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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

albrechtさんのレビュー一覧

投稿者:albrecht

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本世界の中心で愛を叫んだけもの

2004/03/24 00:23

スーパーバイオレンスに隠されたもの

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ここには、おもしろいものから、よくわからないもの、若いものから出来上がっちゃったものまで、幅広い作品が収められている。しかし、いくつかの作品からは共通する明確なテーマが読み取れる。それは、当時の政治システムへの怒りと、安定/停滞だけを目的とし規格外のものを排除する社会への批判である。そして、そんな鼻持ちならない世界を何とかしようと思うのだがどうあがいても何も変わらない、そんな焦燥感、絶望感が色濃くあらわれている。
 この短編集のタイトルにも選ばれた『世界の中心で愛を叫んだけもの』では、規格に合わないものを排除し、刺激もなく生き延びることだけを目的とする社会を批判し、さらに自分たちの生活の安寧のためには他の世界の暮らしなど省みない社会を批判する(これはつまり、当時の代理戦争のことではないだろうか)。『眠れ、安らかに』では、世界から戦争をなくし、同時に人類の進歩をもなくした権力を葬り去り、ふたたび競争のある世界を取り戻す。『サンタ・クロース対スパイダー』は世界を混乱と無秩序に陥れる悪者として、当時の政治家たちを実名で批判する。『殺戮すべき多くの世界』では偽善と策謀にまみれた現代国家群を破壊し、「すべての世界が相互信頼のうちに結び合わされる」ことを夢見る。
 エリスンはあまりに高い理想を持ってしまったがために、現実の社会が許せなかったに違いない。その怒りがスーパーバイオレンスとなってほとばしったのだ。
 スーパーバイオレンス作家というレッテルが一人歩きしている感のあるエリスンだが、彼を駆り立てるものに注目すれば、この本の真の姿が見えてくるはずだ。そして、エリスンが矛先を向けた悪が現代でもまったく変わらずに生きつづけていることを知るだろう。

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紙の本バベル−17

2004/09/27 02:24

バベル-17に隠されたものを解き明かせ。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 サミュエル・R・ディレーニイの長編の中では、「簡単な」部類に属するに違いない。少なくとも、この本が「むずかしい」と評されるのを聞いたことはないから。でも、やっぱり、この小説も他のディレーニイ作品と同じく、表面的なストーリー展開と、そこに込められた(あまり隠されていない)メッセージと、さらにその奥に何層にもわたってさまざまな象徴/主張/感情が織り込まれているハズなのだ。それがディレーニイなのだから。
 まずは表面的なストーリーなのだが、すでにこのレベルがとてもおもしろい。
 主人公は宇宙的詩人であり、若くて美人で暗号解読のエキスパートのリドラ・ウォン。彼女が、インベーダーによる破壊工作のときに必ず交信されるバベル-17という暗号を解読するため、エキセントリックな中間たちとともに宇宙を旅する。しかし、ゆく手には姿を見せないインベーダーによる妨害もあり、リドラたち自身の命も狙われる。
 波乱万丈の物語にくわえ、リドラを助けるメンバーたちが多種多彩。かれら宇宙船乗組員には、自分のからだをサーベルタイガーのように整形しているパイロットや、皮膚がすべて透明で筋肉の動きがそのまま見えるように改造している航宙士(このイメージはものすごく強烈で、たぶん、一生忘れないだろう)がいて、モルグで「死んでいる」のもいるし、本当に零体化しているものもいる。リドラがかれらをスカウトしていくシーンは、一般人の税関職員を狂言回しに、目くるめくイメージが次々と繰りだされる。ディレーニイがウキウキしながらペンを走らせるさまが目にうかぶようだ。
 さて、表向きは楽しい冒険譚だが、その実、体制vs.反体制、自由vs.全体主義、科学者vs.芸術家といったテーマが、すべてのキーとなる「バベル-17」を中心に展開されていく…と(個人的には)思っているのだが、ここらへんは人それぞれ受け取り方が違うし、あまり書いてはこれから読む人の興味を削いでしまうので細かいことは割愛。ただ1つ書かせてもらうとすると、リドラの幼少期の思い出に登場する九官鳥のように、一見、無邪気にならべられているだけのようにみえる「小道具」が、実は深くテーマにかかわっていたりする。さすがディレーニイ、気が抜けん。

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紙の本武器製造業者

2004/03/15 01:43

センス・オブ・ワンダーでは片付けられない物語

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 センス・オブ・ワンダーというひと言では片付けられない波乱万丈の物語である。
 大きな謎解きとして、<不死人>ヘドロックとイシャー帝国や武器製造業者との関係、恒星間駆動装置をめぐるイシャー帝国と武器製造業者との攻防、そして、人類より進んだ科学力を持つ「蜘蛛族」と<不死人>ヘドロックとの戦いがある。これだけの大技を繰り出しつつ、さらに大きな仕掛けの周りには、読者を驚かすたくさんの小さな仕掛けがちりばめられている。その良い例が、女帝の結婚相手はその素性を明かさないという「伝統的なしきたりで」。ここでは詳しく書かないが、この「しきたり」があるという条件が<能力人>ゴーニッシュの能力をより強調し、その能力が発揮されるシーンの劇的効果を高めるとともに、この「しきたり」そのものがイシャー家一族の謎を解く鍵になる。個々の小さなアイディアも読者を驚かすためだけに用意されたのではなく、用意周到に計算され配置されていることがわかる。
 ヴァン・ヴォークトを評して、「恐竜」といわれることも確かにうなずける。相対性理論なんて気にせず恒星間飛行ができるし、発見される惑星には呼吸可能な大気があり、海や草まではえた人間が住みやすい星ばかり、未知の生物とは簡単にコミュニケーションが取れる。しかし、ヴァン・ヴォークトの時代の「SF的常識」とはこれだったのだし、なにより、この小説を読むためには、科学の裏づけなど不要なのである。「常識」から構築されたとは思えない、特異、かつ、目くるめく小説を楽しむ、それがヴァン・ヴォークトの楽しみ方なのだ。

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紙の本結晶世界

2006/12/21 01:28

けっこう荷が重い(笑)

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 たぶん、水晶の森に惹かれる人間には2つのタイプがあるのだと思う。
 1つはその光の世界そのものに魅せられたタイプ。
 マタール港に象徴される現実は、どんよりと重く、暗く、すべての希望という光を飲み込んでしまう。しかし、水晶の森ではすべてが内なる光で輝いている。森に入るということは、自分も光り輝く存在になるということだ。バルザス神父やらい病患者たち、そして、スザンヌがこのタイプ。
 もう1つは、水晶化によって時間が停止することに引き寄せられる人たち。
 主人公サンダーズ博士の場合、スザンヌとの情事をだらだらとつづけ、自分の仕事にも、もはや情熱を見出せない状態にもかかわらず、自分からは別れることも、勤めている病院を離れることもできなかった。それが、スザンヌが病院を去り、そのスザンヌからの手紙に幻想的描写があるからという理由をつけてスザンヌを追いかけジャングルの奥地まできてしまった。しかし、結晶化した森の本質を知ると、もはやスザンヌなど抜きにしてみずから森に入っていくのだ。
 ソーレンセンはセリーナとともに水晶化することで、永久にふたりが結ばれることを望んだ。
 ベントレスもひとりの女をめぐって戦うという世界に浸っていたかっただけなのでは? そのほうがスリルがある、生きてる実感がわくといった理由があるのではない。ただ、外の世界に目を向けるということができない、あるいは、ひとりの女性に拘泥するという意味で。
 さて、こうしてタイプ分けができたからといって、別にどうということもなく(笑)。ただあとは、結晶化した森の描写と、それぞれの人間の行動をながめて楽しむ・・・そんな小説なのかな、これは(笑)。

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