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紙の本
まともな民主主義へ
2023/05/24 11:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:魚太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
橋爪大三郎先生(弟子でもなく一読者に過ぎないが、これまでの著書や対談を読んでの敬意からそう呼ばせていただく)が書かれた本なので、まず間違ったことは書いてないという先入観(バイアス)を持って読んだことは認める。それにしても、この本の内容は重い。カルトとは何か。その定義から始まり、具体例をわかりやすく解説してくれる。そのカルトが日本を蝕んでいる。そして政教分離とは何か。あらためてもう一度問い直す。社会学者の理路整然とした説明は、腑に落ちる。いまの日本に、本来の健全な民主主義は無い。なんと言っても、カルト教団や宗教系右派団体に喰い込まれ、また逆に利用し続ける自民党と、政教分離という概念をを根本的に無視している公明党が、長いあいだ連立政権を組んでいるような国である。結局はこれを選んでいる有権者に責任があると行き着いて、民主主義の腐敗が絶望のままに継続する。ただ、処方箋はある。自民党は統一教会と絶縁すること。日本会議と絶縁すること。公明党との連立を解消すること。国政政党としての公明党は解散すること。乱立している野党はどれも解散してひとつになること。ただし統一教会との関係が疑われた野党(たとえば、日本維新の会)は、事実関係を明らかにし処分と謝罪をしてから解散すること。要するに、日本の政治は政教分離の原則から逸脱し、構造的に病んでいるのである。有権者一人一人の真摯な一票は、宗教団体の「宗教票」に押しつぶされ、隅へ追いやられている。日本の民主主義をまともなものにするための第一歩は、有権者に委ねられている。
紙の本
宗教の訓練なしにカルトがわかるのだろうか
2023/04/14 20:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、宗教社会学の第一人者がカルト宗教の危険性を明らかにし、民主主義を蝕んでいる点を厳しく指摘、政教分離を提起している。そもそも、日本人は宗教の訓練ができておらず、仏教、神道、キリスト教等について素養がないままきている問題に切り込む。基本的な点をQAで解説して、生長の家から日本会議の流れで政治に絡み、統一教会が自民党に深く食い込んでいることの問題の大きさを示す。目次を見ると、
序 カルト原論
第1部 生長の家から日本会議へ
1-1 谷口 正春という人物
1-2 生長の家と皇国主義
1-3 谷口 正春の憲法論
1-4 生長の家の政治活動
1-5 生長の家ギャングと日本会議
第2部 統一教会と自由民主党
2-1 文鮮明という人物
2-2 「原理講論」を読む
2-3 統一教会と霊感商法
2-4 統一教会と自民党
結 政教分離と民主主義
あとがき となっている。
日本国憲法では、信教の自由として第20条が規定されている。
第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他のいかなる宗教的活動もしてはならない。
この規定は重要であり、国や地方自治体、総理大臣から地方議員まで、特定の宗教に肩入れすることにより、他の宗教が弾圧されたり、活動が難しくなり、信教の自由が侵害される。本書でもこの点が指摘されている。宗教は社会の一部であり、特定の宗教に支配されてはならないし、カルトとは何かという点での手掛かりになる。私たちが通常接している仏教や神道、キリスト教はカルトにならないように歯止めを持っていることも重要だろう。しかし、政治に関わり始めるとカルトと思える面が見えてくる。支配的宗教を目指すからであろうか。これまで、政治家は利益団体の支持を得て、選挙を闘いやすい面があったが、自民党を始め、どこも難しくなり、宗教団体に接近する(接近されることを受け入れることも含め)ことで、乗り切っているからだろうか。数多くの問題を提起している。一読してほしい本である。
紙の本
新書だから深いところまでは論述できていないが面白い本
2023/11/02 09:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
生長の家、日本会議、統一教会といって組織がどのようにして自民党に食い込んでいったのかということの手掛かりになる本、新書だから深いところまでは論述できていないが面白い本、最後は公明党にも言及している
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