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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

E・Sさんのレビュー一覧

投稿者:E・S

4 件中 1 件~ 4 件を表示

真夏の夜の夢

2001/02/11 06:56

心を揺さぶる珠玉の青春小説。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 熱い友情と信頼で結びついた、個性豊かな4人の青年が「ベルリン」というバンドでメジャーデビューし、成功していく奇跡をみずみずしく描いた青春小説。
 全4巻で構成された「ブレイクアウトシリーズ」は、4人の青年がそれぞれの視点で物語を語っていく方式になっている。
 第1巻は、同じバンドにいる優しい兄を、心から慕う、一途で純粋な弟・夏巳(ドラム)の視点でつむがれている。

 人を思う痛み、悲しみ。せつなさと歓び。青春のきらめきを夜空でまたたく星のように美しく描き出されている。
 人は一人では生きられない。愛する人がいるから生きられるし、どんな人間でも、誰かを愛さずには生きられない。
 作者が読者に伝えたいのは、豊かな愛のメッセージだろう。
 日常に忙殺され、心の渇いてしまった大人にこそふさわしい、上質の青春小説。

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魔性の封印

2001/02/24 06:36

伝奇ミステリーの傑作

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「魔性の封印」は、新感覚の伝奇小説「龍神沼綺譚」(光風社出版・1985年)で若い世代から高い支持を得た作家・榊原史保美が1987年に書き下ろした長編(初出は廣済堂出版の新書版)である。

 物語は、若手推理作家・水村若子が「誰かに命を狙われている」と第三埠頭署の刑事・島津享平のもとにやってきたことから始まる。必死に身の危険を訴えていた若子が『取材』と称して急に姿をくらまし、若子の父がなぞの急死をとげる。不安を感じる享平のもとに、人気絶頂のアイドルグループ「ビートクラブ」のヴォーカル・藤原七瀬の失踪の知らせが舞いこむ。
 若子の書いた『姫ケ淵異聞』は、姫ケ淵の辰子姫の呪いをテーマにした伝奇小説だったが、姫ケ淵も辰子姫の呪いもフィクションではなく、今も地元で当たり前に信じられている伝説と判明し、その姫ケ淵のそばの行者滝で、七瀬と瓜二つの遺体が発見され、大騒ぎになる。

 そうして、姫ケ淵の近くの宝生院では、辰子姫伝説による神事を主軸にした大祭が着々と準備されていた。そこでは、信者から『生き神』として崇められる『若宮』による神事の舞が披露される。その神事は、病治しの霊験があらたかで、全国から信者がやってくるという。
 享平は、刑事のカンで、若宮は七瀬と生き別れの双生児で、七瀬の失踪は死んだ若宮の『代役』を務めるためではないか、と推理。危険を犯して若宮のいる雲居殿にもぐりこんだ。……

 本作は、榊原作品の中では、特にエンタテイメント色を強く押し出された作品であり、映像美あふれる文章、息をもつかせぬ展開、キャラクター造形の確かさはそのままに、お得意の伝奇的モチーフを随所にちりばめながらも、非常に読みやすい伝奇ミステリーに仕上がっている。

 もうひとつ、特筆すべき点は、本作の表紙が、榊原が藤原圭人名義でヴィジュアルプランニングと撮影を担当していることだろう。榊原の美意識の高さ、独自性は、数多の作品群からも伺えるが、「魔性の封印」は日本を舞台に物語をつむぎながら、エキゾチックな雰囲気の”ササン朝ペルシャ時代のコイン”を「作品イメージ」として選び出している点も、榊原ならではのヴィジュアルセンスが伺えて、非常に興味深い。

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聖者が町にやってきた

2001/02/11 07:40

愛という名の最高のプレゼント

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ブレイクアウトシリーズ・四部作の最終巻は、ボーカルの旭良が主人公。
 “ベルリン”のボーカル、旭良はステージでは妖しい魅力を振りまく最高にセクシーな男。
 ファンからも、バンドの仲間からも愛されている旭良だが、複雑な家庭に育ち、その優しさゆえに深く傷ついた心を抱えていた。
 デビューしてから、着実に実績を積んできたベルリンは、富山湾岸TVの開局イベントとして、クリスマス・イヴに3万人収容の湾岸クリスタルドームでのライブをすることになった。
 だが、富山は旭良の故郷だった。旭良の中で悲しい過去の記憶が甦る。
 旭良とその家族をめぐって、さまざまな人間の思惑が交錯し、複雑に絡み合ったまま、ライブ当日を迎える。
 そして、ステージのクライマックス。マイクを握った旭良が見たものは、狂気に支配され、花束の中に刃を握っていた母の姿だった。……

 クリスマスには愛という名の奇跡が起こるという。
 ブレイクアウトシリーズのラストは、旭良という聖者の歌う、光に満ちた愛の歌で締めくくられる。

 涙、というのは、声にならない心の叫びだ。涙のツボ、というものがあるとしたら、この小説はかなり強力に“そこ”を刺激してくる。
 人が信じられず、自分が信じられず、心が乾いて、生きている実感さえなくなってしまったあなたの心に、この小説は深く響いてくるだろう。
 愛なんか信じない、小説なんかで泣くもんか、と思っている人にこそ、読んで欲しい。

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人生を変える一冊です

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 やおい、とは、女性向け男性同性愛小説(マンガも含む)の通称であり、蔑称でもあります。
 なぜ、女性は男同士の恋愛物語を求めるのか。自らの嗜好を、愛すべき作品を“やおい”と卑下してまで、求めずに居られないのか。
 著者・榊原史保美は、“やおい”の元祖ともいえる雑誌「June」出身の作家であり、“やおい”的な感性を持ちながらも、哲学的、宗教的なテーマを追求した純文学を真摯に発表しつづけ、やおい読者の間でリスペクトされてきたカリスマ的作家。
 多くの読者に根強く支持されながらも、「なぜ女がホモを好まねばならないのか」という偏見や戸惑いから、当事者は犯罪者のようにその嗜好を隠し、外部からしか語られなかった“やおい”という嗜好を、榊原は、FTM(トランスセクシャル)という概念を用いて、見事に解明した。
 その概念の新しさ、論理の巧みさから、各方面にさまざまな反響を呼んだ革命的評論。
 “やおい”の当事者や関係者に限らず、自分自身に違和感を感じている人へ、人生の道しるべになる一冊。

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