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なかなか重みのある一冊だった。主人公の明恵(みょうえ)と一生を供するイサの物語は人の心を鷲掴みする感動を頂いた。
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中世の心性がどんなだったかは結構想像がつかない気がする。イサがわりと近代的なのだ。信仰が持てない身からは読みやすさが何か座りが悪い。
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#明恵上人 は澁澤龍彦の本で知ったので、「夢記」の人、渡海を春日大明神に止められた人、半跏思惟像のような清らかなエロティシズム、の印象。
でも、従者のイサが語る明恵さんは、身体は弱いのに、直情径行で強情。優しい微笑みを浮かべつつ、自分の信ずる仏の道を黙々と歩く。明恵さんを尊敬しつつ、駄々っ子をなだめすかすように支えるイサに語らせることで、明恵さんのチャーミングなところがのぞいて、だから、「明恵上人」というより、「明恵さん」と呼びたくなる。
「鎌倉殿の13人」を見ていたので、北条泰時とのエピソードは、坂口健太郎で脳内再生しました…。
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高山寺の明恵上人の仏道を追い求めた生涯。寺に捨てられたイサが従者として仕えた上人の在りし日の姿を語る。そのひたむきさ、自分への厳しさが心を打つ。耳を切り落とす場面など、まず最初に驚かされ、子供っぽいところにはほっとし、人への優しさと厳しさに魅了された。「あるべき様になる」とは見習いたいと思いました。
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鎌倉時代の華厳宗僧侶・明恵(みょうえ)上人の生涯を描いた歴史小説。その奔放な一生にずっと付き従ってきた架空の世話人イサの思い出話として物語が進みます。イサは15歳年下ながら直属の弟子ではない在家者、いわゆる寺男ですから、変に明恵を美化したり神格化したりしません。耳を切り落としたり、島に手紙を書いたり、インド巡礼を計画したり、お茶を栽培したり、樹の上で坐禅したり、夢を記録したりという明恵上人の史実に沿ったエピソードの数々が、著者の想像力によって印象的に綴られていきます。周囲への迷惑を考えれば、けっこう困った人だったろうと思うのですが、穏やかな語り口のおかげか、不思議と微笑ましく思えてくるのが、小説の力というものでしょうか。