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theodorさんのレビュー一覧

投稿者:theodor

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紙の本イラクの小さな橋を渡って

2003/03/02 02:13

それでも戦争を支持しないと言うために

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 池澤夏樹の書いた物を小説に限らず読んできた読者なら、彼が社会を批評する目を持ち続けていることをよく知っている。その上で、作家としての彼は小説においては楽天的な希望が持てるような世界を描く。いっぽうエッセイでは、容易に結論のでない問題──たとえば環境問題、沖縄米軍基地、途上国の経済格差──について自問し、発言や時に提言をしてきた。沖縄に移住して美しい自然を讃えても、自分が高度資本主義経済の恩恵にあずかっていることを忘れない。一時的な感情に流されず、社会や科学を鋭く批判し、だがそれらへの信頼を持ち続けようとする。

 今回のイラク危機にあたって彼は戦争の現場に住む人たちについて考える。戦時下のメディアがまるで信用できないことを彼はよく知っているし、忘れていない。そしてメディアを通した情報を退けたとき、どんな人たちの上をミサイルが飛び交うのかうまく想像できなかった氏は、実際にイラクに足を運んだ。

 市街を見てまわり、意外なほどおおらかで人なつっこいイラクのひとたちに接し、豊かな食べ物に驚き、対照的に民衆が限られた情報しか得られない境遇にあると知り、旅行者という身分から可能な範囲で当地の体制を考える。たとえばフセインの圧政は他の中東諸国やイスラエルとくらべて突出してそうだといえるのか。ナショナリズムの高まりは軍事・経済的圧力の反作用ではないのか。湾岸戦争の後の経済制裁がどれだけ市民に打撃(特に医薬品の不足による救える生命の損失)を与えたか。
 しかしこうした政治談義は、合理的なようでも説得力を持たない。池澤氏が判断のよりどころとするのは、結局のところ戦争になって誰が被災し、生命を落すことになるのかということであり、イラクの人たちと接しその土地に立って得た現実味だ。無辜の人びとを爆殺する大義などない。

 我々がすでに知っていることでいえば、フセイン政権は国内の反体制分子を弾圧し、クルド人を虐殺した。あるいは、訳知り顔の専門家は独仏の査察継続論の背景にあるイラクとの経済的結びつきを指摘する。反戦を主張するのがかえって非人道的と石を投げられそうなムード。折しも日本では北朝鮮による拉致問題の待望の解明があり、北朝鮮を支持した「進歩的」な知識人や出版社、新聞は味噌をつけたかたちでしょぼくれている。小泉政権は北朝鮮の核再開発問題もあってか、早々と米英支持の姿勢を打ち出した。そんな中で、この本が多くの人に読まれていることに、僕は少し励まされる心地がする。

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知られざるLISP解説の怪作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 Linux などのブームでオープンソースの各種ソフトに簡単に触れられるようになって、Lisp や Scheme への関心も高まってるように見える。Lisp 系言語の各種実装のソースやパッケージがダウンロードしてすぐに使えるし、Emacs をはじめ Lisp 系の言語によって拡張できるアプリケーションも数多い。しかし、Lisp は括弧が頻出するだけでなく、他の言語とまったく違う発想でプログラミングをするため、ある入門書では“登りはじめがいちばん急であとは平坦な山だ”といわれるように、学びはじめがむずかしい言語でもある。

 この本は対話形式で進められる Common Lisp の解説書で、200ページほどの分量の前半が基礎、後半が発展した内容になっている。いろいろな Lisp の入門書や解説書を見てきたが、この本の基礎編は中で一番わかりやすかった。first (car)、rest (cdr) と cons の関係やクオート、再帰などLisp独得の部分を、初心者がとまどうところをきちんとフォローしながら解説してくれる。

 後半はぐっとレベルをあげて、Lisp という言語のパワーがどのように発揮されるかの理由にせまる。Lisp による OOP の説明などを経て、最終的に Lisp による Lisp インタプリタを書くところまで行く。

 チープを超越してアバンギャルドでさえあるカバーといい、各ページに最低ひとつはあるダジャレやギャグの嵐といい、さらには本の最後に仕込まれたオチなど、この本はともかく尋常でない。Lisp ハッカーをめざす粋人や、ほかの本でつまずいた Lisp 入門者に(だけ)この本を強くおすすめする。

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