紙の本
世界一の長寿社会は今後望めない。このままでは。
2017/11/26 00:28
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の日本に「健康格差」があるという。低所得の人の死亡率は高所得の3倍。住んでいる地域で寿命が違う。足立区は杉並区より2歳も短い。正規雇用に比べて、非正規雇用は糖尿病罹患率が高く悪化させる率は正規の5割増し。癌へのかかりやすさも地域差がある。2025年には65歳以上の3人に一人が認知症に。
本書は2016年9月に放送されたNHKスペシャルの番組内容を中心に大幅に取材を加えて執筆されたもの。
世界一の平均寿命を誇る日本は超高齢化社会も目前に迫っている。一方、そのご長寿社会を支えるには心もとない状態、現役世代の雇用が破壊され、非正規雇用が4割を占め、貧困が広がっている。
貧困状態にある子どもに支援を行わなかった場合、社会的な損失は40兆円。貧困による健康リスクを放置すれば、社会保障費は急激に増加する。生活保護開始の理由はほとんどが病気だ。「20年もたてば健康を失った若い世代の生活保護が急増する」時限爆弾を抱えた状態だ。
高齢者の支え手の健康破壊も進んでいるばかりか子どもの健康破壊も深刻。もはや世界一の長寿社会は今後望めない。このままでは。
社会がこうした状態にどう挑むのか。本書では、秋田の減塩の取り組み、足立の野菜を摂取する啓発など自治体ぐるみの取り組みなど、すべての人を巻き込んでの健康習慣を位置付ける「ポピュレーションアプローチ」を紹介している。
しかし、根本問題である健康格差の解消のためには・・・ハーバード大学イチロー・カワチ教授は雇用問題を挙げる。非正規労働が生み出す諸問題の解決が急務だという。
厚生労働省は縦割り行政の弊害を取り除いて、労働と厚生行政を一体的に進めて健康格差を改善してもらいたい。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
健康格差という言葉は初めて聞いたが、読んでいるうちになるほどと納得した。今後高齢化社会がもっと深刻になるが、健康問題は切り離せない重要なキーワードだと思った。イギリスが行った政策に本当にだれも気づかなかったのかと驚いたが、そんなことになっていると誰も考えないから成功したんだろうなと思うとともに、まさかというような大胆なことをしない限り今の状況を大きく変えることは難しいのだろうなと思った。
投稿元:
レビューを見る
寿命には地域、所得、環境格差があるということ。まあ当たり前。メインは「健康は自己責任」かどうかという話。本中ではどうも「健康は自己責任ではなく社会で責任を負う」ことと結論付けたいようだが、例えばたばこを吸うのは自己責任ではないのか、酒を飲むのは自己責任ではないのか、ということが疑問として湧いてくる。健康に悪いとわかっていることをすることは自己責任以外の何物でもないと思う。そこの視点が抜けている。
投稿元:
レビューを見る
概要: 経済格差が食生活の格差に; 低所得に糖尿病が多い; 高齢者; 子どものいる世帯; がんと健康寿命の地域差; 医療レベルの県格差?; 政治・地域による減塩とかコミュニティ作りのとりくみ; 自己責任の限界
感想: 趣旨はだいたい合っていると思うが、データや論の扱いはかなり雑。相関をナイーブに因果関係とみなしている箇所が多いし、「〜といわれている」が多い(根拠は?)。NHKがこれでいいのか感がある
投稿元:
レビューを見る
ヘルスリテラシーは、個人の問題なのか、それとも。。。ちょっと考えさせられた。
健康に最も遠くの人たちへのアプローチは???少しヒントになるかなあ?
投稿元:
レビューを見る
NHKが取材したものです。
統計では、経済力や住む地域によって明らかに健康に格差がでてきています。
健康は自己責任かそうではないか?
もちろんある程度は自己責任なんでしょうが、100%そうか?と言われたら私は絶対違う、と思っています。
経済格差も同様で、お給料が低いのは努力が足りないせいだ、とは100%言い切れないと思うんですよね。
そもそも責任がどこにあるかうんぬんの前に、個人の問題だからと何もしないでいると、社会全体として健康問題が拡大し、医療費が高騰し、今はOKと思っている人たちにも負担がまわってくるわけですしね。
イギリスが意外にも「減塩活動」などをやって成功しているのを知りました。
やれることってまだまだあるはずですね。
投稿元:
レビューを見る
健康どころか命にまで、格差が存在するということは、紛れもない事実。非常に重い内容だけど、番組を作る上で知り得たことをもとに書かれていて、読みやすく、分かりやすかった。
投稿元:
レビューを見る
数年前のNHKスペシャルを思い返して読んでみた。どうしても所得格差で健康格差が生じるのは仕方がないと思うが、ある程度までは国が介入して格差を縮小させて欲しいとは思う。(教育も含めて)
投稿元:
レビューを見る
自己責任をどこまで、という話がここでも出てくる。もしかすると日本人の心性は3000万人くらいでちょうどいいようにいろいろできているのかもしれない。貧困と自己責任の近世史を思い出しながら読んだ。
投稿元:
レビューを見る
ジャーナリスト魂本
学会主導ガイドラインベースの生活習慣病に対する生活指導なんてほんと薄っぺらいと自覚する一冊。
投稿元:
レビューを見る
都道府県別で、3歳の平均寿命の差が出ている。
これは、結構、衝撃的な数字ではないだろうか。
日本では、地域・個人レベルでの「健康格差」が広がっている。
WHOは健康格差が生まれる要因を、所得、地域、雇用形態、家族構成と指摘している。
ぶしつけに言えば、所得が低く、地域GDPも平均より低く、雇用形態も非正規・無職、
家族もいないならば、短命になるということだ。
最終章は、「健康格差」は、「自己責任か」というテーマで、
一般人や俳優、専門家の意見交換がある。
いまだに、健康は、自己責任によるものだと意識が強いと感じた。
健康格差が広がると、社会保障費が増えるということは、
想像がつく。これは財政問題として国が解決しなければいけない。
なぜなら、今でも社会保障費は、膨れ上がっているからだ。
ただ、「今あなたの状態は、全てあなたの責任です」という、
冷酷な意識が日本を支配している。
税金を投入しての健康格差対策は、国民の支持を得られるのは、
かなり難しいだろうと思う。
この本では東京都の足立区の例があるが、
これから、地域の財政は間違いなくひっ迫する。
特に東京は、この20年で140万人高齢者が増加する。
その中で、「地域の健康」にどれくらい優先順位があるのか、
指導者達は、よくよく考えてもらいたい。
なぜなら、現在の健康格差は、ある面では、国が作り出したからだ。
経済格差が広がっている現在の日本は、
健康の格差も、急速に進んでいる。
投稿元:
レビューを見る
健康格差は自己責任か?社会の問題か? 努力して健康を保っている側からすれば不摂生による不健康は自己責任に見える。しかし、自助努力ではどうにもならないケースがありだれもが困る側になる可能性があるとするとセーフティネットは必要。不況が続く中他人を思いやる余裕がなくなっているなあと感じる。
投稿元:
レビューを見る
疾病や寿命の格差を調べると、所得・地域・雇用形態・家族構成に相関がある。個人の意識や努力だけに頼るのではなく、社会として底上げできるような仕組みの構築が必要だ。
昔はよかった・なかった問題ではなくて、それが問題として見えるほどに社会が進んだといえるのだろうけど。
投稿元:
レビューを見る
日本の健康格差について、データに基づいて現状を把握した上で解決策になりうるものを提案するところまで書いている。特にポピュレーション・アプローチの考え方は健康格差の是正に限らず大事な考え方だと感じた。
ただ、繰り返し同じことが書かれている印象も受けたため、星4つで。
投稿元:
レビューを見る
11218010097
498/Ke45
http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB2488998X