紙の本
古典の中の「モノ」
2023/03/01 22:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安時代のモノ(道具や建物、調度品、ペットなどなど)を詳細に解説することで平安文学を大乗する物語や日記随筆などを深堀り。
当時の風俗や考え方、込められた意味などが良くわかります。
身分や男女によって使えるものが違ったり、優雅なイメージの貴族たちが意外にけんかっ早かったり、今とは違う社会性が見えてきて面白い。
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面白かった。
古典に現れるモノの持つ意味、エピソード…。
そこから生き生きと当時の人々の暮らしや思いが浮き上がってくる。
牛車のグレードから、車争いで有名なあの場面の意味することや六条御息所の不憫さがつたわってきたり、整備されていない築地が意味するのは経済的支援のない女性の姿であるということだったり…。
モノを考えることで、より深いところで理解でき、イメージが膨らんだ。
全体的に「枕草子」や、「源氏物語」の例が多く、モノそのものを多面的に知るという面と、モノからさまざまな古典作品の理解を深める面がある。
取り上げられたモノ自体は少ないのだが、読み終えた後は実物の出土品などが飾られている博物館でも役立ちそうな話がたくさんあった。
あまり出土品に心ときめいたことはなかったのだが、この本のおかげで、考古学的な視点からも古典を深掘りして読めるようになれたと思う。
しかし、平安町の女性たちや、くらいの高い人々の気苦労は計り知れない…。
御帳台の話では、紫の上の複雑な心境がよく伝わってきた。
やはり古典作品は、現代の作品よりも立場や血筋、または文化といったさまざまな目線で理解する必要がある。
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平安時代の物語や和歌に出てくるもの(牛車、扇、ゆする等)をその状況に合わせてどうあったか解説されている本。
私的には橘が面白かったです。橘の表現は源氏物語でよく出てきてましたが、青々とした葉っぱの木のイメージしかなかったです。橘といえば柑橘も含まれるものとは、そして柑橘系が花と実が一緒に見られるのは知らなかった…(実が落ちないまま、新たな花が咲くシーズンになって、花と実と青々とした葉が見られる)今まで想像してた平安時代より鮮やかになった気がします。
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モノを通した文学解説が味わい深くて、ステキ。
読んでいる間中、雅な古典の世界を楽しむことができました。
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自分、不器用なんで 和歌とか古典とか
滅多に読みません。
まして色恋に器用だった光源氏のヒーローエピソード集なんか、高校生の頃は授業で渋々
目にする唾棄すべき女たらしの話と
考えていて、100%アンチ光源氏でした。笑
今となっては、違います。
「千年前のフィクションなんだから
こんな奔放な色恋もありじゃないの、
当時は許されてたんでしょ、憧れでしょ。」と
考えられるようになりました。
成長したんですかね。よくわかりません。
それはそうと、著者の山本淳子先生の
古典文学に対する愛が
門外漢の私にもわかりやすく伝わってきて、
読んでいると、良い時間を過ごせました。
イヌの話と扇の話が気に入りました。
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古典に出てくるアイテムを紹介してくれる本。
「あさきゆめみし」で源氏物語を知ったクチですが、この時代の風物の背景がより分かって新しい発見があれば…と手に取りましたが。。
『十二単を着た悪魔』を読んだ時にも思いましたが大和和紀先生かいかに美しく話を纏めてくれていたのかを再認識しました。源氏と若紫が結ばれるところは「あさきゆめみし」ではキレイにまとまってましたが実際はそんな書き方だったのか!?と驚きました。一度ちゃんと原文に近い形で源氏物語を読んでみたい気もしました。
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平安時代の日常生活に取り巻くモノを切り口に「源氏物語」「枕草子」「伊勢物語」や和歌集にまつわるエピソードを紹介し、山本先生の解釈を披露されます。エッセイのようで読みやすい。また、「源氏物語」のあれこれを思い出すのも楽しいひとときでした。六条御息所の生霊説に疑問を呈したり、夕顔娼婦説を否定されるところは同感です。定子が産褥で苦しみながらも辞世の歌を詠み、御帳台にくくりつけるというのは愛染の極みですね。ふと一条天皇の微妙な辞世の歌を思い出しました。2人の歌は、は果たして響き合っているのでしょうか。