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先月(2017年8月)

asabaさんのレビュー一覧

投稿者:asaba

2 件中 1 件~ 2 件を表示

6本足の天使たちの集合知性

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ミツバチ研究の泰斗、コーネル大学生物学教授トーマス・D・シーリー氏の3冊目の邦訳。
 巣分かれ時の引越し(分蜂)時の行動を通して、いかにミツバチがコロニーとして最適な結果を得るため、多数の選択肢の中から全体の合意に達する選択を、あたかも民主主義的な投票のように行っていくかを詳細に解き明かしている。
 ミツバチが巣内をクルクル回りながら尻振りダンスをすることで、仲間に花畑までの距離と太陽基準の方角を伝えていることを1944年に明らかにしノーベル賞を受賞したカール・フォン・フリッシュ。そのフリッシュの最も優れた弟子であるマルティン・リンダウアーは、1949年春に観察していた分蜂群の何匹かが、花粉などとは違う埃を付けているのに気が付いた。顕微鏡で確認すると、煤やレンガの粉、土など明らかに新しい巣作りの場所を偵察に行っていると思しき埃であった。
 毎年5~7月、新女王が羽化する直前の時期、母・女王は新女王に巣を譲り渡せるようにコロニーの約2/3(1万数千匹)を引き連れて、新しい巣作りに向かう。
 分蜂群と呼ばれるこの集団は、しばらく手近な木の枝などに群れてかたまり【蜂球】という状態になって、数時間から数日を過ごす。
 埃のついたハチたちは、不活発な状態でかたまっている蜂球の表面を走り回り、飛んで帰ってきては、盛んに尻振りダンスを披露していた。偵察に行った【探索バチ】が、それぞれのお薦めの場所を伝えているらしいのだ。
 不思議なことに、最初は一匹一匹、テンでバラバラな場所を推薦していたダンサーたちは、やがて徐々に同じ場所を示すようになっていき、最後に全員が一致した動きで合意に達したとき、分蜂群全員が一斉に飛び立ちまっすぐに新営巣地に向かったのだ。
 それを追いかけて観察し確認したリンダウアーであったが、その合意に至るプロセスや集団を誘導するメカニズムなど、当時は推測で語るしかなかった。
 1974年にハーバード大学大学院に入学した著者は、そこでリンダウアーがこの論文を書いてから20年近く経っているのに、以後深く掘り下げた研究者が誰もいないことを知って自分の研究テーマとすると、さっそく自然状態のミツバチたちが最も快適と感じる営巣場所の調査に取り掛かかり、分蜂群が必ず選んでくれるミツバチにとって理想的な巣箱を作れるようになる。
 それを元に、以降は前著『ミツバチの知恵』でも示された、スマートでシャープなシーリー氏による各行動の要因を突き止める巧みな分離検証実験を、一つ一つの段階で繰り返して行くこととなる。 
 最終的に新営巣地に【探索バチ】がコロニーを具体的にどうやって誘導してゆくかの詳細が判明したのは、デジタル機器が進歩して、群れとなって飛ぶ分蜂の一匹一匹を判別して追跡調査できるようになった21世紀になってからのこと。
 巣分けの旅立ちから新営巣地への到着まで、一連の分蜂行動を詳しく解明した本書。そのクライマックスは、やはり複数の選択肢の中から、どうやって最善の場所を選び全体の合意に至るのか? という部分。
 ミツバチの生得的なコミュニケーションリンク(いわいる本能)が、いかに巧妙に出来ており、コロニーの繁栄を最大の目的とする各個体が無自覚的にふるまっているだけで、結果として極めて民主的な合意の形成を行うプロセスを行って、しかも全体として高度な思考判断による意思決定まで果たしてしまっていたのだから。
 そしてこのミツバチコロニーによるプロセスは、我々ヒトが意思決定をする時の大脳の働きと相似であり、行動選択の最適化が進化によって収斂したという凄さに感動させられてしまった。

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紙の本東京より憎しみをこめて 1

2013/10/19 23:31

Good!! 納得の新シリーズ!!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『大日本サムライガール』 も6巻まで順調に盛り上がりを見せている至道流星さんが、何故か同一出版社から別シリーズも同時並行して行くらしい…………。一〇月発売とされた予告を見た時から、楽しみにしていた、『東京より憎しみをこめて』。
 楽しみにし過ぎて勘違い、発売日の一日前にジュンク堂へ行ってしまっていた。
 無駄に探させてしまった店員さん、お手間かけさせてすいませんでした。
 と言うわけでジュンク堂で買ったわけだが、一気読み。
 予告であった『反社会的~』な内容というのは何だろう? と読み進めていく。
 冤罪で全国区で名前が知られてしまった、元経産省の若手エリート・月成拓馬と、広域暴力団会長の父親が無期懲役を喰らい、残された幹部も微罪で逮捕され、駆け出し中の画家ながら筆を折らなければならなくなった海音寺詩乃。
 共に検察・警察の作り出したマスコミ・フィーバーで、まともな道を断たれた二人。
 無罪を勝ち得ても、フィーバーして全国隅々まで拓馬の悪名を広めたマスコミは、訂正も謝罪も報道せず、一度ついた悪名だけが独り歩きして、東大法学部卒の元エリート官僚ながら二七歳にして日雇い肉体労働者になるしかなかった拓馬は、少しでも収入の多い職を求めていくうちに、本人も知らないうちに社会の暗部である運び屋をさせられていた。
 一方、詩乃も海音寺一家を巡るマスコミの家族まで晒された記事に、低所得ながらやっと将来の見えてきた画業を続けることが出来なくなり、所属アトリエをやめなければならなくなる。長年父親を補佐していた御堂と足立も、組を引き継いだとたん軽微な罪で逮捕。もはや海音寺一家を壊滅させるまで警察の追及はかわせそうもなかった。
 将来の希望を警察とマスコミに失わされた詩乃は、自分の組『世界を滅ぼす悪の組織』を創ろうと志す。
 精密機器のハンドキャリーのドライバー職に就いていた拓馬は、ある日自分の本当の積み荷がエンジン内部に隠された手榴弾やロケット砲などだと知り、慌てて止めるが、やはりまともな仕事は日雇い派遣・現場労働しか残されていなかった。
 一巻は、そんな二人が、縮小した海音寺組を引き継ぐものと、ともかく食うため訳も分からず応募した期待される新人という雇用被雇用者として出会うところで終わる。
 ビジネス・ライトノベルという新しいジャンルを切り開いた至道さんは、これまでも暗部とのギリギリのビジネスを作中に入れることが多かった。しかし、それは一番積極的な時でも『羽月莉音の帝国』 で株安誘導のためヤクザ組長に個人名義でターゲット企業の大株主になってもらうよう裏取引するとか、取り締まる国の無い世界証券市場を自分たちで作り出し、大規模で計画的なインサイダーを仕掛けてゆくなどで、社会の暗部的なダークビジネスというのとは、いささか角度の違う、表側からの違法手段という立場だった。
 この新シリーズ『東京より憎しみをこめて』は、高利貸し・産廃業者など詩乃に残された海音寺一家の経営するフロント企業を巡る、社会の裏側からのビジネス・ストーリーになってゆくような雰囲気。
 また破天荒なビジネス・ストーリーを見せつけてくれそうな予感。
『大日本サムライガール』は、ビジネス側面と芸能面・政治面のバランスですすむ話なだけに、アクロバットな至道流ビジネス・サクセスへとトントン駆けのぼってはいけない分、無法を承知のダークサイド・ビジネスで、またもや『世界征服―SS―』な面白さを見せてくれそうで、これからも期待大である。

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