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十楽水さんのレビュー一覧

投稿者:十楽水

紙の本教団X

2016/11/23 20:48

社会に対する警鐘

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

現代社会に対する警鐘であり、強烈な著者の問題意識が随所に書き記されている。その中でも、胸に突き刺さったのが「軽薄な自己が、大義に飲み込まれることで、役割を与えられる」という一文。この指摘、時代を超えて重く響くのではないだろうか。

大きなものの一部になりたい願望と、思考に飲み込まれる快楽。移植された思考で、自分を尊大に見せる。自分の優位性を信じる。昨今の排他的で攻撃的な言論、同質性の心地良さに安住し異質な価値に開かれない閉鎖性に、通底するものを感じる。著者の問題意識も、近い所にあるのではないかと、勝手ながら想像する。

個人的には、松尾と沢渡を対比させて読んだ。2人を隔てたものは、なんだったのか。戦争体験か? 過剰は常に危険を宿す。凡庸な言い方だが、中庸であることの大切さ、難しさを松尾は訴える。その訴えに耳を傾けたい。

陰謀論的なところ、腰砕け気味のラストも気にならない。スケール感の大きさに圧倒された。

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紙の本忘れられた巨人

2015/11/25 21:13

過去を公正に語れるのか

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

直訳すると「埋葬された(埋められた)巨人」となるのでしょうか。今は姿が見えないだけで、消えてなくなったわけではない。覆い隠すものが除かれると姿を現す。それが巨人という存在です。いったいだれが、なぜ、埋葬したのか。そのことは正しいのか。だれにとって正しいのか。だれかにとっては、正しくないのか。
 いつまで埋葬されるべきなのか。時が経てば正しさは変わるのか。巨人の姿は変わるのか。時が経っても変わらないものはあるのか。

 小説のテーマは「公正に過去を語るとはどういうことなのか」であると思います。過去に起きた出来事を語るとき、その全てについて語れない私たちは、自らが語らなかった過去とどのように向き合えばいいのか。根本的な問いかけは、語り手の次元を個人から共同体に移すと複雑さを増します。「自らの立場に立ち続けることは公正さの達成をもたらすのか、妨げになるのか」「ある条件のもとでは立場の絶対化は許されるのか」「相手に対し、立場に固執しないでほしいと望むことは認められることなのか」。こうした疑問が、解きがたいものとして現れるではないでしょうか。

 果たして公正さは、立場の相違を乗り越えて求められるのか。この問いへのまなざしによって、小説の読み方が変化するかもしれません。基本はファンタジー+ラブストーリー。人々はなぜか過去を忘れ、主人公の老夫婦も記憶が頼りない。ある日二人は息子探しの旅に出ます。鬼やら竜やら異界の住人も出てきて、足腰も頼りない老夫婦の旅(冒険?彷徨?)には本当にはらはらさせられます。ラストは相反する解釈が可能だと思います。
 重たいテーマを前にして、あてどない読後感。自分で答えを見つけよと突き放される感じもありました。でも、もっと自由に読めば、「こんな老人になりたいと思うだろうか」とか「男(女も)はつらいよ」とか思えたかも?とにかく、じっくりと読める一冊です。

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紙の本スペース金融道

2017/02/11 21:18

分からないけど面白い

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

壮大そうな世界観は、文系頭にはよく理解できませんでしたが、キャラ立ちした登場人物たちの、悲哀(ほぼ僕限定)と笑い満ちたやり取りに引き込まれました。なんせテンポが良かったです。

遠い未来の話であっても、描かれているのはとっても泥臭くて人間臭い。人間って、これから何年経っても、そうたいして変わらないのかななんて思えてしまう。もっと言えば、アンドロイドも人間も同じに思える不思議さ。お互い姿形や成り立ちは違うけど、似通っているところの方が目についてきて、異質な者同士でも共存しましょうみたいなメッセージが投げかけられているのではと妄想してしまいました。

それにしても、企業理念の「期日を守ってニコニコ返済…」。続きはなんだったんだろう。

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難病との闘いの歴史、それで本当にひとはえらくなった?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

疾患に着目して日本の近代史を振り返った労作。日進月歩に医学は進化して来たんだから、病死者は単純に減ったのではと思いきや、まるでそうではない。その要因は様々。

本書で強い印象を残したのが有名な脚気論争。メンツ優先で科学や合理性といったものが後ろに追いやられてしまうのを医療エリートのいざこざと見れば喜劇っぽいが、日清日露でどれだけ人が戦病死したのかと思うと、悲劇を通り越して怒りを覚える。

あと、見逃せないのが近代化の影響。西洋人と一緒に病原体が上陸したのは有名だけど、全国の関所が無くなって人の往来が爆発的に増加したことも著者はおさえている。もう一つ、近代がもたらした若者の集団生活(学校の寄宿舎、軍隊の兵営、そして工場)のことも。要するに、感染拡大の下地が出来ていた。結核で故郷に強制送還される「女工哀史」の世界には続きがあって、送還先の処女地の田舎で結核が広がったという。野麦峠は悲劇の終わりではない。人の移動は病気を運び続ける。

個人的には第7章「肺ガンとタバコ」が良かった。喫煙率は減っているのに、どうして肺ガン志望者はうなぎ登りなの?という著者の疑問は結局すっきりせず。なのに世間はタバコ撲滅に邁進。ブレーキの壊れた車みたいに、というと著者に影響され過ぎか?しかし今一度、疫学的にも病因論的にもタバコの有害性を検証してもらいたいものだ。案外これもメンツ優先だとしたら、脚気論争の教訓のすべてを一から学び直さないといけなくなるだろう。空恐ろしいので、偉くて勇気ある学者さんの登場を願ってやまない次第である。

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紙の本百田尚樹『殉愛』の真実

2016/12/03 23:49

事実は小説より奇なり

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「殉愛」の方はそもそも当事者双方に取材をしていないという。なんでそんなことをしたのかね。それなのにノンフィクションを語るなんてね。そんな話を信じられるほど、読者も馬鹿じゃないというのに。

で、こちらが真実なら、なんとも恐ろしく、凄腕の後妻業というべきか。しかしまあ、仮に凄腕と呼んだところで、長いスパンで戦略を練っていそうで、肝心なところがあっさりバレそうな稚拙さ。その場を乗り切ればいいという短期志向に見えてしまう。自分に限って嘘はばれない、という自信の持ち主なのか。

とはいっても、真相はやぶの中、真実はそれこそひそやかなもの。他の角度からの検証本が出てほしい。声の大きい人の「真実」が押し切っちゃうのも嫌だけど、逆に一方的に天秤が揺れ戻るのもなんだかなあ。でも、それってプライベードのさらなる暴露で、見たくない人・知りたくない人・そっとしておいてほしい人の方が多いのかも。遺族にしても、たかじんのファンにしても、そりゃそうだよな。

だったらなおのこと、最初に世に出した「百田本」の責任と罪は重い。そして読者としては、単純な二項対立(善を輝かせるために悪が用意される)なんてものは「眉唾物」。真実を標榜するものとの心の距離感を、今後の教訓としたい。

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紙の本指の骨

2016/10/22 23:01

静かな語り、静かな怒り

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兵士の居場所、死に場所は前線だけではない。戦死のほか、戦病死という死に方もある。舞台は南方戦線、ポートモレスビー作戦。

本作は、戦闘の激烈さも、軍隊という組織の持つ暴力性・理不尽さも前面に押し出さず、戦争の正当性に対する評価のまなざしも持たない。あるのは、遠い異国に放置され、見捨てられた兵士たちの日常であり、彼らを包むような緩やかな死への道のり、命の消え方。彼らの感情の高まり、あるいは命の発露の描写もなく、消えゆく命を淡々と克明に留めている。

これが南方戦線のリアリティーであったのかは分からない。押し迫る死に対する抵抗のなさに違和感を覚えるし、主人公が感傷的過ぎるようにも思える。もっとほかの、死の捉え方もあっただろう。しかし、そういった点を留保ししつつ、本作が描いた死は、命の価値のあまりにも軽くする戦争の恐ろしさ・理不尽さを静かに語り、静かに怒りを掲げているような気がするのである。

30代半ばで、どうして書くことができたのか。参考文献を深く読み込み、人並み外れた想像力があればできるというのか。疑問は解けない。今後の著作に注目したい。

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紙の本エクソダス症候群

2016/10/15 21:49

精神医療史を越えていると思う

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よくこれだけのことを書きまとめたな、と感嘆。ラストの腰砕け的な所は、小説としてはまずいのかもしれないけど気にならなかった。

正常と異常の間に境界を作ることだけではなく、境界を取り除くことにも副作用はある。善良な動機が単純に肯定される話ではない。結局、何を選択しても、未来からは野蛮だ未開だと批判されるだけなのかもしれない。「精神医学の歴史とは、つまるところ、光と闇、科学と迷信の強迫的なまでの反復」だとして、矛盾は無くすべきか、不快であっても共存するのか。

ホッヘにヴァイツゼッカーにマズロー、トランスパーソナル心理学、霊性、ラスタファリアン、文化結合症候群-。著者の筆は縦横無尽。個人的には、ヴァイツゼッカーの「魂は不死であると信じ、生物学的な命を犠牲にして社会の相互連帯性を維持する」が恐ろしく、でも形を変えて現在でも息づいていると感じている。だから、どんなスピリチュアルな言説にも警戒を解けないでいる。警告の書としても読めた一冊である。

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紙の本ポトスライムの舟

2016/10/15 21:17

嘘臭くない、希望のようなもの

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表題作。主人公の時間は、労働と最低限の再生産で埋め尽くされる。生きるためにはそうしないといけないから。主人公の世界はさほど広がらない。そんな時間的な余裕はないから。ところが、自分の年収が、世界一周ツアー(ピースボート的な)の代金と同じと分かり・・・。

「十二月の窓辺」。恐いのは、自分に価値が無いと信じこませること。そういった言葉は心をすり減らし、やがて殺す。

二作とも視線は低く、淡々としている。高見から見通すようなえらそうな語りは無い。どこか閉塞的で、諦めがある。しらけるような嘘臭さと無縁なのがよかった。なぜか、小さな希望が残った。

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紙の本北アルプスこの百年

2016/10/11 21:43

山小屋で読みたい

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近代登山者は案内人を伴って日本アルプスの頂に立った。近代登山者は下山の後に文章を記し、マスメディアに載り、記録となる。案内人は書くことはせず記録に残らない。

近代登山が始まる以前から、山で生計を立てた人々がおり、著者は彼らと山のつながりを掘り起し、案内人を務めるに至る経緯を見事に書き記した。近代登山者は、山にとってはいわば「外部」の人々で、山は征服と感動の場。地元にとっては生計の場であり、やがて観光業として山を活用し、我田引水的に「登山道」を整備する様子は読み手にとって目からうろこの驚きであったが、とりもなおさずそれは私自身が「外部」の人間だからだろう。槍と白馬の山小屋戦争の話をはじめ、山好きなら知って損はないエピソードが盛りだくさんであった。満足。

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紙の本九年前の祈り

2016/10/01 17:57

排斥と包摂

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総じてて男たちの影が薄い表題作は、母権的で「古い」世界から脱出した主人公が、カナダ人の夫と離婚して息子・希敏を連れ故郷・大分に帰ってくる。カナダ旅行の記憶と交錯しながら物語は展開していく。

近代と前近代、都市と土着、科学と迷信、開放と閉塞。主人公の生まれ育った土地が放つ後者の色合いに、違和感、馴染めなさを最初は感じた。喜怒哀楽を共にする、土着的な共通感覚は、デリカシーの無い視線で少数者を排斥する。無自覚であるため加害意識とは無縁、当然反省することなどなく、共通感覚は持続していく。だから異議を申し立てたい自分がいるのだが、読み進めるうちになぜか、命で笑い、泣くような女たちの姿に、排斥よりも包摂するような、包み込むような懐の深いものを感じ取ってしまった。

比喩が多彩。その一部に苦手さを感じたが、これほど海にまつわる表現が書けるのはすごいことのように思った。著者と海の関わりの深さが伝わってきた。

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紙の本遮光

2016/09/27 21:48

ぐっときました

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光を遮ぎられていたのは、最初は瓶であった。しかし主人公によって瓶は光のある方へ行ったように見える。では、彼の心の奥底だったのか。しかしそれも、暗闇のとどまり得ず暴発したようにも見える。

この作品も「銃」などと同じく、幼少期の複雑な生い立ちが人生に暗い影を落とす、抗いようのなさを主人公に課す。主人公は、ある時期の育ての親から、養育者に気に入られるため・生きるための術を教えられる。本心は封印され、自分が自然にはたどり着けなかった典型的なふるまいに長けるようになる。嘘と演技の連続となった人生は軽やかだが薄っぺらく、本心への際限なき懐疑でもあった。「本当」がないため、思考は着地点を見いだず、衝動性から狂気に憑りつかれてしまう。

しかし、それでも、彼には本心のような気持ちがあった。それが言葉ではなく、破壊的な行動でしか表現できないのが、悲劇であった。何の屈託もなく、心を表に出せることは、幸せなことなのかもしれない。この作品に最後まで救いはないが、なぜか一つひとつの文章には救いの力があった。

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紙の本

2016/09/24 20:49

著者の原点

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人間の意思決定は、単純に可能性の有無に従っているだけかもしれない。物事から距離を取るように生きてきた主人公は、銃に支配されることを通して一見、合目的的・主体的に生き方を変えていくように見える。しかし、著者は人間の頼りなさ、歪さを通奏低音として描き続ける。

この頼りなさは、生育歴が強調したものなのか。自分の過去に興味がないという主人公は、射撃の表敵意選んだ女性に、自分を捨てた女を重ね合わせていた。結局は生まれ育った環境という、選択の余地のないものが、人間を強固に支配しているようにも見える。

生まれついての不平等に対する著者の抗議のようなものを読み取ってしまう。しかし、この絶望への向かい方は、だれにも支配されるものではない、「あなた次第」だと言ってしまうと、それは救いになるのか、さらなる絶望をもたらすのか。本作には救いはないが、角度を変えて内面を見つめる分析的な描写が秀逸だった。

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紙の本土の中の子供

2016/09/24 11:39

恐怖の意味とは

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この作品世界は重苦しい。圧倒的な恐怖にさらされ続けると、それが自分の核のようなものになる。それなしには人生を考えられなくなる。

主人公は恐怖に向き合う。それを克服するために恐怖を作り出し、それを乗り越えようとする、自分なりの抵抗だったのではないかと、後に振り返る。恐怖を与えてきた者たちに、勝つためだろうか。恐怖にまみれた人生に、確かな意味を与えるためだろうか。

人生は簡単に、だれかに左右され、支配されるものかもしれない。しかし、わずかな人の支えで、人生の主導権は取り戻せる。終末に差し込んだ光が救いだった。

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内なる言葉は語り得ず

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水俣病訴訟を担当していた環境庁(当時)の局長が、長官の水俣視察当日に自殺する。彼は元々、心に多くの言葉を持っていた。理想の響きを奏でる言葉を。しかし、組織の階段を上るにつれ、自分のものではない言葉で語ることを余儀なくされていく。何が彼を死に追いやったのか。人生をたどり、最期に至るまでの日々を著者は描いていく。

 彼はさまざまな軋轢の中で言葉、そして歩みまで奪われたように見えるのだが、彼が直面した板挟みという現実は、日本の環境行政のあるがままの姿のように思えた。残念ながら日本の環境行政は、単独で展開できるほどの推進力を持たず、さまざまな主体が押し合いをする力学を、ただ合算しただけの産物にすぎないのかもしれない。元上司が言う「人事は適材適所」という言葉が、私には重く響いた。

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これはお勧めです!

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どうもパワポのスライドがうまく作れない。読み手に取って分かりづらい気がする。どうにもしっくりこない。。。そんなもやもや感の多くを解消してくれました。

アドバイスがどれも具体的。タイトルに「正しいデザイン」「レイアウトの技術」と謳うだけあって、どのページも見やすかったです。細かいところまで、かゆいところまで、本当に手が届いています。これはもう、著者に脱帽です。

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