生搾りさんのレビュー一覧
投稿者:生搾り
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2019/11/27 00:30
双方の気持ちがこんなにも的確に書かれているとは
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「とある会社員の死」において、こんなにも患者の気持ちを表現出来ている作品に出会ったことがない。そして「とある大学生の死」での患者の最期の様子について読んで、再度驚いた。どちらも先日亡くなった父と重なるような患者の考え、様子だったから。
当人でもないのにここまで患者の心理描写ができるのはすごいと思うし、対局にいる医師という職業人にも迷いや敗北感など人間臭さがあると共感できた。
医療小説につきものの手術主体の読みものでなく、患者をとりまく医師・家族の心理描写の小説で、とても心が震える作品だった。
2019/12/13 17:53
生と死の対局
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『最後の医者は桜を見上げて君を想う』を読了後、続刊ということで迷わず手にとった。
ここに繋がっていくのか・・・というのが正直な感想。
生きることと死ぬことは正反対ではあるものの、切れることなく繋がっているんだと知らしめてくれる登場人物の生き様だった。
今回は、医師として冷静沈着な第三者的なものではなく、医師の人物像が深く浮き彫りにされた内容だった。人は今を生きているが、今に至るまでの過去なくしては語れず、過去が今を形成していると言っても過言ではない。
どんなに辛い過去をもっていようとも、生きていかなければならない。
辛いことを幸せなことに塗り替えながら前進していくことが生きていくことなんだと言われた気がした。
同じ人間に別々の意味で救われ生きてきた2人が、大人になってここで出会って生きていく。こんな偶然の繋がりがあるから生きることは不思議だ。
生きることとと死ぬこと、両者はお互いがなければ成り立たない。
対局に見える「生」と「死」は、登場人物2人の医師のようだ。
シリーズの続編を期待する。
2020/04/07 01:10
誰もが思うこと
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何を信じるのか、何を否定するのか
それはその立場にならないとわからないことなのかもしれない
愛しい人のことは、肉体がなくなったとしてもまだそこにいると信じていたい
幽霊話は怖さしかなかったが、いざ自分の大切な人がこの世からいなくなってしまうと
どんな形でもいいから傍にいて欲しい、逢いに来て欲しいと願うものだろう
それまで、霊魂とか生まれ変わりとか科学では証明出来ない事象を信じたことのない
人も多いだろう
美談でも何でもなく、ただ傍にいて欲しいと願い、もう一度姿を見、声を聞きたいと
思う心が亡き人の幻影を見せるのかもかしれない
それでもいいからと願ってしまう気持ちは、きっと誰もがいつか知ることになる
この本の題名のように、心の中でずっと慟哭しているような思いが伝わってきた
紙の本ツナグ
2020/02/19 09:31
後悔なのかもしれない
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誰しも一度は死者に会いたいと思ったことがあると思う。長く生きていれば会いたい人は1人ではないかもしれない。
誰かを看送る時「後悔のないように」と言うが、後悔の残らない人などいるのだろうか?
生者も死者も相手の気持ちが分からないことには違いない。だからこそ、自分の選択肢が正しかったのか、そんな自分をどう思っていたのか確かめずにはいられない。そして、確かめる根底には赦されたい気持ちが強いのだろう。これから先まだ生きていくために赦しを求めて死者に会いたいと願うのかもしれない。
心の本棚にいつまでも残る一冊だった。
長い時間を経て続刊が最近出たと知ったので、これから読むのが楽しみだ。
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