サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. ヒグマさんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年8月)

ヒグマさんのレビュー一覧

投稿者:ヒグマ

25 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本刑事の誇り

2001/09/22 03:25

失踪人課パウダー警部補と車椅子の女刑事

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 パウダー警部補シリーズの2作目。パウダーは人一倍仕事熱心な男だが、万事が荒っぽく、口も悪い。そのパウダーがボスである失踪人課に、車椅子の女性刑事フリーウッドが新しく配属され、パウダーのただ一人の部下となる。毒づくパウダー、ひるまず言い返す気の強いフリートウッド。会話が面白い。
 車椅子のフリートウッドに対して、パウダーは容赦ない。フリートウッド刑事も根性で食らいつく。そのうち、最初は犬猿の仲だった二人が、徐々に認め合っていく。
 パウダーが厳しいのは、冷酷なわけではなく、公平だからだ。車椅子であっても特別扱いしない。部下に口うるさく言う分、自分もよく働く。撃たれて入院し、手術前で銃弾がまだ体内に残っているのに、病院を抜け出してしまうほどだ。救いようのない仕事中毒。自殺願望を持つ身元不明の女性のために、死にそうになりながらも奔走する。「痛むの?」とフリートウッドは言った。「本当は誰もがそうなのに、自分だけが悪人だと思いこんでる世間知らずの彼女のことを思うと、胸が痛む。」かっこええのう、このおっさんは。
 こんな仕事人間も、離婚でほとんど縁が切れている息子のことで悩んだり、街郊外の小さな畑で作物を育てて、仕事のストレスを解消していたりするような、人間らしいところがあって妙にホッとしたりする。魅力的な主人公だ。ちなみに、脇役としてちゃんとアルバート・サムスンも出てきます。解説は都筑道夫。

☆ ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

母想いの三姉弟

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

14歳の長女ダイナ、12歳の次女エープリル、10歳の長男アーチー(日本式に言えば)の三姉弟が探偵役をつとめるユーモア・ミステリー。

カーステアズ家は母親と子どもたちの4人暮らし。
多忙なミステリー作家の母マリアンのために、3人の子どもたちは一致団結して家事を手伝っている。
時々はけんかもするが、母想いで仲の良い三姉弟である。

ある日、隣家で殺人事件が起こる。
「ママがこの事件を解決すれば、きっと有名になって『ご本』がたくさん売れるのでは」と三姉弟は考えたが、ママは仕事に没頭してとりあおうとしない。
そこで子どもたちは独自に事件を捜査することにした…。

ミステリでは珍しい「です・ます」体の翻訳文。
ほのぼのとして、愛らしい物語(殺人はしっかり起こってますが)に文体がよくマッチしている。
言葉遣いが古めかしくも上品で、読んでいて心が洗われるような気さえする。

他に類のないタイプのミステリで、傑作だと思う。
仲良し親子の話で泣ける人は必読です。

余談だが、「おっとり型の長姉・頭の回転が速くおてんばな妹・経済力のある末っ子」の三姉弟という設定は、末っ子を女の子にすれば、そのまんま赤川次郎の「三姉妹探偵団」になるなあ。

☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

シマロン・ローズ

2002/01/14 05:01

曽祖父の日記

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 主人公ビリー・ボブはテキサスの田舎町で弁護士をしている。元テキサスレンジャー(テキサス州の騎馬警官)。ルーカスという町の若者がレイプ殺人の疑いをかけられる。ビリー・ボブが弁護を引き受ける。ビリー・ボブは、ルーカスは町の有力者の息子のグループによって罠にかけられたのだと睨み、裁判の準備を始める。
 ビリー・ボブは、テキサス・レンジャー時代に相棒で親友でもあったL・Q・ナバロという男を、誤って射殺した過去を持つ。以来ビリー・ボブは日常的にL・Qの亡霊の存在を感じ、会話までするようになっている。
 そしてビリー・ボブにはもうひとつの過去があった。他人として生活しているが、ルーカスの実の父親だということである。

 複雑な状況が絡み合って物語は進む。ビリー・ボブの敵となる人間たちは凶悪で、あまりに醜い。読んでいて気分が悪くなる。しかし魅力的な脇役が気分をどん底から引き上げてもくれる。たとえば、カントリー音楽に精通し、弦楽器を持たせると奇跡のような演奏をするルーカスがそうだ。亡霊のL・Qが吐く飄々とした台詞も和める。

 そして何と言っても、ビリー・ボブの曽祖父サムである。ビリー・ボブはこのサムが残した日記を読むのが毎日の習慣となっている。暴力とアルコールにまみれた生活から足を洗い、聖職者となった男。しかしなお暴力への衝動と、「シマロンの薔薇」と呼ばれる女に対する煩悩の炎に苛まれ、苦悩する。その心情が、激しく美しい文章で記されている日記。作中ところどころに挿入されるこの日記が実にいい。

 作者の仕掛けは冴えまくっているし、テーマもしっかりしている。スピード感あふれる多面的な展開で飽きさせない。実に完成度の高い小説。それだけに却って乗れないというすれっからしの読者もいるほど。とは言っても、読んで損はないと思う。最後の裁判の場面なんて泣けますよ。そうくるかい、というオチでした。

☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

殺人詩篇

2002/01/06 03:54

古書ミステリの先駆的作品

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 アパートのガレージで発見された死体。そのかたわらには、一冊の書物があった。時価30万ドル以上といわれる稀覯本。貴重な植民地時代の活字印刷本で、「ベイ版詩篇」と呼ばれるものだった。殺害されたのはロサンゼルス大学図書館の司書主任。警察は物盗りによる強盗殺人としてこの件を処理した。しかしなぜ「ベイ版詩篇」が? 被害者の友人であった教授のクリフォード・ダンバーは、被害者の娘に懇願され、事件の再捜査を始める。

 一冊の本から、徐々にスケールの大きな事件に発展していく。主人公クリフが謎を追う過程がスリリングで、ページを捲る手が止まらなかった。活字や校正、偽本の鑑定など、稀覯本をめぐる書誌学的ウンチクも、いい味付けになっていて楽しめる。よかったです。

☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本幻の声

2001/09/20 05:17

デビュー作にして…

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者は北海道函館市在住の主婦作家。いつかインタビューで語っていたが、家事の合間に、台所の食卓用テーブルで執筆しているそうな…ところがどっこい、これが上質な時代小説です。
 主人公は髪結いを本業としながら、町方同心のお手先という裏の顔も持つ伊三次。他に二人の主要人物がいる。ひとりは伊三次の情婦(いろ)で、男まさりな深川芸者お文。もうひとりは伊三次が仕える同心・不破友之進だ。
 五つの短編からなる。最初の三編は主要人物三人の顔見せ的な話。それぞれの生い立ちやら出会いのきっかけやらが、いちいち魅力的なエピソードと共に語られる。五編すべてがいいのだが、四編目の「備後表」は特に、もうどうしようもなく泣けます。
 「筆が立つ」とはこういう人のことを言うのだろう。これがデビュー作とは。まったく、オドロキの完成度。細かいところが、とてもうまい。主人公の髪結い、伊三次が髪を結う場面など、きっちり描写されていて、読んでいて気持ちいい。人の心の微妙な動き。日常の中で、ふと感じる季節感。心が洗われるような小説。

☆ ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

図書館の親子

2001/08/25 03:28

期待を裏切らない。脇役たちがいい

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 図書館長ジョーダン・ポティートのシリーズ第3弾。

 過去2作と同様に、饒舌な主人公に、癖の強い登場人物たちが絡んで、実に盛りだくさんの内容。ちょっとくどいくらいだが、退屈しないのは間違いない。
 主人公と敵対する脇役が特に面白い。憎たらしくて、少し哀れで。彼、彼女らがいなければ、この小説は味気ないものになる。もし身の回りに嫌いな人間が一人もいなかったら、そんな人生はきっとつまらない。この小説を読むと、そう思えたりする。

 相変わらず主人公は「ドクター・ペッパー」を飲んでいる。今回はアイスクリームを浮かべた「ドクター・ペッパー・フロート」まで出てくる。おいしいのだろうか…。

 図書館の場面での、気に入ったジョーク。

 「そういった悩みの種が頭の中でひしめきあってきて、ぼくはひどく頭痛がしてきた。だから今日はダーウィンが宗教の棚に入ったとしても、なんの不思議もないだろう。」

 ダーウィンが宗教の棚に入っていたら、そりゃ大変だ。

 かなり満足できたけれど、ひとつ残念だったのは、ジョーダンの恋人キャンディスの出番がちょっと少なかったこと。もっとキャンディスを!


☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本カインの娘たち

2001/08/23 03:07

せつない

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ご存じモース警部のシリーズ。今回の導入部はモースファンにとって衝撃的だ。なんと、モースが引退することを考えている!

 モースが引退を考えたのは、年々体調がすぐれなくなっているためだ。「われわれはみんな年をとる」。モースの捜査活動は、入院と休息のために途切れがちになる。その分、部下のルイス刑事が活躍。頼もしい。

 今回の事件の重要な鍵を握るのは、3人の女性である。いずれも聡明で、強い意志を持つ女性たちだ。彼女たちに、モースは(珍しく)正攻法で対峙する。体調不良のためか、いつものアクロバット的な超推理は影を潜めるが、それでも鋭い知性で女性たちのアリバイを崩していく。

 犯罪捜査の天才・モースの身体的な衰えを見るのは悲しい。しかし、健康のために酒と煙草を控えるのはモースも、また見たくはないのだ。何ともせつない気持ちになりながら読む。途中捜査が行き詰まるのは、明らかにモースが酒を控えているからだ。
 まあ結局最後には、我らがモースが事件の謎を解くんだけれど。ビールと煙草で命を削りながら…。

  ☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

図書館の美女

2001/08/10 03:45

前作以上の面白さ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 デビュー作『図書館の死体』が高い評価を得たジェフ・アボットの2作目。前作に続き、アメリカ南部の町ミラボーの、若き図書館長ジョーダン・ポティートが主人公である。

 平和な田舎町ミラボーに突如発生した、犬小屋や郵便ポストを狙った連続爆破事件。ジョーダンは、恋人キャンディスの家に泊まった朝、この爆弾のために腕を負傷してしまう。幸い重傷ではなかったが、その日図書館に出勤したジョーダンを、さらなるトラブルが襲う。ミラボーを流れるコロラド川流域の開発を計画している業者の一員が、突然ジョーダンを尋ねてきたのだ。その人物を見て、ジョーダンはあまりの驚きに言葉を失う。その人物は女性で、目の覚めるような美女。そしてその女性は、ジョーダンのかつての恋人、ローナだった。
 ミラボーに降ってわいた大騒動。開発業者を追って、自然破壊に反対する女性運動家もやってくる。町はこの運動家と開発業者の激しい対立で二分されようとしていた。やがて殺人が起き、追い打ちをかけるように新たな爆破事件まで…。

 と、こんな風に、実に盛りだくさんの内容である。事件は思いもよらぬ展開を見せて、流れを追うだけでも大変なのだが、事件を追うだけでこの物語が成立しているわけでもない。主人公の複雑な家庭環境から派生する、様々な問題がストーリーに絡んでくる。また、主人公を巡って、かつての恋人と現在の恋人がバチバチ火花を散らし合ったりもする。
 前作で見事ジョーダンの心を射止めたキャンディスだが、ローナの出現で、二人の関係はどうなるのか。こちらも気になるところ。

 これだけいろんな要素を詰め込んで、よくぞここまでまとまっているものだと感心。登場人物が多いのに、ほとんど混乱することもない。2作目ということもあり、それぞれの相関関係がはっきりしているからだろう。実に読み応えのある389ページ。はっきり言って、前作以上の出来だと思いますよ。

◆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本死の演出者

2001/08/07 03:42

市内一リーズナブルな探偵の活躍

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私立探偵アルバート・サムスンシリーズの2作目。様々な個性あふれる探偵が創造されてきた現代ミステリ界において、リューインの生み出した探偵・サムスンは、極めて<平凡な>人物である点が新しい、とされる。
 サムスンは、離婚経験のある、一人暮らしの中年男。スポーツ観戦を好み、酒もギャンブルもほどほどにやる。孤独な個人営業の私立探偵ではあるが、ガールフレンドがいて、食堂を経営する母親にもときどき会い、話し相手をしたりさせたりしている。離婚のため別居中とはいえ、月に一度は一人娘に手紙を書いたりもする。そして、探偵のくせに暴力が嫌いである。
 こんなありふれた人物である主人公が、地道な調査活動によって事件を解決していく。そんな小説が果たして面白いのか?イヤ、これが滅法面白い。何故なんだろう?

 今作の依頼人は、殺人容疑で逮捕された夫を助けてほしい、という若い女性。サムスンの元に依頼人を連れてきたのは、依頼人の母親だった。市中のすべての探偵社に電話したこの母親は、「あなたがインディアナポリスで一番安い私立探偵でした」というトホホな理由でサムスンに依頼することを決める。のっけから脱力。
しかし他に仕事のないサムスンはこの依頼を引き受け、調査を開始する。警察はすでにこの事件を終わったものと見なしていた。だが、サムスンは事件に対するわずかな違和感から、事件の裏に潜むものを徐々に暴き出していく。

 念のため、もし第1作の『A型の女』を読んでいなければ、できればそちらを読んでから手にとってほしい。一人称、つまりサムスンのひとり語り調の文章は軽快で読みやすく、海外ミステリの初心者にもおすすめのシリーズです。

☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本キドリントンから消えた娘

2001/07/20 03:21

天才・モース主任警部シリーズの最高傑作

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 モース警部シリーズの2作目。
 若い娘の失踪事件を2年間追っていた刑事が、不慮の事故によって突然死亡する。モースはこの事件を引き継ぐこととなった。年中起こっているこの手の失踪事件だが、モースはまず最初に娘は死んでいるものと決めつける。ただの失踪事件では物足りなかったと思われる。死亡事件の方がやる気がでるのであろう…。

 そうと決まれば、モースは天才的な推理を見せる。鋭い洞察力と、ほとんど曲芸のような論理展開で容疑者たちを次々に青ざめさせる。モース最高!

 だがそうして生み出された見事な推理は、どこからともなく破綻する。その度に落胆するモースも面白いのであった。わはは。

 結局娘は生きているのか、死んでいるのか? 生きているのならどこにいるのか。死んでいるなら誰が殺したのか?
 二転、三転する捜査状況に引きずられて、読む方も最後まで全く油断ができない。ページをめくる指も止まらない、傑作でした。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本北帰行殺人事件

2001/08/16 03:20

懐かしきかな青函連絡船

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 有名な十津川警部が活躍するトラベルミステリ。今作では津軽海峡を渡り、冬の北海道へ。
 青森へ向かうブルートレイン「ゆうづる13号」のトイレに、胸にナイフを突き立てられた男の全裸死体が発見される。男の唇には、なぜか口紅が塗られていた。その翌日、第二の殺人が発生する。今度は青函連絡船「津軽丸」の救命ボートの中に、やはり口紅を塗られた男の全裸死体が見つかったのである。
 そして第三、第四と連続して起こる同じ手口の殺人事件。発生場所はなぜか北へ北へと移っていく。容疑者として浮かんできたのは、突如刑事を辞め故郷の稚内へ帰っていった橋本・元刑事であった。十津川刑事は橋本の後を追って北海道へ…。

 登場する地名は、札幌、旭川、留萌、妹背牛、増毛、稚内など。主に北海道の日本海側が舞台となる。青函トンネルの開通で廃止された青函連絡船が懐かしい。連絡船に列車を積み込む場面などが描かれる。「昭和二十九年までは、乗客を乗せたままの列車を、船に積み込んでいたという。」…こんなちょっとしたエピソードを端々に織り込んで、旅の気分を読者に感じさせるところは、まさに職人芸のよう。

☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

ハートウッド

2002/01/19 04:13

痛快極まりない一幕

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『シマロン・ローズ』に続く、テキサスの弁護士ビリー・ボブ・シリーズ2作目。

 金持ちを相手取って、またもや不利な立場での弁護に臨むビリー・ボブ。そして町に舞い戻ってきた、ビリー・ボブがかつて愛した美しい女。このあたり、前作と設定が似ているのがちょっと…。感情移入しやすい設定ではあるけれど。ビリー・ボブの曽祖父サムの日記が今回登場しないのも不満。前作では、ところどころに挿入されるサムの日記が物語の味わいに深みを与えていた。できれば今作でも読みたかった。

 しかし、大好きな場面を再び読むことができて、そんな不満は一掃された。元テキサスレンジャーのビリー・ボブが、悪党を馬上から投げ縄にかけ、引き摺りまわす、冗談のような一幕。現代を舞台にした小説のはずなのに、このときだけ西部劇になってしまう。これが痛快。こんな弁護士、身近にいたら悪いことはできんなー。

 長編だが、スピード感あふれる展開で、一気に読んだ。

☆ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本男たちの絆

2001/10/03 04:07

パウダー警部補、最後の事件?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 パウダー警部補シリーズ3部作の3作目。「夜勤刑事」「刑事の誇り」と読んできていると、もうパウダー警部補が出てくるだけで満足。何も言うことはない。

 前作と比べて、パウダーの失踪人課は人員が増えている。パウダーの功績だった。彼はちょっとした有名人になっていた。息子を自分の手で刑務所に送ったからだ。失踪人課の評判もよかった。それでもパウダーは仕事に満足していなかった。いくつもの事件をかかえながら、保護観察中の息子のことで頭を悩ませてもいた。
 そんなパウダーのもとへ、父親がいなくなったという十二歳の少年がやってくる。この子どもの父親探しが、物語のメインになる。
 一方、前作に続いて登場、車椅子の女刑事フリートウッドは、インディアナポリスには身障者だけを狙う殺人鬼がいる疑いがある、という訴えを受ける。

 入り組んだストーリー、すっきり解決しない事件、表出する世の中の闇。何とも頭が痛くなる小説なのだが、パウダー警部補だから許せる。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本小樽殺人事件

2001/09/21 03:29

小樽の浅見光彦

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 いまや日本を代表する名探偵、浅見光彦が登場。今作は小樽が舞台。

 浅見の本業はルポライターである。そんな彼は、広告の仕事で小樽に来ていた。小樽の観光キャンペーンの広告だ。そこで殺人事件と遭遇する。浅見は第一発見者となった。殺されていたのは、小樽では有名な実力者である女性だった。

 わかりやすく伏線が張ってあるので、推理小説を読み慣れた読者なら犯人はすぐわかるだろう。そういう人は主に小樽案内を楽しめばよい。小樽は観光地として知られているが、この小説が書かれた平成元年ごろは、運河の整備など何かと問題が持ち上がっていた。そんなゴタゴタもそのまま書かれていて、へえ、という感じ。

 この作品が書かれて10年以上が経過しており、その間小樽も少しずつ変化している。現在の小樽の様子と比べて読むのも一興。

☆ ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本函館駅殺人事件

2001/09/20 04:39

雪の函館

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 解説を書いている香山二三郎氏の受け売りだが、これは西村京太郎の「駅」シリーズの3作目だという。「東京駅殺人事件」「上野駅殺人事件」ときて、今度は函館というわけだ。思い切ってずいぶん北へ来てしまったものだ。
 タイトル通り、駅が殺人の現場になるわけだが、普通に考えるとちょっと無理がある。田舎の駅ならともかく、函館の駅であれば人目がありすぎて、殺人どころではない。まあ小説だから仕方がない。
 ちょっと設定に無理をしてでも、駅を舞台に選ぶのは、言うまでもなく著者が鉄道ファンであり、駅が好きだからであろう。文章の端々に駅への愛着が感じられる。鉄道マニアの子どもたちを見つめる駅職員の描写や、函館駅の列車の発着本数や広さ、営業収入までをエピソードとして挿入する点などで特にそれがわかる。
 この作品の中では、現在は廃止された青函連絡船がまだ運行していて、物語の重要な役割を演じる。しかし、青函トンネルの完成を受けて、連絡船は廃止が決定しており、著者は駅職員に、連絡船の方が本当は経費も安く済み、情緒もあるんだが、と連絡船への未練を語らせている。おそらくこれは著者の想いでもあるのだろう。これも解説の受け売りだが、駅シリーズの3作目に函館駅を選んだのは、著者が初めて北海道に旅行したときの、連絡船から降りて見た雪の函館と函館駅が強い印象に残っていたからだそうだ。

☆ ヒグマ文学館

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

25 件中 1 件~ 15 件を表示