若杉一路さんのレビュー一覧
投稿者:若杉一路
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紙の本東北学/忘れられた東北
2015/08/11 15:16
東北から東北を考えることは日本を考えること
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“「いくつもの日本」へ 赤坂東北学はここから始まった”
という帯のコピーが象徴的に語っている。
東北に暮らし、東北をめぐり歩いた私自身のの経験から、
赤坂東北学は“本物”を感じる。
物静かな赤坂氏にしては、気負った言い回しがところどころに顔を出す。
“ここから始まった”という読後感がひとしおである。
自らを語らぬ東北を語ることの豊饒さがここにある。
紙の本生きる
2021/08/04 13:20
抑制の利いた趣向が味わいを深めている
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乙川さんの作品に大向こうを唸らせることを狙った作品はほぼない(読んだ限りでの感想)。その中では、趣向が立っているようにも感じるが、抑制が利いていて、乙川作品らしい静謐さが保たれている。その意味で乙川作品を堪能できる一冊となっている。
加えて言えば、縄田一男さんの解説もよい。この『生きる』が直木賞が取った際の選評を引用しながら、乙川作品のよさを、まさに”解説”している。
紙の本逍遙の季節
2021/07/28 09:06
緊張感のある静謐な物語が素晴らしい
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丁寧な舞台設定、細やかな状況・人物描写。乙川さんの実力が余すところなく発揮されている好編ばかりが集められています。
技を極める楽しみ、苦しみをテーマとする芸道に関わる作品は、とかくエキセントリックになりがちですが、トリッキーな展開など不要な緊密な描写と物語運びで、緊張感のある静謐な物語として中編小説の面白さ満喫させてくれます。
紙の本五郎治殿御始末
2021/07/28 09:12
着眼は良いのだが
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着眼はよく、舞台装置もよく考えられていて、いつもながら感心はするのだが・・・
といった感想をぬぐうことができませんでした。
種があかされても手品として楽しめる手品と、種明かしの後では面白味を失ってしまう手品があるように、小説にもしつらえが分かっていても心打たれる小説と、しつらえがわかり先が読めてしまうと、先に読み進めるのが萎えてしまう小説があります。
この作品集に収められた作品は、いいとこついてるなとは思いつつ、いいところをついているが故に、読後のカタルシスを欠くように思います。
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