紙の本
徳川家康は三英傑の一人だが
2022/11/02 15:50
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
徳川家康という英雄を、歴史資料から赤裸々に暴くと、凡人であったということか。「私たちは信長や秀吉にはなれないが、努力さえすれば、家康になれるかもしれない。」と著者は結んでいる。信長には、経済を重視して国を豊かにし、最新の兵器を手に入れ戦に勝つという合理的な発想があった。秀吉には、信長の延長線上に農民出身ならではのアイデアを盛り込み、日本を統一した。そして家康は、努力する才能、我慢する才能により安定した統治を得たのだろう。
紙の本
徳川家康
2023/03/16 15:02
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投稿者:らーら - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで想像していた家康は、手の届かぬ未知の人と
思っていましたが、普通の人間がだれでも経験する耐えること自分で考えることを
実践してきた普通の人間だったのかと思うと、まだまだ自分は未熟者だと考えさせられました。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
安心の本郷さんの歴史解説本。
個人的に持っていた家康のイメージは、政治の人。
戦場で大きな功績があるわけではないし、
なにより江戸300年の礎を作り上げた人。
“組織”運営にこそ才を発揮した人。
読み終わってのイメージは、ド戦国武将。
もちろんやっぱり荒くれものではないし、どちらかというと学の人。
感覚は近代的でもある。
けれど戦国の人。
生き残ることに命を懸けた。
命を懸ける対象が当時の最先端だったことが、
徳川家康という結果を産んだ。
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我々も努力すれば家康にはなれるらしい?
2022/12/31 11:51
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、一般人向けに多くのわかりやすい歴史解説書を執筆している歴史学者である。本書の内容は、対武田の捨て駒にされたり、息子を殺されたり、辺境に左遷されたりの大変な思いを次々に耐えて耐えて耐え抜いた家康について、家臣団、軍事、政治・経済、外交などの視点からの分析である。歴史学者であるだけに、家康が遭遇した様々な場面において、なぜそのような行動をとったかについての考察は読みごたえがある。石川数正が豊臣秀吉のもとに出奔した事件の解釈で、「小説家の山岡荘八の見解は、司馬遼太郎の深さには及ばない。」や「精強にして忠実な三河武士」の伝説はプロパガンダであるといった著者の見解も興味深い。著者は歴史の不思議として次の3つを挙げている。◆なぜ秀吉は家康を生かしておいたか?◆鎌倉幕府初期の権力闘争で敵対していた北条VS比企。比企は政敵に招かれ、ほいほいと無防備で出かけて北条に殺される。比企はどこまで油断していたのか?◆豊臣秀頼は大阪の陣で、なにかしらのアクションを起こすべきであったのに、なぜなにもせず滅ぼされてしまったのか?本書とほぼ同時期に出版された著者作の『天下人の日本史』(宝島社新書)で、最初の不思議については、著者の見解が示されている。
本書の著者の結論、<私たちは信長や秀吉にはなれない。でも、努力さえすれば、家康にはなれるかもしれない。頑張りましょう!>、どのような努力をすればよいのやら・・・。
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今までに何度も取り上げられている「徳川家康」ですが、来年(令和5年)の大河ドラマは家康が主人公のようですね。歴史を知っている私たちは、徳川家康は江戸幕府を開いて、最後には最大のライバルである豊臣家を滅ぼして将軍を秀忠に譲って優雅に隠居したように思っていますが、彼は戦国時代を数々の試練を乗り越えてきたと思います。本屋さんに並べられているこの本の表紙には「来年のNHKドラマがもっと面白くなる」と書かれており、それに惹かれて購入しました。
戦国時代を終わらせる基礎を作った信長、それを実行に移した秀吉、それらを利用して戦国時代を終わらせて平和な世の中をもたらせた家康、この三人が実に良い働きをしたと私は思います。家康は、天下を取るまで様々な苦労をしたと思いますが、家康の活躍した内容を、本郷氏の切り口で学ぶことができました。
以下は気になったポイントです。
・桶狭間の戦いは何のための戦いであったか、これは鳴海城というお城をめぐって織田と今川の間で行われた戦いであった。成海城はもともと織田の勢力下にあったのですが、それが今川に寝返ります。信長は鳴海状に対して、3つの砦を造って包囲する。それを救援するために今川義元が軍勢を率いて出撃した。今川から見れば、織田の包囲から鳴海城を救援するための戦いであった。この城は知多半島の付け根にあり、この城をもぎ取ることで知多半島を支配できる。三河湾の交易の権益、常滑焼などの焼き物もある(p22)
・知多半島は、尾張一部の知多郡と海東郡は一色氏(分郡守護)が持っていた、尾張の守護大名は斯波氏である、今川義元の目論見は、鳴海城を確保することでその知多半島を尾張国から切り離し、領有するために行われたのが桶狭間の戦いであった(p23)
・長篠の戦いにおいて、酒井忠次が、鳶ノ巣砦(武田の部隊の後方に布陣)を襲い、守備隊を全員戦死させて制圧したので、武田勢は退路を断たれる形となり、前進するしかなくなった(p53)
・三河全体を統一するには、まず東三河を支配する必要があった、これを束ねていたのが酒井忠次、西三河を束ねていたのが石川数正(秀吉に寝返り)であった(p59)
・戦争とは総合力なので、基本的には兵力が多い方が必ず勝つ、しかし補給が十分でないと勝つことは難しい、優秀な兵器を揃えた上で、しっかりとご飯を食べさせる(p65)
・家康は乗馬と水泳を死ぬまで鍛錬していた、両方とも逃げることを前提にして訓練している、信長(逃げるくらいなら腹を切る、是非もなし)や秀吉(前もって逃げることを考えるくらいなら勝つ方法を考える)とは異なる(p72)
・武田にとって対上杉の城は、信濃の海津城である、これは後に松代城と名前を変えて、江戸時代は真田10万石の城になって、その繁栄が長野市にまで受け継がれた(p76)
・家康の次女は最初は北条氏直と結婚したが、後に潰れてしまい、池田輝政のところに嫁いだ、家康が天下人になったときに池だけは一族でほぼ100万石の広大な領地をもらった。輝政は姫路城主となった、その後、岡山30万石、鳥取30万石となって残る(p89)
・城には、この町を守るための城がある、博多の町を守るための立花山城、奈良の町を守る松永久秀が造った、多聞山城、堺は街自体が城であった、秀吉の伏見城も京都を守る城である(p96)
・経験値を積んだ家康の采配が唯一、見事にはまって輝きを見せた戦いが「小牧・長久手の戦い」であった(p104)
・賤ヶ岳の戦いにおいて、よく前田利家が寝返ったというエピソードが言及されるが、それはあくまでもおまけ、この戦いの本質は、秀吉がわざと美濃に移動して見せて、それで柴田軍を誘き出したことにある。そうして柴田軍の中核である佐久間盛政の部隊を叩き、その勢いのまま柴田の本拠、福井の北ノ庄城まで攻め入った(p109)
・現存天守、昔のままの天守閣をもった城が現在、12個残っている、最後まで個人所有だったのが、犬山城であった。(p140)
・室町幕府の成立は、尊氏が将軍に任命された1338年ではなく、2年前倒しの1336年(建武式目:幕府の憲法の制定)、朝廷の価値がまだ高かった鎌倉・室町でさえ、征夷大将軍に任命された年が幕府創設だという考え方が退けられている。(p163)すると江戸時代の始まりは、関ヶ原の戦いのあと(1600)となる(p164)
・領地は大幅に減らすが家は残す、というやり方は足利義満も行っている、義満は美濃の土岐、参院の山名、大内といった守護大名を討伐したが、当主は討ち取ったが家までは潰さなかった、これと同じように上杉も存続を許された(p165)
・家康は西から来る敵に対して、彦根に井伊、伊勢の津に藤堂、伊勢の桑名には本多、を配置した。東日本と西日本を二つに分けるとすると、彦根・桑名・伊勢の津のラインで分けるのがシンプルだが、家康はこのラインに信頼できる大名を置いた(p169)
2022年11月15日読了
2022年12月31日作成
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『三河雑兵心得』を楽しむ奥行きが増えればと読んだ。信長、秀吉との比較はもちろん、関東に幕府を開いたということで鎌倉との対比も興味深い。本書ではやや冗長な言い回しも見られたが、いつもどおり判りやすい説明だった。
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何気なく紐解き始めると「停められない…」というような調子になって、ドンドン読み進めて素早く読了に至った。非常に興味深かった。
「徳川家康」と言えば、「誰でも名前位は知っている」と言ってしまっても差し支えない存在かもしれない。数多の小説や映像作品の劇中人物としても登場している。それ故に色々なイメージにも彩られている。更に言えば、江戸幕府の“創業者”ということで色々と「持ち上げられた」というような側面も在って、それ故のイメージも強いのかもしれない。
本書はその「イメージ」の徳川家康や関連する諸事項に関して、史料を読み解きながら歴史を説くまたは考えるという立場で、時代状況や類似要素等を顧慮しながら「実像」を考えてみようとする内容である。こういうように要約すると小難しそうな感じだが、断じてそうではない。様々な史料にも通じた、博学で話し好きな方の御話しに耳を傾けるような調子で、ドンドン読み進められる一冊だ。適度に話題も拡がっていて、その辺もなかなかに愉しい。
本書は「生き様」、「家臣団」、「軍事」、「政治経済」、「外交」(外国とのことも在るが、他の大名との関係等)というような角度で家康の事績、行動、直面した状況等の「実像」考え、その「人物」ということで纏めるというように展開している。
徳川家康が生きた戦国時代の末期から江戸幕府が成立して行く時代と言えば、「天下統一」という動きが在って、織田信長や豊臣秀吉という人達が大きな存在感を示しながら時代を駆けた。或る意味で「天才」というようなモノを見せた織田信長や豊臣秀吉に対し、徳川家康は「平凡」であったかもしれないというのが、本書では一貫している。
その他方、地道な努力を重ね続け、苦しい状況の中を耐え続け、危急の時に何とか生き延びる術を身に付けるようなことに執心し、年配になって以降も学問を貴ぶというような面が在ったという徳川家康の「実像」が説かれる。更にそういう「実像」から、徳川家康の「哲学」や「精神」というようなモノが滲むとしている。
徳川家康が「平凡」としても、「一国の永い歴史の中で何人登場するのか?!多分、指折り数えられるような程度…」という次元に稀有な「天才」と評するべきかもしれない、少し年長な人達と比較したような場合のことであろう。徳川家康も「それでも傑出している」と言っても差し支えないのであろうと、本書を読了した後に思った。稀有な天才というようなタイプではなくとも、何か抜きん出て行くというようなことも在り得る筈である。
更に本書を読んで気付かされるのは、「江戸時代の武士の価値観」というのか、「武家社会の中での武士達の生き様」というようなことで「漠然と抱くイメージ」のようなモノが、実は「“江戸時代”の様相が長く続く中で形成されて来た」というようなことだ。徳川家康の時代には少し違ったようである。
本書は「誰でも名前位は知っている」と言ってしまっても差し支えないような史上の人物の「実像?」ということで豊富な話題を提供しながら、普通の人でも至る、見出す可能性が在るような「哲学」や「精神」というようなモノが「在るのかもしれない?」と問い掛けてくれている。
非常に��しい一冊なので、広く御薦めしたい。
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平凡な我々は信長や秀吉にはなれないが、家康にはなれるかもしれないというコンセプトで、家康にはたいした才能はなかったが、努力と我慢の人であったということを論証する内容でちょと逆張り的発想。所謂、注目されるための「新説」も概ね否定する姿勢。
家康も死後に色々と神格化された部分もあるのだろうが、一応実証主義的に「たいしたことはない」と言われると、そうかなとも思えてしまうある意味興味深い内容。ただし、努力と我慢と続けるのもひとつの才能であるとも言えるのかもしれないが。
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新説が盛り込まれていたので、楽しめた。厭離穢土と江戸の話はおもしろかった。ドラマや小説などで、家康をよく知っているという人にも楽しめます。
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なるほど今までとはちょっと違う視点で家康について書かれています。読みやすく解りやすかった。家康に人気が無いのは、信長や秀吉のように飛び抜けた個性が無く平凡だったからなのかも?しかし、勉強熱心だし長生きしたから江戸幕府を開くことができた。信玄、信長、秀吉から潰されていた可能性も十分にあった。それが歴史の面白さかな?
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織田信長、豊臣秀吉の真似はできないが、徳川家康の真似ならできる!?
私が関西出身ということもあり、個人的にはあまり好きな歴事上の人物ではないのですが、天下統一を果たしたのはこの人です。真似できることが少しでもあるのなら、是非真似してみましょう。そんな視点で読んでみました。
彼の処世術は、現代のサラリーマンにも十分に活用できるでしょう。
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思い起こせば数十年前、突如、今のこの私と同じように徳川家康もかつて生きていたんだと、何か真実でも悟ったかのように、大げさでなく雷に打たれたように、生身の人間として生きていた「徳川家康」という人を、ありありと「体感」しました。何がきっかけだったのかは覚えていないのですが、えも言われぬ不思議な体験で、ものすごく衝撃を受けました。
それ以来、歴史というものがすべて他人事とは思えなくなり、もしかしたら私も体験していたはずのことだったのかもしれないと思うようになりました。この体験から、ぐんと歴史に興味が湧くようになり、歴史好きになったのです。
そんな、ある意味私の人生を変えたとも言える、徳川家康という人についてのこの本、今年(2023年)のNHK大河ドラマの主人公が家康さんだということで昨年秋に発売されました。
日本人なら知らない人はいないであろう人ですが、当時としてはかなり長生きされたおかげで、その全人生をたどれる本がなかなかない。家康の人生のうちのどこかの数十年を切り取って、いくつかの出来事に沿って描かれた作品が多い。山岡荘八の『徳川家康』が全26巻で、家康さんの全生涯をたどれそうだけど、気軽に手を出せるものではないので、家康の全体像が一冊でわかる本はないかなぁ、と思っていたところに、この本が目の前に現れました。
本書の著者である本郷先生はよくテレビに出演されるので、お顔も声も話し方も存じ上げています。この本では、語りかけるような文体で、ほぼ口語といってもいい表現で書かれているので読みやすく、本郷先生のお話を直接聞かせていただいているようでした。
生きざま、家臣団、軍事、政治・経済、外交、人間、と6つの視点から家康さんのことが語られます。はじめに略年表や地図があるのもうれしい。信長や秀吉との比較、他の時代に生きた人々や出来事との比較、また現代との比較もあり、楽しく読めました。家康さんの全体像をざっと把握するのには良い入門書だと思います。
それにしても司馬遼太郎ってやっぱりすごいんですね。歴史学者も認める考察の深さ。司馬遼太郎作品を読むのがさらに楽しみになりました。
あと、山岡荘八の『徳川家康』全26巻も、やっぱりいつか読みたいな。
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著者なりの徳川家康の人物像が論じられている。天才的なところはなかったが、我慢強く努力を積み重ねたと評している。
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「あなたも家康にならなれるかも」
このフレーズに惹かれた。
本書は、信長・秀吉と比較しながら家康という人物像に迫っている。そのため、初心者でも非常に内容が掴みやすかった。
いくつかの説を提示しつつ、本郷先生が有力だと思う説を提示されており、考察が深まる内容になっている。
家康の人物像についての言われは色々聞くが、実際はどんな人物なのか非常に興味があったので、本書を読んで自分の中の家康という人物がすこし色をつけてきた気がする。
専門的な知識はないが、生い立ちや出陣した戦など、家康についてざっくり知っていれば十分に楽しめると思う。
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「どうする家康」ロスです。賛否両論ありましたが、素晴らしい最終回でした。本書は大河ドラマを見る前の予習として読むのに丁度いいかなと思いました。文章も読みやすいです。大河ドラマ後だと内容的に少し物足りない感がありました。
ドラマと異なる点で驚いたのは酒井忠次。「えびすくい」で殿を支えていたと思っていたら、築山殿と信康事件で家康から嫌われていたとは…。後は家康の戦で采配が輝いたのは「小牧・長久手の戦い」のみ。本書で目新しいと感じたのがこの2点のエピソード。
私たちは信長や秀吉にはなれない。しかし家康にはなれるかもしれない。我慢し続けた日本一の凡人。今年は徳川家康にはまりました。読み納めも殿でした。
ドラマ最終回の回想は「ゴッドファーザーPART2」のラストシーンを思わせてくれました。死に際では人は人生で一番楽しかったときを想い出すのかもしれない。それは家族や友人みんなが集まる楽しい食事につきる。山田洋次の「息子」もそうだったなぁ。正月前にしみじみ思います。