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塩沢由典(編集長)さんのレビュー一覧

投稿者:塩沢由典(編集長)

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本進化経済学ハンドブック

2006/12/27 10:09

編集者自身による書評

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ハンドブックの説明の前に、進化経済学そのものの説明が必要かもしれません。進化経済学の起源は、アメリカの経済学者Th. ベブレン(Th. Veblen)にまでさかのぼります。その意味では100年以上の歴史をもっていますが、まだ「新しい学問」です。一時は死んだと考えられた観点が、この20年ほどの間に目覚しく復活してきました。新しい分析方法も開発されて、経済学のなかでも、近年、最先端の動きを見せている学問です。日本では、ちょうど10 年前に「進化経済学会/JAFEE」が発足しています。
 進化経済学会編の当ハンドブックは、こうした新しい動きを知らせるとともに、進化経済学そのものを学びやすいものとするため企画・編集されました。3部構成で第1部「概説/学説/関連理論」、第2部「事例」、第3部「用語/人名」からなっています。
 このハンドブックの特徴は、なんといっても第2部「事例」にあります。67の事例の各編が原則2ページに収められています。その範囲も、商品、技術、行動、制度、組織・システム、知識と広範にわたっています。ジャズやサッカーのシステム、オープンソースといった事例も収録されています。毎日、一例だけ読んでもらっても、結構楽しい読み物になります。読むのに予備知識はいりません。もっと詳しく知りたい方のためには参照文献も付いています。おもな項目については詳細目次を参照してください。
 進化経済学は弱肉強食の経済学ではありません。社会・経済のさまざまな事物・事象がどのように進化し、現代社会を築いてきたかを明らかにする学問です。経済学者や経済学を学ぶ学生だけでなく、商品開発・技術開発に悩んでいる人、マーケティング関係者に読んでもらえれば、思わぬヒントが得らるかもしれません。
 もちろん、進化経済学とはなにかについても書かれています。第1部「概説」では、予備知識なしに進化経済学とはどんな学問なのか専門外のひとにも分かってもらえるよう解説しました。関連した「学説」や「理論」も、豊富な項目を立てて解説しています。このあたりは専門家にも、必要な分野をまず概観するのに役立つでしょう。
 第1部を読めば、進化経済学がどのようなものであるか、一応うの概念をもってもらえます。進化経済学を専攻したいという学生は、「概説」で概観をつかみ、自分のテーマによって、「学説・関連理論」その他から必要な知識を再構成すれば、テーマに即した理論と分析方法を見つけ出すまでの長い試行錯誤をかなり短くすることができます。
 現在主流の経済学に不満である、あるいはそれに飽き足らない方にも、このハンドブックは好適です。自分が考えていること、自分に近いテーマが過去にどういう学問で、どのように使われているか、比較的簡単に知ってもらうことができます。新古典派の経済学のどこに問題があるかについては、「概説」の第7節「新古典派の経済学のドグマとアノマリー」にまとめられています。代わりにどう考えたらよいのか。どういう方法があるのかについても、さまざな例が示されています。より詳しい展開については、学説や関連理論を頼りに、参考文献にあげられている書物などにまずアプローチしてください。
 進化論的分析は、新古典派の重視する事前合理性という観点からは落ちてしまう諸現象を事後的合理性という観点から理解しなおす枠組みです。藤本隆宏さんの解説「実証社会科学の進化論的枠組み」は、進化経済学の核であるを理解するにも、重要な文献になっています。実証研究に取り組んでいられる方にも示唆的です。
 いま、社会では「進化」という言葉がはやりですが、「進化」の深さを知ってもらうにも、『進化経済学ハンドブック』は役立ちます。

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