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  3. 淳 さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年2月)

淳 さんのレビュー一覧

投稿者:淳 

36 件中 1 件~ 15 件を表示

プログラミングはアートであると信じる人のための哲学書

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私は某研究所で情報技術分野における先進的システムのフィージビリティスタディおよびそれに伴うシステム開発に従事している。長い間この業界に身を置いて経験的に会得した信条として、次の宣言を声高に主張したい。すなわち、「プログラミングはアートである」と。

 さて本書「達人プログラマー」は、まさにアーティストたり得るプログラマが身につけておくべき哲学を網羅した、実に意義深い一冊である。私自身が達人プログラマであるか否かはともかくとして、プログラミング・アーティストを自認する私が日頃感じていること、プロジェクトの実施や日常のプログラミングにあたり常々気をつけていること、日々主張していることなど、私の行動、言動に合致する記述が多く、まさに我が意を得たりと掌を打つことしきりであった。

 文化は頭で考えているだけでは不十分であり、言葉で表現してこそ他者に伝わるものだ。本書はまさに私の思考を代弁してくれている。私が汲々と新たに述べるまでもなく、「これを読め」と提示できる一冊の本と巡り合えたことは多大な僥倖といえよう。

 加えて、本書を読んで私のこれまでの技術指向や考え方が間違っていなかったことを確認できただけでなく、私自身が重ねて学ぶべきトピックも散見され、さらなる感銘を受けた。かようにベテランに向けても貴重な情報に溢れている。いわんや初学者をおいてをや、と自信を持って薦められる一冊である。

 まずは本書を私の関与しているプロジェクトチームのメンバ全員に読んでもらいたい。幸いにして私の周囲のメンバは本書の哲学を理解できる能力を持つと信じている。あるいは既に本書で述べていることは十分理解しているかもしれない。そうだとしても、明文化されたものをコンセンサスとして共有することには大きな意味がある。

 そして本書の非常に有効かつ実践的(pragmatic --- 本書の原題は "pragmatic programmer" である ---)な利用法を最後にひとつ紹介しよう。それは、プロジェクトメンバの採用基準を、本書を理解できるか否かに置くことだ。ソフトウェア工学において全体の生産性を上げるために最も効率的な投資は、人的リソースの向上なのだから。

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初級者からUNIXグルまで、UNIXer必読の書

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私は業務でソフトウェア開発に携わっている。そのターゲットはLinuxなどUNIX系のOSであることが多い。Windowsも利用しないこともないが、cygwinやmeadowなどのソフトウェアをインストールし、疑似UNIX環境として利用する場合が圧倒的に多い。そこまでして何故にUNIX環境にこだわるのか、それはソフトウェア開発者にとってUNIXはユニクロのシャツのように体に馴染むOSだからである。

 UNIXを道具に使うソフトウェア開発者が普段感じていること、ソフトウェア開発者にとって、UNIXの使い勝手はなぜ優れているのか、本書はUNIXerがUNIXerであり続ける理由を具体的にいくつかの定理として示している。これからUNIXを利用しようという人には優れた指南書となっているだけでなく、どっぷりUNIXに漬っている開発者はひとつひとつ納得しながら読み進めていくことができるはずである。初級UNIXerからUNIXグルまで、UNIXでの開発者は必読の書といえよう。

 UNIXの考え方の根底には、小さいが確実に動作するプログラムを組み合わせて仕事をしよう、という規範がある。まさにこれはモジュール化の思想に他ならない。94ページに「UNIXプログラマは、ユーザインタフェースへの対処を避けて通る」という記述がある。まさに我が意を得たり、と思わず手を打ちそうになった。ごてごてと様々なボタンやメニューで飾られたアプリケーションのなんと使いにくいことか。こんな機能要らないよ、ということを頻繁に感じる重たいアプリケーションが蔓延している昨今、そういったアプリケーションの企画をしている連中にも夏休みの宿題として本書を読ませたいと思うのは私だけではないと思うのだが。

 UNIXの考え方とは、常に将来を見据えながらソフトウェア開発にアプローチすること、そのためには設計を固定化しないこと、その本質は柔軟であり続けることだ、と本書はまとめている。本書の最後、締めくくりの言葉を紹介しておきたい。「嵐が何度やって来ても、風に揺れる木は折れることがない」。ソフトウェア開発だけでなく、こういう生き方もアリかな、と感銘を受ける言葉であった。

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フリーソフトムーブメントを易しく解説

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 なぜLinuxなのか、と題されてはいるがLinuxに限らず、オープンソースソフトウェアあるいはフリーソフトウェアのムーブメントに様々な角度から焦点をあて、解説している。

 あるときは開発者の立場から、またあるときはフリーソフトウェア市場に挑戦している企業人の視点から、はたまたフリーソフトウェアのユーザーがどう考えるかを思い図りながら、鋭い解説を加えている。Linuxなどオープンソース活動の産物の上でプロジェクトを動かし、自らの開発を進めている我々、あるいはそのような立場に相当する開発者であれば、自分の足場を再確認する意味でも読んで損はない一冊といえよう。

 様々な切り口から優れた口上で文章が組み立てられており、読んでいてハッとされられることも多い。とくに共感したのは第14章、「新しさ」の章だ。

 何でも秘匿するプライベートソース(いわゆる普通のパッケージプログラムや商用ソフトウェアと呼ばれるたぐいのもの)とフリーソフトウェアの比較を乗用車メーカーに例える例はよくある。すなわち、技術を秘匿するためにボンネットに特殊な鍵をかけている車はあるか? あるいは、アフターパーツをつける自由はユーザーに与えられている、など。本書のツッコミはそれだけに留まらない。いわく、法律業界は訴訟のアイデアを共有して発展してきている。これはフリーソフトウェアの手法と全く同じである。いわく、現状のプライベートソフトウェアライセンスと同様の弊害はコンテンツビジネスにもあてはまる。ディズニーはオープンな原作(白雪姫など)をもとにビジネスをしているが自分の著作物に関しては過剰な権利を主張する、などである。

 本書の主旨からは若干逸れるが、著作権の過剰な保護についての感じ方については激しく同意できる。とにかく既存の著作権の枠組みは、デジタル技術の発展を阻害する方向に働いており、技術者の立場からすると非常に好ましくないものである。本書ではプライベートソースの雄としてマイクロソフトが槍玉にあげられているが、日本にも悪名高い著作権管理団体はいくつか存在する。両者の根底に流れる思想は同じである。

 さて本書の評価は高いがあえてミソをつけるとすれば、最後の章で少しだけ将来の予想について述べられているものの、基本的には現状の解説に終始している点がやや残念。具体的にどうすればよいかとの提案があれば百点満点の書であった、ただし、少なくともフリーソフトウェアムーブメントの入門書としてみれば、あるいは冒頭に述べたように、フリーソフトウェアに何らかの関与を持ち現状のソフトウェア業界に苦言を呈したいと考えている人にとっては、自らの立場を確固たるものとするための書としては、非常に適している良書である。

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紙の本蒼穹の昴 上

2001/06/26 23:04

感動した(清の歴史を勉強し直したくなった)

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 もとより私はこの手の歴史小説、時代小説の類いを好んで読むほうではないのだが、「きんぴか」以来の浅田ファンであり何気なく本書を手に取り読みはじめたところ、見事、嵌められた。読み始めて最後、物語にのめり込まされて、上下巻を読み終わるまで徹夜を強いられたのであった。

 ストーリーは、型破りの秀才とその幼馴染みの貧農の児の出世物語を中心として進む。科挙を経た高級官吏として出世する秀才(梁文秀)と、他に何一つ持たぬ貧民の唯一の手段として自ら男を捨て汗顔として出世する少年(春児)というふたりの主人公。清朝末期の表と裏を象徴するふたりを取り巻く舞台は、大戦以前、列強に蝕まれる中国の、危うい状況へと堕ちてゆく…。

 紫禁城を舞台とし、清朝皇室をめぐる確執が、様々な立場にある登場人物の視点から鮮やかに描かれている。あるときは変法を望む秀才官吏の立場から、あるときは宦官の立場から。またあるときは清国の始祖、建隆帝の時代に遡り、かと思うと革命を逐一観察する外国人記者として物語に参加する。またこれら多数の登場人物が動乱の当時を見事に再現している一方で、良くも悪くもそれぞれのキャラクターが浅田色に染められていることが浅田ファンとしては応えられない。悪くいえば類型的といえなくもないが、登場人物の描き方が非常にわかりやすい。善人はともかく、悪人を表現させたら氏の右に出る小説家は居ないのではないだろうか。とにかく全ての登場人物が親しみやすい。西大后をあれほど庶民的に描いてしまって良いの?というくらいどろ臭く、ひとりの人間として描ききっている点は見事。

 その他にも細かな伏線や人間関係の綾は浅田小説としてピカ一。秋の夜長などたっぷり時間があるときに、手をつけることをお薦めする次第である。

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読みごたえアリ。ソフト産業の実情を暴く

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ソフトウェア会社の勃興と衰退を描くノンフィクション。しかもその全てを自分の目で見、肌で体験した筆者による生々しい記述が読者をぐいぐい惹きつけていく。500ページ以上もありペーパーバックながら手にとるとずっしりと重量感を感じさせる装丁ながら、ついつい、のめり込んで一気に最後まで読まさせられた。

 当事者が自分の言葉でたんたんと報告していくスタイルがまた臨場感をそそる。どことなく練られていない表現もときおり見受けられるところがまた、思いのたけをそのまま綴ってみました、という感じが出ており、それっぽくてよい。

 それにしてもソフトウェアハウスの実態って本当にこんななんですか?あまりにもドラマチックなのでノンフィクションの体裁を借りた創作なんじゃないかと疑ってしまうほど面白い。登場人物がまた個性的で印象深い。現代版「坊っちゃん」といったら言い過ぎか。やはり事実は小説より奇なり、といったところなのであろう。

 なお本書はウェブで公開されたページ「如何にしてソフト会社は崩壊したか」を書籍としてまとめたものである。ウェブを参照するのもよいが、まとめて読める書籍を購入してじっくり読むことをお薦めする。また最近、似たようなページを発見した。その題も「辞職の記(唾棄すべき日々)」。こちらも一度訪れてみることをお薦めする次第である。

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お笑いCプログラミング

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 とにかくとんでもないCのプログラムを片端から紹介し、しかもバッサバッサと切り捨てているのが小気味よい。例えば無駄なコーディングをしている数百行にもおよぶ関数を、「ここは繰り返し処理をすればよい」、「ここは関数にまとめれば使い廻しが効く」といった要領でどんどんと短くしていく。これで圧縮率が何倍にもなった、と喜び、挙げ句の果てに、「このようなチェックのための関数は本来不要である、したがってこのような関数を書く必要はない、すなわち圧縮率は無限大となった」というオチをつけていたりもする。
 とにかく全編このような調子で、藤原節とでもいうべき名調子で悪文(悪プログラム?)にツッコミまくる痛快な本である。もちろん対象の読者としてはある程度Cプログラムのプログラミングに長けている人向き。本書でとりあげられているようなやっつけプログラムで口に糊している人が読むと自己嫌悪に陥ってしまうおそれがあるから読まぬほうがよろしいかもしれない。
 初版が1993年とやや古いのでプログラムの内容は若干流行遅れではあるが、プログラミングの精神は変らず、といったところで現在でも十分通用する指摘は多い。本書を通じて紹介される著者のポリシー「手を抜けるところは抜くべし」ということは良質のプログラムを書くためにはいまでも欠かせない方針だろう。もちろんここでいう「手を抜く」ということは、最適化という意味での手抜きであり不真面目な実装を奨めているわけではない。誤解を招くといけないので、蛇足ながら補足しておく。
 本書を読んでプログラミング技術が向上するかといえばそれはわからない。本書の内容に共感できる人ならば既にそうとうの技術者であろうし、本書のスタイルが教科書に適しているとは思えないからだ。しかし中上級Cプログラマが読み物として読むには抜群に面白い本である。日頃できの悪いプログラマに悩まされている人であれば、溜飲を下げることができてストレス解消にもなるかも。

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手元に一冊、置いておきたい本

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 Linuxデベロッパーズバイブルと題されてはいるが、Linuxを題材にUnixプログラム開発のひととおりを概観する、といった主旨の本。私にとっては、ほぼ「おさらい」という感じがしたものの、たとえば nm の -C オプションなどちょっとした気の効いたことへの言及もあり、一度は本書にざらっと目を通しておくのは、それなりに有効かと思う。

 読み進めていくと新たな発見も多く、ツールの紹介だけでなく、C言語を使ったオブジェクト指向コーディング方法なんかも詳しく解説があるなど、かなり有意義な本と感じた。

 問題点としては、800ページもある分厚い書籍なので気軽に持ち歩けない、という点を挙げることができよう。ただし平易な書き方をしているので、すらすら読み進めることができる。意外と読み物としても面白くて、会社の行き帰りに重い思いをしながらではあったがほぼ一週間で読了した。繰り返しになるがLinux関係で開発をしている人だけでなく、Unixデベロッパー一般に対してオススメ。ちょっと高いけど。

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日本語をコンピュータで扱っている人は必読の書

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 「テキストファイルとは何か」と題されてはいるが、テキストファイルについてのみならず、テキストファイルを構成する文字コードやフォント、ひいては著作権の話題まで、日本語の文章をデジタル的取扱うにあたり避けては通れないテーマについて、網羅的に紹介されている良書である。

 読者対象の幅を拡げようとしているためか、技術的な議論があまりなされていないことにやや物足りなさを感じる点は否めないが、逆にさらっと読めるので、この分野について教養を深めたい向きにはちょうどよいかもしれない。

 「はじめに」の最後に「コンピュータと文字文化の深遠な問題を共有し、新しい時代の文字文化を一緒に考えていきましょう」とあるように、現代において文章を書く商売に従事している人間(著述業というだけでなく、論文を記す研究者や企画書を練り上げるビジネスマンも当然含みます)には必読の書といえる。まさにサブタイトルに示されている「知らぬでは済まぬ電脳社会の常識」である。

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本人によるLinux哲学が興味深い

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 本書は、序章、第一部、第二部、第三部、終章、という構成になっている。序章、終章はプロローグとエピローグに相当し、第一部から第三部までがメインだ。リーナス・トーバルズの述懐を中心として、ときおりたきつけ役のディビッド・ダイヤモンドの解説が加わる、というスタイルを取っている。リーナスの文章はかなりフランクなもので、オタクらしい表現ともとれるが概して好感が持て、読みやすい。

 第一部は主に彼の生い立ちが述べられ、第二部でLinuxの生誕から世界に羽ばたくまでの経緯が語られている。第二部で紹介されているタネンバウム教授との論争はlinuxerにとっては有名な話だ。

 本書はやはり第三部がとくに興味深い。第三部では、Linuxが成功してから、Linuxをとりまく諸事情について、リーナス・トーバルズの哲学が如実に記されている。ライセンス問題、オープンソースとビジネスの在り方、ソフトウェア関連ビジネスモデルの展望、知的所有権に対する考え方、などなど、オープンソース界の旗手のひとりとして優れた考察が述べられている。ここで彼が述べている内容はかなりまっとうな意見であり、共感するところが多い。有名人でありながら、庶民派とされる所以だろうか。

 ところで彼の意見に共感するのはよいのだが、では彼と私の違いって何だろう? と悩ましいところもある。ほぼ同年代で意見も同じなのに。その秘密はオタクかそうでないか、というところにありそうだ。もっともこの場合の「オタク」という表現はけして悪い意味ではない。本書は自分のスタンスについて深く考えさせられる契機を与えてもくれた。

 なお序章と終章はリーナス・トーバルズによる彼の人生哲学についての記述がなされている。この部分はリーナス信者向けの文章ではあるかもしれないが、私にとってはあまり興味を惹く内容ではなかった。

 さて本書についての感想を述べるにあたっては、装丁にも言及しておきたいところである。表紙カバーの中央、英文タイトル「JUST FOR FUN」と書かれているうち「O」の部分がくりぬかれており、そこからLinuxのマスコットキャラクターであるペンギンが覗いている。しかもカバーを取ると、そこには無数のペンギンの群れが現れる。なかなかユニークなデザインだ。このデザインをみて1歳半になる私の娘が「コッコ、コッコ(彼女の言葉で、鶏、転じて鳥すべてを指す)」と大ヨロコビし、自宅では読書にならなかったことを蛇足ながら付け加えておこう。

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システム管理者をとりまく人、全てに読んでもらいたい

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 システム管理者、それは因果な商売である。企業の情報システムは、普通に動いてアタリマエ、動かなくなるとたちまち文句をつけられる。しかしその問題の原因の多くは、たいがいユーザ側にあるものなのである…。

 ベテランシステム管理者の苦悩の日々を綴る本書は、同じような境遇に身を窶す同業諸氏におかれては心から同感しつつ読み進めていくことができるだろう。私はシステム管理者ではないが、情報システムの研究開発に携わる一会社員として似たような立場に置かれることもあるので、本書で紹介されているような理不尽な要求がまかり通っている現実は分からなくもない。

 「偉いな」と感心したのは、実にオトナな態度で理不尽なユーザを手なずけている点である。こんなくだりがある。レイアウト変更では、システムに不都合が起らないようにシステム管理者が全てパソコンを移動する。ところがそれをユーザが好き勝手に変更すると、どうしてもトラブルがする。その対処に出動した場面である。

筆者「わちゃ。ケーブルがぐちゃぐちゃや。どこが悪いのからわからんから、
配線をやりなおしますわ」
A氏 「はよ直してや。メールを読まなあかんねん」
(「あんたらが壊したんやろ」と言いたいのをぐっとこらえる)
筆者「そんなに急いではるんやったら、別の人のパソコンを借りたら?」

 この場面、私なら「あんたが壊した」と言うのをこらえることはできないだろう。システム管理はシステムだけでなく人の管理が重要、と本書では説いている。まさしくそのとおりで、ユーザをいかに教育するか、ユーザといかに良好な関係を築いていくか、それが重要なのだ。

 上記引用でもわかるとおり、舞台は大阪であり事例は全て関西弁で紹介されている。それで本書が説教臭くなっていないのがよい。技術的な難しい話はほとんど出てこないので、システム管理に係わるあらゆる人にお薦めできる。とくにお薦めは、ネットワーク層の上位に位置される「政治層」、「経理層」の方々。本書を読んで、少しでも現場の苦悩を理解してあげたって下さい。

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ソウル・ブラザース

2001/06/12 12:52

どこかで読んだことのある筋だけど…

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 ソウルフルな大スター、石橋力也(リッキー)にあこがれて上京、力也のバックダンスチームのトップダンサーまで上りつめた主人公のOJこと奥田譲治。力也に背格好の似ているOJは、しばしば力也の影武者を努める重要なポジションを占めるようになっていた。そんなOJも、スター特有の我儘勝手に振り回され、力也の女、麻子を押し付けられて、力也のスキャンダルをごまかすために偽装結婚させられる羽目になる。それでも力也を慕うOJだが、人気も落ち目の力也はますます傲慢になる一方でOJを疎ましく思いはじめ、ふたりの関係はギクシャクしたものになっていく。

 そんなあるとき力也に人気回復のチャンスが訪れる。有名な清涼飲料水のコマーシャルの話が舞い込んだのだ。しかしそのコマーシャルは危険なダンスシーンが山場となっていた。逆に飛び上がり、頭で着地したままコマのようにくるくると回るへッドスピンである。OJは力也のために、危険なへッドスピンに挑むことになった…。

 70年代、バブル期以前の日本のダンスシーンをよく描いており、軽妙なタッチの文章に引き込まれて一気に読んだ。ところが読んでいるうちに、なんだかこの話、読んだことあるぞ? と気づいてしまったのだ。そう、「蒲田行進曲」である。

 力也は銀ちゃん、主人公OJはヤスだ。そして麻子は小夏。

 舞台が蒲田から六本木・西麻布周辺になり、時代がやや現代よりになった、ソウル・ダンス版蒲田行進曲、といったところ。まあ、面白かったので、いいか。

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よくできたLaTeX2e入門書

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 私は昔からUNIXワークステーションを利用した仕事に就いていたので、仕様書や報告書の作成にはずっとLaTeXを使用し続けている。LaTeXが取っつきにくいことは確かだが、そこらのワープロソフトよりよほど品質の高い文書を作成することができ、勉強する価値はある。なにしろWYSIWYGの多機能ワープロソフトに比べて動作が論理的で、なかなか思い通りにいかないことがあっても理不尽さを感じない(納得できる)点が理系向きの優れている点といえよう。

 かように優秀な組版ソフトであるTeX/LaTeXファミリーも、knuth先生により開発されてから幾度ものバージョンアップや改良、日本語化などの歴史を経て、現在はLaTeX2e(ラテック・ツー・イー(イプシロン))に進化した。本書では、アスキー社により日本語化され縦組などの機能が追加されたpLaTeX2eを原則として解説の対象としている。

 長いこと慣れ親しんできたLaTeXではあったが、LaTeXに関する私の基礎的な知識は、LaTeX2eにバージョンアップする前の、LaTeX2.09と呼ばれるもので留まっていた。システム自体は最新のLaTeX2eを使っていたのだが、旧バージョンの互換モードで利用していたというわけだ。もったいない話である。

 そこで手に取ったのが本書である。本書のはしがきには、「旧バージョンに慣れた読者を対象とするか、全く新しくLaTeXを勉強しようと志す読者を対象とするか迷ったが、後者とした」旨の記述がある。その理由は旧バージョンに慣れた読者なら違いや新しい機能は少し考えれば分かるから、というものである。私は前者に該当するが、たしかにこの指摘どおり違和感はない。新たに追加された機能の紹介は、そう書いてなくともなるほどと頷かされる。それどころか忘れていた機能の確認もでき、最初の数章こそナナメに読みとばせたものの、一から再勉強できた意義は大きい。

 なおLaTeXの利点のひとつに、数式の記述が簡単で、かつ美しい数式の表現を得ることができる点を挙げることができる。本書でも数式の記述法には力を入れて解説がなされている。ただし著者が化学系の研究者であるため、化学式や化学構造式の記述に少なからぬページを割いているのは良し悪しで、多くの読者にとっては不要な説明だろう。

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本書を読んでソフトウェア業界の陰謀を阻止せよ

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 だいぶ昔になるけれど、インテルチップに不具合が発見されて回収されるというリコール騒動があった。最近だとソニーの携帯電話にいろいろバグがあってそちらも回収されたことがあった。それからハイテク業界じゃないけど三菱自工のリコール問題は大きな社会問題になって、いまだに尾を引いているみたい。それなのに、ソフトウェアにはどうしてリコールに相当する制度がないんだろう?

 本書によると、ソフトウエア市場は発展途上であり、機能優先(不必要に多機能でしょ)で品質を犠牲にした低品質のソフトが附合契約で守られるのが現状なんだそうだ。たしかに「いらんお世話じゃ」というような機能が多すぎる。とくにパソコン用のオフィスソフトに見られる傾向だけど、機能を増やすより、本質的なところの品質改善をしてほしいなあ。突然ハングアップしないとか、そういう基本的なところ。

 ところで『附合契約』ってのがキーワードのひとつとなっているんだけれど、『附合契約』というのは、ソフトウェアをインストールするときに「この契約に同意しますか? Yes/No」って出てくるあれのことで、ようするにベンダ側から一方的に押し付けられる契約のこと。

 それに加えて検討中である米国の新法(統一州法)は不当な『シュリンクラップライセンス』を擁護する方向に進みつつあるので、 ぜひとも阻止せねばならない、ということらしい。『シュリンクラップライセンス』というのは、パッケージを破ったら(つまりラップをシュリンクしたら)、もう契約に合意したと見做してしまうという、なんというか、ひどいライセンス形態のこと。

 比較的新しい本なのに、オープンソースの枠組みについて触れていないのが、やや残念なところ。とにかくソフトウェア業界といえば、ろくでもないソフトウェアをマーケティングだけ(?)で売り捌いている会社もあるのが現状だから、内容にはなかなか共感するところは多かった。

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新お役所のしくみ

2001/02/01 11:19

最低限おさえておきたいことが理解できる

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 21世紀を迎え、日本の行政は省庁再編で新たなスタートをきった。ところがその内容がどう変わったかは、直接生活に関わる部分を除きなかなか実感が湧かず、わからないものである。しかし昨今しばしば報道される官僚不祥事の温床を無くすためにも、民間人が目を光らせておく必要があろう。それにはまず敵を知らなければならない。
 本書では、新省庁の構成とその概要をざっと説明するだけでなく、関連団体や地方自治など行政全般にわたり解説が加えられており、通読すると非常にわかりやすく現状を理解することができる。
 さらに本書は読み物としてもたいへん面白い。なにしろ庶民の視点からの痛烈なコメントが随所に盛り込まれているところに共感を覚える。我々のような民間人にとっての新省庁の構造を知るための良い教科書であり、さらに、本書を当の公務員の方々にもぜひ読んでいただいて自覚を持って職務にあたっていただきたいと思わせる書き振りに、非常に好印象を持った。

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紙の本C言語ポインタ完全制覇

2002/02/26 23:39

日経の書評でも同じようなことを書いてますが...

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 C言語の、とくにポインタ操作に関わるトピックが満載の本書である。本書は、ポインタの取扱いに不馴れな初心者がポインタを理解できることを目的として読むには、ややハードルが高いような気がする。

 それよりも、ある程度はC言語でのプログラミングを身につけていて「ふ、ポインタなんて、日常のツールだよ、何をいまさら…」と感じている中・上級者向けだろう。そのような上級プログラマが自己の知識を再確認する、あるいは知らなかったけどもちょっとしたことで便利だな、と感じるようなティップスを提供してくれる、という意味で非常に良書といえる。

 私の場合、非常に面白く感じたのは61ページの次のくだり。x[y] という書き方が *(x + y)のシンタクスシュガーだということを説明した箇所の注意書きでの表現が面白い。

* Point
p[i] は i[p] のように書くこともできる。

* Point
【上のポイントに関するもっと大事なポイント】
でも書くな。

 重ねて、本書はC言語プログラマのエキスパートにお薦め。で、囲み記事を重点的に読むと非常に楽しめる。

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