奈穂子さんのレビュー一覧
投稿者:奈穂子
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紙の本囚人分析医
2004/05/08 10:51
仕事に誇りと熱意を持ったプロの心理学者によるプロのミステリー!
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日本語訳はこの1冊のみ出ていて、仕方がないのでこの作者の前の作品は今洋書で1冊注文しているところです。
「心理学者の女性の話だわ♪」と思って気軽に読み始めたのですが、なんだか治療場面とか子どもの接し方とか表情や態度の読み方が「やけに勉強になるな…メモ取りたいわ…」と思っていたら!
本当にプロの性犯罪問題を専門に扱う司法心理学者が書いていた!!!
1作目は「テキストのようだ」と言われていたらしいのです。そのくらい作者が強い熱意と誇りを持って仕事に挑んでいるのが伝わってきます。臨床心理学に関わる私もいつかこんな感じの本を書きたいなあと思わされました。
あとがきに書いてあったのですが、作者は友人から「フィクションを書くのなら、本当のことを書くべきだ」と言われたのだそうです。若草物語のジョーみたいだね。それで彼女は仕事上の熱い思いを小説に吹き込んだのだと思います。魂のこもった小説です☆ まだ半分しか読んでいないのですが、読み終わるのがもったいない感じで、ほんとうにおすすめです。
ちなみにこの作者は性犯罪に関するテキストも書いているようです。この本は小説でありながら、実際的なテキストのよさも併せ持っており、心理職には特におすすめしたい本です。
紙の本鱗姫
2001/11/05 15:18
迷いのないことの美しさ
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独善的でもいい、排他的でもいい、時代の流れに逆らってもいい、社会に背を向けてもいい、自分の感じることを、自分の選んだことを、自分が惹かれてやまないものを、迷いなく選び取りまっすぐに愛する、そんな美しさを野ばらの主人公たちは持っている。
野ばらの小説を初めて手に取ろうとする人は、まず『ミシン』の中に収められている『世界の終わりという名の雑貨店』から読むことを個人的には薦めたい。そうして、ゆっくりとその「美しさ」に触れてゆかなければ、迷いのありすぎる私たちには衝撃が強すぎるかもしれない。
たとえ周囲から「心が病んでいる」「おかしい」「間違っている」と言われたとしても、自分が美しいと感じることを迷わず愛し、大切にする。そうして生きる人の美しさがここにある。弱いのでもなく、強いのでもなく、外側の醜さや美しさでもなく、ひたすらまっすぐに自分自身を肯定する。多くの迷いの中で周囲に流されそうになりながら、自分自身をすり減らし、削り取られながら生きている私たちは、そんな優しい美しさをもっと知るべきなのかもしれない。
「乙女たちの学級委員長でありたい」という野ばらは、迷いのない美しさの中から、私たちに“もっと自分自身を認めて受け入れて愛していいんだよ”“それはとても美しいんだよ”というメッセージを優しく送ってくれているような気がする。
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