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atsuさんのレビュー一覧

投稿者:atsu

12 件中 1 件~ 12 件を表示

癒し系探偵登場

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

泡坂妻夫氏のヨギ・ガンジーシリーズ。名前だけは知っていたが、そのほとんど全てが絶版状態で読むことが叶わなかったが、どういうわけか本書が刊行され、ようやくヨギ・ガンジーの活躍を拝読する「しあわせ」に至った。
 愛憎私利私欲の欲望渦巻く事件関係者の中、癒し系探偵とも言うべきガンジーの存在は読者にも一服の清涼感を与えてくれる。
 その見た目からナメてかかった犯人が、ガンジーに真実を看破される場面は痛快で溜飲が下がる。
 これを機に他のシリーズも復刊してほしいと願う。

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紙の本りら荘事件

2013/09/07 09:05

閉ざされていない山荘

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

山奥の山荘に集った数名の若者。そのメンバーが次々を殺されていく。その傍らにはトランプのカードが…… 典型的な山荘ものだが、この建物が違うのは、閉じられていないところ、途中メンバーが東京に帰ったり、新しい人物が現れたり。しかし、それが登場人物のアリバイに関わってきて、事件はさらに混迷を増す。
「殺しすぎでしょ?」と引いてしまうほど殺人が起きるが、全て犯人の必要に迫られて起きた理由ある殺人なのだから仕方がない。
 名探偵好きとしては、「いつまでたっても星影龍三が出てこない!」と不満を漏らしたくなるが、その分最後に登場する星影の頼もしさったらない。
 鮎川哲也氏は、江戸川乱歩、横溝正史ら日本ミステリ創始者たちや、島田荘司、有栖川有栖ら、新本格の旗手たちに比べいまひとつ知名度に劣るのだが、今作のような良作ミステリを多数上梓し、創始者らと新本格を繋ぐミッシングリンク的役割を果たした重要な作家である。もっと多くの人に読まれるようになってほしい。

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紙の本白い兎が逃げる 本格推理小説

2014/03/15 12:07

時刻表アレルギーでも

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

時刻表アレルギーという言葉がある。鉄道ミステリを読む際に、時刻表の乗り継ぎを駆使して犯人がアリバイトリックを用いる、その経緯を追うのが面倒だ、という、私も含めた読者が持つ拒絶反応だ。
表題作は鉄道を使ったアリバイトリックものなのだが、時刻表アレルギーの人でもこれは大丈夫だ。ミステリの巨匠、有栖川有栖は、時刻表アレルギーの読者でも楽しめる鉄道アリバイミステリを創り上げてしまった。
他には、「地下室の処刑」が傑作だ。こちらは殺人の動機を探る「ワイダニット」ものだが、犯人が被害者を殺害した動機。それは今までに聞いたことがなく、そら恐ろしいものだが、しかし納得できる。
珠玉の短編集。

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紙の本エジプト十字架の秘密

2013/10/11 09:22

デューゼンバーグ走る!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルのデューゼンバーグとは、名探偵エラリークイーンの愛車。今作ではこの愛車が大活躍する。犯人を追って、エラリークイーンが愛車を飛ばす。オープンカーなのに、豪雨の中もおかまいなしに飛ばす。
事件も謎と怪奇にあふれている。首を切断されて磔にされた死体、過去からの復讐者などといったギミックは、現代のファンにも馴染みやすいだろう。
今作は綿密に推理を組み立てていくよりも、ある矛盾点を指摘して、一気に犯人の正体に迫るという一発逆転型のミステリだ。恒例の「読者への挑戦」がかなり最後のほうのページに挟まれていることからも、その傾向が強い。
国名シリーズ最高傑作と推す人が多いのも頷ける傑作だ。
おなじみのNY市警の面々がほとんで出てこないため、かえって初見の人、クイーンは初めてという人も入りやすい。今作でクイーン初体験というのもありだ。

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紙の本超・殺人事件 推理作家の苦悩

2013/09/11 09:34

東野圭吾、超・最高傑作?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今や押しも押されもせぬ人気作家となった東野圭吾。
あまりマニアックな「本格」世界に足を突っ込まず、万人に受けるライトなミステリを書く作家と思われがちだが、それはとんでもない誤解である。
ここには東野圭吾の裏の顔がある、とは言い過ぎだろうか。ブラック東野である。ライト東野ではない。
「東野圭吾か……」と敬遠しがちな本格ミステリファンにこそ、本作は読んでほしい。逆にあまり本格に造詣のない「キャー湯川教授(福山)素敵」という層が読んでも、全然ぴんと来ないかもしれない。
ガリレオも加賀恭一郎も道を空けろ。これが、ミステリ作家東野圭吾の超・最高傑作だ。

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紙の本スイス時計の謎

2013/09/07 10:18

論理とは

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ミステリには様々な醍醐味がある。それは奇想天外な密室だったり、脳に打撃をくらうような叙述トリックだったり。
 翻って表題作「スイス時計の謎」の魅力は何か。それは完璧な論理(ロジカル)のみを駆使した、名探偵火村英生よる事件の解決だ。これは大がかりな密室、叙述トリックに比べ地味ではある。しかし、これこそミステリの名探偵の矜持ではあるまいか。
 名探偵が他のジャンルのヒーローと違うのは、悪に対する怒りを爆発させて超人的な力を得るようなことがないこと、そんなことは許されないところだ。どんなに狡猾な犯人や、残忍な殺人鬼を相手にしても、常に冷静であれ、論理を決して手放すな。超人的な体術も拳銃もいらない。名探偵唯一にして最大の武器は論理なのだ。

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紙の本ABC殺人事件

2013/09/07 09:16

ABCは永遠に……

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

未読の人でも、そのプロットは知っているであろう、いわゆる「ABCもの」の元祖。(当たり前か)
 Aで始まる町でAのイニシャルの人物が殺害され、B、Cと同じ殺人事件が続く。我らが名探偵エルキュール・ポワロの元には犯人からの不敵な挑戦状が。ポワロと殺人鬼ABCの対決の行方は……
 このアイデアを思いついただけでも凄いのに、この作品にはもう一つ仕掛けが施されている。さすがミステリの女王クリスティの面目躍如といったところだ。
 このプロットはあまりに魅力的で、以降様々に趣向をこらした「ABC殺人」の亜種が多くの作家の手によって創作され続けている。それらのオリジンとして、是非とも読んでおきたい必須図書だ。これからも、「ABC殺人」が終わることはないだろう。

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紙の本隻眼の少女

2013/11/25 11:45

美少女探偵の瞳は全てを見抜く、か?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私は幸運にも(不幸にも?)このサイトの書評を読んでこの作品に興味を持ち読み始めたため、「これは何かある!」と身構えながら読み進めた。お陰で、途中で飽きることもなく、ラストの真相も楽しんで受け入れることができたが、これを全く更な状態で読んだ読者の方には、ラストの驚きを私以上に感じられたであろう羨望と、同時に同情の気持ちを禁じ得ない。
本格ミステリとしては、「変化球」どころか、「消える魔球」クラスの作品だが、作中で語られる謎解きは、あくまでロジカル。これを邪道と廃してしまうほど、本格ミステリの懐は浅くない。

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紙の本刺青殺人事件 新装版

2013/10/29 15:57

神津恭介登場!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

長らく絶版で入手不可能だった、名探偵神津恭介デビュー作「刺青殺人事件」が遂に復刻された。
入れ墨を施された三兄妹を軸に引き起こされる連続殺人事件は、密室あり、アリバイ工作あり、本格推理の醍醐味を十分味わうことができる。
事件のテーマとなる入れ墨も、怪奇的な舞台装置としてだけではなく、がっつりトリックにも絡んでくる。
現役の洗練された本格に慣れた読者には多少物足りなく感じるかもしれないが、和製ミステリの歴史を語るうえで欠くことのできない一作である。若い読者にもぜひ読んでほしい。

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紙の本赤後家の殺人

2013/10/23 18:17

呪われた部屋vsH.M

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

一人で中に入った人間は必ず死んでしまうといういわく付きの「赤後家部屋」
所有者の貴族の戯れで集められた関係者の中から、トランプで選ばれた一人が、
その部屋に入るこことなった。その中には名探偵ヘンリ・メリヴェル卿(通称H.M)の姿も。果たして、部屋に人が入った数時間後に、その人物は死体となって発見されてしまう。
現場に居合わせながら殺人が起きてしまうという失態を犯したH.Mは、何としてもこの事件の謎を解かんと執念を燃やすが、なにぶん被害者以外の人物には全員鉄壁のアリバイがあり……
通常考えられるトリックは、部屋に何かしらの仕掛けがしてあり、それをいじった被害者が殺されてしまうというものだが、そこはミステリの巨匠ディクスン、ひと味もふた味も捻ったトリックで読者を楽しませてくれる。
古典で翻訳も古く、現代の読者には読みづらい箇所もあるが、複雑な人間関係はとりあえず、どうやって殺人が行われたのかというハウダニットに焦点を絞って読み進めてみてほしい。

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哲学探偵パリを駆ける

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本シリーズ探偵、矢吹駆がその推理の材料に用いるのは、哲学的思考。虫眼鏡片手に現場を這い回ることも、遺留品を丹念に吟味することもない。哲学と関係者とのわずかな会話から、犯人を突き止めてみせる。究極の安楽椅子探偵の誕生である。
難しい哲学講義がページの結構な割合を占めるが、テーマは明快だ。
「犯人はなぜ被害者の首を切りとり、持ち去ったのか?」
哲学を纏い、既存の本格ミステリを切り伏せるかのような作風だが、この回答は非常に本格ミステリ的で、白眉なものだ。そこに至る矢吹の推理もロジカルで本格ファンを必ず満足させるものだと信じる。
関係者たちの過去が関わる人間関係は複雑だが、我慢して(?)読み進めていただきたい。「首なし死体」という古典的なミステリテーマの傑作をまたひとつ読めることは喜びだ。

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紙の本名探偵なんか怖くない 新版

2013/09/21 10:14

名探偵大戦勃発!?

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トラベルミステリ十津川警部シリーズでおなじみの西村京太郎氏による名探偵シリーズ第1弾。
昭和最大の未解決事件「三億円事件」に、エルキュール・ポワロ、エラリー・クイーン、メグレ警部、明智小五郎、の四大探偵が挑む。

名探偵のお歴々はいずれも老年に差し掛かっており、過去の回想という形で、各探偵の代表作のネタバレをガンガン入れてくる。西村先生、容赦なし。
未読の方は要注意だが、「オリエント急行」「アクロイド殺し」など、超有名作のネタばらしがメインなので、ある程度のミステリファンならば、ネタバレも怖くない?
最近になって、突然このシリーズの最終作「名探偵に乾杯」が新版で再版されたが、途中の二作も是非再版してほしい。

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