紙の本
「昭和」解体という標題
2017/07/05 12:53
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、バブルのころの金融界の暴露本が流行っているが、本書はそうした流行本からは一歩も二歩も抜きん出ている。国鉄分割民営化のオーラルヒストリーともいえる本。こうした形で残しておかないと、携わられた方々が亡くなっていかれてしまう。国鉄解体から一世代分の時代を経たがゆえに書けること、それがとりもなおさず昭和という時代の総括になる、という良書。
紙の本
分割民営化というけれど
2019/12/05 20:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あおくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日のJR各社の明暗、その原点を遡る貴重な記録。
分割民営化と一口に語られるが、民営化と分割の狙いは別だったことがよくわかる。民営化では意見を同じくしながら分割を巡る社内対立とスパイまがいの暗闘には暗澹たる思いが残る。
黙して鬼籍に入られたという民営化賛成、分割反対の方々は、今日の北海道や四国の苦境を見て何を語るだろうか。
紙の本
善人のいない群像劇
2022/09/18 06:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
各人の思惑、立ち回りがドラマとして面白い。敵の敵は味方の論理で闘争は巡る巡る。生き残ったのが勝者と判断する他ないのだろうが、本当に勝ったのだろうか。
渦中にいる人々は歴史の大河を形作っていたことをずっと後に認識するのだろう。
群像劇として第一級。
電子書籍
今を思えば
2020/05/01 07:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国鉄末期の頃は私はまだ高校生、新聞や一部メディアでしか分割民営化の話は知らなかったので、とても興味深い内容だった。ちなみに、大学進学後の就活で第一志望だったのがJR西日本、けれど撃沈。いやはや、受からなくて良かったとこの本読んで思う。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国鉄の歴史でもあります。借金を抱えているので、よくぞ日本は破たんしないで、ここまでやってこれたなと思います。
投稿元:
レビューを見る
国鉄改革の裏舞台を、政治、国鉄当局、労働組合、それぞれの立場から詳細に記録したもの。
「未完の国鉄改革」「国鉄改革の真実」にも、触れていないことが多く、語られている。
投稿元:
レビューを見る
1987年4月1日は国鉄が民営化され、JR各社が発足した日にあたり、今年は民営化から30年という節目となる。30年が経過したものの、民営化の際に議論された問題は全てが解決したわけではなく、むしろJR北海道の経営問題のように、深刻さを増すものもある中、日経新聞の記者であった著者が、民営化時の首相であった中曽根康弘をはじめとする政治家、国鉄職員として民営化をリードした若手職員、日本最大の労働組合として強い影響力を持ちながらも、その闘争戦術の拙さから崩壊の一途を辿った労働組合幹部らなどへのインタビュー、膨大な一次資料に基づき、民営化に至った歴史をまとめた一冊。
読み終えて思うのは、この国鉄民営化という出来事が、経済学的な側面から見れば、当時の先進国がこぞって志向していた「小さな政府」を民営化という形で具現化したものであるのは当然のこととして、国内の政治情勢の観点から見ると、国鉄労組の動員力を背景につけた社会党の勢力を弱め、自民党による「55年体制」を終焉させる(そしてそれとほぼ時を同じくして昭和も終焉する)という中曽根康弘の強い意志に表れであったということである。当時の政治的な権謀術数は、当時官房長官を務めていた後藤田正晴の「情と理」にも詳しく、それと重ねて読むと、その凄まじさと、「かつての日本の内閣は、沖縄返還(佐藤栄作)や国鉄民営化(中曽根康弘)など、ある特定の政治的命題を遂げるのだという強い意志を持っていた」という同士の評をよく理解することができる。
投稿元:
レビューを見る
国鉄がいかに腐敗していたか、そしてJRに転換することが必然だったかよくわかる一冊。
今のビジネスマインドでは通用しない事がまかり通る時代だったんだと。
投稿元:
レビューを見る
半強制的に組合に入らされている若手や中堅に、昔はこんなことがあったと知る意味でおすすめ。信じられないようなことがあったんだなと、驚くと思う。
投稿元:
レビューを見る
これは本当にすごい本、というか凄すぎる内容の本だった。
明治国家の西洋化の象徴として新橋ー横浜間の鉄道が最初に通され、終戦直後には復員兵を数十万単位で引き受け、64年の東京五輪では新幹線を通したが為に赤字転落をした国鉄は最終的には、職員27万人、累積赤字37兆円(!)となり、複雑な労使関係、より複雑な労労関係、そして半国家組織であるが故の絶え間ない政治の介入により1980年代初頭には瀕死の重体となっていた。この国鉄を「分割民営化」して再生させるという1点に執念を燃やした国鉄キャリヤ組の井出、松田、葛西の"改革3人組"と脆弱な党内基盤ながらも抜群の政治センスを発揮して"戦後政治の総決算"を特に国鉄民営化において実現しようとする政治家、中曽根康弘らが主役のこの物語(まぎれもない実話だが)は、様々な困難で複雑な状況を乗り越えながら、最初の検討(第二臨調)から6年越しで分割民営化を成し遂げていく、それはすなわち国鉄の巨大な労働組合(国労、動労など)を分割することであり、それは全国的な労働組合連合である総評の中核を消滅させることにつながり、最終的には総評を基盤とした左派政党である日本社会党を減退、変容させることにつながった。つまり国鉄の分割民営化は昭和日本国家の解体へとつながった訳である。
内容の詳細は省略するが、読み終わって思うことは、"これこそが政治である"ということである。職員25万人、国民の足を担う巨大組織の大改革には策謀と裏切り、変節、保身、増悪、執念などの様々な情念が宿り、さらに利権や選挙、組織の存亡など具体的事象も絡まり最終的には労組同士の殺し合いにまで展開してく、まさに人間世界の悲劇、喜劇のすべてがそこに表出されているように思える。この組織の人間の情念をすべて賭けたすさまじい権力闘争に比べれば、いまの政治状況などはすべて児戯に等しく思えてしまうのである。
なお、「凄すぎる内容の本である」と評したが、このものすごく複雑で経過年数も長大な大河ドラマの詳細を調べつくし、かつ読者を迷わせることなく理解させる筆者の構成力、筆力も驚かざるを得ない本であった。とても分かりやすく淡々と事実を構成して語ってくれているのだが、これほど凄みのを感じる本も本当に珍しいと思う。
前回読んだ「愛国とノーサイド」に続き、私が生まれる少し前、私が全然知らない日本がそこにあったことだけは間違いない。うーん凄すぎる。
投稿元:
レビューを見る
長かったけど面白かった。知らなかったことがたくさん。国労の人の意見も聞いてみたい。最高裁までの過程もきちんと読んでおきたいと思った。
投稿元:
レビューを見る
とにかく詳しい。一度読み返さないと消化しきれない。組合幹部は何がしたかったのだろうか。いやはや。3人組のうち、東日本は動労に屈し、西日本は尼崎をやり、東海だけはまだ大きな失敗をしていないが、はたして葛西は無事一生を終えるのだろうか。あそこが1番危なそうなものだが… すごい時代だけど、そんなに昔のことでもなく、今でも過激にストが打たれたら、怒り狂った民衆が駅員に襲いかかることができるのだろうか。
投稿元:
レビューを見る
国鉄分割民営化に関して、出来事や関わった人の心中が詳細に記されています。
自分が生まれる前に日本で何が起こっていたのか、また、今のジェイアールの労使関係のルーツがよくわかりました。
非常に丁寧に取材、調査されており、かつ分かりやすく書かれた素晴らしい本だと思います。
投稿元:
レビューを見る
国鉄解体の正史 関わる人達の営みはドラマチック トップ中曽根総理の覚悟
それにしてもよくあれだけの改革が出来た
あれがあったから日本航空 日本郵政はまだ容易だったのだろう 前例主義
現代は「社会保障」誰も手がつけられず、財政と国家の破綻を座して待つばかり
本当に安倍首相は時代認識も、歴史的使命観も持ち合わせていない 不思議
東條首相と似ているかもしれない
日本は時代の転換期に人を得ない国
国鉄解体は壮大なドラマであるが、歴史的には必然
それでも山あり谷あり、筋書きは読めない
3人組ほかブレナイ人々 「私」のない人
投稿元:
レビューを見る
昭和の一大事件である国鉄分割・民営化に関わったさまざまな人物の証言を元に再検証する500ページ超の大著。改革派・国体護持派それぞれの思惑が交錯する様はまさにスペクタクルで読み応え抜群!タイトルが「国鉄解体」ではないのも、読み終えればこれしかないと思えるのにも驚いた。