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先月(2017年8月)

celtsさんのレビュー一覧

投稿者:celts

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本チョコレート戦争

2004/05/17 14:10

おなかはすくが、むねもすく

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本をはじめて読んだのはもう二十年近くも前、小学校中学年の頃だが、印象がとにかく鮮烈だった。
楽しい。ただただ楽しい。
大人の好きそうな説教的なテーマとか倫理だとかを口にするとこの楽しさを否定してしまいそうで、読書感想文にはとても苦労した記憶がある。

身に覚えのない濡れ衣を着せられた子供たちは、大人の鼻をあかすためにある計画を立てる。はたしてその計画を達成し、大人たちを見返すことができるのか?
ユニークで癖のある登場人物たち、軽妙で読みやすい文体、事件と共にまるでからくり細工のように子供の社会と大人の社会がくるくると動いていく。そして意外な結末と、一気に読めてしまう面白さ。読者を引き込む「話の展開」、読書中は「愉快」、ラストは「痛快」、そして読み終わると心は「温かい」。
読んで楽しくも、なにか説教くさいこと抜きに、大事ものを胸の中に残していってくれる。
この本を彩るもう一つの主役は数々の洋菓子だろう。明がうしろめたくもエクレール(エクレア)を食べるシーンと来たら、なんど読んでも胃がきゅうっと縮まり、生唾を飲み込んでしまう。

最後に、おどろくべきことにこの本は昭和40年にはじめて発表されている。しかしただロングセラーというだけではない。この本には古い作品特有のじめじめした書庫のようなかび臭さがまったくない。時代なんか関係ない子供たちの、すばらしく楽しい物語である。

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紙の本蘭と狗 長英破牢

2004/12/10 16:33

悪漢たちの逃走追跡劇

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本作は講談社より「中村勝行」名義で出版され、1995年に第六回時代小説大賞を受賞した作品である。作者名と出版社を変えての復刊となる。
 本作の主人公は二人。一人は実在の蘭学者、高野長英。
 長英というと幕末の動乱期直前に、幕府の蘭学者弾圧の犠牲者となった悲劇の人、というイメージが強いが、ここに描かれる長英はそんな一筋縄な人物ではない。努力家でありかつ実力もあるが、自らの能力に慢心し、我欲が強く、名声のために母親も婚約者も家名もろとも捨て去ってしまう。そんな鼻持ちならないインテリでありながら、捕縛されれば牢名主に収まるバイタリティを持ち、他の蘭学者たちとは一線を隔す。
 そんな長英に、架空の人物である二人目の主人公、岡っ引の瓢六が絡む。こちらも時代劇に出てくるような正義の味方ではない。大店の弱みをかぎまわって脅したり、十手をかさに着てやりたい放題。元々が岡っ引とは毒をもって毒を制すという面があったらしい。が、瓢六はそれにしても手鎖の挙句憤死した絵師の脇で平然と弁当を食い、権力者の走狗となることにもためらいのない、動物的な男だ。
 そんなすさんだ瓢六の人生で、女房お久の存在だけが唯一人間らしい喜びを与えてくれる。
 しかし、それも長英の破牢によって一変する。たまたま牢屋敷を訪れていたお久が巻き添えを食って焼死、瓢六は残りの人生を長英を追うことにささげる。
 追われながら、長英は何故瓢六がしつこく追ってくるのかわからぬまま愛妾お雪と娘との安住を求める。瓢六は、お久の形見の焼け焦げた鈴を手に、それ以外の人間的なものを削ぎ落としながら長英を追う狗になっていく。
 同じエゴイストで、同じく妻と家庭に人生初めての安らぎを覚えた蘭と狗は、お互いのことをろくに知らぬまま人生を交錯させ、そして一つの結末に収束していく。
 「規範」や「モラル」、それらが無意味になるほど強烈な感情と意思を持つがゆえに悪漢である主人公たち。「高野長英」を題材に取りながら決して伝記的ではなく、その存在の影である瓢六共々、生臭いまでの人生を読者に叩きつける。しかし二人の男の生き様は、寂寥と共に一抹の爽快感が残る。悪漢小説であり、逃走・追跡劇であり、間違いなく時代小説の傑作のひとつ。

 ちなみに作者は「中村勝行」名義でドラマ・時代劇の脚本を数多く手がけている。その中に高野長英が登場する「新必殺からくり人」も含まれているのは、あながち無関係とも言えないかも知れない。

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