サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. abe_babelさんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年6月)

abe_babelさんのレビュー一覧

投稿者:abe_babel

1 件中 1 件~ 1 件を表示

白団という、日本・台湾の戦後裏史。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 白団。この存在を、どれだけの人が知っているのだろうか。自分もこの本を読むまで知らなかった。中華人民共和国と日本国との外交関係を考えれば、それも致し方のない話ではある。

 昭和四十二年、家族にも行く先を告げずに台湾へ密航した元日本軍将校が十七人。彼らはなんと、蒋介石その人に招かれ軍事顧問団になるべく渡ったのであった。その軍事顧問団を「白団」という。なぜそんなことをしなければいけなかったのか。誇り高い旧大日本帝国軍の士官たるものが、なぜそんな決断をしたのか。その由来は、戦争末期に溯る。

 昭和二十四年、シナ(中国)派遣軍総司令官、岡村寧次は苦悩していた。陸軍大臣は自刃、内閣総辞職、残された彼は責任をとらなければならない。
 どんな責任か。大陸奥部に侵攻した十五万の軍隊、それに五十万の居留日本人をどのように無事に帰国させるか。このことである。どう考えても不可能である。そんな苦悶の極致にある岡村のところに届いた蒋介石の告文。これは、玉音放送の一時間前に放送されたという。
「……全国の同胞はすべからく「既住を咎めず、徳を以って怨に報いる」ということが、わが民族の最高最大の徳性であることを心得るべきである。我々は終始一貫、ただ侵略をこととする日本軍閥のみを敵と見做し、日本の人民を敵としない旨を説明してきた。……」
 これは、重慶で中国人向けの放送を傍受したものの一節であった。比較として、この本で抜粋されている二次大戦の戦勝演説を見てみよう。
米大統領のトルーマン:「我々は真珠湾を忘れない」
ソ連のスターリン:「これで日露戦争の仇が討てた」
 取り上げ方が露骨にしても、雲泥の差なのは分かる。蒋介石の如き格調の高さは、残念ながら他には見られない。その意味では、一次大戦の教訓が完全には生かされてはいない。国際連盟設立に努力した、米大統領ウィルソンの理想は儚かったのか。

 蒋介石の告文に対し、共産党は黙っていなかった。中国の偉人の一人、周恩来の言葉。
「日本軍が中国に与えた損害の賠償として五百億ドルを要求すると共に日本国内の鉱工業施設をすべて接収、大陸に移すべきである。同時に中国に残留する日本軍人及び一般人二百万人はそのまま抑留し、中国が戦争以前の姿に復旧するまで労務使役すべきである」
 中国人としては、至極当然の考え方である。ちなみにソヴィエトは、宣戦布告すらせずに軍隊を侵攻させ、日本人多数を抑留、強制労働に処した。

 蒋介石の演説で岡村寧次は敗北をまざまざと実感し、結論的には、その蒋介石の尽力で多数の日本人が無事脱出することとなる。例えば部下の一人、何応欽将軍は、蒋介石の精神を忠実に実施して日本軍民の引き上げ処理に力を尽くしたという。そのせいで共産党から「売国奴」「漢奸」と呼ばれ、何度も生命の危機に見舞われたと伝えられる。

 蒋介石に恩義を感じた元日本軍将校達が、GHQの目を掠めて台湾に渡り、軍事顧問団となる。この本は、そういう話である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示