付のカートに入れて、それをフードバンクが並べて、必要な人がもらう。
この本は、フクションだけど、本当の事を元に書かれた物語で、今の社会の問題を描いています。
だから、この物語ができた過程を含め巻末には、イギリスと日本のフードバンクや朝食クラブ(日本では朝給食)の事が説明してある。
物語として純粋に読んでも良いけど、お腹を、空かせた子どもがいる今の現実を物語を通じて考えるのも良いと思います。
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お金のない家のネルソンが、フードバンクの泥棒を、友だちと一緒につかまえた。勇気がすごいと思ったけど、それだけネルソンのおなかが空いているということなんだと思う。かわいそうだ。どろぼう車に向かってお菓子を投げつけるというのは、おもしろい。
日本のフードバンクや貧困については、聞いたことがあるという感じ。後書きに、コロナの影響で仕事を失った人がいるということも書いてあって、自分も、いつそうなるかわからないんだと思った。
ぼくは、寄付をするのは難しいけど、食べものを残すのはやめようと思う。
笑いながら一気に読んだ。おもしろかった。(小6)
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後半涙出てしまった。
フードバンクってワード自体全然知らなくて、すごく沁みた。子供達だけで泥棒をどうにかしようと、奮闘していくシーンは純粋にグッと来た。
物語は海外だけど、ラスト日本の現状のフードバンク事情が知れたのが良かった。もっと知りたくて、インターネットで検索しました。
お腹すいたのを紛らわすために、お母さんが子供のために考えたゲームが悲しすぎて…
日本や世界でも物価高騰のために、まともに3食取れない家庭が増えている。特に片親家庭…のイメージ。今ちょうど夏休みだし給食なくなると、子供達がちゃんとご飯食べれるか心配だな。
読んでからコンビニでフードロスをなくすために、カゴを設置しているのが目につくようになった。
まずは自分にできる手助けからしていきたいと思います。
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父さんが出ていってから、ぼくのうちでは食べ物に困ることがよくある。でも、そんなぼくらの助けになるのがフードバンクだ。お金がなくても食べ物がもらえるし、みんな親切だ。ところが、そんなフードバンクの食べ物がどんどんへっていった。どうやら、だれかが食べ物をぬすんでいるみたいなんだ……。
子どもの食の貧困にスポットを当てた作品。小学校中学年くらいから。
主人公のネルソンは、いつもお腹をすかせているけれど、母親がろくにたべもせず頑張って働いていることがわかっていて、そんな母親のために食べ物をとっておこうと考える優しい子。親友の2人にははずかしさから自分の境遇を隠している。それでも親友は、なにか気づくところがあるのだろう、食べ物を分けてあげようとする。そのさりげないやさしさがいい。
日本でも貧困家庭が増えていると言われているし、そのための活動も増えつつはあるが、まだまだだ。そういう現実に関する解説もあり、ネルソンたちの活躍が痛快なこともあり、興味深く読んでもらえそうだ。
この著者の邦訳作品はすごくわかりやすくダイレクトに伝わってくる。自分もなにかしないといけない、という気にさせられる。
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どうしても母親目線で見てしまい切なくなってしまいますが良いお話でした。フードバンクは日本でも少しづつ広がっていると思います。不定期ですが私の住んでいる地域でもあるようです。まずは知ることからですね。子どもは飢えず健やかに育ってほしいものです。
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R5年度読書感想文課題図書・中学年
ぼくの家はちょっとお金がない。だから給料日前になると食料が不安になってくるんだ。ぼくと妹はいつもはらぺこさ。
そんなうちの家族の力強い味方がフードバンク。そこでもらってくる食料品が我が家の命綱なんだけど、あれ?フードバンクの食料がすごく少ない。えっ?どろぼうが盗んでるんだって?これは「うえじに」の危機だ。絶対にぼくたちでどろぼうをつかまえてやるんだ。
日本ではまだなじみの薄いフードバンクのシステムが理解できるのと、お金がなくて食料にも困るという生活を共感を持って読める良い本でした。多分イギリスのお話なのですが、お母さんがきちんと病院で働いているのに生活費に困るというのは日本と感覚が違いますね。日本だと、ギリギリ食事はできそう。洋服など買い物や旅行などはできないかもしれませんが・・・。
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R5 小学中学年課題図書
日本であまりまだ広まっていない
フードバンクのお話
スーパーにあるフードバンクに寄付した食料が奪われる
ただ泥棒を捕まえる時に食べ物を粗末にしちゃダメって思った笑
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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んで、イギリスの貧困層の現状に衝撃を受けたのを思い出しました。
『ぼくは…』は小学生には難解な部分が多いかなと感じましたが、本作は平易な語彙かつライトな筆致で、イギリスの貧困を描いています。
中学年の読書感想文向けにしてはなかなかの内容やけど、SDGs学習始まってる年やもんな…と思いつつ読みました。
最後のサッカー選手登場はうまくいきすぎなような気がしましたが、あとがきを読んで実際に活動されているマンチェスターユナイテッドの選手がモデルということで、腑に落ちました。
933に分類されていますが、半分ノンフィクションのような気もしました。
読書感想文を書くとするならば、日本の取り組み…地域の子ども食堂の活動に目を向けてみるとか…(感想文というか調べ学習になりそうですが)
イギリスの経済や雇用についても気になりました。お母さんが看護師として一生懸命働いているにも関わらず今日食べるものに困るって、どういう状況?と…
とにかく、他国はもちろん、日本にもお腹を空かせている子どもがたくさんいるという現実…。自分にできることをしていこうと思いました。
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第69回(2023年度)青少年読書感想文課題図書
小学校中学年の部
「おなかをすかせた人たちを救ってきたフードバンク(食べ物銀行)。そんな世界でいちばんすばらしい銀行が、悪いやつらにねらわれているらしい。ネルソンたちは、子ども探偵となってひそかに調査をはじめるが…。」
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フードバンクというものがある事さえ知らず、気軽な気持ちで寄付したりそんな事も少ない自分。はじめは、フードバンクでどろぼうをするなんて下劣な人たちだと思ったし、彼らをやっつけたネルソン達の行動にも胸がスカッとした。だけど、作者はただ物語をおもしろく感じてもらいたかったわけじゃ無いのだろう。フードバンクという存在やそれに代わるような取り組みがあること、そして、それを本当に必要としている子ども達がいるということ。ネルソンの友達のクリシュやハリエット(またその家族)のように、貧困で困っている周りの人に対して、対等にしかも温かく接する事の大切さを教えてもらった。貧困は、本人の問題ではなく、社会全体で考え、解決すべき問題なのだ。社会で成功していることとその人となりは一致しない。そんなあたりまえの事も、SNSばかり見てたら忘れてしまいそうになる。どんな立場の方にも対等に接する事ができる人でありたい。そして、自分の周りで困っている人に当たり前に手を差し伸べる人でいたい。
子どもの読書感想文の本のひとつに取り上げてもらえて、この本を読めてよかった。
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ごはんが題材に出てくるお話しは最近流行り?のように思えるけど、どちらかというと、おいしい・映えるごはんの話よりかは、フードバンクとか、こども食堂のような話の方が私は興味あるかも。
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イギリスの児童書です。フードバンクの切実さやシステムに多少の違いはありますが、日本での状況が最後に分かりやすく説明されており、フードバンクや貧困について、正しく理解できる本だなと思いました。
フードバンク泥棒を登場させ、それを捕まえることで、かわいそうな話で終わらず、ストーリーとしても、楽しく読めました。
貧困を知られたくない子どもたちの気持ち。
友達の貧困を知り、同情ではなく友情をもって接する子どもたちの気持ち。
子どもたちの気持ちを尊重する大人たちの気持ち。
それぞれの気持ちがきちんと描かれているのも良かったです。