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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

noriccoさんのレビュー一覧

投稿者:noricco

4 件中 1 件~ 4 件を表示

電子書籍韃靼タイフーン 1

2012/12/08 23:53

読み応え充分の、現代版ヒロイック・ファンタジー!!

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

全3巻を一気読みした。面白い! の一言・・・いや、それだけでは、この作品に失礼である。

函館の平和な街から一転、戦闘シーンや殺戮がこれでもか! というほど登場するが、これは単なる“戦争ごっこ”ではない。むしろ「戦争を止めさせるための闘い」なのだ。一介の不良でしかない荒脇卓馬は、時を経て大陸に渡り、表舞台の汚い悪組織を密かに一掃するための、広大な草原を馬で駆るアラハバキ党の頭領となる。あたかも若き日のチンギス・ハーンを思わせて、その姿はひとえに、かっこいい。

ノモンハン事件を描いた超大作『虹色のトロツキー』、あるいは自由民権運動をめぐるアイヌ〜日本〜朝鮮半島を舞台に繰り広げられる『王道の狗』に匹敵するような、政治色・戦争色・歴史色の濃い内容だ。マジメに読まないと、ついていけないだろう。

日本からロシア(帝国)、シベリア、そしてそこに眠る地下組織・・・果ては、ガンダムよろしく宇宙にまで人間とロケットが飛んでいくのだから、スケールの大きさに脱帽する。

しかし、タイトル通り「韃靼」というだけに、モンゴルや中央アジア好きにとっては、主人公「サヤンの狼」こと荒脇卓馬が身に纏う民族衣装を見るだけで、嬉しくなってしまう。ここらへんが、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』にも似た点だろうか。

また、卓馬と日出子の、もどかしいくらいの切ない恋愛関係は、その後どうなったのか・・・読者としてはかえって想像を掻き立てられる。どうしても実ってほしい! というイイ場面で終わらせるのが、なんとも巧妙で心をくすぐられる。

それにしても、安彦良和氏はやっぱり絵が上手い。さすが元アニメーター・監督だけあって、人物が紙の上で躍動している。それは、他の作品でも共通していることは言うまでもない。

蛇足ながら、私自身は女性だが、それでも女の子キャラ達の、ギリシア彫刻に見る裸体像さながらの妖艶さは見事。コンビニに置いてあるエロ雑誌を買う無駄金があるなら、安彦氏の美しいエロティシズム溢れる絵に酔いしれる方が、よほど気分よいのでは!?

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人間讃歌を謳い上げた、感動のスポーツ・ノンフィクション

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

誰もが、一度ならず道を閉ざされた。
“人生の敗者”という宣告を下され、社会の表舞台から消えかけていた。
「健常者」の矢本監督も、「身体障害者」の選手達も。

しかし、人生に「勝つ」か「負ける」は、その人自身が決めることだ。
東京ブルーサンダースという身体障害者野球チームは、「勝つ」ことにひたすらこだわり続ける。それは、同じ土俵に立つ相手チームに対するスポーツマンシップでもあるけれど、何よりも、それぞれの選手が障害に押し潰されず身体的にも精神的にも克己しようとする、不屈の姿勢なのだ。

感動するのは、身体障害者が「野球をできるようになった」からではない。当初は高をくくり、「彼らにできるわけがない」と、匙を投げそうになった監督。そして「“欠陥”がある自分にできるわけがない」と、自嘲していた選手達。ところが、チームは一丸となって、“不可能”を可能にした。

それは皆、共通の思いから始まったーー。
諦めていた野球を、もう一度やりたい。
諦めていた野球が、再びできるという仕合わせ。

感動するのは、障害者に対し“まるで腫れ物に触るような思い”で接していた矢本監督が、選手達と同じ目標に向かって切磋琢磨していくうちに、“健常者”と“障害者”との垣根を作っていたのは、「結局は自分の心であった」と気づいた、人間的成長。そして、それぞれの選手が“弱者”と自らを定義していたことを、葛藤と努力の末に自ら覆した、人間的成長。

監督は言う、「野球ができるなら、障害者だからといって、簡単に諦めるんじゃねえ」

登場する一人一人の、精神世界の孤独な闘いを経た、挑み続ける権利と生きる歓び。そんな根源的な人間の本然の姿を、詩的な筆致で活写した、秀逸なノンフィクションである。

平山讓氏による、この著書によって、東京ブルーサンダースの存在を知ることができたのを、大いに素直に喜びたい。

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紙の本我が名はネロ 1

2013/03/01 00:52

人間の醜悪さと崇高さの極致を描いた歴史絵巻

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルからわかるように、時代はローマ帝国。しかも、暴君で知られたネロである。

しかし、本当の主人公はネロではない。この「偽ネロ」の正体は、物語の最後の最後で明らかになるのだが・・・。

とにかく、安彦良和の描く主人公はカッコいい。ワンパターンと言われようが、安彦氏の「美学」が貫かれているのだ。これは邪推だが、昨今の“イケメン”や“草食系男子”や、はたまた“クリーミー植物系”云々といった、ひ弱な現代ニッポンの男共を、おそらく安彦氏は苦々しい思いで見ているのだろう。

ところがこの“ひ弱な男共”は、はるか二千年前の、はるか西方にも既にはびこっていた。「デモクラシー」の制度の下に“文明”を謳歌する一方で、周辺の“蛮族”を次々と侵略し、属国にし、奴隷として従えたローマ帝国の民衆がそれである。

主人公は、ローマ帝国に敗れたゲルマン人の青年。剣闘士の奴隷になった彼の本当の名は、ついに明かされない。ひょんなことでネロ付きの護衛役となり、文学と芸術に取りつかれた誇大妄想狂のネロから与えられた仮の名前はレムス。ギリシア神話に登場するロムルス(寵愛されるネロとの親密な関係を表している)の双子の名にちなんでいる。

皇位後継者を次々と手に掛け、酒池肉林に耽り、美をこよなく愛したはずのネロは、身心ともに醜く壊れてゆく。宮廷や街では、虚偽や冤罪が当然のごとくまかり通り、地獄のような殺戮が繰り広げられる。その描写は、目を覆いたくなるほど凄まじい。暴君と化したネロを、ローマ市民はついに見限り追跡する。逃走中、まるで赤子のように恐怖に慄くネロになり変わって、レムスは皇帝の衣を纏う。

ネロの初恋の愛人であるユダヤ人奴隷のアクテの傍らで、急所を切ったレムスは最期の時を待つ。「演劇はやはり無言劇がいい」。ネロの言葉だが、レムスは心中で「我が名はネロ」という台詞を呟いて、身代わりを見事に演じ切ったのだ。

その犠牲的精神は、あたかも当時迫害されていたキリスト教の、他人の罪を負ったイエスの姿を思わせる。ちょうど、アクテは敬虔なキリスト教徒であり、またレムスのことを自分と同じ「奴隷に貶められた異国人」として少なからず心を寄せていたに違いない。

そんな誇り高き青年の半生を描いた、実にやるせなく、しかし爽やかな読後感を与えてくれる歴史絵巻である。

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読み応え充分の、現代版ヒロイック・ファンタジー!!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

全3巻を一気読みした。面白い! の一言・・・いや、それだけでは、この作品に失礼である。

函館の平和な街から一転、戦闘シーンや殺戮がこれでもか! というほど登場するが、これは単なる“戦争ごっこ”ではない。むしろ「戦争を止めさせるための闘い」なのだ。一介の不良でしかない荒脇卓馬は、時を経て大陸に渡り、表舞台の汚い悪組織を密かに一掃するための、広大な草原を馬で駆るアラハバキ党の頭領となる。あたかも若き日のチンギス・ハーンを思わせて、その姿はひとえに、かっこいい。

ノモンハン事件を描いた超大作『虹色のトロツキー』、あるいは自由民権運動をめぐるアイヌ〜日本〜朝鮮半島を舞台に繰り広げられる『王道の狗』に匹敵するような、政治色・戦争色・歴史色の濃い内容だ。マジメに読まないと、ついていけないだろう。

日本からロシア(帝国)、シベリア、そしてそこに眠る地下組織・・・果ては、ガンダムよろしく宇宙にまで人間とロケットが飛んでいくのだから、スケールの大きさに脱帽する。

しかし、タイトル通り「韃靼」というだけに、モンゴルや中央アジア好きにとっては、主人公「サヤンの狼」こと荒脇卓馬が身に纏う民族衣装を見るだけで、嬉しくなってしまう。ここらへんが、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』にも似た点だろうか。

また、卓馬と日出子の、もどかしいくらいの切ない恋愛関係は、その後どうなったのか・・・読者としてはかえって想像を掻き立てられる。どうしても実ってほしい! というイイ場面で終わらせるのが、なんとも巧妙で心をくすぐられる。

それにしても、安彦良和氏はやっぱり絵が上手い。さすが元アニメーター・監督だけあって、人物が紙の上で躍動している。それは、他の作品でも共通していることは言うまでもない。

蛇足ながら、私自身は女性だが、それでも女の子キャラ達の、ギリシア彫刻に見る裸体像さながらの妖艶さは見事。コンビニに置いてあるエロ雑誌を買う無駄金があるなら、安彦氏の美しいエロティシズム溢れる絵に酔いしれる方が、よほど気分よいのでは!?

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