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八木哲郎・代理さんのレビュー一覧

投稿者:八木哲郎・代理

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実務に携わる人への知恵の手ほどき

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 いろいろな実務に携わる人にとって実にうまく知恵の手ほどきをした回答のひとつがこの「見晴らしを良くする」である。久恒啓一は去年の暮れに『勉強したらいけない』(ビッグトモロウ社)を出したが、その本で言った知恵は「足元を掘れ」である。足元を掘れば、普遍的に通用する真理の宝をそこに見つけることができるから余計な知識の外部からの導入(勉強)はかえって妨げになるといましめたわけだが、今度は宝のあり場所を見つけるには鳥になって見晴らしのよいところから見れば、なんとなくそれがわかると言っているのである。

 近代になってから、知識・学問はより確実性の高いものを求めるという志向から専門性が発達した。人間の知識・能力には限界があるから、それぞれの専門家が“世界”を分割して担当分野を極めればよいのではないかという考えである。このことはよいとしてもそれぞれの専門家がタコツボの中で発達させたものを今度はどうやってまとめるかということになると、それは「不可能」に近くなった。

 いろいろな審議会で個別の問題を討議しようとするにあたっても、いろいろな専門家が出てきて自説を主張するからまとまらずに先送りということがあらゆる世界で起こっている。

 もっと目を広げれば、グローバル化した世界では、これまで一国範囲内で通用してきた知識・方法がまったく機能しないということも起こっている。

 見晴らしを良くすれば仕事はうまくいくという久恒啓一の知恵は彼が図解に長じるようになり、企業や行政の問題解決にかかわるようになってから到達した“最終的”なひとつの解答であろう。図解は紙の上に鳥の目でみたように俯瞰して描くことから自然に全体を見はるかすようになるからである。

 ある巧妙なアルピニストが「なぜ山に登るのか」と聞かれて「そこに山があるからだ」と答えたという有名な話があるが、人間が高い山に登るのは、何かそこにいわく言いがたい解答感を求めようとするからであろう。

 久恒啓一はこの解答感をうまく言い表した。一段か二段ちょっと高いところに立って物事を見ようとすれば、つまり見晴らしを良くすれば隠れていたものが見えてきて、物事のかんどころやさわりの部分をつかみやすくなるというわけで、この本ではいろいろ身近な仕事や卑近な日常問題をとりあげて解決のための知恵を示している。その方法・手段は図解がいちばんいいと図解の有効性を明確に示してみせた。(八木哲郎)

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