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やきとりさんのレビュー一覧

投稿者:やきとり

85 件中 1 件~ 15 件を表示

電子書籍鹿の王(上下合本版)

2015/01/27 19:23

本作でも上橋ワールドは健在

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この作者らしい野太い物語。世界観が素晴らしく目に見えない細菌や細胞などのミクロレベルから人や動物、森などの生き物、そして氏族や国などの政治に至るマクロレベルまでのすべての事柄が無理なく繋がって一つの物語が紡がれている。そこそこ複雑な物語なのに起こっている事象や登場人物の取った行動が腑に落ちて理由も含めてスルスルと読み手に入ってくるのは、異世界を舞台にしているとはいえ世界を成り立たたせている理をシンプルにキッチリと描いているからこそ出来る技であり本作でも上橋ワールドは健在。

物語は生きるとは、そして死ぬとは何か?という根源的なテーマを正面に据えて、ヴァンという死に場所を探している戦士とホッサルという人種や国を越えて人を生かしたいと願う医師の二人を「黒狼熱」という病を軸に対比させて彼らの生き様を追っていく。

ホッサルが「黒狼熱」という病を通して「細菌」の働きや人の体の「免疫」を説明する下りがあるのだが、これは大きなものに取り込まれながらも力を尽くして自分たちを増やしていこうとするものや仲間・子孫を残す為、犠牲となり消えていこうとするものなど生物の生存戦略を語っているにも関わらず、大国の中で侵略によって取り込まれてしまった少数民族の生き残りをかけた戦いが透けて見える仕掛けになっており、相変わらず上手なぁと唸ってしまった。

物語を読み終えたとき、ヴァンやホッサルが出した答えを深い感動とともに噛み締めていただきたい、、そんな良書です。

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電子書籍火星の人

2015/01/27 19:25

ハードSFならぬファームSF

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

火星ミッションの中断により撤退を余儀なくされた主人公が事故により一人火星に取り残される絶望的な冒頭からその場にあるモノで生活圏を構築する前半部分は目が離せない。次々と立ちはだかる難題に主人公のワトニーが自分語りで冗談を交えながら前向きに危機を乗り越えていく展開に感嘆し共感してしまうからだ。また厳密に火星の環境やNASAの機械郡を描いているハードSFなのだがワトニーというフィルターを通して語られるので難しい技術や物理法則も噛み砕いて説明してくれて非常に読み易い。かなりボリュームのある話なのだが彼の行く末が気になってあっという間に読めてしまいます。

もちろん主人公ひとりで出来ることは限られているので、途中からは彼が生きてる事に気付いた地球側の登場人物も多数登場します。ここからさらに話が面白く転がり出すのですが、後は自分で読んで楽しんでください、損はしませんから。これ、間違いなくハリウッドで映画化されるな・・・。

※数多くの印象的なエピソードのなかで限られた糧食を増やす為、火星の土壌と地球のあるモノを使ってのジャガイモ栽培を始めるのだが、おいおい!ワトニー、火星で農業かい!と思わずツッコミを入れたくなった。

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電子書籍星を継ぐもの

2015/01/27 19:05

コレぞSF!が読みたい方へ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

初めて読んだ時はこんなにもセンス・オブ・ワンダーに溢れたSF小説がまだあったのかと感動しました。とにかく導入部の謎が奮っていて「月面で発見された五万年経った宇宙服を着た死体」たったこれだけ。たったこれだけなのですがこの遺体を調べるうちに次々と判明してくる新事実に世界各国から集められた科学者、技術者たちは自分達が立てた仮説を覆されて行く。このスクラッチ&ビルドが実に楽しく今度こそこれが真実だと納得した瞬間に新たなる事実や矛盾が提示され再考をせまられる、正に推理小説の様な展開。そして徐々に見えて来る太古から現在へと続く太陽系の本当の姿と人類起源の謎。多分、最後まで読まれた方は、最初の謎の提示からどれだけ遠くに来たんだろうと感嘆するとともにコレぞSF!という満足感で一杯になると思います。

ホーガンは新たなテクノロジーがもたらすメリット・デメリットが人類社会に対してどのように影響を及ぼして行くのかをシュミュレートしている作品を多数書いています。暗い未来や世界を描いた物語が溢れて返っている昨今では珍しく科学がもたらす明るい未来を描く作家で、科学的・理性的であれば人は人類はいくらでも繁栄していけると思っている節があり(笑)、ある種この能天気な作風が私は好きでかなり彼の作品にはハマりました。

とにかく判官贔屓ならぬホーガン贔屓の私としては是非とも本作から続くガニメアンシリーズをまずは読んで頂きたい。その後は「創世紀機械」「未来の二つの顔」「未来からのホットライン」「断絶への航海」などなど単発物も多数ありますのであなたも彼が描く人類の理想郷へ誘われてみませんか。

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電子書籍ロックイン-統合捜査-

2016/03/02 11:00

パンデミック後の近未来を描いた電脳SF

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

意識はあるが体を動かせない「ロックイン」状態を引き起こすヘイデン症候群が蔓延してから数十年。未だ完全なる治療法がないこの奇病は毎年「ヘイデン」と呼ばれる人々を何百万人も世界中に生み出していた。彼らをサポートする為に発達したニューラルネットワーク技術のお陰で「スリープ」と呼ばれるロボットを操作したり、「アゴラ」と呼ばれるオンライン空間を利用してなんとか通常の生活を送っていた彼らの前に、アメリカで折しも毎年膨大な費用がかかる「ヘイデン」の助成金や支援を削減しようという法案が通った事から事態はキナ臭い方向へと動き出す…。

とにかく最初はこの社会情勢やヘイデンやスリープ、そして題名にもなっているロックインや統合者などの世界設定を理解するのにそれなりの時間がかかります。まあ話が進むに連れある程度迄はわかってくるようになるのですが、やはり理解して読んだ方が面白さは全然違うでしょう。主人公のシェインは幼いころに「ヘイデン」になった「スリープ」を操る新人FBI捜査官で配属の初日から先輩捜査官のヴァンとともに「ヘイデン」がかかわる事件の捜査にあたるのですが、この初っ端の捜査シーンから先ほどのキーワードのオンパレードになるにで結構?マークが飛び回るかと思います。このシーンを意識が飛ばされないよう読み切れば後は楽しい近未来世界が待ってます。

私的には攻殻機動隊の世界観が近いかなぁと感じました。「スリープ」はもろ「義体」だし、ニューラルネットワークも「電脳」っぽいしね。あの世界観が好きなら本作も楽しめること間違いなし。若干シェインがいい子ちゃん過ぎて主人公にしては薄味なのが気になりますが、大変作り込まれた世界観なので是非とも続編をお願いします。(短編は1編あるようですが。)

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今までどれだけのガントチャートを見てきましたか?何百。その通りに行った事がありますか?ないね。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

必要に駆られて読み始めたのですが、読んでるうちに内容が面白くてビジネス書にもかかわらずあっという間に読んでしまった。もともとウォーターフォール型開発からアジャイル開発へ仕事のやり方をどう変えていくかのヒントがないかと関連本を手当たり次第読んでいたのですが本作は読み物としても面白い。アジャイル開発やスクラム関連の本を読むならまずは本書を読んでから読まれると良いかと思います。何故「スクラム」がそうなったのかを背景も含めて説明しているので非常に納得感があります。

10年かけて行ったFBIの基幹システムが失敗し、再度立ち上げた「センティネル」計画も納期・予算ともにオーバーという状況でなんとかしてくれと連絡が入る導入部がまず面白くガッチリ心を鷲掴みされます。ここで過去のやり方が如何に通用しないかの説明がされアジャイル開発でのメリットが語られるのですが、そこで彼らが再設定したプロジェクト計画が「当初予算の残り2000万ドルで納期12ヶ月で完成させる」というものでした。世間やFBI内部でもこの計画は無理ではと懐疑的でしたが、結果は予算内で納期は伸びて20ヶ月。納期7~8年オーバーで追加予算が3億5000万ドルという状況からの巻き返しとしては奇跡のような復活劇。

その後はスクラム誕生の経緯やチームの重要性(個人のパフォーマンスよりもチームのパフォーマンスを伸ばした方が効果的な事)、スクラムの方法論、スピードを阻害する障害の取り除き方、人はマルチタスクができない、現実的なプランニングの仕方(見積もり)、幸福度、優先順位のつけた方など仕事の仕方をあらゆる角度から検証し、どうして「スクラム」にその考えを取り込んだのかを過程(プロセス)も説明しながら説明してくれるのですんなりと腹落ちします。

おもしろかったのが幸福の章での「幸福度」の測り方で、人は幸福であれば「いい選択」や「いい創造」ができ、非常に良いパフォーマンスを発揮する。この「幸福度」を如何に上げてチームに取り込んで行くかということをノウハウも含めて語られています。このような物(感情)までを取り込む方法論って今までなかったなあと素直に感心した。あともともと「スクラム」の元になっているのが日本の製造業で有名なトヨタ方式。この「継続的改善」という概念を日本にもたらしたのがマッカーサー時代に日本経済再建の為に顧問として招かれたエドワーズ・デミングで、あの有名なPDCAサイクルのを提唱した人というのはこの本で初めて知りました。

とにかくシステム開発主体で描かれておりますが、仕事(プロジェクト)管理のやり方を汎用的に扱っているのでいろんなモノに応用できそうです。最後の章では「スクラム」が如何にいろいろな仕事や場面で取り入れられているかの事例を紹介しているのですが、特に興味深かったのがオランダでの教育での取り組み方で生徒達自身が自ら授業内容を決めて教え合う「エディスクラム」。これは是非日本でも取り組んでいただければ思う内容でした。

とにかく本書を読むと「スクラム」を使って何か(仕事)をしてみたくなる事、間違いなし。

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「日陰者」自衛隊から見たあの日(3.11)

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第一部では地震直後に所属部隊(多賀城駐屯地)へ駆けつけようとしていた彼らに津波が襲いかかり、流された先で他の被災者を助ける自衛官たちと有事の際にすぐに被災地に出動できるよう準備していたにもかかわらず、自身も被災したため機材が駄目になり、交通網が寸断され初動に時間を取られた部隊が如何にして現場に向かったのかが語られます。普通の人間であれば自分自身が生き残るのに精一杯の状況で、自身の生かしながら同じく津波に呑まれた・流された人々を救うという強靭さには感嘆します。

第二部は要救助者と遺体の捜索・救助の話で、特に「ご遺体」の章では読んでいて不覚にも泣いてしまった。72時間という生存時間リミットを過ぎて生存者よりも亡くなった方を発見する機会がどんどん増えていく絶望的な状況で警察だけでは対処できない数の遺体の捜索・搬送を担った彼らの奮闘振りが描かれている。初年から古参の隊員に至るまで連日連夜、不眠不休で「ご遺体」に対応する姿は涙なくしては読めない。何故そこまでできるのか?と思うぐらいの献身ぶりには本当に頭が下がる。  

そして第三部は、未だに先が見えない福島原発での命がけの注水活動の話。核・生物科学兵器を対処する「中特防」102防護隊とCH47チヌークを運用する104飛行隊による福島第一原発・三号機の炉心プールへの海水注入による炉心冷却オペレーションが描かれている。これはNHKでも放送され当時全国民が見守る中、行われたあのシーンの裏でどのように作戦が遂行されたのかが語られている。

「日陰者」である彼らが唯一人々から感謝される災害救助という場面で自身も被災者になりながら「他を生かすため」に活動する姿を賛美するわけでもなく淡々としかし一人の人間として、同じ被災者としてあの日の彼らの行動を追った自衛隊員たちから見た震災レポート。これは自衛隊を何十年も取材してきた作者だからこそ書ける本だと思う。

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電子書籍狼男だよ

2016/02/13 22:05

不朽の名作が遂にオリジナルで復活!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

寝る間を惜しんで読んだノン・ノベル版アダルトウルフガイシリーズが、生頼範義の表紙画&挿絵で遂に復刻!待ってました、無茶苦茶嬉しい。

コレだよ、コレ、これこそ本当に読みたかったウルフガイ。後の日本のヒーロー物で影響を受けなかった作品は無いのでは無いかと言うぐらい圧倒的な存在感を放つ犬神明の勇姿を是非読んで頂きたい。時代背景は如何ともし難いがそんな物はスグに気になら無くなるくらい、一人称視点で紡がれるハードボイルドなストーリーと不死身の境遇を皮肉ったどこかユーモラスな語りに魅了されること間違いなし。

日本のSF伝奇アクション物というジャンルを確立した不朽の名作。これから読む人は幸せだ!

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電子書籍機龍警察 未亡旅団

2016/02/13 21:54

日本を跋扈するチェチェンの魔女たち

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

自爆テロという凄まじいオープニングで始まる本作、今回はテロリスト側、特捜部の両視点で物語は進行。チェチェン紛争での語られない実態が引き金となって女だけで構成されたテロ集団「黒い未亡人」の結成に至る前半は圧巻で敵ながら天晴れと応援したくなった。また中盤の由起谷の活躍も取り調べ室で最高潮に達するなど相変わらず警察小説としても手堅く纏めている。そしてテロの最終目的が判明してからの流れは一気呵成に話が流れ出すので最終頁までやめられない。

またお約束の戦闘シーンは機甲兵装でのバトルだけでなく生身での戦闘シーンも用意されており、堪能できます。地雷や自爆など苛酷な状況が展開しシリーズ一の甚大な被害が出るほどの凄惨な戦い。そして相変わらず暗躍する「敵」もようやく尻尾を出した感じで多少話は進みますが全貌はまだまだこれから。

しかし前半のチェチェン市民の窮状を読むのはきつかった。あまりにも酷い現実に理想を掲げ崇高な使命を持って生まれた組織がその現実によっていつの間にか歪んでしまうという皮肉、そして本作のテーマでもある「母性」。女性の女の部分と母の部分、そして愛情と憎悪という二面性の間で翻弄される人々。「黒い未亡人」3人のリーダーのキャラがライザ以上に強力で、これだけでも読む価値アリです。

とにかく最新作が一番面白いという読者にとって幸せなこのシリーズ、次巻も期待しております。

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電子書籍オービタル・クラウド 上

2017/03/30 06:42

ギークでクールなオービタルSF

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流れ星の発生を予測するWebサービス〈メテオ・ニュース〉を運営するフリーランスのWeb制作者・木村和海は、衛星軌道上の宇宙ゴミ(デブリ)の不審な動きを発見する。それは国際宇宙ステーション(ISS)を襲うための軌道兵器だという噂が、ネットを中心に広まりりつつあった。同時にアメリカでも、北米航空宇宙防衛軍(NORAD)のダレル・フリーマン軍曹が、このデブリの調査を開始した。その頃、有名な起業家のロニー・スマークは、民間宇宙ツアーのプロモーションを行うために自ら娘と共に軌道ホテルに滞在しようとしていた。和海はある日、イランの科学者を名乗る男からデブリの謎に関する情報を受け取る。ITエンジニアの沼田明利の助けを得て男のデータを解析した和海は、JAXAに驚愕の事実を伝えた。それは、北米航空団とCIAを巻き込んだ、前代未聞のスペース・テロとの闘いの始まりだった──電子時代の俊英が近未来のテクノロジーをリアルに描く、渾身のテクノスリラー巨篇!

いやー文句なしに面白い。衛星軌道上、東京、テヘラン、シアトル、NORAD、ディスヌ島(離島)と当初は6視点で物語は展開されますが時系列に謎の提示とその解明がされていくので混乱する事なくどんどん読めます。むしろ時差や国のインフラ差を使ってのジレンマをうまくストーリーに織り込んでいるのでおいおい早くなんとかしろよ的な焦りにも似たドライブ感に後押しされながらかなりボリュームある本作もあっという間に読めてしまいます。前半の軌道上の謎とネットを使ってのミスデレクション、中盤から後半のエスピオナージ的展開と和海たちによるの謎解き、そしてオービタルクラウドの意味がわかってからの畳み掛けるような地球規模のオペレーションと二転三転する結末にとにかく最後まで目が離せません。

しかし作者は格段にうまくなっていますね。Gene Mapperの頃はかなり技術寄りな話に偏っていて小説としてのバランスがいまひとつに感じていたのですが、本作は技術偏重ではなく人やストーリーにも目配せが行き届いておりバランス良くそしてなによりも読ませる。もちろんいつものように技術設定もてんこ盛りなのですが、舞台が2020年なのでSF設定は低めで現在の地続きの技術で話は積み上げられていきます。とにかくIT用語やビジネス用語、宇宙航空用語などのオンパレードで少しあげただけでもデプロイ(展開)、ラウンドロビン(負荷分散)、ラズベリー、スリーピングガン(眠り砲台)、エグジット(出口)、レベニューシェア(利益配分)、コモディティビジネス、TLE、テレメトリ、ISS、SDI、ASAT(対衛星兵器)、デブリカタログなど盛りだくさん。

私的には今年度(2014年度)の日本SF作品の中では今のところ1か2位。作家には化ける作品があるのですが、本作がそうなるやもしれません。

※CIA本部は今はラングレーじゃないんですね。マクレーンだって。

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紙の本迷子の王様

2016/12/03 01:45

遂に迎えた最終巻

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大半のお仕事小説がニッチな業界の常識や技を主人公が覚え成長してゆく過程で働く楽しさや意義を見出していく物語が多いのに対して、本シリーズの面白さは「退職」という人生の岐路に立たされた主人公達がある種逆方向から見た仕事の楽しさや厳しさ・辛さ、必要とされない寂しさ、そして辞めるからこそわかる「働くというコトの意味」を見出して行くところにある。

金儲けの為、好きなことの為、家族の為、社会の為など働く理由は人それぞれ。それを狂言回し役の村上が引き出してゆくのが読んでいて楽しいのだが、最終話ではその村上自身がクビを切られる事になる。果たして村上が出した答えとは…。

高度経済成長、バブル崩壊、ITバブル、リーマンショック、アベノミクスなど我々を取り巻く社会情勢は刻々と変わっていく、それはつまり働く側にもその時々で働く理由は変わって行くというコト。単純だけどなかなか気付かない事を教えてくれる素敵な小説だ。

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電子書籍強行偵察

2016/11/05 10:55

続編も面白い

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半のあっと驚く展開から五年後の世界。グレイスンの所属する北アメリカ連邦軍は前線を異星人ランキーのコロニー強奪、後衛を敵対するロシア・中国軍に狙われ、過密な地球ではコロニー移住ができない人々が暴動を起こしてと四面楚歌の状態。その状況を主人公がランキーが占拠するコロニー「ニューウェールズ」への降下~核攻撃ミッションから休暇中の地球での母親との小旅行や恋人ハリーとの月でのデート、そしてロシア・中国軍のコロニー「シリウスAd」への強襲と次々とスピーディーに場面展開しながら手際よく説明していきます。

前回同様、本作もやはり面白い。かなり絶望的な状況のグレイスンが冷静かつユーモアを交えながら客観的に語る世界情勢は、悲壮感よりも異星人という共通の敵がいるのにもかかわらず同士討ちを繰り返す(ロシア・中国軍や地球での暴動など)人間の愚かさや可笑しさをあぶり出す内容になっており、それは核攻撃でしかランキーに対抗できない自らが所属する軍隊の非力さにも同等に向けられます。特に後半の物語展開を見るとかなり皮肉が効いた内容になっており、この事が本作を単なるSF戦記ものとは違うモノにしています。

あ、だからといってアクション少なめなことはないのでご心配なく。今回も巨大異星人ランキーやロシア・中国軍のコロニーでの戦闘、中盤からの急転直下の展開でさらなる緊迫したリアルな戦闘がたっぷりと用意されているのでハラハラドキドキしっぱなし。また本書でも最後にえっ!という話が用意されているので期待を裏切ることはありません。

さて「あとがき」を読むと本国では好評の為、第5巻まで発売、第6巻まで刊行予定が決定しているらしいのでさっさと翻訳お願いします。

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電子書籍天冥の標IX PART2

2016/11/05 10:52

数々のシーンに感無量

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世界の真の姿を知ったカドム達一行は、苦難の旅の末メニーメニーシープへの帰還を果す。咀嚼者との戦闘状態にある新政府エランカ大統領との会見で彼等は自分達の置かれた状況と本当に戦うべき敵を語るのだが、、、。海の一統、カルミアン、救世群、恋人たち、地球軍。ヒトとヒトでない人々は「真実」という驚愕の苦い事実を前に恩讐を越えて一つになることはできるのか!

本巻の見どころは用意された数々の謎(伏線)を主人公達が知り得た時、どう向き合い対処して行くのかがそれぞれの立場で克明に描かれている点にある。ある者はその事実に慟哭し、またある者は沈黙する、そしてまたある者は世界を正しく認識し前へと進み出す。巻数を重ねて来たシリーズ物だからこそ出せるシーンの連続にやっとここまで来たよと感無量になってしまった。

また最後に用意された新たな展開に本シリーズのテーマの一つである、番い殖えて行くという生物としての本能と進化が見て取れる。最終巻の予告題名「青葉よ、豊かなれ」もそれっぽいしなぁ。まあ、どちらにしても七年という歳月をかけて紡がれてきた物語りも残すところあと1巻(複数巻)。残念ながら刊行予定は来年2017年ではなく18年とのコト。楽しみに待っております。

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電子書籍ゲームウォーズ(上)

2016/04/01 10:04

メチャクチャ楽しいロールプレイングゲームを一本クリアした満足感に浸れます

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スピルバーク監督が本作映画化で日本人俳優を探しているだとか、作家山本弘氏がビブリオバトルで本作をチャンプ本にしたとか、本作の翻訳者があの池田真紀子さんだとか、いろいろと気になっていた作品だったのですが今まで何故か機会がなく読み逃しておりました。読了した今はもっと早く読んでいればと猛烈に後悔しております。

化石燃料をほぼ採り尽くされた未来。世界の先が見えない不安と厳しい現実から逃れるため人々はOASISシステムという仮想世界につながっていた。そこでは学校から行政まで現実世界で出来ることはもちろん、何千という世界が存在しており、金さえ払えばどんな世界にでも行け、いろいろな体験ができる夢の世界。ところがOASISの創設者にして天才プログラマのハリデーが亡くなり遺言が公開された事からOASIS世界で彼の「イースター・エッグ」探しが始まる。何故なら遺言には「エッグ」を見つけた者に彼の全財産をすべて譲るとなっていたからだ。そして全世界が彼の「エッグ・ハント」に乗り出して五年が経過した現在から話はスタートする。主人公のウェイドは、母子家庭に育った一人っ子。たが母親が早くに亡くなり叔母のトレーラーハウスに身を寄せる高校生。彼は社会の底辺で生活しているのですが、ある日未だ誰一人として解くことができなかった「エッグ・ハント」の最初の謎を解いてしまい一躍有名人となってしまう・・・。

まずは見事に嵌まりました、メチャクチャ面白いです。読み始めるとやめ時がわからず久々に徹夜で上下巻を一気読みしました。とにかく日米の80年代サブカルチャーがテンコ盛りで音楽、映画、ゲーム、TVの話がこれでもかとうぐらい出てきます。特に最後のクライマックスシーンでの日本のオタク度が半端ない。とにかくオタク心をくすぐるストーリーでホントに最初から最後までニヤニヤしっぱなし。かなりマニアックな話ではありますが、どなたでもわかるように解説されているので困ることはありません。(知っていると数倍盛り上がれますが)仮想世界が舞台ではありますが現実世界もバランスよく描かれており、恋あり、冒険あり、謎解きあり、ゲームあり、映画あり、音楽ありとエンターテイメントがぎっちり詰まった作品ですので読み出したら寝不足になること間違いなしです。

私の中では映像化するならピクサーやデイズニーアニメ向きかなとは思っておりますが、実際には実写版のようですね・・・どちらにしろ原作に忠実に作るなら日米の版権問題をどうクリアするのかが非常に気になります。(笑)

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「理論」はわかったから試してみたい方へ

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本書は「スクラム」理論を読んだ学んだ人が、「スクラム」でプロジェクト管理を行う際にどのようにチームを立ち上げて「スプリント」を行えば良いかとか、実際にプロジェクトをスタートさせた場合に直面する問題点を具体的(物語風)にマンガや図、写真を用意してわかりやすく解説してくれているので非常に役に立ちます。

スクラム関連本のほとんどが背景や理論の説明本なので「理論」はわかったから実際に試してみたいという方や実際に導入してみたがうまく行かなくて悩んでいる方に超オススメ。まさにブートキャンプだ。

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電子書籍二重螺旋の悪魔(上)

2016/03/03 15:14

サイファイ作家・梅原克文の衝撃のデビュー作。

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作者が自分でいっているように70年代の日本SFを彷彿とさせるSF&スーパージャンル小説で往年のSFファンにはたまらん作品。(<朝日ソノラマ版>の表紙が生頼範義画伯の絵だったので余計にね)

遺伝子操作監視委員会の調査官:深尾直樹は、ライフテック社の実験区画P3でバイオハザードが発生したと睨み調査に乗り出す。ところがP3区画では十数人の惨殺死体が発見され、死んだ研究員の中にDNAの中にある謎のイントロン配列を研究していた者がいた事が判明し、事態は想像を超えた方向へと急展開し出す、、、。

第一部はバイオホラーとして、第二部はサイボーグSFとして、そして第三部は戦争&電脳&神との戦いというようにどんどんスケールアップしていく。しかも毎回趣向を凝らした謎が登場し、それがそのまま次の物語に繋がるという仕掛けになっており、主人公:深尾直樹には次から次へと難題がふりかかって来る。それを時には運で、時には自力で解決しながら戦いの深みにはまっていくという一度読み出したら最後まで止まらなくなる、まさにジェットコースーター小説。

そしてこの荒唐無稽な話を支えるのが数々の魅力的なガジェットや科学知識。よくもまあこれだけの内容を詰め込んだなと感心するぐらいてんこ盛りにアイデアが投入されており、骨子になるキーワードを挙げるだけでもバイオリアクター、P3施設、エクソン配列、イントロン配列、クトゥルー神話、GOO、EGOD、アッパーバイオニック、マイクロマシン、NCS機能、神経超伝導化などなど、、、とにかくSF好きにはたまらない設定が目白押し。

また主人公は「死んだ恋人を蘇らせる為に戦う」という極めて人間臭い、シンプルな理由で「GOO」と呼ばれる人類の敵と戦う。他の登場人物もステレオタイプではあるし、主人公の考え方にもいろいろ疑問を呈する部分はあるが、それをありあまる熱気と力技で押し切ってしまっているのでとっても感情移入しやすい。初期のクーンツに結構似ているかな。

とても新人(当時)が書いたとは思えないスケールのでかい話であり、SF好きなら押さえておいて損はない小説だ。

本作と次回作「ソリトンの悪魔」は超オススメ。

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