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紙の本

鈴木敏夫ファン必読ブック

2022/11/28 12:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る

スタジオジブリのプロデューサーとして有名な鈴木敏夫氏の読書遍歴に焦点を当て、幼少期からこれまで、それぞれの時代にどのような本を好んで読んできたのかを聞きとるロングインタビューブック。

元々は「鈴木敏夫とジブリ展」で配布された冊子だったものの書籍化とのことだが、太っ腹な情報量。
一章だけでも上げられた作品タイトル数や作家名は多く、特に交流があった作家などとのエピソードは非常に興味深い。
巻末の索引一覧を眺めれば圧倒されるのは間違いない。

惜しいのは多数とりあげられている作品について、鈴木氏自身が解説しなければ内容について一切触れられないこと。
特に前半は「こういう時代だから、こういった本が出てきたんだろうね」と言われても、作品タイトルだけで「こういった本」の内容が触れられていないので理解が及ばない部分が頻出した。
概略やあらすじの注釈があれば良かったのに、と残念に思う。

また鈴木敏夫の経歴の時系列順に読書遍歴の変遷の話を聞くという構成なのだが、鈴木敏夫の経歴が頭に入っていないので、経歴一覧が掲載されていれば頭に入ってきやすかったと思う。
そういった多少の不便も感じたが、民俗学のリアリティや、原作小説のある作品の映画化に関する意見、それぞれの興味や嗜好の違いから、宮崎駿とトトロのラストで揉めた話など大変に興味深く読んだ。
自分の読んできた本を全て並べてみたい欲は読書家ならとてもよくわかる。
それを半ば叶えたともいえる鈴木氏を羨ましく思いながら、いつか鈴木氏が自ら宮崎駿について書き記す決断をしてくれる日を待ちたいと思う。

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