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先月(2017年8月)

萬寿さんのレビュー一覧

投稿者:萬寿

2 件中 1 件~ 2 件を表示

ファンタジーではあるが、善悪あるいは正邪の抗争という単純な話ではない

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 超能力少女の悪との戦いと成長の物語というファンタジーではあるが、善悪あるいは正邪の抗争という単純な話ではない。善にも悪にもなりうる人間という存在、人間の存在と活動にともなう自然破壊と生物種の絶滅といった二律背反的な環境問題が、背景となっている。小中学生向けのファンタジーではあるが、大人が読めば著者が暗に言いたいことまで感じ取れるであろう。著者はイギリスの外交官を辞任し文学博士号をとり、社会活動をやり、児童文学を書いているとのこと。そのような著者の経歴もおのずと反映されてきているようだ。
 物語自体も、子供から大人まで十分楽しめる。主人公や準主人公の冒険に心躍るだけでなく、多くの奇妙な登場人物の性格や行動、人間関係も面白い。ファンタジーたる由縁の神話や伝説に登場する神秘生物たちも、もともとの神話や伝説にはない性格や行動をしめし興味深い。
 主人公を普通の少女に戻そうとする家族と、道路工事による森林破壊への市民抗議行動が表の話。裏では、ゴルゴンの住処を守ろうとする者とそれを利用して対立する「神秘の生物保護協会」を壊滅させようとするクレルボの企みの話。

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コニー・ライオンハートと神秘の生物 Vol.1 サイレンの秘密

2011/07/16 20:07

一巻目を読んだだけでも、シリーズが四巻で終わるのは残念に思うだろうと予感

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ハリー・ポッターと同じ翻訳者と出版社、同じく現代イギリスの女流作家によるファンタジーの四巻シリーズの一作目である。ケルト神話やルイス・キャロルなどから現代まで連綿と流れる、イギリスのファンタジーの伝統の力を感じさせられる。民話や伝説は母親から子へあるいは祖母から孫へと伝えられるものらしい。この本も母親である著者が自分の子供たちに語りかけているのだろうか。
 特定の生物と心の交流ができる能力を持った人たちの組織する「神秘の生物保護協会」に参加することになった、さらに特別な能力を持った少女の戦いと成長の物語りになるようだ。一巻目を読んだだけでも、シリーズが四巻で終わるのは残念に思うだろうと予感される。
 それらの生物というのが、神話や伝説の怪獣、奇獣、妖怪、怪物であるところが、ファンタジーたるところである。今回登場する「サイレン」は、ギリシャ神話かホメロスのオデッセイアに登場する怪物だったろうか。人間の活動範囲の拡大によってそれらの生物が生息地を奪われ絶滅寸前状態にあり、それらの生物たちと心の交流ができる人びとが、人間と共存できるように保護しようとする。一方で追いつめられた生物たちが人間に反撃するように操るものがいる。超能力者もののSFとも、環境破壊や自然保護についての寓話ともよめる。

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