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管野さんのレビュー一覧

投稿者:管野

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コミックス版に劣らぬスリルとサスペンス

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 前作の第二巻までは角川スニーカー文庫で出ていた(「多重人格探偵サイコ 1 情緒的な死と再生」、「多重人格探偵サイコ 2 阿呆船」)が、第三巻からは講談社ノベルスから出ている。版元が変わったのは、作者が版元とケンカしたからだということだが、ケンカして版元を変えたというと「ゴーマニズム宣言」の小林よしのりが思い浮かぶが、彼のようなガキのケンカではないようだ。ガキといっても、金稼いでいるし名声っていうのかそういうものもあるわけで、ナイフ持ってバスをハイジャック(「バスジャックの間違いだ」とか言うなよな。これで合ってるんだから)するヤツとか、ガキの生首を校門にデコレートするヤツなんかよりエライとも言えるだろうけど、質が悪かったりもする。
 と、まぁ、こんなことはどーでもよくて、角川の「サイコ」でメディアミックスで売りたいという魂胆が気に食わなかったようだ、大塚英志という人は。誰もが知っているとは言いがたい大塚英志なのに尊大といえば尊大。でも、この態度自体もフィクションなのでとか言うと身も蓋もないというか、メディアに対して「王様は裸だ」と言ってしまっているのかも知れない。当の本人は「文字にしてしまえばすべてフィクションなんだよ」と、渡久地のように嘯くのであろうか。バーコードなんて大量生産されたコピーだということで、特別なものではなく、大量生産されて大量消費されるだけなんだよ、ということか。この小説自体がそうなっている。つまり、バーコードは特別な人間の証だと勘違いする馬鹿どもに対して冷や水を浴びせる小道具でもあるのかも知れない。というわけだから、態度は尊大だけど、現代の小説なり映画なりTV、ラジオ、CDなどなどに対しても、「テメーら、所詮は大量生産されて大量消費されていくだけのものなんだよ。気取るんじゃねぇー」とでも言うかのようだ。
 講談社ノベルス版の方は表紙イラストが「地雷震」の高橋ツトム(というより、自分的には「鉄腕ガール」の方が好きなんだけど)で、雨宮一彦(というか表情からすると西園伸二なんだろうか)のイメージも田中昭宇とは違って凄味があるかな。田中昭宇の方は線が細いので、少女マンガというかオカママンガの流れかと思ってしまったからね。それでコミック版の方は買うのをためらったんだけど、読んでみると面白いのだから食わず嫌いはいかんな。小説の方もスリルもサスペンスも十分だ。
 しかし、読者を焦らすのも手口なのだろうけど、そろそろ続編を出してほしい(笑)。

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