猫 さんのレビュー一覧
投稿者:猫
紙の本たったひとつの冴えたやりかた
2001/06/30 19:06
趣味的な自伝的な
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ティプトリーはSF界屈指の知性の持ち主ですが、同時にチープなSF世界に対して並々ならぬ思い入れの持ち主でもあります。古典的な未来宇宙を舞台にした三つの中篇を収めた本書でも、両者のせめぎあいが見られて、大変に興味深いものがあります。登場人物たちには、少なからず本人の実生活が反映されているそうで、非常に感慨深いものがあります。
2002/04/05 10:54
究極の副読本
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ファンタジー大作の世界を克明に再現するマニアックな試み。主人公達の旅の全行程。主要な大陸の地図から、建物の構造、戦闘の地勢図まで網羅した労作。まさに究極の副読本と言える。
紙の本アメリカ文学のレッスン
2002/01/10 12:42
理想の授業
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現代英米文学の翻訳紹介者として著名な著者によるアメリカ文学講議。容易に想像がつくことだが、古典文学を扱わせても抜群の冴えを見せる。作品のさわりの翻訳がまず素晴らしく、解説には随所に達見が光る。続編を熱望する。
紙の本山椒魚戦争
2001/10/03 19:42
寓意
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人類を脅かす、知性を持った山椒魚。それが何を表しているのか、いろいろと論議があるようだが、これは植民地主義を脅かす後進国の人々のことだろう。知性を身につけ、地位向上のために権利を主張する彼らの存在は、次第に人間たちを危機に追いやっていく。山椒魚は決して悪役ではないのだ。
紙の本マンガ家のひみつ とり・みき&人気作家9人の本音トーク
2001/08/24 20:18
内幕
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知性的な漫画家である、とり・みき氏が聞き手となった漫画家インタビュー集。どの作家も率直に語っており、他では読めない話も多い。中でも吾妻ひでおの失踪時のエピソードは(本人が漫画家しているとはいえ)かなりのインパクトがある。
紙の本残像に口紅を
2001/08/21 19:09
奇怪
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一章ごとに、使用できる言葉がひとつづつ消えていく。そんな奇怪な世界を描いた作品。そんなばかげたことをする必然性はまったく無いところが、かえって良い。無償の試みに挑戦する作者と、消え行く事象に想いをはせる主人公が、妙にダブってくる。
紙の本旅のラゴス
2001/08/21 18:36
崇高なファンタジー
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シンプルなファンタジーだが、世界観が緻密に作られており、しかも余白を想像させる奥行きの深さがある。なにより文章がすばらしく、一人の男の生涯を鮮やかに描いている。
紙の本夢の木坂分岐点
2001/08/21 18:32
夢現
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サラリーマンを主人公に、あり得たかもしれないいくつもの現実を彷徨う様を、あくまでもリアリスティックに描いた幻想小説の傑作。後半の畳み掛けるような展開がすばらしい。
紙の本タイトルマッチ
2002/07/24 12:14
ひねり
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子供を人質にとられたボクサーが脅迫される。八百長を強要されるのだが、その条件は「ノックアウトで勝て」そんなの、言われなくても目指すさ、てなものだが、この奇妙な脅迫を軸に物語は展開する。捜査側はもとより犯人側にとっても不測の事態が発生して、事件が思わぬ方向にいくあたり、本当にうまい。
2002/07/24 11:55
天職
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看護婦から声優へと転進した著者が、さまざまな職業の人を訪ねるシリーズ連載の単行本化。編集者のまとめ方がうまいのか、はたまた林原めぐみが聞き上手なのか、相手の人となりを上手く引き出せている。単なる連載再録になっていないところもよい。いわゆる有名人以外も取り上げているシリーズなので、続刊を望む。
紙の本文庫本を狙え!
2002/07/23 16:49
わかりやすい
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「週刊文春」長期連載の文庫本紹介コーナーの単行本化。とにかく、大量に出版されているという事実に改めて驚かされるが、著者はそうした本の洪水の中から、毎週毎週お勧めの本をよくもまあ選び出せるものだと感心してしまう。しかもこうして纏まったものを読むと、フォローするジャンルが多岐にわたっているにもかかわらず、趣味が首尾一貫しているのも凄い。ブックガイドとして一級品。
2002/07/13 11:21
重量級
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マカロニウェスタンの創始者として名高い孤高の映画監督の生涯を詳細に追った緻密な評伝。初めてしる情報が驚くほど多くつまっているし、ここの作品への批評も的確であるように感じる。映画史を埋める貴重な一冊であり、レオーネという得意なキャラクターを味わえる優れたエンターテインメントとしても読める。
紙の本こみっくパーティービジュアルファンブック
2002/06/28 18:30
お買い得
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これはよくできた本。メディアワークスのムックは「To Heart」のも出来が良かったけど、こちらはPC版に準じているので18禁場面のCGも載っているし。あずまきよひこ氏や氷川へきる氏などの人気漫画家も寄稿。
これで2000円は安い。
紙の本海を見る人
2002/06/25 18:58
世界の秘密
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この短編集で描かれた世界は、いずれも私たちの住む世界とは隔絶している。ただし、物理法則に関しては地続きである。少なくともそのように見える。しかし、その全体像が見えるのは物語の結末部においてである。主人公のドラマを追っていくうちに、それは徐々に姿をあらわしていき、最後にドラマそのものと分かちがたく結ばれるのである。とっつきは悪いが、いずれも素晴らしい驚きを与えてくれる。
2001/12/20 11:04
女性たちの記録
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映画を記録する係、スクリプターは伝統的に女性の仕事であった。日本映画の黄金期から衰退期までを見つめ続けた彼女たちの、めっぽう面白いインタビュー集。「酔いどれ天使」の撮影裏話から、宮崎駿がフィルモグラフィから抹消している「ハイジ劇場版」成立の事情まで、とにかくエピソードに事欠かない。