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ココペリさんのレビュー一覧

投稿者:ココペリ

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著者の探求の過程が興味深い

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この本を手にして、まず私は「はじめに」と「おわりに」を一気に読みました。歎異抄や般若心経そのものより、著者がこの本を著した動機・いきさつに興味があったのです。著者は子供の頃から、束の間生きて死ぬ「自分」という存在は何なのか、という疑問にとりつかれ、さまざまな精神世界の遍歴や探求、さらには臨死体験を経て、この本を書くに至ったといいますが、実は私も子供の頃、まったく同じ疑問を抱えていました。臨死体験で向こうの世界を垣間見た著者は、そこに何の不満もなかったものの、「まだ生きてやることがある」との思いから「こちら」に戻ってきて執筆活動に入ったとか。生身の肉体を持ち他者と出会いながら「この世」に生きることの意味を、あらためてかみしめることができました。
 私の場合、「自分という存在への疑問」は、青年期になって、「生きるリアリティの欠如」という問題に転化していきました。自分の心の空虚を埋め、生きるリアリティを獲得することが切実な課題だったのです。そんな自分にとって、般若心経の「色即是空」は、とてもしっくりきました。ただ、般若心経は「すべては空だ」というばかりで、空虚な生をどうすれば彩り豊かな生の充実に転換し、「空即是色」を実感できるのかを教えてはくれません。
 仏教の中で、そんな悩みに答えてくれそうだと思えたのは、チベット仏教や禅など、自ら修行することで“悟り”をめざす宗派でした。他方、親鸞など浄土宗系にはまるで興味が湧かなかったのです。私の家は浄土真宗ですし、「悪人正機説」や「他力本願」という言葉は知っていたけれど、ただ念仏を唱えれば誰でも極楽往生できるなどというのは、信徒獲得のための安直なセールストークのようにしか思えなかったのです。法事などで触れる浄土真宗は、一人ひとりが修行して「仏」になるという本来の仏教のあり方(と思えた)から離れた葬式仏教にしか見えませんでした。
 本書を読むと、歎異抄のエッセンスとして「宇宙の無限の働きに身をまかせる」ことが説かれています。親鸞は念仏そのものに意味があるというより、「宇宙の無限の働き」に何の作為もなく身を任せる、そういう生きる姿勢を説いていたというわけです。そして「善人なおもて往生をとぐ」を、「自分の力で自己解放が可能だと思っている人すら解放される」と訳しています。このへんの本質の捉え方は、さすがだと思いました。若い頃の私のような「自力で修行して悟ろう」などというエゴは、むしろ悟りを妨げてしまうものだったわけです。ただ意外だったのは、親鸞は実は生きているうちに解脱することをめざしてはおらず、死んだ時の解放を説いていたらしいということです。なーんだ、そうだったのかと、ちょっと拍子抜けした感じ。このように、なじみのなかった親鸞思想が平易な現代語訳で一気に身近になりました。
 仏典に興味を持つのは年配者が多いけれど、本書は、自己存在の意味・生きる意味が見出せないでいる若い人たちにも読んでもらいたいと思います。人の生きることの本質は、昔も今も、それほど変わっていないはずですから。

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