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  3. 求道半さんのレビュー一覧

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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

求道半さんのレビュー一覧

投稿者:求道半

48 件中 1 件~ 15 件を表示

学際的比較文明考

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

下校途中の女学生が目にする光景、放課後の待ち合わせ、秘密の共有、逢引、などと書き連ねると、いかがわしい雰囲気が漂い始めるが、それらを昭和の事物に絡ませて、変質者まがいの異星人との交流を描く連作や短編を収める本作は、言わば変奏曲であり、似たような展開、背景、登場人物の微妙な差異こそが、意識されない、言語化できない魅力の源泉であろう。
 核兵器と少女のヌードが、ある程度、平然と、日常的に並置され、謎の電子機器と地球外に由来する文明の利器が平穏な市民生活の背後で、その使用と回収を巡る諍いを生んでいるとは、作中人物も読者も、知る由がない。
 だが、その経緯は明確には提示されず、断片的な情報の収集と解説を兼ねたあとがきで読者が想像する他なく、未完成、或いは中途半端と感ずる読者も多いのではなかろうか。
 ここが作者の狙い目である。
 語弊を恐れず、作者の意図を推し量れば、全て方便である。
 女子中高生の裸が見たい。変な生き物と戯れたい。機械いじりを楽しみたい。セーラー服、スクール水着姿のおさげの少女への憧れ。欲望ではなく願望をオブラートに包まず、SFという隠れ蓑で、包み隠さず、直截に違和感なく表現する手法上の制約だと考えれば、一から十まで描き切らない事が大切で、この微妙なバランスが崩れれば、ただの欲望まみれの他人が読めない、独り善がりの排泄物に変質するのは間違いない。
 あとがきで作者が分かりやすさの度合いを図示しているが、「たぶん惑星」や「いないときに来る列車」を読んでから、或いはその逆でも、制作年代によるニュアンスの違いを把握した上で再度、本作や他作品に触れれば、作者の一貫した姿勢と意図が自ずと理解出来、後を引くのは確実で、静岡に縁もゆかりもない多くの国民も、昭和を知らない世代も、作者が関心を持ち続ける事物に対する親近感と殺風景な日常に潜む驚くべき未知なる存在への関心が高まるかもしれない。

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紙の本いないときに来る列車

2015/09/30 23:18

隣人の性癖

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

世紀末、核戦争、人類滅亡の恐怖を肌で感じた東西冷戦時の記憶を少しでも持つ読者は、肩透しを食わされる、張りつめない緊張感の中での妙な居心地の良さが味わえる、あっさりとした短編が、連作も含めて、多数、収められている。
 何故、宇宙人は女子中学生の生態に興味を抱き、大規模な仕掛けを施して、その裸体を覗き見ようとするのか、と、疑問を抱いてはいけない。宇宙人の嗜好は人類とは異なり、人類でさえ、少女の水着姿やヌードに、美を見出してきた歴史を知る者にとっては、無粋な、自明の理である。
 昭和の後半を舞台にする事で、一昔前の機械や風俗に対する知識を実体験として保持する者の意表を突く、腑に落ちながらも微かな違和感を残す、その違和感が不快感や否定的な感情を催さない、郷愁とは異なる親近感に似た感情が、きっと、湧き上がるであろう。平成以降に生まれた読者の興味も必ず引く趣向に満ちた、少しずつニュアンスの違う物語の中を、一度でも覗いた途端、何かが心に引っ掛かり、また、その世界に浸りたくなる中毒性が宿っており、注意が必要だ。
 名立たる出版社の発行する夥しい漫画の中で、似たり寄ったりの作風が氾濫し、現状に飽き飽きしている読者こそ、新たな読者になる資格を備えていると言える、堅苦しくない、芯の通った、SF作品集の体を装っていると誤解されるかもしれない、紛れもなく、女の子と謎の生き物が活躍するSF漫画である。

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紙の本取水塔

2016/08/20 15:06

不埒な調査

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

惑星探査計画の運用は、何世代にもわたる膨大な月日を要するが、これは人類に限った話ではなく、未知なる生命体にとっても事情は同じである。
 戦前に駿河湾の沖合いから始まった異変は、昭和の末期になっても確認され、表面的には平穏な町の、秘密を抱える大人の目を掻い潜り、思春期の少年少女や大学生らが、好奇心の赴くままに、海辺を探索し、思案を重ねる、ある夏の出来事が描かれる本作は、何の変哲も無い取水塔の存在に違和感を覚えた若者の、一枚岩とは言えない団結の下に繰り広げられる、公然の秘密を暴く、命懸けの冒険である。
 命懸けではあるが、海中での調査に必要不可欠なスクール水着が突然、脱げると、年上の女の子に恋心を抱く男の子の目が輝くのは当然で、謎の物体の中に二人きりで閉じ込められると、その裸体を心行くまで堪能し、死と隣り合わせの極限状況と緊張感のない会話との対比が面白い。
 異変を引き起こした黒幕とそれに加担する人間との思惑の不一致が、部外者を巻き込んで、当事者の予期せぬ事態を引き起こし、混乱に乗じて主導権を握ろうとする各勢力の戦いは、電波やビームを駆使した、国家機密に抵触する、本来、一介の中高生の手に余るものだが、目まぐるしく変転する形勢を見極め、窮地を脱する彼らの手際の良さは、驚嘆に値する。
 長編が一本だけ収められたこの単行本は、直線的な作中時間の流れにより、断片的な出来事の寄せ集めである、と、読者に受け取られる恐れがなく、物語は必然的に、ある地点に向けて、加速度的に収斂する。
 エピローグと最終話との間には数年の隔たりがあり、最後に簡潔に描写されるそれぞれの関係の変化こそが、実は最高の見せ場だ。

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脇目を振ったら

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

スポーツ推薦で入学した本屋の娘と公立高校に落ちた定食屋の息子が通う石川県の私立高校を舞台にしたコメディーである。
 この爽やかな青春物語は、中学では疎遠になった幼馴染が、学期末試験の勉強をガリ勉の男の子に手伝ってもらうことで旧交を温める、肉付きの良い女の子の片思いの物語であり、ムッツリスケベな男の子の苦悩と葛藤の日々の記録でもある。
 スケベだが少年は誠実で、勉強の妨げとなる豊満な胸、肥えたお尻、見え隠れする上下の下着を堪能した上で、直接、彼女に申告する。当然、羞恥心の裏返しである暴力的な返礼を毎回、受け取るわけだが、誇張されたタンコブは痛々しさや不快な感情を伴わず、これがなくてはコメディーが成り立たない。
 「まーくん」の目の届かない女子更衣室では、女友達が女子ならではの特権を活かして戯れ、プールでは破廉恥な特技を披露して「天野めぐみ」の素顔を読者に届ける。それに伴い、必然的に他の女子生徒の下着姿や水着姿も楽しめ、ありふれてはいるが、なくてはならない場面が目白押しである。
 部数回復の起爆剤に選ばれた新人の作品としては申し分ないが、人体各部のバランスの悪い描写が複数あり、多少、目を瞑らなければならないが、一巻目にしては上出来だ。
 男勝りな活発な少女が小学生の感覚で気安く接し、無邪気な色気を発散する中で、自身の目標の実現に向かって勉学に励む少年の過去と現在は、実は肉欲との戦いの過程に他ならず、度々、打ち負かされるその様子から、いつまで耐えられるか目に見えているが、二人はまだ高校一年生で、夏休みの真っ只中でもあり、焦らず、じっくりと親睦を深めるのが読者の理想である。

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女優の想像力

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中学生の時、同い年の若手清純派女優に恋をした高校一年生、玉梨大地は、本人は知る由も無いが、憧れのその人とSNS上で文字だけの会話を交わす仲である。
 一方、皐月菜乃花は、相手が自分のファンであるとは知らずに、自ら、連絡を取り、常に共通の趣味について語り合える事に喜びと安らぎを覚えている。
 身体的な側面と精神的な側面の両面で劣等感に苛まれる少年と、自身の虚像と実像との乖離に悩む少女とが、仮初の知己として、互いを励まし、共に成長する物語に、更にもう一人の少女、大地の幼馴染である高峰真麻が恋愛面で絡んで三角関係になりつつあるのが第一巻の概略だ。
 学園のアイドルと売れっ子女優が、冴えない男子を巡って、間接的に張り合う様は、双方に恋心の自覚がなく、まだ、恋の駆け引きとは言えないものの、険のある物言いや態度がそれぞれから看取されて、今後の展開が楽しみだ。
 共学高校を舞台にしている以上、男女間の性的な騒動も起こり、主人公がそれに巻き込まれる事で、周囲との関係に変化が生じるのも、読者の期待に少なからず応えようとする作者の姿勢が垣間見えて好ましく、本作の評価を高める一因となる。

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興奮するまで温めて

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルから連想して、勇者が性的な接待を受けている、と勘違いするかもしれないが、真相は、その逆で、本作は、人間と魔物との戦いに勝利した真の勇者が主人公ではなく、むしろ臆病者と揶揄されたであろう戦功のなかった男子ロキの、魔境の湯治場での下働きの日々が描かれる。
 種族間の蟠りが解消されない状況下で、勝者の立場である、とは言え、敵地に左遷された男の鬱屈した感情が、魔物の心を傷付けてしまう第一話から、徐々に、打ち解けて、女将の片腕として、雑務をこなすその後の展開では、客として来訪する雑多な魔物の要求や要望が、話の中核をなす。
 従業員の法被姿や浴場の造りからして和風でありながらも、ロキが接する客は西洋の魔物であり、その中でも性と密接に関わりがあるのはサキュバス位であるが、スライムの娘や女勇者なども裸で登場し、従業員一同の真心を込めた接客術により、どんな魔性の女でも、いつしか、愉悦の声を上げるのだ。
 残念ながら、年齢不詳の幼女風の魔物である女将ガイアベルの完全なヌードは掲載されず、稀に見て取れる水着の股間の窪みで我慢せねばならないが、各話のゲストの裸体には、必ず、特徴のある乳首が加筆されており、若干、少なめの総頁数の割には、性的な面での読者の満足度は高いと言える。
 絵柄よりも筋書きに重点を置く読者の懸念に対しては、魔王の死により、人間に服従せざるを得なくなった一枚岩とは言えない魔物の動向や、戦勝に沸き立つ王都の貴族や優遇される勇者と僻地の元勇者との感情的な対立、中立地帯の鉱山の利権を巡る問題等、湯治場の内外で起こり得る数々の危機が内包された不安定な世界である、と、答えたい。
 他にも、少女や成人女性の似像として魔物の裸を見るだけでは、魔境の温泉宿の魅力を味わい尽くしたとは言えず、目を凝らして、一人一人の客の顔を確認するのも大事である。勇者の特性を活かしたロキならではの客への対応や裸踊りは必見だ。

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天球の大祓

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

祖母から謎の訓練を受けていた女子高校生が、或る日、訳の分からない間にロボットのパイロットにされ、裸で操縦して、未知の敵と闘う本作は、見かけは近未来のSFであるのだが、その本質は太古から続く信仰と人類の尊厳の物語である。
 弱虫で泣きべその女の子に主人公としての魅力が備わっているのか、或いは、全二巻での完結は不人気の証ではないか、との疑問に対しては、純真で潔癖なうら若き処女の裸体が、肉体的にも精神的にも多大な負荷のかかる激しい戦闘に連動して、色香を漂わせる作品は、たとえ打ち切りであったとしても、ひっそりと流通する事に意義があるのだ、と答えたい。
 グラマラスな女体にしか惹かれない読者には、主人公佐京姫香のスレンダーな、慎ましやかな無防備な裸身は、成育不全で病的な、性的にも美的にも、価値の無いものでしかない。しかし、几帳面で律儀な内面を反映し、かつ意外にも芯の強い少女の造形として、これ程までに理に適った形質は、他には考えられないであろう。
 性的な面だけではなく、ロボットによる激しい攻防戦や、その合間合間の、緊張感を和らげる戦闘員のコミカルな一面にも注目すべきであり、むしろ、近未来の混沌とした世界情勢を更に悪化させる複数の集団と、それに抗う一派との水面下での出し抜き合いが、興味深い背景として、最終的に浮き上がるのが本作の特徴である。
 主人公の姫香は斎女である。
 霊的な、或いは精神的な力の発露が、コミュニティーを破滅の危機から救うのだが、その構成員は八百万である。
 神聖な儀式を執り行う、選ばれた少女の舞に見惚れるのは、敵の将兵だけではない。

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おまけの重み

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

初出時に無料で読み、単行本は買わない、と判断した読者も、本巻を読めば、その妥当性を疑わざるを得ず、初めて本作の事を知った読者と共に、第十二巻から遡って購入する決意を固めるのも、遅きに失する事ではない。
 年末年始の番外編のような一話と四コマ、鬱屈した感情に振り回される少女の悲喜劇全四話と、一話で完結するその他の五エピソード、合計十一話が収録された本巻は、冒頭のアプリゲームの話を例にして考えると、第七巻を読んでいれば、登場するカップルの成立過程を踏まえた上での感想が生まれ、前巻で別の登場人物が同じゲームをしていた事を知っていれば、同一のモチーフで全く異なる内容が描かれている事に、新鮮さと驚きを感じ、重苦しい長編の端休めの役割を果たす毎回のおまけが、そのゲームとは表面的には関わりが無いものの、全体の読後感を左右する重要な役割を担っている事に気付かされる。事程左様に、単行本を全巻揃えていれば、再読の楽しみと喜びは一入なのである。
 本巻で初登場した人物が番外編や書下ろしの四コマで再登場する、週刊少年ジャンプでの第一話のカップルが初詣に出掛ける、比較的登場人物の多い第十二巻は、言うまでもなく、それ以前の十四巻分の時間の経過と蓄積の上に成り立っており、オムニバスと言う形式の特性を十分に活かした構成で、それはこの一巻だけに限った話ではなく、連載が続く限り、各巻の内容は随時、深みと厚みを増すのだ。
 もし、単行本化の際の目玉が、乳首の加筆だけの、男子の性欲の捌け口である、浅墓な作品だ、と未だに本作を侮る者がいるのであれば、認識不足も甚だしい。それは武勇伝で名高い朱雀少年の活躍をロハでしか目にした事のない者の妄言であり、相棒の筧少年と共に一肌脱いだ本巻での冒険を聞き及ばない、不見識な輩の負け惜しみである。
 作中で女子のプライバシーを侵害して凍結されたアプリ、パパラッチの、おまけでしか知りえない個人情報や、それを暴く謎のイルカの生態等、乳首が描かれているか、否か、は、さして重要ではない。
 携帯電話の性能と機能から逸脱すればするほど、魔法のアプリは本領を発揮したと言えるが、本巻ではむしろ、現実世界の延長線上の出来事だと思える、起こりえる事象、起きたら楽しい事案が豊富で、謎の組織パームズは影を潜め、新年祝賀に相応しい陽気な笑いが最終的に生じるのだ。

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紙の本青猫について 1

2016/10/19 17:19

おぼこと火男の剣舞

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巫女による化物退治で相手が傷付いても読者は痛みや不快感を覚えないのと同様に、本作の少女による刃傷沙汰には不届き者を成敗する痛快さを感じこそすれ、生身の人間が切り刻まれる瞬間を目撃する恐怖や残虐行為に対する嫌悪感は抱かないであろう。
 逆に無法者の狼藉に対しては、勧善懲悪を求める心が沸き起こり、主人公青猫の敵討ちに同情と賛意を禁じえないのだ。
 毒をもって毒を制する、無垢な少女の捨て身の弔いは、終戦前後の退廃した世相を背景にした、復興とは無縁の、暗澹たる日々の記録であり、いつの頃からか彼女に寄り添う幼い相棒が、戦災孤児という境遇にめげずに、抜け目なく立ち振る舞う姿が、場の雰囲気を和らげ、残忍だ、と断罪するには忍びない潜行活動に、張りと潤いを与える役割を果たす。
 斬殺される輩の血煙で画面が曇り、脳漿や臓物の触感と臭気を想像して、吐き気を催すのを抑えるには、嫁入り前の生娘の柔肌を凝視するのが効果的で、男の視線など気にも留めない年増の乳房や、女主人と使用人の秘密の情事を覗き見るのも気晴らしになる。
 青猫はキリスト者である。
 南無阿弥陀仏とは唱えないが、別の言葉を呟く。
 世間とは真逆の下り坂を駆け下りる少女は、地獄の底を見据えている。

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きなことラーメン

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

週刊誌連載分の三冊とタイトルに+が加わった七冊との間には、設定上の変更点や話数の断絶がなく、第一巻から順に読み進めるべきだが、試し読みとして手当たり次第に手に入れるのであれば、最低、二冊は読んでほしい。
 どの巻にも必ず登場する魔法のアプリの説明書アイビスが仲立ちする高校生の恋模様は、オムニバス形式でありながら、数話後に、別のシチュエーションで、新たな側面を見せることも多々あり、読めば読むほど、登場人物に対する思い入れが深まるのだ。
 本巻でも、今迄、何度も登場した空手部の面々や不良少女、生徒会長や異彩を放つパソコン部員が本編や特別編で活躍し、一度読めば彼らの人となりをより詳しく知りたいと思わない読者はいないであろう。
 物語の大半は恋愛絡みの話であるが、本巻収録の不良少女のエピソードのように恋愛とは全く無関係な話もあり、毎年恒例のクリスマスの特別編はゲームブックの要素を取り入れたショートストーリーであり、新刊発売時の宣伝を兼ねた番外編や新年に因んだ四コマも七巻には収録され、各巻で収録話数や内容が大きく異なるのも、本作の魅力である。
 単行本収録の際に加筆訂正される女の子の乳首の描写は、暗黙の了解事項で、本巻でも踏襲されており、心配は無用だが、本編を補完し相乗効果を発揮するおまけの存在が、実は、本末転倒になりかねないほど際立つのが本作の特徴だ。
 「人なら誰でもついてるし。」と言い放ち、グラビア撮影に臨む少女の姿は、単行本でしか目にする事が出来ず、本編では裸になる場面など一切なくても、おまけでは惜し気もなく上半身を露にする、と今更、注記するのは蛇足かもしれないが、初出時との印象の変化は大きく、第一印象で久しく見向きもしていない人こそ、是非、本巻を読んで全巻揃えて貰いたい。
 連載開始時から最新話まで、似たような場面、似たような構図はあるものの、各エピソードの核となる魔法のアプリは常に新しく、「パパラッチ」のように特殊な状況で再使用されるのは例外的な扱いで、爆笑することが多くなった予測不可能なギャグセンスと愛のある性的な表現は発展途上だ。

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終末の神楽

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西暦ではなくなった未来のとある町の風景は、一見すると現代の日本の都市と瓜二つで、住民の生活は平穏そのものだが、一部の者が安全保障上の特殊な任務に就き、八百万人の生命を脅かす危機に、人知れず立ち向かう。
 喋る戦闘ロボットに乗り込む新人の少女は地味で、運動音痴で、客観的に見ればとても適任者とは思えないが、多くの候補者の中から選ばれた、名の知れた血族の一員であり、慣れないながらも懸命に、体を張って、心血を注ぐ。
 これは誇張ではなく、歴代パイロットの中には戦死者もおり、主人公姫香の先祖も戦闘中に負傷して片目を失った模様だ。
 得体の知れぬ複数の敵のロボットが跋扈する旧市街地と居住地域内における緊張感の落差は激しく、その差が主人公を突き動かす原動力となり、なんとか踏ん張りながら、死線を掻い潜る少女の姿は健気で美しい。
 パイロットは専用のスーツを着て操縦し、援軍の少女も専用スーツを着用しているが、姫香は裸で戦う。
 敵の正体や世界情勢には不明な点が多く、暗躍する勢力の存在も示唆され、姫香の命を狙う輩も登場しそうな気配が漂うが、重苦しい描写が続くと勘違いされては困る。
 姫香は裸だ。
 冒頭に掲げられた天岩戸の件との関連が濃厚な裸で戦う姫香の姿は、浴室で寛ぐのと何ら異ならず、時々、苦悶の表情を浮かべる以外はリラックスして、華奢な肢体と形の良い乳房、毛の生え揃った股間と尻を、コクピットで曝け出す。
 事ある毎に住民を巻き込んで自爆しようとするロボットの中から、運良く脱出したとしても、素っ裸である。
 姫香が発する緊張感と滑稽感、礼儀正しさと几帳面さが、悲壮な世界を妙に居心地の良い空間に変貌させており、終末に向かいつつある故郷の命運を握る彼女の一挙手一投足から今後も目が離せない。

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カメレオンガール

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裸で壁を登るわけではないのに、妙に艶かしく崇高さを覚える女子高生の姿が、見る者の心を揺さぶり、感化する。
 部活動や放課後、合宿における主人公の真摯な練習姿勢や立ち居振る舞いに触れた周囲の男女は、己を省みて、襟を正す決意をする。
 或る者は恋心を抱き、或る者は同性に憧れ、その人に似つかわしい姿を求めて、己を磨く。
 純粋なスポーツ漫画の側面と学生生活の描写とが、少女の一途さゆえの滑稽さを繋ぎとして、バランスよく配置され、第一巻では乏しかったボルダリングというフリークライミングの一種目の詳細が、本巻では大会の場面を通して描かれ、臨場感に溢れた間近で観戦する気分が味わえる。
 名字以外、詳しいプロフィールが明かされていない主人公、高校一年生の小寺さんの、中学卒業時から夏の大会までの、練習に打ち込む日常が、主に何らかの関わりが生じた者の視点で捉えられ、その相手が受けた印象を、小寺さん本人の内面性の発露として読者は受け取り、共感し、その身に起きた変化に好感を寄せる。そして、その触媒となった小寺さんの様々な一面を更に知るのが楽しみになるのだ。
 各話の終わりに挿まれた一コマだけのおまけも、番外編に匹敵すると言っても過言ではなく、ショートストーリーであるが故に本編では描ききれない機微を、そっと載せて、味わい深い。
 出る杭は、いつの日にか、打たれるのか、異質な者に対する蔑視と羨望が、所々、集団生活の息苦しさと同調圧力の捌け口となり、空気が淀むのが、苦々しい。
 作者名は、珈琲である。
 砂糖はふんだんに用意されてはいるが、何も入れずに飲み干すのが流儀であろう。

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痴漢にならないために

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電子書籍版もあるから嵩張る単行本を新刊発売と同時にわざわざ買わなくても良い、と言うのは自己欺瞞に他ならない。
 本棚に並べられたお気に入りのシリーズが、実は親や兄弟姉妹、友人に手に取られ中身を確認されると申し開きが出来ない内容で、人格を否定され蔑まれるのを恐れる先回りした自己保身であり、見え透いた言い訳である。
 それは本作の一面的な評価に基づく誤解や中傷に加担する行為であり、その結果、引き起こされた悲劇が前巻収録分の公開停止措置や初出時の無難な描写への回帰である事を、肝に銘じておく必要がある。
 だが、朗報である。本巻で救済策が確実に実行された。
 第一話から登場し名脇役として活躍する空手部の主将の女の子が、二年分の期待と欲望を一身に引き受け、胸に秘めた乙女心をようやく吐露し、浮いた話の全くなかった女子高生としては異例の肉体的な加筆を経て、夢見る少女の姿を惜し気もなく、大胆に、綴る。
 面白いことに、その反動で本巻収録の他の話との表現上、構成上の振幅と連関が広がり、予定調和ではない展開、結末が描かれ、各回との差異、落差が激しい。そして、この傾向は、次巻以降も続く。
 おまけも抑制的だが、本編の雰囲気を損なわない配慮と表現手法を題材にした展開は作者の叙述力、表現力の向上と単行本における有機的、統一的な構成を確認するのに十分であり、間違いなく笑え、楽しめるであろう。
 純朴な青少年をかどわかし精神を蝕み、堕落させ、痴漢に仕立て上げる漫画の表現とは一体、どのような描写なのか。
 スカートが捲れてパンツが見える。そのパンツに線が描かれている。着替え中のブラジャーとパンティー姿の少女。入浴中の裸体表現。水滴と泡。
 これらは時々、本作でも目にする。
 正当な理由があり、女の子の胸を揉む。これも時々、そして本巻にも収められた光景だが、当事者の女の子の反応と男の子の弁明がコメディーとして成立しているのは当然で、物語の核心とは言えないまでも、重要な場面であるのは確かである。
 人が犬に、猿に、透明になって、本能の赴くままに行動することや、大きくなったり小さくなったり、ゲームの世界の中に入り込んだり、アイドルの素顔を知ったり、ファンの奇行を目の当たりにしたりする事は、いかがわしい、唾棄すべき、少年少女に読ませたくない場面ではない筈だ。
 婦女暴行シーンはない。未遂シーンや性的な脅迫もほとんどなく、「i・ショウジョ」だけが指弾され、少年漫画として不適格の烙印を押されるのは、興味はあるものの勇気を振り絞って書店で買うのを見送る絶好の口実になっていないか、もう一度、冷静に考えて、それでも書店に足を運べない、書店の棚で見つからない、不幸な、或いは小心者の、若き読者よ、手に入れられなくなってからでは、後の祭りだ。

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追悼、並びに賞揚

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巻数表記のない前巻で完結したと思われた、異星人の妻と地球人の夫とその娘の話が、地球外も舞台にして、再び刊行された矢先、作者の突然の訃報に接し、ご冥福を祈るとともに、前巻と同様、奥付きにおける登場キャラクターによる英語での「またね。」が、永遠に叶わなくなり、遺作のひとつである本作の存在感が日々、増している。
 表紙カバーのメデューサの様な奥さんが、本文では当然、モノクロで描かれるのだが、細い線でありながらゴシック体のように感じられる描線が、以前の鳥山明氏を髣髴とさせる、さほどメカニカルな描写はないものの、ユニークな異星人の面々は、温もりのある、柔らかな、少年漫画の伝統を受け継いだ、万人に愛される魅力に溢れた作品である。
 夫婦の馴れ初めや出産、育児、両家の顔合わせ、団地住まいならではの近所づきあいとトラブル等、全二巻に凝縮された、一話毎は短編の連作ながらも、文字通り、宇宙規模での日常生活を、仕事と家庭の両面から描いた、漫画史に必ず残る名作である、と、賛同者を募りたい、いや、残さなくてはいけない、軽くて楽しいSFだ。
 他のビームコミックスと同等の手の込んだブックデザインも、紙ならではの細工が施され、巻末のおまけも含めて、手元に置いて損はない、ビームコミックスを一度も開いた事のない方は他の漫画の単行本では見られない、値段の割りに豪華なその意匠に、必ず驚き、そして満足するであろう。
 人類とは服装も背格好も異なる故の、健康的なお色気ハプニングも微笑ましく、異種間の信頼と絆が笑いと涙を生む、読み継がれるべき名作である、と疑う余地のない、若き才能の残した結晶が光を放ち続ける未来が目に浮かぶ。

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天の羽衣と王朝○○○ス

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時代劇専門漫画雑誌「コミック乱」にて連載された、羽衣伝説を題材にした、盗人の一味の少年と年齢不詳の謎の少女が活躍する、一風変わった歴史ファンタジーの前半部分が収録された、血しぶきまみれの切った張ったの場面が全くない、全年齢向けの、アニメ化しても不思議ではない、上質な作品である。
 かぐや姫の物語と富士山の関係は周知の事だが、羽衣を無くした天女と富士山の噴火との関連に着目し、平安前期の政治情勢と絡ませて筆を運ぶ点が、作者ならではの着眼点であり、日本史、民俗学、神話学の要素が見事に溶け合った、表層のみ伝説を利用し剽窃した、安直な駄作ではない。
 本作の特徴を挙げるとするならば、肝心要の、天の羽衣を身に纏い天を舞う天女や羽衣を枝に懸けて水浴びする姿、羽衣そのものの描写が上巻では見られず、舞台も駿河国から平安京、伊勢と広範囲に及び、人口に膾炙した馴染みのある話からは思いもよらぬ、下巻を手元に用意して読み終えたい、読書欲を刺激する推進力に満ちた王朝絵巻に仕上がっている点であろう。
 海野氏の他作品や画面構成法を知らぬ初見の読者は、素直に読み進めて、独特の大ゴマの連なりが齎すスピード感と、時にデフォルメされ、時にリアリティーに満ちた丁寧な描写を存分に味わってもらいたい。成人向け作品も手がける点に嫌悪感や頭ごなしの忌避感を抱くのは間違いで、性的な場面はほとんどなく、冒険活劇が主体の純粋な一般向けの作品である事を強調しておきたい。裸体描写などは数ヶ所のみで、モザイクすら必要ない自主的な絶妙な構図により、女性が読んでも一向に差し支えのない、極めて健全な、初心な少年の感情表出が多々、楽しめる、家族全員で読みたい昔話である。
 若き日の菅原道真が羽衣伝説と如何に関わっていたのか、歴史の裏に隠された真実を知りたい、普段、漫画を読まない読者にも手に取ってもらいたい、一般書店では入手しづらいコミック乱連載作品の満を持しての単行本化である。

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