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レビューアーランキング
先月(2017年4月)

nmeさんのレビュー一覧

投稿者:nme

3 件中 1 件~ 3 件を表示

ひとつだけでもいいから…。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 世界各地の「ホテル力」のあるリゾートホテルとシティホテルについて、ライトなタッチで書かれたエッセイ。「ホテル力」とは、ホテルに入った瞬間から「幸せ値」が上がってゆく、そういう力のことを言っているのだけれど、この惹句が実にいい。本の半分以上を占めている帯の、青いプール、青いデッキチェア、青い空のリゾートホテルの写真が目に鮮やかで、思わず手にとってみたくなる本である。
 僕は「いいとこ」のホテルに泊まったことがない。そんな超一般小市民の目を通して読むと、はああ…、と吐息がもれっぱなし。心はここにあらず、ホテルにあり、という感じである。そして、今の自分とのあまりのかけ離れっぷりに、もう笑っちゃうしかない、という気持ちになってくる。そもそも、著者の「ホテルジャンキー」という肩書きからして、唖然。
 でも、そんな著者の筆致はやわらかくて、とても読みやすい。それに、目のつけどころが一味違う。くどくどとホテルの概観を説明するんじゃなく、ひとつの素材から、そのホテルの個性、「ホテル柄」を鋭く射抜いている。そして、著者の視点は「ホテル柄」にとどまらず、ホテルの宿泊客や従業員、設計者やオーナーの人間性にまで向けられている。特に、ホテルを男女関係に喩えて語っているのが楽しい。ホテル・エッセイとして、間違いなく五つ星だと思う。
 ちょっと気になったのが、写真のページ配置。写真は写真で、まとめて見て気分に浸ってもらおう、ということなのかもしれないけれど、どの写真がどのホテルなのか、とてもわかりづらくて、いちいち索引を見るはめになった。とはいえ、写真が贅沢に使われていて、最高のトリップ効果があった。
 著者もちらちらと触れていることもあり、読み進めるにしたがって、日本のホテル事情にも思いを馳せた。結論は、「日本ではいいリゾートホテルやシティホテルはできなさそう。」シティホテルについて言えば、日本には風格と気品のある都市が存在しない。リゾートホテルにしても、「海が見渡せるプールサイドでカクテル」というより、日本では「海の見える温泉でぐっと一杯」だろう。勿論上質な温泉宿は、それはそれで日本の貴重な財産なわけだけれど。
 巻末には、ご親切にもホテル・データが掲載されている。これを見て即座に予約を…できない自分がちょっとかなしい。ため息の数だけイメージが深まる、現状はそんな旅のしかたしかないようだ。

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紙の本ほげらばり メキシコ旅行記

2001/05/21 00:09

「ほげらばり」って、何だ?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本は、旅につきものの4つのツボをしっかりと押さえている。
 まず、「ハプニング」。翻弄されまくりの道中が臨場感たっぷりに書かれていて、手に汗握りながら笑うことができる。
 次に、「カルチャーショック」。ラテン・パワーに張り手を食らいながらも、土俵際辛うじて冷静にツッコミを入れている姿が可笑しい。
 そして、「出会い」。ラモスという女の子とのスペ日会話とゼスチャー大合戦から、ポラロイドカメラを通じて芋づる式に出会いが広がっていく「ラモスとデイト」の章は、じんわりとあたたかい旅の醍醐味をおすそ分けしてもらったみたい。
 最後は、「感動的な体験」なのだけれど。遺跡めぐりも、リゾートビーチも、シュノーケリングも、ちっとも感動的じゃない。むしろ苦渋に満ちている。そう、旅の最中というのはたいていつらくて倦んでいるものなのである。むやみに感動ぶっていないのがいい。
 郷に従わないこともなければ、従いすぎることもない。彼女のサバサバ、飄々とした人柄そのままの筆致で、この等身大の紀行記は書かれている。彼女も人並みに弱音を吐く。でも、それを楽しみや笑いに変えてしまうパワーは人並外れていると思う。
 メキシコに行きたくはならないが、彼女の旅のしかたがうらやましくなってしまう、そんな1冊。旅は「ほげらばり」で突進あるのみ。

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紙の本ホテルカクタス

2001/06/08 00:11

帽子ときゅうりと数字の2、誰が好きですか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「ホテル・カクタス」という、ホテルじゃないのにそういう名前のアパートに住む、帽子と、きゅうりと、数字の2、の友情のお話。小説ではないと思うし、かといって、物語というにはストーリーが平板なので、やはり語り口からいっても「お話」というしかない、そんな一冊である。
 帽子ときゅうりと数字の2というものの、ユーモラスでありながら、実に的確な擬人化(!)が冴えわたっている。「割り切れない、というのは2の性に合いませんでした」とか、きゅうりが「ぱきっとしています」とか、思わずふふっと笑ってしまう。そして、帽子とかきゅうりとか数字の2が登場人物であっても、江國さんの人生を洞察する含蓄のある言葉は健在である(それにしても、帽子やきゅうりや数字の2なのに、「登場『人』物」とか「『人』生」とかって変ですね)。
 僕がいちばん好きなのは、帽子だ。この本の帯には、登場人物のそれぞれの言葉が書かれている。
「いつでも手に入る、というところが大事なんだ。きみにはきっとわからないよ」数字の2
「盗られても平気でいられれば、それにこしたことはないんだから」きゅうり
「世の中に、不変なるものはないんだ」帽子
 これを読んで、「帽子、いいぞ」と思って読みはじめたら、案の定気に入った。ハードボイルドで、でもカメの一匹一匹に名前をつけて育てるやさしさとかわいげがある帽子。「あとは野となれ山となれ」が口癖だなんて格好いいし、「思い出は人に語るものじゃない」という信条にしびれてしまう。
 でも、自分にいちばん似ているなあ、と思ったのは、数字の2だ。それも、自分でいやだと思っているところが似ている。だから、数字の2を見てると、ちょっと居心地の悪い気持ちになった。
 この3人(?)に特別肩入れして読んでいたわけではないのだけれど、ラストはなぜかちょっと切なくなった。でも、ウェットというわけではなく、実にからっとした終わり方だ。友情は、べたつかないからいいのである。
 「約束か。いいとも、約束しよう。あとは野となれ山となれ」の帽子の一言が、よく沁みる。「また別の物語」も読んでみたい。

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