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K.T.さんのレビュー一覧

投稿者:K.T.

10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本数学に感動する頭をつくる

2004/09/13 14:12

タイトルが語っている

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書のタイトルはよく考えると意味深である。
・「数学力」「能力」「学力」といった言葉がない: つまり、学力を伸ばす系のノウハウ本ではない。
・「感動」: 本や音楽や映画に感動するのと同じように「数学」にも感動できる。学校の教科と相容れないタームであり、だいいち学校では間違っても「数学に感動する」ことを教えたりはしない。
・「頭」: 「感動」といいながら「心」「情感」ではなく「頭」である。つまり知的営為。

 最後の「つくる」については、著者の願望がかなり入っている。たとえば、「音楽に感動する心をつくる」方法論を考えてみよう。もちろんそれはマニュアルに則った機械作業ではありえないが、少なくともそんな方法があればよい、とか、感動する心のメカニズムを考え、それを普遍化できないか、とか、これまで多くの人が考えてきたし、今も考えているだろう。
。ところが、「数学に感動する頭をつくる」ことなど、そもそも誰も考えたことがないのではないか。「数学に感動する頭」という表現自体が、われわれの数学に対する通念・イメージから根本的にずれていると思う人がほとんどではないか。

 本書はそんな、誰も考えたことがない(少なくとも一般的に知られてはいない)「数学に感動する頭」とはどんなもので、それを教えて育てることが可能なのか、について、子供を教える現場から考えた本です。その意味では、「国際数学オリンピックのメダリストを多数育てた英才教室講師が明かす、数学のセンス「数感」の磨き方の数々」というBK1の紹介文は、ちょっとミスリーディングかもしれない。
 私もかつて算数・数学を学び、今は小学生の息子に算数を教えることがありますが、この本読んで腑に落ちることがたくさんあります。例えば、出だしの「数学力」という表現への批判は、算数をいくつかの能力の単純な積み木程度に思っていた私には、子供の頃の自分の頭の中が拡大鏡で覗かれたような気分になりました。

 しかし、子供に算数教えるのって本当に難しいなあ。

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ドストエフスキー萌え!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 一度もドストエフスキーの本を最後まで読み通したことのない私ですが、なあに、読んでなくても関係なく面白いです。
 夏目漱石がドメスティックバイオレンス親父だったとか、森鴎外がマザコンだったとか、文豪のアンバランスな部分というのはとかく目立つものですが、ドストエフスキー氏もその筋のお方だったようで。

 その歪みがまた分かりやすいくって可愛らしいんですね。
 被害妄想の激しい著名な小説家が、そろそろ老年にさしかかろうとする45歳で結婚した相手、これが19歳の女性。この歳じゃ半分「少女」です。
 この女性、ド氏の「病気」を全く苦にしないどころか、掌の上で慈愛に満ちた視線と共にド氏を暖かく包みこむといった具合。氏はその母性保護をいいことに自分の「病気」をフルパワー全開しつつ執筆に邁進し、かたやカミさんは「しょうがない子だねえ」てな感じで適当にあしらい面倒を見る、と。
 この「グレートマザー」(ユング)と「心を病んだ夫=息子」のカップリング、映画や小説で聞いたり見たりしてませんか? これは大塚英志の物語論のかっこうの題材じゃありませんか?
 本書の白眉は、ド氏の壊れっぷりと、妻との手紙から浮かび上がる相互依存の描写です。これを読んで、ド氏に「萌え」る連中が出てきてもなんら不思議ではない。やっかいなのは、萌えの対象が氏の小説じゃなくて氏自身のキャラクターのほうだということなんですが。

 ろくに読んでないくせに言うのもアレですが、ドストエフスキーの小説ちゃんと読みましょう皆さん。なんつったって、こんなヘンな人が書いた小説はやっぱり面白くないわけがないと思う。

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村からみた日本史

2003/07/15 08:56

江戸時代の治水事業はプロジェクトファイナンスの世界

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書によれば、江戸時代の治水事業はプロジェクトファイナンスの世界。出資者はさしずめベンチャーキャピタルといったところか。網野善彦による中世民衆史の農業偏向批判は有名ですが、本書は古文書による実証に基づいて、江戸時代の“お百姓”の生活世界のイメージを一変してくれます。「虐げられた下層民」像からホモ・エコノミクスへ。お上との関係だって、従来の近世史とは全然違う絵が描かれていることに驚きます。「要はアナタ、稼ぎたいからワシらも頑張るわけでね」。
 人間は利に動かされる生き物だという、経済学なら当たり前の前提が、日本史を語る時に何故ちゃんと踏まえられてこなかったんだろう。だってこんなに新鮮なんだもの。権力構造だの階級闘争だの言う前に、基本としていちおう経済関係は押さえておきましょうネというだけの話が、ここまでインパクトを持つのだから。作者が言うように、教科書に代表される“公式見解”は根本的に見直さないといけないです。
 ちなみに作者は別に経済学徒でも何でもありません。佐渡で高校の先生をやりながら郷土史研究を続けてこられた方。タイトルも平凡だし、こんなオモロイ話だと誰が思うかね!

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数学をなぜ学ぶのか

2003/07/04 14:54

図形にしてみたら、「どれだけ難解か」もわかった

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 数学ってやつは、抽象概念体系の全体像や操作方法を学ぶのですが、そのせいで門外漢には他の理系学問とはまた違った壁があります。数学を貴方の身近に、という目的で書かれる本の多くは、予備校教員流“上手な教え方の罠”か、研究者流“専門分野のつまらない単純化という罠”のどちらかに陥ることが多いと思う。前者は「教えたいことが本当に読者にとって面白いのか」という視点に欠け、後者は「そんな単純なことのどこに醍醐味があるのか」と言われかねない。
 本書が上手く行っている理由の一つは、ギリシャ以来の幾何学的思考をテコにしていること。二次方程式を図を描いて解こうなんて現代の我々は決して思わないが、ギリシャ人はそこからスタートした。幾何でできるだけのことを理解しようとした彼らのやり方は、だからとても身近に感じられる。代数を使えば「クイックだけど抽象的に解ける」ことを、図形を使って「わかりやすく、だけど難しく解く」。著者はそれを「易しく説明」しようとするわけだが、難しい方程式は全く出てこないし、とっつきはかなり良い。こんな先生に数学を教わったら楽しかろうと思う。
 著者は大学の先生だが、中高生相手に話してほしい内容です。図形を書いて(手を動かして)抽象的なことを考えるのがお上手な方のようですから。

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還暦以後

2003/09/24 21:45

歳を取ると見えてくるものがある

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「歳を取ると見えてくるものがある」、これじゃサントリーのCMコピーみたいでしょうか。本書は、還暦を迎えた歴史上の先達27人の物語。山田風太郎『人間臨終図巻』は、死という極限状況に人はどう向き合うのかを扱っていますが、こちらは終着駅が見えてきた時に人は何を考えるのかという、ある意味もっとヘビーなテーマ。

60の歳を数えて見えてきた“世界”を、「老いの性」、「老衰=死」それに「記憶」の3つのキーワードで語る著者は、本書で取り上げられた人々を、老いというレンズを通して我々に繋げてくれます。「老いること」とは“非連続”なことであり、それにどう向き合ったのかに27人の個性が光っています。

あとがきでも少し触れていますが、この本を書くために著者はかなりの文献を読んでいます。名著『横井小楠』や新作『新撰組』でもそうですが、きっちり一次資料を読み込んだ「現場感の良さ」が松浦氏の魅力です。歴史考証本ではないのですが、典拠した資料の一覧でも付けていただくとありがたかったなあ。少なくとも私は、育児書でしか知らなかった松田道雄の『われらいかに死すべきか』を買いましたもの。あと個人的には、伊藤整や中村真一郎の「老いの性」が心に残りました。

余談。10代・20代の人にはピンと来ないかもしれませんが、40近くになって振り返る10代のころは、もう眼鏡なしでは見られない“彼岸”なのですね。「四十而不惑」なんてのは、惑ってばかりだった時がもう自分にはやって来ないという意味なんだなあ、と。ただ老けてるだけだって? 老けるのにも“努力と成長”が必要だ、ということは、本書を読めばわかるのよ、坊や。

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幕末気分

2003/08/15 13:23

局地戦てのは孤独なもんです、いつだって

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 小説てのは局地戦である。歴史家や小説家は局地戦が、思想家は高所高説が得意、なのだ。だから別段、大仰に振りかぶってご高説を垂れるもんじゃない。局地戦の集合が参謀本部の作戦テーブルにならないように、幕末史のダイナミズムを高所から語ろうとしたらこの手法はマッチしない。思想家というものは、高所から語れるところに存在意義があるのだが、元々思想家であった野口氏は敢えてそれを放棄してこっちの戦術にこだわり出したようである。

 でだ、本書なんだが、局地戦とはいうものの傍観者としては書いていない。どこかで「今」とつながっていることを意識しているのは、その世界が「かつて自分もその一部だった」ことを著者が知っているから。大岡昇平『レイテ戦記』を思い起こさせると言えばよいか(あれはあれで局地戦の集積を大河にしたわけだけど)。巷の「歴史小説」とはそこが違うので、やはり「小説」しているのである。

 個人的には守備範囲である文芸批評や思想史の分野でもっと時間を使ってほしいと思うが、こんな旨味たっぷりのスープはそうそう飲めるもんじゃない、というのもまた確か。どうです、そこの貴方。

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紙の本地図を探偵する

2004/09/06 15:56

ページ当たりの情報濃度の高さに感動しました

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 書店に行ったらまず巻末の堀淳一氏の解説を読むべし。大事なことは全〜部ここに書いてあります。
 端的に言えば本書は、地図を見ながらほっつき歩いたことを書いてるだけ、なのですが、ウェブのハイパーリンクよろしくサブ情報がどんどんポップアップしてくる著者の「脳内WWW」は素晴らしい。私は地図や地名に関して特別の興味があるわけではありませんが、ここまで濃度の高い文章をさらりと飲み込ませてくれる書き手は、そりゃそうはおりまへんで。

 『路面電車』(ちくま新書)では、時代遅れの交通手段である“チンチン電車”が実は現代社会でいかにちゃんと機能できるかを説得力ある論調で訴えた今尾氏であり、鉄道ファンとしてはそちらに枝葉をもっと伸ばしてほしいとも思いますが、まあここまで書いてくれたら降参でありましょう。
 著者は「自分は専門家ではないので」と文中で断っておりますが、自ら現場で歩いて、目の前の風景と地名とその歴史と地図上の表現を、ご自分の知識でろ過させる腕前は見事です。地図の語り部のパイオニアである堀氏が脱帽するのもむべなるかな。

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紙の本子どもに教えたくなる算数

2003/09/09 16:16

酒の席でのウンチクに使えたりもします(使用上の注意)

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 文系ゆえの数学コンプレックスを癒してくれそうな新書の第二弾(第一弾は四方義啓『数学をなぜ学ぶのか』(中公新書)である)。

 『数学を〜』が、自分が理解していた数学の世界をどう広げるかだとしたら、こっちはその広がった世界にどうやって子供たちに伝えるのか、がテーマ。小学生の算数がネタなので、大のオトナどもにもとっつきは良い(といっても受験用問題は背筋が凍るが)。ちなみに私が小学生の頃はこんなグラフィカルなことは全く考えてなかったなあ。数式をチカラ技でグリグリ回して解いていたぞ。

 パターン認識の重要性、図形化して解く面白さなんてのは、会社で働くお父さんにだって立派に通用します。本書の背後に流れているのは、「難しいこと」を「簡単に」解くにはコツ、すなわち「上手な構造化」というものが必要なのだという思想です。ほら、会社でこれを読んでいるアナタ、思い当たることがありませんか? 「図に書いて説明」することが苦手な会社員がゴマンといるのは、教育期間の初期インプット段階でこういう教え方をされなかったのが効いているんじゃなかろうか、などと思ってしまう。いや余談ですが。

 そんなビジネス書の帯惹句みたいなのは忘れて、読み物として楽しく読んでほしいです。ただし、本書は作者とA氏(子持ちのパパ)の会話で進められるのですが、夜の新橋で見かけそうなオヤジ然としたA氏の会話が、アナタに妙な親近感を醸し出すかもしれませんが。

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三振を取りに行くかホームラン打たれるかどっちかっつうスライダー

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 パソコンはおろか、ワープロもケータイもだめな中年オヤジのシリコンバレー漫遊記。なのだが、中年サラリーマン層に媚を売る「デジタルデバイドでかわいそうなアナタの鬱憤を晴らす」てな中身ではない。水俣病に始まって、三里塚、沖縄ひめゆり学徒隊に宮沢賢治と、現代の「香ばしい」神話に対して左斜め45度からスライダーを投げてきた著者の矛先が、今回はITに向けられただけである。
 「既存の権威・システムを破壊する革命はITから」とITデモクラシーに浮かれる現代を“電脳浄土”と表現する著者の視点は、テクノロジーを支配してきた・されてきた人間の歴史に所詮は絡め取られていくしかない「おめでたい人々」をシニカルに映し出す。本書の射程距離は、出版されて6年を経過しても依然としてその有効性を失っていない。著者独特の、鼻につく戯作調の文体さえ気にしなければ、お勧めの一冊。

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紙の本聖賤記 吉田司対談集

2003/09/24 22:09

こつこつ当てて繋ぐ野球、というのが苦手なんでしょうねほんと

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 吉田司の新著。「神話崩しの激辛ライター」というキャッチフレーズは、『あなたは男でしょ。強く生きなきゃ、ダメなの』(草風館)というふざけたタイトルの著書につけられたコピー。でもこれは誤解を招くなあ。

 この人の書くものは、恐山のイタコみたいに、現実の背後に“あるモノないモノ”見てしまうノンフィクション。そもそもそういうのをノンフィクションと呼んで良いのか。寄って立つ土台をどんどん「崩して」行くという点を神話崩しと呼びたくなるのは分るけど、崩しまくっていくうちに自分の足元も掘り崩してしまう「お笑い」のセンスがこの人の持ち味なのである。
 だから常に大振り、シングルヒットは狙わない。「ドカベン」の岩鬼と同じ。だから三振もする代わりに特大の一発もある。ミヤタイに「大アジア主義」を語らせているインタビューもそう。
 そうそう、三流風俗ライターっぽいイヤミな語り口は殿馬みたいではないか。殿馬の口調で喋る岩鬼か。

 とにかく、シングルヒットと罵倒系インテリに飽きてしまった御仁にお薦め。

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