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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

しょいかごねこさんのレビュー一覧

投稿者:しょいかごねこ

43 件中 1 件~ 15 件を表示

物理学者の本懐

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

科学の解説書を、これほど熱中して読んだのは久しぶりだと思う。
そもそも理論物理学というと、相対性理論と量子力学程度なら解説書もたくさん出ていてまだしも親しみがあるのだが、そこからちょっと踏み出すと、クウォークだのゲージだの何とか宇宙論だの、もうなにやら訳のわからない領域に入ってしまう、そしてその急先鋒がひも理論、というのがこれまでの印象だった。
本書は、ひも理論を含めた現代理論物理学の様相を、順序だててわかりやすく解説してくれている。しかも数式を全く使わずに書いているところがすごい(これは大変な努力を要することだと思う)。「ひも理論の信者」になってしまう危険性はあるが、現在の理論物理学の容貌を知るのに好適な書であると思う。
全体を通じて強く主張されるのは、宇宙が「エレガント」であることへの作者の強いこだわり、ひも理論に対する作者の強い愛情である。著者の気持ちは最終章の次のような言葉に良く表れている。「私たちは、この世界を知っているつもりでいたが、実は、この世界がどれだけ壮麗であるか、まるでわかっていなかったのだ」。よくある解説書のように、タイムマシンだのワープ航法だのといった色っぽい話題にはそれほど立ち入らず、ただ物理学の面白さ、ひも理論の素晴らしさ、そして宇宙の美しさを強調する。
本書の内容もすばらしかったけれど、これだけ自分の携わっている学問に心底惚れている、著者の心意気にいたく感動した。こんなふうに学問に惚れこんで、それを人にわかりやすく語ることができるというのは、まさに物理学者の本懐だと思う。

しょいかごねこ&もぐらもちのおうち

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魔術的に理解できてしまうトンデモ解説書

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

読みやすい。面白い。なのにとんでもなく難しそうな概念が不思議と理解できてしまう。そういう魔術的な本である。
コンピュータの使い方がわかる、という本ではありません。でも文章は面白おかしく極めて平易なので、コンピュータに詳しい人にも全然知らない人にもお薦め。解説書としてだけでなく、「解説のテクニック」という視点からでも面白い本です。
本書が解説しているのはコンピュータというよりは、情報理論とか計算機工学に関する話がほとんどである。だから各章のキーワードは、エントロピーだのチャネルだのオートマトンだの、恐ろしそうな単語が並んでいる。ところがこれが作者の手にかかると、とんでもないものに例えられてしまい、各章を読み終わったときには、これらのタームがおそらく非常に的を得たイメージとして頭に入っている。
この本のような解説の仕方は、ちょっと極端なところもあるけれど、なんとなく僕の目指しているものに近い。また特に後半には、作者のコンピュータに対する思い入れや哲学が語られ、これもまた共感するところが多い。本書の作者は大学の助手さんということだけれど、大学の学生さんにこの調子で講義をしているんだろうな。こんな難しいことを楽しいたとえ話を使って、わかりやすく説明できるなんて、さぞかし気持ちがいいだろうな、そういった羨望すら感じてしまった。

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紙の本アイ・アム

2002/12/18 13:30

優しく、深く、人間とは何かを問いかける

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

また泣いてしまいました。よりによって新幹線の中で。この本は薄くて字も大きくて、文章も簡単で、あっという間に読んでしまいそうで、出張鞄に放り込むにはちょうどよかったのですが、それにしても中身の密度がこれほど高いとは。
舞台はホスピス棟が併設された病院。看護ロボットとして目覚めた主人公が、自分は誰なのだろうとかと、入院患者とのふれあいを通じながら自問自答していきます。ゆっくりと、じっくりと、人間とは何か、生きているとは何かについて問いかけを繰り返す主人公。物話は平易な文章で、そして穏やかに進められていきます。そして最後に、優しく静かな回答が与えられます。
菅浩江さんの本は最近の著作ばかりこれで5冊ほど読みましたが、独特の感動を与えてくれるものばかりです。本書は文庫で安いし(この感動で400円!)、菅浩江入門としてもお薦めしたい本です。

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紙の本永遠の森 博物館惑星

2002/11/06 13:53

幸せな気分になれるSF

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

そう、いろいろと嫌なことが多い今の世の中、どこか遠い空の上で、きれいなものだけに囲まれて暮らしたいなあ、なんて、これはまさにそういう願望を絵にしたような話です。舞台は世の中のあらゆる芸術品や動植物を集めた人工惑星。まあ、現場で働いている人は大変みたいですけど。こういう舞台を作るためにはSFという手法を用いるのが一番ふさわしいのでしょう。いかにもSFらしくない「芸術」というテーマを、SFに載せてしまったこと、が本書の特徴と言えると思うのですが、そんな無粋な表現がばかばかしくなるほど、両者は美しく融和しています。
短編の連作で、どれもとても素敵で読後感のいい作品ばかり。一気に読んでしまわずに、一作ずつ読んで、しばらく余韻を楽しんで、ゆっくり次の作品に進みたくなる、そんな本です。どれも良かったけれど最後の作品は特に圧巻。海、花、光、音、そして「ラヴ・ソング」、思い描くだけで幸せな気分になれる、贅沢なエンディングです。
そう、だから、世の中には厳しい現実を見せつけるようなノンフィクションだの、人間の嫌な部分を曝け出すような私小説だの、いろんな本があふれているけれど、時には何かやさしく美しいことばっかりが書いてある、そんな幸せな本が読みたいなあ、なんて。この本はまさにそういう本です。

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紙の本牛丼屋夜間アルバイト

2002/01/13 23:21

心に沁み込む親しみのある言葉達

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 いい詩集に巡り逢えたと思う。本棚の隅に大事にしまっておこうと思う。
 特にすごい技巧的なことをやっているわけでない、とにかく平易な文体で、素直に体の中に沁みこんでくるような、それでそこんところがぽかぁと暖かくなるような、独特な魅力がある。
 そしてその空気は、いつも若くて明るい。ああ、こんなん読んで感動しているなんて、まだまだ僕も捨てたもんじゃないなあ、なんて思ってしまう。
 詩集自体はとても気に入ったのだが、あえて難を言えば表紙がいただけない。著者本人が望んでこういう表紙になったわけではないと思うのだけれど。詩の中の言葉を借りれば、「パステルカラーの朝焼けのような」、そんな表紙だったら、もっと詩集の中身に合っていて良かったのにと思う。

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紙の本100万回生きたねこ

2001/07/24 20:38

立ち読みキケン

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本はわりと有名な本だし、書評なんかには贈り物に最適とか書いてある。それならちょっと会社の帰りに、駅前の本屋で立ち読みして帰るか、なんて思ったあなた、ちょっとそれは考え直したほうがいい。
 僕は割と硬派なほうだが、ごくたまに、びしっとツボを押されて涙が流れてどうしようもなくなるときがある。とにかく、その日出張中にちょっと時間があまったので、某駅前の大きな書店の、バレンタインデー贈り物コーナーだかで、この本を見つけて読み始めた。この絵本の名前は以前から知っていたし、最近著者の佐野洋子さんの別の本を読んで非常に面白かったので。まあ、たかが絵本だ、数分で読めるようなもんだろう。
 確かに途中一度、ちょっとこれはやばいかな、と思った。主人公のネコが白猫に告白する場面だ。でも後ほんの数ページだし、第一、相手はたかが絵本じゃないか。
 読み終わった瞬間から悲劇が始まった。とにかく、涙があふれ出して止まらない。頭の中は暴走して完全にパニック状態。しかし混雑した本屋の真ん中で、お世辞にもかわいいとは言いがたいネコの絵本を手に、スーツを着たサラリーマンが涙を流している図、というのはどう見ても変である。とにかく僕は絵本をおいて本屋を逃げ出し、顔を隠しながら周囲の街を2,3周した。
 というわけで、この本をたかが絵本と甘くみたら痛い目にあいます。もし立ち読みで済まそうと思うのだったら、人気のない本屋を選ぶことをお薦めします。もちろん、bk1で買ってもいいのだろうけど。

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紙の本三国志 1の巻 天狼の星

2002/07/17 10:58

全く新しい三国志

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

つい先月文庫版が完結した、北方謙三版の三国志。そもそも僕は「三国志くらいは読んでおかないと」という程度の気持ちで、最近評判のこの北方版を読み始めたのだが、読み始めるやそのあまりの面白さにすっかり夢中になってしまった。
勢いで、いわゆる「三国志演戯」のデファクトスタンダードである吉川英治版など、他の三国志も読んでみた。この北方版の特徴として、いわゆる三国志の有名なエピソードが省略されていたり、オリジナルな登場人物が加えられている点が挙げられる。これらは作者が描きたい人物の、キャラクタを際立たせるため、因果関係に説得力を与えるために用いられている。つまり、作者は従来の読み古された三国志を噛み砕き、人物やエピソードを追加して論理的展開をまとめ直し、作者独自の全く新しい三国志を構築している。
そうなのだ、こういった三国志は「一般教養」という意味では異端なのかもしれないけれど、小説として大事なのはそんなことではないのだ。どれだけ小説として充実しているか、どれだけ登場人物に感情移入できるか、そしてどれだけ面白いかなのだ。北方版ではすべての登場人物がかっこいい。よく言われる劉備=善、曹操=悪という図式は全いし、一般には印象の悪い張飛や呂布などが実に魅力的に描かれる。
第一巻では虎牢関の戦いの後までが描かれている。淡々と史実が描写される吉川英治版と比べると、一部の内容が省略されている分、状況や心理の描写が細かく、その分登場人物にどっぷり感情移入してしまう。
この本は絶対に面白い。男はこういう本を読むべきだ。今の世の中にはこういう熱い本が必要である。

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紙の本ユービック

2001/08/27 11:20

ユビキタス?快読SF

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ディックの作品の中でも非常に楽しんで読める小説だと思う。異形のエスパー集団、訳のわからないパラレルワールド、最後まで解けない謎、どんでん返し、なおかつディック特有のなんかよくわかんない部分など、エンターテインメント性をふんだんに備えた快読SFである。
 さて、SF顔負けの変化を続ける現代のコンピュータ社会であるが、最近ユビキタス・ネットワークという用語をたびたび耳にするようになった。このユビキタス(ubiquitous)という単語は、神の偏在、という意味らしい。どうも変な神学用語を使って素人を煙に巻くための策略としか思えないのだが、実は作品中にも述べられているように、このユービックという言葉も、同じ単語(の名詞形、ubiquity)を語源にしている。
 本書は別にコンピュータネットワークとは全然関係ないけれど、使っているパソコンやソフトが瞬く間に古くなって使えなくなるこの御時世を、全てが退行してしまう世界で特効薬ユービックを探し求める主人公達の姿に重ねてみるのも面白いかも知れない。

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紙の本四月怪談

2002/07/30 21:51

「死」をテーマにした佳編

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この巻のテーマは「死」だろうか。それにしては心安らぐ佳編が多い。特に「四月怪談」は名作。なんだ、少女マンガの展開じゃないか、と頭では思っているのだけれど、つい涙が出てきてしまいます。
「金髪の草原」は僕の最も好きな作品の一つ。人生をまさに終えんとして、実はちょっとボケ始めている老人と、バイトの女の子の話です。自分でも何がいいのかよくわからないが、人生の長さも幸福の短さも、楽しかったことも苦しかったことも、すべて超越して昇華してしまうような、なんともいえない安らぎ、これまた涙してしまいます。すばらしいね。

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紙の本指輪物語 新版 10 追補編

2004/02/16 00:00

綿密な背景設定に驚嘆

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ファンタジーというのは、誰かが作ってくれた遊園地の中で遊ぶようなもので、その世界が細部まで細かくリアルに作られていれる方が、世界に没入できて楽しい。このような仮想世界の史上最大のものの一つが、トールキンによる指輪物語の世界である。「指輪物語」を読んだだけではこのことは十分に実感できないかもしれないが、著者自身によるこの「追補編」を読めば、その設定の壮大さ綿密さに驚嘆する。
本書は、物語の背景や歴史に始まって、言語、文字、暦などの説明にまで及ぶ。例えば、アラゴルンとアルウェンの結婚が、何故にこれほど重要な意義を持つのかは、「指輪物語」全巻を読んだだけでは説明できないが、本書に述べられる中つ国の歴史を読めば、全く新しい目で指輪物語の世界を楽しむことができる。また、特にトールキン自身が言語学者だったこともあり、言語や文字に関する説明がすごい。物語の中に出てくる言葉、地名、人名にしかるべき言語学的背景が設けられている。あるいはホビットの暦について、なぜ現代の暦ではこのような合理的な暦を採用していないのだろうか。カレンダーを毎年買い換える必要のないホビットの暦にちょっと感動。
「指輪物語」を読んでいない人には無意味だろうけれど、読み終わった人は必携。指輪の仲間のその後なども述べられているし、巻末の人名や用語の辞典をぱらぱらと見ているだけでも、物語の余韻を楽しめて面白い。

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マンガの枠を越えた衝撃的な作品

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ここ何年かでマンガ文庫というのが急に広まったけれど、あれは非常にいいです。普通の本屋にも売ってるし、僕みたいないい年した男性が、大島弓子さんの本を買っても(あんまり)恥ずかしくないのです。ということで、綿の国星の4冊は、文庫が出た時に即座に買い求めました。
主人公のちびねこの純粋なひとみを通して、人間世界のいろんな出来事が描写される。月並みな表現だが、この本を初めて読んだときの衝撃は忘れられない。大島さんは人間なのになんで猫の気持ちがわかるのだろう。なんで人間に見えないものが見えるのだろう。そしてこのちびねこ、まだ生まれて間もないくせに、世の哲学者をして顔色をなさしめるような発言をするのである。
この作品が文学や芸術の分野に大きな衝撃を与えた、などとよく言われる。マンガに抵抗を持っている方にも、一読をお勧めします。

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紙の本三国志 11の巻 鬼宿の星

2002/07/19 13:58

夷陵の戦いと劉備の死

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この巻のメインは、劉備が報復のために呉に侵攻する夷陵の戦い。つまり、この最後では劉備も死にます。しかし、もう一巻以上前から、劉備は死に向かって突き進んでいたような、そんな感じを受ける。そして残された孔明の立場はあまりに重い。
もうひとつの焦点は、呉軍の大将、陸遜である。圧倒的有利とみられた蜀軍に対する、彼の血のにじむような忍耐力、そして勝利、この一連の描写は非常に説得力がある。赤壁の戦いの周瑜の後継者らしい戦いぶり、敵?ながらさすがだと思う。
最後に描かれた、孔明と趙雲のやり取りが非常に印象的。最後のたった数ページで救われたような気分になります。

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紙の本三国志 3の巻 玄戈の星

2002/07/17 11:02

呂布の生き様

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第3巻は何と言っても呂布。感動ものである。1巻からここまで、この呂布の死を目指して話が進んできたのかと思うくらい、呂布の生き様が、死に様が、この第3巻に結集する。
北方三国志では、呂布のように、一般には「武勇は並外れているが短慮で粗暴」というキャラクタが、実に魅力的に描かれている。前半では呂布、中盤の張飛、後半では馬超など。赤兎馬を加えてもいいだろう。思うに北方三国志が目指すのは、こういう「男の中の男」の物語なのだ。こういった人達が、作者が最も描きたい人物像なのではなかろうか。
上述の3人が、すべて愛妻家(3人の奥さんはすべてオリジナル登場人物)として描かれているのも興味深い。
呂布はここで華々しく散るが、呂布も赤兎馬も、その影は最終巻まで残る。

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現代思想の遭難者たち

2002/09/21 14:32

現代思想が怖くなくなる本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

むむむ、いしいひさいち恐るべし。なんというか、マンガの持つ影響力と言うものをとりわけ強烈に感じた本だった。
暗記するときには絵のイメージを一緒に覚えると覚えやすいというけれど、まさにこの本を一冊読むことによって、普通の解説書を何度読んでもさっぱり区別のつかない近現代の思想家の名前が、なんと34人も、あっさりと頭の中にインプットされてしまう。マンガだから顔と同時に(デフォルメされた)キャラクタもインプットされる。思想家の思想と言うのは、その人の個性と不可分であることを思えば、結果として、名前、顔、キャラクタ、思想、という一連のイメージが(多少歪曲されているのかもしれないけれど)ずるずるっと頭に入ってしまうのである(顔とは他者である、なんて言わないでね→レヴィナス先生)。とりわけ個性のきつい登場人物はそうである。ウィトゲンシュタインとかデリダとか、今後名前を聞くたびに、この顔を思い出しちゃうんだろうな。
ということで、なんとこの本を一冊読めば、哲学的なことが正しく理解できるかどうかは別問題として、なにやら小難しそうな思想家の先生方に、近所のおっさん並みの親しみを感じることができます。哲学なんて知らなくても全然大丈夫。僕も全然わかってません。コツは、難しい説明は読み飛ばして、イメージだけを感じとる、それでマンガは十分楽しいです(いいのだろうかこんな書評で)。そうして現代思想が怖くなくなったところで、ちゃんと勉強したい人はちゃんとした(?)本を読めばいいのだと思います。
そして、お気に入りのキャラクタができたら、その人が表紙のどこにいるのか探してみましょう。読み終わってからじっくり眺めると、各人の個性がわかっているので楽しめます。ちなみに裏表紙がオチになっていて、この本の主題を象徴しています。

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紙の本春琴抄 改版

2002/07/30 21:46

美しい文章の魔力を実感できる一冊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

特に女性など、谷崎潤一郎は苦手だと言う人がいる。たしかにかなり怪しい小説が多いかもしれない。また例えば細雪など、何が面白いのかわからない、という人もいる。谷崎は、僕は割と好きなほうなのだが、その好きな部分が凝縮されているのが、この春琴抄だと思う。100ページにも満たない、この短い小説を読めば、この人の美しい文章の、なんともいえない魅力、あるいは魔力が実感できると思う。
この小説を日本文学の最高傑作のひとつに数える人もいる。あるいは句読点が頻繁に省略された変な文章の代表として挙げる人もいる。好き嫌いはともかく、谷崎に抵抗を持っている人、あるいは、文学なんてあまり読まないと言う人にも、一読をお勧めしたい一冊である。

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